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2021年01月24日 15:41 更新

【医師監修】新生児が泣かない3つの理由と対処法とは?

赤ちゃんはたくさん泣くものと身構えていたのに、新生児があまり泣かない……。泣き声で追い立てられずありがたいと感じる一方で、何か異常があるのではないかと不安に感じている人もいるでしょう。そこで、新生児が泣かないときに考えられる理由と対処法をまとめました。

新生児が泣かないとき、考えられる理由は?

 泣かないのも心配な新生児

新生児が泣かないときは、次のような理由が考えられます。

理由①まだ本格的な泣きが始まっていない

赤ちゃんの一般的な泣きのピークは、「生後1~2ヶ月ごろ」に訪れることが研究によってわかっています。親の関わり方は関係なく、赤ちゃんが一日に泣いている時間は生後2~3週ごろに増え始め、1~2ヶ月でピークとなり、生後3ヶ月ごろまでに急激に減ることが多いそうです[*1]。

つまり、新生児があまり泣かない場合、まだよく泣く時期が始まっていないので、あまり泣かないのかもしれません。

理由②快適で泣く理由がない

新生児に限らず赤ちゃんが泣くのは、何か伝えたいことがあったり、不快なことがあったりするときですが、月齢によって徐々に変化するとも言われています。

生後3ヶ月ごろまでは主に「暑い」「お腹が苦しい」「お腹が空いた」など不快を訴えるために泣き、特に空腹で泣くことが多いようです。泣かない新生児の場合、いつもちょうど良いタイミングでお腹が満たされ、またほかに不快に感じることがあまりないのかもしれません。

理由③もともとあまり泣かない赤ちゃんだから

赤ちゃんの泣く時間は個人差が大きく、よく泣く赤ちゃんもいれば、あまり泣かない赤ちゃんもいます。上述した泣きのピーク時でも、ほとんど泣かない子は1日20~30分くらいしか泣きませんが、よく泣く子は1日5~6時間ほど泣く場合もあります[*2]。もともとあまり泣かない赤ちゃんなら、新生児のうちはほとんど泣かないかもしれません。

赤ちゃんの泣く・泣かないは生まれつきの個人差が大きいですが、新生児のころ泣かないだけでどんな性格に育つかはまだわかりません。そのまま大人しい子に育つ可能性もあれば、低月齢のうちは大人しかったのに、成長するに従ってにぎやかになっていく可能性もあります。

あまり泣かないとき、心配な病気や障害は?

赤ちゃんがあまりに泣かないでいるとき、考えられる病気や障害はあるのでしょうか。

発達の遅れや障害があるかは早すぎてまだわからない

「発達障害の赤ちゃんは泣かない」と聞いたことがある人もいるかもしれません。たしかに、発達障害がある人の赤ちゃん時代を振り返ったとき、他の赤ちゃんとの違いのひとつとして「あまり泣かなかった」という点に気付くこともあるようです[*3]。

ただし、「泣かない=発達に遅れや異常がある」ということではありません。発達の遅れや障害を調べる際は、言葉や知的レベルに加え、指差しや呼びかけへの反応など、周囲との関わりに変わったところがないかを調べます。

また、発達障害にはいくつかの種類があり、特性の強さはそれぞれ異なりますが、複数の特性が重なり合っていることも珍しくありません。新生児期に「泣かない」ということだけでは、発達障害であるかどうかはわからないのです。

発達障害の特性は2~3歳頃から目立ち始めることが多いといわれています[*3]が、それも発達障害の種類や特性の強さによって異なります。親としては異常がないか気になるかもしれませんが、他に気になる点はないか行動を観察しながら、不安な場合は乳児健診などで相談してみると良いでしょう。

「サイレント・ベビー」という言葉に惑わされないで

なお、あまりに泣かないので、「サイレント・ベビー」なのではと心配しているママやパパもいるかもしれません。「サイレント・ベビー」は赤ちゃんの要求を無視していると、そのうち泣かない子になってしまうというもの。

でも、この言葉は医学用語ではなく俗語です。根拠もはっきりしていないので、お世話が行き届かないせいでサイレント・ベビーになってしまったのかもと心配することはありません。

新生児が大人の世話を必要とするのは当然のことですが、それをひとりでしていたら不安になるときもしんどいときもありますよね。「孤育て」にならないよう、パートナーや家族とともに子育てしたり、地域のサポートサービスを積極的に利用するようにしましょう。

泣かない新生児のお世話で気をつけること

泣かない新生児を家族で見守る
Lazy dummy

泣かない赤ちゃんは、日常のお世話の中で次のことに気をつけてあげましょう。

泣かなくても時間を決めて授乳を

赤ちゃんが泣かなくても、授乳は決まった時間に行いましょう。新生児のうちは3時間おきが基本ですが、赤ちゃんによって必要な量や授乳間隔は異なります。

赤ちゃんは母乳やミルクが飲みたいとき、口を開けながら乳首を探すように顔を動かしたり、手や指などをしゃぶったり、ささやくような声を出したりします。このような赤ちゃんのサインや授乳時の飲み具合を参考に、赤ちゃんに合った間隔であげるのがベストです。

くわしくは下記の記事を参照してください。

泣かない=構わなくていい、ではない

また、泣かないからと、赤ちゃんを放っておかないようにしましょう。赤ちゃんはママやパパに抱っこされることが大好き。授乳やおむつ交換後など、目が覚めているようなら、大人の方から抱っこしたりあやしたりしてあげてください。

なお、新生児はお腹の中で聞いていた音になじみがあり、しっかりと目覚めているときであれば、ママの声など、胎児の時によく聞いていた声がわかると言われています。ママの今の気持ちや、これからしようとしていることなど、赤ちゃんにたくさん話して聞かせてあげましょう。そうすると、赤ちゃんはリラックスして穏やかな気持ちになれるかもしれません。

まとめ

新生児は泣かないで眠っていることも多く、ママやパパが「意外と泣かない」と思ってもおかしくはありません。泣かない赤ちゃんは手間がかからないように思うかもしれませんが、忘れずに授乳やおむつ替えを行い、意識して大人から話しかける、抱っこするなど関わりを持つことは気を付けてあげましょう。成長するとたくさん泣くようになる可能性もあるので、周囲の大人は今のうちにパワーの温存をしておくと良いですね。

(文:佐藤華奈子/監修:梁 尚弘先生)

※画像はイメージです

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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