【医師監修】子供の咳が止まらない! 原因と対処法

【医師監修】子供の咳が止まらない! 原因と対処法

子供が「ゴホゴホ」「コンコン」と苦しそうに咳をしていると、早くおさまるよう何とかしてあげたくなりますね。そこで今回は、咳の原因や咳が出る病気、受診の目安とホームケアの方法など、咳にまつわるあれこれを詳しく説明します。


この記事の監修ドクター
杏林大学医学部卒業、杏林大学医学部小児科学教室任期助教、埼玉県立小児医療センター循環器科医長を経て現在アルテミスウィメンズホスピタル小児科部長。小児科専門医。

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子供に咳が出る時、考えられる病気は?

咳はちょっとした気温の変化などでも出やすいのですが、咳が症状の病気も多いものです。子供がかかりやすく咳が出る病気には、おもに以下のようなものがあります。

乳幼児がかかりやすい咳の出る病気

かぜ症候群(インフルエンザなど)

鼻からのどまでが炎症を起こす病気を総称して、「かぜ症候群」と呼びます。原因の80~90%はさまざまな種類のウイルスで[*1]、感染者の出した咳やくしゃみなどによる飛沫を吸い込んだり(飛沫感染)、手に着いたウイルスなどが口や鼻から入ること(接触感染)などによりかかります。

感染したウイルスの種類によって症状に多少の違いはありますが、熱や鼻水、くしゃみなどとともに咳が出ます。

インフルエンザで咳が出ることもあります。インフルエンザウイルスに感染することでかかり、日本では12~3月[*2]の気温が低く空気が乾燥する時期にはやります。

インフルエンザもおもに飛沫感染や接触感染によってかかり、1~3日ほどの潜伏期の後に38℃以上の発熱[*3]、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身の倦怠感などの症状が出ます。また、咳のほかにも一般的なかぜのようなのどの痛み、鼻水などの症状が出ることもあります。

気管支炎・細気管支炎(RSウイルス感染症など)

気管支炎の多くは、かぜで鼻やのどに起きた炎症が、気管支まで拡がることで起こります。気管支炎にかかると痰が出るため、「ゴホン、ゴホン」と痰のからんだ湿った咳が出ます。

また、気管支よりもさらに下の気道である細気管支が炎症を起こすと「ヒューヒュー」「ゼーゼー」と呼吸が苦しそうになることもあります。

気管支炎、細気管支炎を起こす代表的なものとして「RSウイルス感染症」があります。

RSウイルスによる呼吸器の感染症で、飛沫感染または接触感染によってかかります。生後1歳までの赤ちゃんの半数以上、2歳までにはほぼ100%が一度はかかるといわれている病気です[*4]。

普通は、感染後4~6日くらいの潜伏期間ののち、発熱、鼻汁などのかぜ症状が数日間続きます。たいていはそのまま治り軽くすむのですが、初めて感染した場合、20~30%の割合で重症化する子がいるとされています[*4]。ひどくなると気管支。細気管支や肺などに炎症を起こし、「ゼーゼー」した咳が出て呼吸困難になることもあります。

生後6ヶ月以下の月齢の低い赤ちゃんは重症化しやすいので、感染しないよう特に注意が必要です[*5]。また、低出生体重児、心臓や肺に持病のある子や免疫不全がある子の場合は、重症化のリスクが高いとされています。

肺炎

ウイルスや細菌などが肺に感染して炎症を起こす病気です。原因となるのは肺炎球菌、インフルエンザ菌、肺炎マイコプラズマ、インフルエンザウイルス、RSウイルスなどさまざまです。肺炎になると、発熱や咳のほか、呼吸が苦しそうになる事がしばしばあります。

肺炎は、はしかやみずぼうそう、百日咳の合併症として起こることもあります。これらの病気や、肺炎の原因となるインフルエンザ菌、肺炎球菌、インフルエンザウイルスにはワクチンがありますから、予防接種を積極的に受けて予防することが大切です。

