【医師監修】産後ママの体型対策で絶対やってはいけないNG3つ

【医師監修】産後ママの体型対策で絶対やってはいけないNG3つ

妊娠をきっかけに太ったり、産後、体重は戻ってもお腹周りなどがすっきりしないのが悩みのタネになることがあります。体型を戻すために、産後の今、やってはいけないことはなんでしょうか。産婦人科医のアドバイスをまとめます。


お腹が凹まないのはなぜ?

Lazy dummy

出産でおよそ3kgの赤ちゃんと胎盤や羊水などが出るので、産後にはお腹が“ぺたんこ”になることをイメージするのもやむを得ないかもしれません。
しかし実際には思った以上に腹部の“たるみ”や“ぽっこり”が残り、唖然とすることも少なくないようです。

この“たるみ”や“ぽっこり”はなんでしょうか?

“たるみ”はお腹の表面の皮や筋肉

Lazy dummy

妊娠中、子宮が大きくなっていくに従ってお腹の表面の皮や筋肉が伸びていきました。出産したとはいえ、伸びた皮や筋肉が縮むには時間がかかります。
また、妊娠中は脂肪(皮下脂肪)が蓄えられ、赤ちゃんが急速に育つために使われますが、腹部の皮下脂肪が産後に残ることもあります。それが厚ければ、皮も縮みにくくなります。なお、妊娠中に蓄えられる脂肪は約3kgと言われています[*1]。

一般的には、ママの体は産褥期(出産後約6〜8週間)に回復していき、体重も2〜4ケ月で約4kg低下します(分娩時に約5.5kg低下)[*2]。
しかし、体重が減る以上に、伸びた皮や筋肉が縮むのに時間がかかることもあるのです。

松峯先生
「体重の変化や、皮や筋肉が縮むのにかかる時間は個人差が大きいことです。妊娠前の体型や皮下脂肪のつき具合、食生活、ライフスタイルなどによって左右されるので、一概にどれくらいと言えません。ママから目安を尋ねられたら、『半年以上はかかると考えて』と答えています。
そして、産後残った脂肪のエネルギーは育児や授乳に役立てられます。赤ちゃんとのママの生活は思う以上に体力を必要とするので、残っている皮下脂肪はエネルギー源となるのです。この『半年以上の期間』は体力の回復や維持に必要な期間と割り切って、体型や美容の課題はその後で取り組みましょう」

“ぽっこり”の多くは内臓下垂

Lazy dummy

子宮が大きくなる過程で伸び、薄く、弱った腹筋では内臓を支えきれず、内臓が本来の位置より下がる「内臓下垂」が起きやすくなり、するとお腹がぽっこり出てしまいます。

松峯先生
「妊娠中や出産時には、内臓を下支えしている骨盤底筋群にも負担がかかり弱っているので、内臓が下がっていた場合は腹筋や骨盤底筋群の回復も必要で、それだけ時間がかかります。
こうした状態では尿もれなどのトラブルも起こりやすいので、1日も早く筋力を取り戻したいところですが、一般的な運動を産後すぐに行うのはNGです。場合によっては負荷が強すぎて、筋肉の回復を妨げたり、傷めるリスクがあります」

シェイプアップ、食事……産後の体型対策でNGなのは?

Lazy dummy

体を引き締める運動などはいつ再開するのがよいのでしょうか? 運動以外にもボディメイクに通じることは? 松峯先生のお話をまとめます。

NGその①「筋トレ」 一般的な筋トレは時期尚早

赤ちゃん連れではなかなか思うように外出できない中、家で気軽にできるシェイプアップとして思いつくのが腹筋運動ですよね。しかし、産後すぐのママの腹筋は特徴的な状態になっている場合が多いです。
それは「腹直筋離開(ふくちょくきんりかい)」というもの。妊娠中に分泌されるホルモンの影響で左右の腹筋をつないでいる組織(白線)が広がっている状態です。

【医師監修】産後の腹筋の状態は?産後の体操や運動はいつから?

https://woman.mynavi.jp/kosodate/articles/7680

産後のママを悩ませる「ぽっこりお腹」。早く引っ込めたいからと、すぐに腹筋運動を始めるのはダメだって、知っていましたか? 安全で確実にお腹を引き締めるために覚えておきたい、始める時期とトレーニング法を紹介します。

また、骨盤底筋も妊娠・出産で負担がかかっています。
これらの筋肉の回復を促すため、なるべく腹圧をかけないように注意して過ごしたい時期。一般的な腹筋運動などの筋トレは腹圧がかかる方法が多いので、回復を遅らせたり、伸びが悪化するリスクがあるため、しばらくおあずけです。

再開の目安は分娩スタイルによって以下を参考にしてください。

自然分娩の場合
1ヶ月健診で主治医から順調に回復しているとお墨付きをもらったら、軽めの運動から始め、運動強度を徐々にアップしていく。

帝王切開の場合
傷が完全に治ってから運動を再開。1ヶ月健診で主治医に状態を確認してもらい、運動を始める時期についても相談を。

産褥体操はいつでもOK!

