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2021年01月15日 17:47 更新

【助産師監修】授乳中は喫煙してはいけない?タバコが赤ちゃんに与える影響

今回は「授乳中の喫煙はOKか」について解説したいと思います。制約が多かった妊娠期間を終え、嗜好品も解禁!と思ってしまうかもしれませんが、特に授乳中は気をつけなければいけないことがいくつかあります。タバコを吸いたいと思っている授乳中のママ、僕には関係ないと思っているパパ、ぜひご一読を!

2割が産後喫煙再開? 理由は習慣やストレス

産後喫煙について知りたいママ
Lazy dummy

乳幼児健診の際、母親を対象に喫煙に関しての調査※を行ったところ、22%が産後に喫煙を再開していたという結果となりました[*1]。喫煙を再開した理由としては「ただなんとなく」「家事などのストレス」「吸いたくてがまんできなかった」「育児ストレス」「発散するものが欲しかった」などが挙げられました。

妊娠を機に一旦はやめたのに、産後にまたタバコに手が伸びてしまったという女性は少なくないようです。

※田川市保健センターの乳幼児健診(4ヶ月健診、7ヶ月健診、1.6歳児健診)の対象児の母親330名に対して行ったアンケート調査(236名分回収)

授乳中は喫煙をやめるべき2つの理由

喫煙を拒否する妊婦
Lazy dummy

喫煙は、がんや呼吸器の疾患だけでなく、脳卒中や2型糖尿病などさまざまな病気と関係しています。しかし、健康のためにはやめたほうがいいとはわかってはいても、なかなか禁煙できない人も少なくありません。また、先の調査結果のように、妊娠中は禁煙できたのに産後に喫煙を再開してしまうケースも。

では、産後、中でも授乳中に喫煙することにはどんなリスクがあるのでしょうか。

<授乳中の喫煙のリスク1>母乳が減ってしまう

母乳が減ってしまうという授乳中の喫煙のリスク
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赤ちゃんがママのおっぱいを吸うと「プロラクチン」というホルモンが分泌され、母乳が作られます。そんな授乳に不可欠なプロラクチンは、喫煙すると分泌が遅れ、量も減少するというデータがあります[*2]。

また、1日に4本以上タバコを吸うママは、全く吸わないママに比べ、母乳分泌量が1〜2割減り、その減少割合はタバコの量が多いほど大きくなるということもわかっています[*2]。

<授乳中の喫煙のリスク2>母乳にニコチンが移行する

母乳にニコチンが移行してしまうという授乳中の喫煙のリスク
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タバコの影響は母乳量が減るだけではありません。

タバコの葉には「ニコチン」という神経毒性の強い物質が含まれています。通常、喫煙によって煙から体内に取り込まれますが、ママが喫煙した場合はニコチンが母乳に移行して、それを赤ちゃんが飲むことになります。

喫煙者の母乳が赤ちゃんに与える影響について、まだはっきりとしたことはわかっていませんが、1日20本以上喫煙するママが授乳した赤ちゃんにおう吐や下痢、脈拍の増加、落ち着きがないなどの症状が見られたとの報告もあります[*2]。

「喫煙したいから授乳しない」は誤り

タバコを吸いたいなら授乳をやめれば問題がないのかというと、決してそうではありません。

赤ちゃんの突然死と喫煙の関係

赤ちゃんの突然死と喫煙の関係
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まず、元気だった赤ちゃんが睡眠中に突然死んでしまう乳幼児突然死症候群(SIDS)は、タバコが危険因子とされ、両親ともに喫煙者の場合、喫煙しない場合に比べ約4.7倍もSIDSの発症率が高くなるとされています[*3]。授乳するしない関係なく、またママだけでなく一緒に住むパパなどが喫煙することで、赤ちゃんが危険にさらされるのです。

なお、家庭内での受動喫煙は、子供の知能を低くさせるという調査結果も報告されています[*4]。

母乳育児はSIDS発生を減らす

笑う赤ちゃん
Lazy dummy

SIDSの明確な予防法はまだ確立していませんが、発生率を低くするための3つのポイントがあります。それは、禁煙、赤ちゃんのあおむけ寝、そして母乳育児です。母乳は赤ちゃんにさまざまなメリットがありますが、母乳を飲んでいる赤ちゃんの方がSIDSの発生率が低いということがわかっています[*5]。

つまり、喫煙を続けて母乳育児をやめるということは、SIDS発生リスクを下げることに逆行することなのです。

まとめ

母乳を飲む赤ちゃん
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赤ちゃんの健康や母乳育児の継続のため、授乳中も引き続き喫煙はNGです。また授乳中のママだけでなく、赤ちゃんや子供がいる家庭では大人みんなで禁煙することが大切。「タバコが吸いたいから母乳をやめる」などと考えず、これから家族みんなで健康に楽しく暮らしていくためにも、タバコはやめておきましょうね。

(文:マイナビ子育て編集部/監修:坂田陽子先生)


※画像はイメージです

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、助産師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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