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2020年08月27日 10:00 更新

妊娠期の面接で個別支援プランを作成!子育て先進区を目指す「中野区」の体制

中野駅といえばサブカルチャーの発信地「中野ブロードウェイ」や大学などがあり、若者で活気にあふれる街という印象が強いのではないでしょうか。しかし、近年では子育て世帯からも選ばれる街を目指して「子育て先進区」を政策に掲げ、妊娠期からの切れ目ないサポートを行っています。そんな中野区の子育て支援について詳しく調べてみました。

中野区ってこんなところ

中野四季の森公園

中野区は23区の西側に位置し、面積は15.59平方キロメートル。JR中央線や東京メトロ東西線を中心に、南には東京メトロ丸の内線、北には西武新宿線・池袋線、都営地下鉄大江戸線があります。中野駅から新宿駅までは中央線で約4分。区内には15ヶ所の駅があり比較的アクセスが良いエリアが多いため、新宿区・千代田区・港区へ通勤や通学する人の住宅地として人気です。区役所や中野サンプラザ地区の再整備も計画しており、今後の中野駅前の活性化が期待されています。

現在は、比率として単身世帯が多い状況ですが、将来的に子育て世帯から選ばれる街になるべく、産前・産後・子育てを切れ目なく応援する子育て支援政策に力を入れています。

なかのZERO

中野駅から徒歩8分に位置する「なかのZERO」は、中野区の生涯学習や文化芸術活動の拠点です。コンサートや演奏会が開催できる1,292席の大ホールだけでなく、小ホール、学習室、プラネタリウムなどがあります。プラネタリウムは、土曜・日曜・祝休日のみ営業しており、直径15メートルのドームに映し出される満天の星は絶景です。デジタル式プラネタリウムが増えているなか、なかのZEROは昔ながらの光学式。古い機械ならではのアナログ感のある星空を楽しめます。また、こども科学教室、親子陶芸体験、こども日本舞踊などの講座や、子供向けイベントが開催されているのも魅力のひとつです。

東京子ども図書館

東京子ども図書館は、子供の本と読書を専門とする私立図書館です。児童室には幼児から中高生までを対象にした、絵本・物語・昔話・詩・ノンフィクションなど約8,000冊の蔵書があります。小さな図書館ならではの親しみやすさとこまやかなサービスが特徴で、子供たちにお話を語ったり、絵本の読み聞かせをする「おはなしのじかん」や、親子で楽しめる「わらべうたの会」などが開催されています。子供がたくさんの本と触れ合い、想像力を羽ばたかせることができる場所です。

また、区立中央図書館・鷺宮図書館・上高田図書館にも、児童室または児童書のフロアーがあります。子連れでの図書館利用は気を使ってしまうことが多いですが、子供のためのエリアなら、ゆっくりと親子で読書を楽しめます。

紅葉山公園

区内には174ヶ所もの区立公園や児童遊園があります。なかのZEROに隣接する「紅葉山公園」は、その名の通り紅葉が美しい公園です。園内に展示されているSL機関車は、迫力のある姿が子供たちから大人気。また、広い芝生やドッグラン、バーベキューサイトがある「平和の森公園」や、広々とした多目的運動場が隣接する「白鷺せせらぎ公園」、大型複合遊具やクライミングウォールが楽しい「広町みらい公園」など、子供と一緒に遊びに行きたくなる公園が多数あります。なお、広町みらい公園には「体験学習センター」が併設されており、地元で活躍中の講師によるさまざまなクラスが開催されています。リトミックやエクササイズなど、親子で楽しめる教室があるのもいいですね。

中野区は子供たちが楽しく学び、遊べる施設がたくさんあります。また、渋谷区や新宿区と隣接している都心にもかかわらず、体をおもいきり動かして遊べる公園が多いのもうれしいですよね。中野駅周辺の再開発が終わるとさらに利便性が高くなり、活性化が期待できるのもポイントが高いのではないでしょうか。子育て世帯から人気の注目エリアになる日が近いのかもしれません。