百日咳

百日咳菌が原因で、飛沫感染と接触感染でかかります。最初はかぜのような症状ですが、だんだん咳がひどくなって続きます。百日咳にかかると、「コンコン……」と短い咳がたて続けに出た後で、「ヒュー」と笛の音のように大きく息を吸い込む特徴的な咳をするようになります。

百日咳は季節による流行はあまりなく、どの年齢でもかかります。予防接種の普及により乳児期の感染は減っていますが、4種混合接種前の新生児から早期乳児の感染に注意が必要です。特に重症化しやすく命にかかわることもあるのは、生後6ヶ月未満の赤ちゃんです[*7]。

予防接種の効果が切れる5歳以上の小児や大人が感染し、赤ちゃんへ移してしまう事が問題になります。そこで、百日咳ワクチンが含まれる4種混合ワクチンは、受けられる時期が来たら早めに接種して、予防することが大切です。

前述の通り5歳以上の小児や大人の感染が赤ちゃんを百日咳感染の危険にさらしてしまう事になるため、それらの年齢に対する対策も大切です。いずれも任意接種ではありますが、抗体が切れないように小学校入学前に3種混合ワクチンを接種したり、11~12歳で通常2種混合を接種するところを百日咳に対する効果も考え3種混合に置き換えるなどの対策もあります。

クループ症候群

咽頭(のどの奥から気管と食道が分かれるあたりまで)に炎症が起こる病気の総称で、原因はおもにウイルスで、パラインフルエンザウイルス、RSウイルス、アデノウイルスなどです。最初1~3日ほど[*8]のかぜ症状に続いて、声がしわがれたり、「ケーン、ケーン」「オウッ、オウッ」など犬の遠吠えやアザラシの鳴き声のような独特な咳へと変わっていきます。

また、この病気にかかると息を吸い込むときがつらく、たて続けに咳き込んだあとで、吸うときにのどが「ヒューッ」と音がします。かかりやすいのは生後6ヶ月~3歳ごろの乳幼児[*8]で、季節では冬から春にかけてよく見られます。

一番注意を要するのが「急性喉頭蓋炎」です。急性喉頭蓋炎は原因が細菌であり、喉頭蓋(こうとうがい。気管の入り口にある弁)が腫れて気道が狭くなるため、窒息状態になって命にかかわることもあります。原因細菌ではインフルエンザ菌b型(ヒブ)が多く、かかりやすいのは2~7歳でピークは3歳[*9]といわれています。

喉頭蓋炎の場合の症状は、高熱、のどの痛み、息を吸うときの「ヒューッ」という音などが特徴ですが、急激に悪化して呼吸困難を起こすため、この病気が疑われたら夜中でも大至急受診することが必要です。なお、ヒブワクチンも定期接種になっているので、予防のため時期がきたら積極的に受けておくことが大切です。

副鼻腔炎、(後鼻漏症候群)

ウイルスや細菌に感染して起こった鼻粘膜の炎症が、鼻の奥の副鼻腔まで拡がって膿や浸出液がたまり、鼻汁として出る病気です。副鼻腔炎には急性と慢性があり、慢性はいわゆる「蓄膿症」のことです。

慢性の場合は鼻汁が鼻の奥からのどにまわって痰と一緒になり、咳の原因になることがあります。これは1~5歳ごろの幼児によく見られ、鼻水が出ていて眠っている間に激しく咳き込むのが特徴です[*10]。

気管支喘息

アレルギーなど、何らかの要因で発作性に気道狭窄が生じる病気です。呼吸がゼイゼイする病気ですが、咳症状が目立つ事も多い病気です。

病気以外では、「異物誤飲」の疑いも

子供が口に何か入れた直後から、急に咳き込んだりのどが「ゼイゼイ」言ったりしたときには、異物を誤飲した疑いがあります。

誤飲をするのは1歳前後から3~4歳までの子供に多く、特に2歳以下の男の子に目立つというデータがあります[*8]。飲み込んだ異物ではピーナッツなどの食べ物が多いのですが、おもちゃを飲み込むケースも少なくありません。子供は直径3.9㎝以下の物は飲み込む恐れがあるので、身の回りに置いておかないよう日ごろから注意しましょう[*11]。

咳が出て受診するときの目安は?

