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2020年08月25日 13:20 更新

環境がめまぐるしく変わる今こそ、子供と向き合う時間を大切に フルタイム勤務の歯科衛生士 関美保さん #働くママの人生

赤ちゃんとの生活がスタートして一息ついたと思ったら、保活・職場復帰、仕事との両立などなど、働くママは心も体も忙しい毎日。他のママたちはどんな風に一日を過ごしているのか、どんな考え方で育児をしているのか、夫婦間での分担は?など、働くママが知りたい、リアルな日常をインタビュー。

医療現場で働くママは、仕事と育児をどう両立させているのでしょうか?今回は、1歳の長女を育てながら、専門職の歯科衛生士として歯科医院でフルタイム勤務をしている関美保さんにお話を伺いました。

プロフィール

・お名前:関美保(34歳)
・業種:歯科衛生士

神奈川県出身。1歳の長女を育てるママ。
高校を卒業後、「白衣を着て働きたい」という思いから歯科衛生士を目指し、専門学校へ進学。卒業後は東京都内の歯科医院に就職し、2013年、現在勤務する大田区内の歯科医院で働き始める。15年結婚。18年長女を出産、19年11月、フルタイムで職場復帰。
体を動かすことが大好きで、休日は上京後に始めた趣味のバレエのレッスンに通い、楽しんでいる。

1日の流れ

6:00 起床
6:30 子供と散歩
7:30 朝食
8:30 子供を預け、出社
13:00 昼休み
17:00 退社
18:00 子供お迎え
18:10 帰宅 夕食準備
18:30 夕食
20:00 入浴
21:30 子供を寝かしつけ、そのまま就寝

不安だらけのコロナ禍で、心の支えはやりがい

——職場復帰から半年が過ぎたと伺いました。子育てや家事はどのように両立していますか。
「育児休暇期間が1年でしたので、子供が満1歳となった昨年秋、職場復帰しました。空港勤務の夫も日中は家にいませんが、近くで暮らす夫の両親が娘を預かってくれます。ほぼ毎日頼っており、本当にありがたいです。また、時には私のおばなど近くに住んでいる他の親戚も頼っています。

帰宅後も時間にゆとりはありません。例えば夕食は、レシピとそれに合う食材のセットが届く通販のサービスを利用したり、冷凍食品を活用して短時間で用意できるようにしています。スーパーのお惣菜を買うこともありますし、義理の両親宅からおかずをおすそ分けしてもらうこともあり、助かっています」

——今年は国内でも新型コロナウイルスの感染が広がり、歯医者さんでのお仕事は特に大変そうです。対策はどのようにしていますか?
「歯科医院には不特定多数の方が来られます。感染への不安を感じながらの勤務のなか、幼い長女への感染を防ぐには、私がかからないことが前提です。勤務先でも、そして個人でもできる対策に取り組んでいます。

院内には空気清浄機が導入され、緊急事態宣言の期間中はなるべく患者さんの来院が重ならないよう診療時間を分散するようにしたり、時には必要以上の治療は見送ったりして、感染防止に努めてきました。私も、医院から配布されたフェイスガードや、髪の毛への飛沫の付着を防ぐための帽子を身に付けて、業務にあたっています。もちろんアルコール消毒は頻繁にしているので、手が荒れてしまいました。子供とのスキンシップにも、手は大切なので、ハンドクリームでしっかりケアをしています。

ただ、どんなに対策をしても不安は消えません。宣言解除後も、東京都内では新たな感染者の発表が続き、ニュースを見るたび心配になります。私は電車通勤ですが、宣言解除後は乗客が増えましたし、『もしも感染してしまったら』といつも見えないウイルスに心がゆれ、気持ちの面でも疲れます。感染拡大の第二波が来ませんように、と祈る日々です」

——気が抜けない毎日ですね。それでもお仕事を続けられる原動力は、どこにあるのでしょうか?
「私にとって、歯科衛生士は長年取り組んできた愛着のある、そしてこれからも続けていきたい仕事です。歯垢を取ったり、歯を治療したりした後の患者さんのスッキリした表情を見る瞬間に、とてもやりがいを感じます。歯科医院は、流れ作業ではなく、患者さん一人ひとりに時間をかけて向き合うことができる点がいいですね。また、少人数でアットホームな職場なので、働きやすいところも魅力だと思います」

点滴の針を刺したまま、ギリギリまでがんばった妊娠期

——妊娠期間中は、どのように勤務していましたか?
「仕事は妊娠9か月まで続けました。現在勤めている医院の歯科衛生士は私ひとりで、院長が代替要員を募集してくれたのですが確保できなかった、という事情もあります。私も、担当している患者さんのことを考え、仕事ができる間はがんばりたいなと思っていました。