中野区で子育て中の働くママに聞いてみました

◎M.Mさん(42歳)小4、小2のママ
駅ごとに商店街があり、街がまとまっていて落ち着いている印象があります。新井薬師周辺の商店街や、中野ブロードウェイの地下には昔ながらのお店もあり、新鮮で安い食材が手に入るのがうれしいです。また、中野区立平和の森公園は総合体育館やトラックもあり、かなりの充実ぶりだと思います。中野四季の森公園は中野駅からも近く、近隣に企業ビル、大学や病院、警察署などがあり、落ち着いていて安心です。週末はイベントなどでにぎわっています。

◎K.Hさん(51歳)19歳、中3のママ
中野セントラルパーク(中野四季の森公園)は再開発で美しく生まれ変わった駅前の憩いの場となっています。広大な敷地に子供の喜ぶ芝生や噴水があり、テラス席のあるおしゃれなカフェも併設されているので、親子ともにのんびり楽しめます。

中野区の魅力を徹底調査!

「子育て先進区」を目指す中野区

中野区は出生率の伸び悩みや、子育て世帯の転出超過が課題となっていました。そのため「安心して生むことができる街」、「子育て家庭に選ばれる街」を目指す必要があると考え、「子育て先進区」の実現に向けて対策を行っています。令和元年度には、まず現状を把握するため子育て世帯への実態調査・インターネットアンケート・子育て家庭とのタウンミーティングを行いました。現状の課題を明らかにした上で、子供の遊び場や定期的または一時的な預かりの充実、子育てサービスのICT化や簡素化、区の特色を生かした学びの機会を増やすなど、区民が優先的に望む課題の解消に積極的に取り組んでいます。子育て先進区を目指す中野区の、これからの子育て支援が楽しみですね。

かんがるープランで妊娠期から出産、子育てをサポート

中野区では妊娠から産後の子育て期まで、切れ目のない支援をするため「妊娠・出産・子育てトータルケア事業」を行っています。その最初の一歩が、妊娠中期から後期(妊娠20週以降)の方に対して行っている「かんがるー面接」です。妊娠中のお母さんの心は揺れ動き、体や生活も変化していきます。育児のこと、家庭のことなど、さまざまな悩みや不安を保健師等がアドバイスを混ぜながら聞き取り、無理なく子育てがしていけるような支援案「かんがるープラン」を作成。できあがった「かんがるープラン」を元に、家事支援や産後ケアなどの事業を利用することができるようになります。もちろん、プランの見直しは適宜行うことが可能です。また、面接後に1万円分の「妊娠・子育て応援ギフト券」を受け取ることができ、出産準備に使えるのもありがたいですね。

かんがるープランによる充実のサポート「中野区」の子育て支援

(1)「かんがるー面接」と「かんがるープラン」

中野区では妊娠20週を過ぎたら保健師等による「かんがるー面接」を行い、個人に合わせた「かんがるープラン」という支援計画を作成しています。このかんがるープランを元に、産前・産後の適したサービスや支援を受けることができます。
※妊娠20週目以降の中野区に住民票がある妊婦が対象

(2)妊娠・子育て応援ギフト券

かんがるー面接を受けてかんがるープランを作成すると、中野区から「妊娠・子育て応援ギフト券」として「こども商品券」1万円分を受け取ることができます。こども商品券の取扱店舗なら、全国どこでも利用が可能です。ベビー服やオムツなどの出産準備品を購入したり、支援サービスを受けたり、子供向けイベントの参加費としても使ったりすることができます。

妊娠・子育て応援ギフト券
https://www.toycard.co.jp/news/tokyo/nakano.html

(3)産前産後家事支援事業

妊婦または産後6ヶ月以内の産婦が利用できる家事支援です。体調が悪く家事を行うことが難しいにもかかわらず、家族からのサポートが受けられない場合に利用できます。食事の支度、洗濯、居室の掃除、買い物、兄弟児の送迎などを助けてもらうことができるので、産前産後の体をゆっくりと休めることができるのがうれしいですね。
※かんがるープランを作成している方が利用対象