咳にもいろいろありますが、中には急を要する病気のサインということもあります。以下を参考に、必要な場合には受診しましょう。

時間外でもすぐに受診

ひどい咳が出ているときに心配なのは、呼吸が苦しい状態、いわゆる呼吸困難になることです。次のような様子が1つでも見られるときは、夜間や休日でもすぐに救急外来を受診しましょう。

・顔色が明らかに悪い
・近くにいると、呼吸のたびに「ゼーゼー」と音が聞こえる
・肩を上下させて苦しそうに呼吸している(肩呼吸)
・息を吸うたびに、鼻の穴がピクピクと広がる(鼻翼呼吸)
・呼吸をするときに、鎖骨の上や肋骨の下がくぼむ(陥没呼吸)
・横になった状態では苦しく座った姿勢をとりたがる(起座呼吸)

診療時間内に受診

咳は出ているけれど、水分や食事がとれているときや横になって眠れるようなときは、診療時間内に小児科を受診してください。また、特にいつもと変わらず過ごせているように見えても、咳が何日も長引いているときは受診しましょう。

市販薬を使用していい?

子供に市販の咳止め薬を使うことについて、厚生労働省は注意するように呼び掛けています。

市販の咳止めは安易に使用しないで

軽い咳が出ている程度なら、わざわざ受診せずに市販の咳止めを使いたいと思うかもしれませんね。でも、小児用かぜ薬や鎮咳去痰薬(痰を出しやすくしたり咳をしずめたりする薬)は与え過ぎなどの誤った使い方による危険や有効性に疑問があるため、2歳未満の子供には自己判断で市販薬を与えるのではなく、まず医師の診察を受けるよう、厚生労働省はすすめています。

子供の咳が気になるときはまず受診して、症状に合った薬を医師に処方してもらいましょう。

咳が出たときの対処法は?

子供が咳き込んで苦しそうなときは、少しでも楽になるよう次のようなケアを試してみましょう。

咳でつらいときに試したいホームケア

・痰が切れるようこまめに水分を
・部屋の加湿を心がける
・咳き込んだときは、たて抱きに
・上半身を高くして寝かせる
・鼻水はこまめに吸う
・室内の空気をきれいに保つ
・酸味が強い/冷たい/パサパサしているなど、のどが刺激される食べ物は避ける

まとめ

子供が咳をする原因はさまざまです。咳の仕方によっては重い病気の疑いもあるので、まずはどんな咳をいつどんな風にしているのか、よく観察しましょう。また、ここで紹介した受診の目安を見て、必要があれば早めに受診してください。医療機関で症状に合った薬を処方してもらったり、ケアの方法を教えてもらうと安心ですね。

(文:村田弥生/監修:大越陽一先生)

※画像はイメージです

参考文献
[*1]日本呼吸器学会:かぜ症候群
[*2]厚生労働省「インフルエンザQ&A」
[*3]国立感染症研究所「インフルエンザとは」
[*4]国立感染症研究所「IDWR 2013年第36号<注目すべき感染症>RSウイルス感染症」
[*5]白クマ先生の子供診療所「RSウイルス感染症について」
[*6]東京都こども医療ガイド「百日せき」
[*7]国立感染症研究所「百日咳とは」
[*8]日本呼吸器学会「咳嗽に関するガイドライン 第2版」
[*9]小児科臨床ピクシス25小児感染症, 急性上気道炎
[*10]一之宮西病院「子供の咳 意外と知られていない3つの原因」 3.子供の咳の原因①副鼻腔炎
[*11]神戸大学「子供の誤飲や誤嚥」神戸大学大学院内科系講座小児科学分野 こども急性疾患学部門 山村智彦
[*12]東京都福祉保健局「健康・快適居住環境の指針(平成28年度改訂版)」17乳幼児や高齢者の居住環境乳P76 幼児の居住環境

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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