出産が近づくとおなかも大きくなり、体への負担を感じるようになりました。患者さんの口の中を見るときは前のめりになることが多いのですが、おなかを圧迫しないよう姿勢に注意しました。また、医院内には様々な機材が置かれ、通路が狭いんです。機材や壁に体をぶつけないように気を配って過ごしていましたね」

——妊娠中、大変だったことは?
「妊娠初期は体調が悪く、週2、3日休むこともありました。出勤前に産婦人科で毎日のように点滴をしてもらった時期に、都度抜き刺しをするよりはいいからと、手の甲に点滴用の針を刺したままで働いていたこともあります。つわりがとてもひどく、妊娠初期に7キロ痩せました。

私の場合、特に困ったのが匂いです。妊娠中はかなり匂いに敏感になり、ご飯を炊いているときの香りもイヤで。仕事中も、以前は何とも思わなかった薬品の匂いで気分が悪くなりました。気分転換しようと、自宅では、朝や寝る前にアロマオイルを使いましたね。ラベンダーなど、妊娠中に使ってもいいといわれるものを選び、なんとか気を紛らわしていたことを思い出します」

——産後の生活は、妊娠中に思い描いたものと比べてどうでしたか?
「妊娠中は『産んだら体の自由もきくようになるし、楽になる』と思っていました。ところが出産直後は、とにかく痛みに悩まされました。入院していた1週間ほど、出産に伴う出血があったり、夜も痛みでよく眠れず睡眠不足になったり…。
また、初めての出産で、何がどのくらい必要かが全然分かっていなかったと気づきました。特に『服は意外とたくさん必要だ』と、後になって思い知らされて。肌着は2、3枚あればいいと思っていましたが、1日に何回も着替えさせていると全く足りず、慌てて買い足しました」

リフレッシュの時間を大切に

——夫婦では、どのように家事や育児を分担していますか?
「実は、日ごろから仕事の分担はあまりはっきり決めておらず、ほとんど私が担当しています。夫は仕事が休みの日や天気がいい日などに、家事や育児をする『気分』になることが多いです。そうしたときは、本当によくやってくれるんです。そこで、私はありがたく、『サンキュ。じゃあ、出かけてくるから』と言って、ひとりでマッサージや岩盤浴に出かけます。このフレッシュの時間が、かなり大事ですね。

ただ、夫の勤め先は空港で、急な仕事で出かけなければならなくなることもあります。家事や育児をしてくれるはずだった日に仕事に行ってしまうと、私は息抜きができませんし、暮らしのメリハリもなくなってしまうと感じています。そういうときは後日、曜日を決めて夫に家事などをやってもらうようにしています。掃除や洗濯、ごみ出しをしてもらうことで、こちらもホッとひと息つけますから」

夜の筋トレ。それは愛する娘の抱っこのため

——仕事と育児や家事をするために工夫していることは?
「とにかく体力が必要なので、筋トレに取り組んでいます。子供が大きくなって、抱っこがちょっと厳しくなってきたので(笑)。夜、子供を寝かしつけた後に、ひとりで黙々と腹筋運動や腕立て伏せなどをしています。もし抱っこをして急に腰を痛めるようなことがあったら、仕事にも影響が出てしまいますから。子供とのスキンシップのため、そして私自身の基礎体力アップのため。まさに一石二鳥です」

——今後の仕事での目標を聞かせてください。
「個々の患者さんの話を聞いて、その人に適した治療をしていく。その点を大事に仕事にあたっていきたいです。口の中は一人ひとり違うので、指導もやりがいがありますし、歯垢や歯石が多い場合はきれいにした時の達成感もあります。

そして、将来的にはフリーランスの歯科衛生士として働きたいと考えています。自分で仕事を調整できますし、より患者さんと向き合う時間を取ることができるんです。収入アップにもつながりますし、働く曜日や時間を自分の裁量で決められますから、今後、子供のための時間を確保することにもつながると思っています」

——家族との生活で大切にしていきたいことは何ですか?

「とにかく会話を大事にしていきたいです。フルタイムで仕事をしていると日中はコミュニケーションが取れませんし、朝や夜もなかなかゆっくり話す時間が取れていないな、と感じています。娘とは、早朝のお散歩や夕食時間、お風呂タイムを大切にしています。言葉が増えてきているので、『今日はどんなことをしたの?』と話をします。最近は、離れている時間、その日にあったことをいろいろ伝えてくれます。働いて忙しくても、会話を大切にして、子供の成長をしっかり見守っていきたいですね」

(取材・文:内田知子)

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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