(4)産後ケア事業

かんがるープランで作成した支援計画に基づき、最大5日まで赤ちゃんと宿泊できる「ショートステイ」、日中に助産師による相談が受けられる「デイケア」、支援者が自宅を訪問してくれる「ケア支援者派遣」などの産後ケアを受けることができます。お母さんの体をゆっくり休めたり、赤ちゃんのケア・授乳指導・育児相談などを受けたりすることが目的です。
※かんがるープランを作成している方が利用対象

(5)子ども医療費助成制度

0歳から15歳までの子供が受けた保険診療費の自己負担分を全額助成してくれる制度です。医療機関の窓口で、保険証と一緒に医療証を提示することで利用ができます。なお、保護者の所得制限はありません。
※住民票が中野区にあり、国内の健康保険に加入していること

子ども医療費助成制度(マル乳・マル子)
https://www.city.tokyo-nakano.lg.jp/dept/242900/d013866.html

(6)こども救急診療

小児の初期(一次)救急として、15歳以下の子供を対象とした「準夜間こども救急診療」を新渡戸記念中野総合病院で実施しています。子供は一般診療の時間が終わった後に急病になるケースも少なくありません。午後7時~午後10時の準夜間帯に、年中無休で小児科医が診察してくれることは安心につながります。

(7)病児・病後児保育

中野区には、病中または病後で保育園に登園できない生後6ヶ月から小学校就学前までの子供を預かってくれる病児・病児後保育施設が3園あります(病児保育が1園、病後児保育が2園)。事前登録をしておけば電話予約が可能です。なお、ファミリー・サポート事業の特別援助活動に登録しておくと、保育所等から呼び出しを受けた際に病気の子供を迎えに行き、短時間預かりをしてくれます。仕事中は園からの急な呼び出しに対応するのが難しいケースも多いので、代理で引き取りし、預かってくれるサービスはありがたいのではないでしょうか。

(8)学童クラブ

区内には、就労や疾病等で放課後に適切な保護が受けられない児童のための学童クラブがあります。区立の学童クラブは待機児童がいる状況ですが、代わりに民間学童クラブが豊富。民間学童は預かり時間が区立と比べて長いところが多く、独自のサービスとして別料金の送迎オプション、補食や夏休み等の昼食提供などを行っているところもあります。保護者の就労状況に合わせて、学童クラブを選べるのがいいですね。

(9)キッズ・プラザ

小学生の放課後居場所事業として、学校の校庭や体育館を利用した「キッズ・プラザ」が区内に9ヶ所あります。キッズ・プラザは区内在住または在学の小学生が無料で利用できる施設で、放課後だけでなく学校休業日も午後6時まで過ごすことができます。各施設には子供たちが過ごしやすい専用室もあり、友達とのびのび好きなように遊ぶことができる場所です。
※事前に利用登録が必要です

(10)中高生のスポーツ施設個人利用

中高生になると、部活動に参加していない子は体を動かす場所が少なくなりがちです。そんな子供たちが自由にスポーツを楽しむ場所として、個人で利用できる施設が多数あります。バスケットボール・バレーボール・卓球・バドミントン・弓道・剣道・水泳など、施設によってできるスポーツはさまざま。集団球技でも個人利用となるため、友達と一緒に遊びに行くか、その場に集まった人たちと一緒に楽しむ形です。スポーツを通じて新しい交友関係ができるきっかけになるかもしれませんね。

中高生がスポーツできる主な場所について(個人利用)
https://www.city.tokyo-nakano.lg.jp/dept/247000/d025501.html

まとめ

中野区は産前産後の家事支援や産後ケアなどの妊娠出産に関するサポートはもちろん、公園やスポーツ施設の充実など子育て中のサポートもしっかり考えています。また、病児・病児後保育、準夜間帯のこども救急診療、学童クラブやキッズ・プラザなどの放課後居場所事業等の支援が整っていることは、働くママにとって心強く、助けられる場面もあることでしょう。「子育て先進区」実現に向けて動く中野区は、子供を産み・育てる上で共働き世帯にとって住みやすいエリアかもしれませんね。
(文:安部 美和)

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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