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2021年01月20日 17:18 更新

【医師監修】赤ちゃんがダニに刺された! 見分け方と対処法

室内で過ごすことが多い赤ちゃんに虫刺されのような痕があると、「ダニに刺された!?」と心配になりますね。そこで、ダニに刺されたときの症状や対処法、室内にいて人を刺すダニの種類と予防法をまとめました。

ダニ刺されの見分け方

赤ちゃんのダニ刺されの見分け方について
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まずは、ダニに刺されるとどんな症状が出るのか知っておきましょう。

「強いかゆみの赤いブツブツ」ができることが多い

症状はダニの種類や個人差によって多少異なりますが、一般にダニに刺されると次のような症状が出ます。

・刺された場所が赤く腫れる(同時に2ヶ所以上刺されることもある)
・かゆみが強く、1週間程度続く
・夜間の就寝中に刺されることが多く、刺されたときは気づかない。症状は1~2日後にあらわれる
・刺される場所は、わき腹、下腹部、太もも・二の腕の内側が多く、畳や布団に接した面が刺されやすい
・6~9月ごろに被害が多い

ただし、刺された痕からそれがダニによるものかどうか、はっきりと断定することはできません。

赤ちゃんは刺されやすいかも

ダニはわき腹、下腹部、太もも・二の腕の内側といった、皮膚の柔らかい部分を刺すことが多いです。乳幼児の皮膚は大人と比べて薄く、新生児では半分ほどの薄さです。そのため、赤ちゃんや子供はダニに刺されやすいかもしれません。

人を刺すダニの種類とその特徴

ダニは昆虫ではなく、実は「クモ」や「サソリ」の仲間です。ダニには屋内に生息する種類と野外に生息する種類、野外にいて屋内にも侵入してくる種類がいます。一般に屋内にいるダニは、ヒョウヒダニ類とコナダニ類、ツメダニ類の3種類。この中で最も多いのはヒョウヒダニ類で、全体の約7~9割を占めています[*1]。

ここでは、赤ちゃんを刺す可能性が高い屋内にいるダニの種類を紹介します。

なお、屋外にも、マダニやツツガムシなど、ヒトを刺すダニが全国に生息しています。マダニは日本紅斑熱やライム病、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)、ツツガムシはツツガムシ病(リケッチア感染症)といった感染症を媒介することがあります。

野外でダニに刺された場合は、これらの病気にかかる心配があるので、体調の変化にも注意が必要です。ヒセンダニが原因で人から人へ感染する「疥癬」という皮膚の病気もあります。

屋内にいて人を刺すおもなダニ

ツメダニ

ヒョウヒダニやコナダニなどを捕まえて体液を吸うダニ。普通吸血はしませんが、誤って人を刺し、刺し口から唾液を入れて体液を吸うことがあります。比較的数は少ないものの、ほかのダニが大発生すると、ツメダニも増えて被害が起こりやすくなります。梅雨や秋ごろに増殖し、特に8~9月に被害が増加します[*1]。

イエダニ

ネズミに寄生して吸血するダニ。寄生しているネズミが死ぬと、新たな寄生先を探して屋内に入り、人を吸血することがあります。古い戸建てなど、ネズミがいる環境ではイエダニもいる可能性があります。被害は6~9月に多く見られます[*1]。

スズメサシダニ

野鳥(スズメやムクドリなど)に寄生するダニ。寄生された野鳥が家に巣を作ると、そこから這い出して屋内に入り、人を吸血します。被害の多くはヒナが巣立った後の5~6月に発生します[*2]。

人を刺さないダニも要注意!?

人を刺すことはないものの、刺すダニと同様に注意したいダニもいます。

コナダニ

家庭ではキッチンや畳に多く生息します。おもなエサは砂糖、味噌、小麦粉などといったさまざまな食品。梅雨時や秋ごろに増殖し、大発生すると白い粉が広がっているように見えます。コナダニがヒトを刺すことはありませんが、コナダニが増えるとこれを食べるツメダニも増えるので、ツメダニに刺されることが増えます。

ヤケヒョウヒダニ

1年中見られるヒョウヒダニの一種で、カーペットや家具に多く発生します。このダニの体や死骸、フンがダニアレルギーのアレルゲンに。アレルギー性の気管支ぜん息やアトピー性皮膚炎などの原因にもなります。温度20~30℃、湿度60~80%の高温多湿を好みます[*1]。

コナヒョウヒダニ

室温でお好み焼き粉やホットケーキミックスなどの粉製品を長期保存していると、その中でコナヒョウヒダニが繁殖することがあります。大量にダニが発生した粉製品を気づかずに調理して食べたことで、重いアレルギー反応が起きた例も。開封した粉製品は密閉容器に入れて冷蔵庫で保管してください。

ダニに刺された時の対処法は?