出産直後から始められるプログラムがあります。子宮の回復(子宮復古)や、周囲の筋肉のダメージの回復を促し、体力をつける体操で、体を引き締めるための運動を再開する前のウォーミングアップになります!

NGその②「食事制限」 食事を控えるのはダメ!

Lazy dummy

「運動できないなら、せめて食事制限を」と考えるのはNGです。場合によっては“逆効果”になってしまうこともあると覚えておきましょう。
なるべく早く体力を回復させるには、「バランスのよい食事」を欠食せずに食べることが大切。産後だからといって食べてはいけないものは特になく、「偏らない」ようにするには、いろんな食材や料理をバラエティ豊かに食べ、食事を楽しむことが近道です。

特に授乳中は消費カロリーを補うため普段より350kcal多くエネルギーをとることが推奨されています[*3]。
350kcalというのは軽食を1回加える程度の分量です。

食事に良質な脂質を加えよう

脂肪の代謝を促す食生活で体の引き締めをフォローしましょう。
動物性の脂質に多い「飽和脂肪酸」は血中のコレステロールや中性脂肪を増やし、皮下脂肪を増やしやすいので、とり過ぎに注意を。
そして意識して「n-3系多価不飽和脂肪酸」(エゴマ油やなたね油など植物油や魚油に多い)を積極的にとりましょう。「n-3系多価不飽和脂肪酸」はコレステロールや中性脂肪を低下させる作用がある脂質です。

NGその③「無理のしすぎ」 体型改善のためにも休養

Lazy dummy

赤ちゃんが加わった生活では十分な睡眠がとれないことや、育児への戸惑い、不安などがストレスになることがあるでしょう。
しかしストレスが強いと脳の中でストレスホルモンが出て、何かあったとき命を守れるように脂肪を蓄積するスイッチが入ります。ヒトの原始的な仕組みですが、現代生活では太りやすくなるので要注意[*4]。
無理しすぎないことが、シェイプアップにも大切なのです。まず寝られる時に寝て、睡眠を確保! 十分に休養をとり、ストレスを減らしましょう。

松峯先生
「子供が寝ている時間は自分のために使って! 産後しばらくは利用できるサポートはすべて活用して、思い切って休息を。
パパはぜひ、赤ちゃんのことや家事を引き受けたり、公的サービスや有償サービスを段取って、ママの休息をサポートしてください!」

まとめ

Lazy dummy

産後、体型が戻るには、思う以上に時間がかかることもあるようです。プロポーションを戻すためにも、まず体が回復することが先決で、それには「バランスのいい食事」「睡眠や休養」といった基本的な健康づくりが大切です。そして産後に適度な運動として、また、体を引き締める運動を再開するウォーミングアップとして、無理のない範囲で「産褥体操」を続けることも役立ちます。産後しばらくは回復を優先し、十分に滋養した後、体型や美容の課題に取り組みましょう!

(文・構成:下平貴子、監修:松峯美貴先生)

※画像はイメージです

参考文献
[*1] 千葉大学予防医学センター「ちばエコチルつうしん」
https://cpms.chiba-u.jp/kodomo/newsletter/file/5.pdf
[*2] 「病気がみえるvol.10 産科」(メディックメディア),p366
[*3] 「日本人の食事摂取基準 2020年版」
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf
[*4] 厚生労働省 e-ヘルスネット「ストレスと食生活」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-04-001.html

この記事の監修ドクター
松峯美貴先生
医学博士、東峯婦人クリニック副院長、東峯ラウンジクリニック副所長、産前産後ケアセンター東峯サライ副所長(いずれも東京都江東区)妊娠・出産など女性ならではのライフイベントを素敵にこなしながら、社会の一員として悠々と活躍する女性のお手伝いをします! どんな悩みも気軽に聞ける、身近な外来をめざしています。
http://www.toho-clinic.or.jp/

※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。
※新型コロナウイルス感染症についての最新情報は、[内閣官房][厚生労働省]妊婦に関する情報[日本小児科学会]幼児に関する情報など公的機関等で発表されている情報をご確認ください。

関連する投稿


産後セックスレス、どう抜け出す? 産後レス9つのパターンと解消する方法

産後セックスレス、どう抜け出す? 産後レス9つのパターンと解消する方法

「『妊娠・出産』は、セックスレスのきっかけ2大派閥の1つ」だと、恋人・夫婦仲相談所所長で、セックスレス問題解決請負人である三松真由美さんは語ります。出産後、なんとなくセックスレスが続いてしまっている方、夫に拒まれて悩んでいる方に、実例にもとづく具体的なアドバイスをもらいました!