ダニに刺された赤ちゃんへの対処法として虫刺されクリームを塗る
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室内でダニに刺されたときは、通常の虫刺されと同じように対処します。ただし、ダニ以外の虫が原因のことや、湿疹と間違えている可能性もあるので、ひどいとき、治らないときは受診しましょう。

患部をかかないようにする

室内でのダニ刺されは自然に良くなりますが、かゆみが出るため、赤ちゃんがかいて掻き壊し、とびひになる可能性も。そうでなくても、かゆみから不機嫌になることも考えられます。次の手順でかゆみを抑え、掻き壊しを防ぐ対処をしましょう。

ダニに刺されたときの対処法

1.刺された箇所を石鹸などでよく洗う

2.濡れタオルなどで冷やす(冷やすことでかゆみや炎症を緩和できます。お腹など冷やしたくない部分や嫌がる場合は次の手順へ)

3.ベビー用か、赤ちゃんも使える市販の虫刺され薬を塗る(虫刺され薬はかゆみや炎症を抑えてくれます。薬は説明書をよく読んでから使いましょう)

4.掻く場合はガーゼをあてて保護する

5.じんましんなど全身症状が出たとき、赤みやかゆみが強いとき、市販薬でよくならないときは受診する

自宅で刺された場合、そのときの刺し痕を治療しても、ダニがいるままではくり返し刺されてしまいます。後半で紹介する予防方法を参考に、家の中のダニ対策も行いましょう。

ひどい場合は受診して

虫刺されは軽いものであれば市販の外用薬で対処できますが、赤みやかゆみがひどいときは、ステロイド外用薬が必要になります。症状が強いときは抗ヒスタミン薬やステロイドの内服薬が処方されることも。ひどい場合は皮膚科を受診するようにしましょう。

また赤ちゃんの皮膚は乾燥しやすいため、湿疹などの皮膚トラブルが多いのが特徴です。ダニ刺されと思っていても、実はほかの原因であることも。家で対処してもなかなか改善しないときは皮膚科医の診察を受けましょう。

ダニ刺されを予防するには

ダニの刺され予防として部屋の掃除を行う
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ダニは家から家へ人を介して持ち込まれます。外出時に触れたソファ、カーペット、電車の座席などから衣服や持ち物にくっついて家に入ってきます。新築の家であっても、すでに人を介して侵入している可能性があります。

どこの家にもいる虫なので、完全に駆除してゼロにすることはできません。また侵入を100%防ぐこともできません。ダニ対策は、室内をダニが住みにくく増えにくい環境にして、できるだけ数を増やさないことが肝になります。

換気や除湿をする

ダニは70~80%の高湿度で繁殖しやすい一方、乾燥には弱いものです[*3]。できるだけ換気や除湿をして、室内の湿度を下げましょう。窓を2カ所以上開けて風を通す、換気扇、エアコン、除湿器を使用することが対策になります。

掃除をする

屋内のダニは、ホコリが積もっているところに多く生息しています。掃除機を丁寧にかけて、ホコリがたまらないように掃除をしましょう。できれば毎日が理想ですが、難しくても3日に1度は掃除機をかけましょう。

掃除機をかける際は、ノズルを床にしっかりあてて、1㎡あたり20秒以上かけてゆっくり動かすのがポイントです。畳1畳で30秒から1分ほどかけるようにします[*2]。

寝具のお手入れを

赤ちゃんは寝ている時間が多く、1日の大半を寝具の上で過ごしますが、寝具はダニが多く集まる場所でもあります。寝汗で湿気がたまりやすく、ダニのエサになる皮脂も付着しているためです。

布団は布団乾燥機や天日干しでよく乾燥させましょう。さらに掃除機をかけて、ダニの死骸やフン、エサとなるホコリを取り除きます。カバー類など洗えるものは定期的に洗濯して清潔に保ちましょう。

そのほかの注意点

ダニが気になる場合は、カーペットの使用は控えることをおすすめします。特に畳の上にカーペットを敷くと通気性が悪く畳が湿ってしまうので、畳の上は何も敷かないようにしましょう。

なお、ここまでで紹介した室内の対策は、ダニが増える季節だけでなく年間を通して継続し、室内を清潔に保つようにしましょう。

また、ペットに動物寄生性のダニがついた場合は、速やかに動物病院を受診し駆除してください。特に外を散歩させているペットは定期的に毛をかき分けて皮膚の状態をチェックし、ダニの寄生がないか確認を。

ダニの種類でも紹介したイエダニ、スズメサシダニ対策として、ネズミが出る環境ではネズミを駆除し、野鳥がなるべく巣を作らないように工夫しましょう。もし巣ができていた場合は、ヒナが巣立ったらすぐに片付けてください。

まとめ

ダニはどこの家にもいる害虫で、刺すだけでなく、アレルギーの原因となることも。ダニを完全に駆除するのは難しいのですが、その生態を知り、家の中で増やさないために定期的に掃除や換気をして対策をしましょう。ただ、刺し痕からダニに刺されたかどうか判断するのは難しいもの。ほかの原因の可能性もあるので、心配な場合は皮膚科や小児科を受診するようにしましょう。

(文:佐藤華奈子/監修:大越陽一先生)

※画像はイメージです

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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