【医師監修】赤ちゃん(乳児)のインフルエンザ | 症状・予防・対処法

【医師監修】赤ちゃん(乳児)のインフルエンザ | 症状・予防・対処法

気温が下がってくると気になってくるのが、インフルエンザ予防のこと。初めての冬を迎える赤ちゃん(乳児)の場合は勝手がわからずなおさら心配になりますね。赤ちゃんがインフルエンザにかかった時の症状や対処法について、予防法とともに紹介します。


【医師監修】外気浴はいつからすればいい? やり方と大事な2つの注意点

【医師監修】外気浴はいつからすればいい? やり方と大事な2つの注意点

赤ちゃんの健康づくりのために、おうちの中で過ごすだけでなく「外気浴」もさせてあげたいですね。ここでは「外気浴」を始める時期の目安、その方法に加え、行う際の注意点について紹介します。


【医師監修】ブランケット症候群って何? 子供の症状と3つの対処法

【医師監修】ブランケット症候群って何? 子供の症状と3つの対処法

子供がお気に入りのタオルケットやぬいぐるみなどをどこにでも持ち歩き、ボロボロになっても離さない。それはもしかしたら「ブランケット症候群」かもしれません。ブランケット症候群はどんなものなのかとともに、対処法を解説します。


【医師監修】母乳性黄疸はいつまで? 日光浴や便の色との関係とは

【医師監修】母乳性黄疸はいつまで? 日光浴や便の色との関係とは

新生児にはよく黄疸が見られますが、母乳を飲んでいる赤ちゃんの黄疸が長引いていたら、それは「母乳性黄疸」かもしれません。母乳性黄疸が疑われるときはどう対処すればいいのか、症状や原因とともにまとめました。


最新の投稿


【漫画】こんな気持ち私だけ??朝起きると可愛い我が子、横で眠る夫…幸せな生活は夢かしら!?

【漫画】こんな気持ち私だけ??朝起きると可愛い我が子、横で眠る夫…幸せな生活は夢かしら!?

マイナビウーマン子育てのInstagramで人気のはちやさん。はちやさんの投稿から人気があったものを編集部がピックアップして紹介します。


ダイソーのパーツで、キャスター付きジョイントラックを作ってみよう!

ダイソーのパーツで、キャスター付きジョイントラックを作ってみよう!

ダイソーには、自由に組み合わせて簡単にラックが作れるパーツがそろっています。どんなパーツがあって、どんなものが作れるのか、実際に作ってみました。想像以上に手軽で、短時間に完成してしまうので、DIY初心者でも大丈夫!


 朝ごはんや軽食に♪ レンチンで完成する 簡単マグカップレシピ

朝ごはんや軽食に♪ レンチンで完成する 簡単マグカップレシピ

マグカップを活用して作るレシピは、手軽ですぐに完成するところがいいですよね。忙しい朝や、ちょっと小腹が空いたとき、子どものおやつにも大活躍です。今回は、レンチンのみで完成するお手軽レシピを集めてみました。


食材まとめ買い派の冷凍テク! ひき肉料理のアレンジレシピ

食材まとめ買い派の冷凍テク! ひき肉料理のアレンジレシピ

「毎日の食事やお弁当作り、たまには休みたい!」「家族の食事時間がバラバラで、毎回準備するのが面倒」と思ったことはありませんか? 週末、食材のまとめ買いをし、食事の下準備や冷凍保存していますが、アレンジしやすいものがあると便利です。今回は、使いやすいひき肉の冷凍保存とアレンジ料理についてご紹介します。


【漫画】新しい家族の誕生!長女と次女の間に育まれる家族の絆

【漫画】新しい家族の誕生!長女と次女の間に育まれる家族の絆

マイナビウーマン子育てのInstagramで人気の眠井アヒルさん。眠井アヒルさんの投稿から人気があったものを編集部がピックアップして紹介します。