【医師監修】妊娠初期に葉酸を飲まなかったけど大丈夫!? その影響と対処法

【医師監修】妊娠初期に葉酸を飲まなかったけど大丈夫!? その影響と対処法

妊娠確定からすぐつわりが始まって、あたふた。ようやく落ち着いてきたころ、「実は葉酸を飲んでいなかった……」ということに気付いて青くなっている妊婦さんもいるかもしれません。妊娠初期に葉酸を飲まなかったことによる影響はあるのでしょうか。妊娠初期を過ぎてからでも飲むべきかとあわせて解説します。


妊娠初期、葉酸サプリを飲んでいなかった!! これって大丈夫?

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「サプリメントは買っておいたのにうっかり飲み忘れてしまった」「そもそも葉酸の必要性についてよく知らなかった」などの理由で、妊娠初期に葉酸のサプリメントを飲んでいなかった妊婦さんもいるかもしれません。

妊娠初期に葉酸サプリを飲まなかったことで、何か影響はあるのでしょうか。

葉酸は食事にも含まれている

「葉酸」はビタミンB群の一種で、緑黄色野菜や果物のほか、レバーやウニなどの動物性食品にも含まれている栄養素です。葉酸には「水に溶けやすく」「熱に弱い」という性質があるので、調理の過程で失われてしまうこともありますが、普段バランスの良い食事を摂っている人なら、食事からいくらかの葉酸は自然に摂取しています。

でも、食事から十分摂取できていない妊婦さんは多いかも

ただ、実際、妊婦さんがどのくらい葉酸を摂取しているかを調べた調査では、「推奨されている量の半分くらい」しか摂っていなかった場合があることもわかっています[*1, 2]。このデータは調べている人数が20人足らずと少なく、また食生活は個人差が大きいものなので一概には言えませんが、葉酸不足の妊婦さんは少なくなさそうです。

サプリメントからは効率的に葉酸が摂れる

葉酸は食事にも含まれていると説明しましたが、実は食品に含まれている天然の葉酸とサプリメントなどに人工的に添加されている葉酸には大きな違いがあります。それは「体への吸収のされやすさ」。食品の種類にもよりますが、食事に含まれる葉酸の利用効率はサプリメントなどに含まれる人工の葉酸の50%程度とされています[*2]。

あとで詳しく説明しますが、妊娠前から妊娠中の女性は、妊娠していないときに比べてたくさんの葉酸が必要になるので、普段の食事から葉酸を摂ることに加えて、サプリメントなどを積極的に利用することが推奨されているのです。

妊娠初期に葉酸が大切な理由

でも、そもそもどうして葉酸は妊娠初期に摂ることが勧められているのでしょうか。

赤ちゃんの「神経管閉鎖障害のリスクを下げる」から

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妊娠中に葉酸を十分に摂ることが勧められているのは、「赤ちゃんの神経管閉鎖障害のリスクを下げる」ことが確かめられているからです。

「神経管閉鎖障害」は、脳や脊髄といった中枢神経の元になる「神経管」が生まれるまでにうまく閉じないことで起こる先天異常です。神経管閉鎖障害では、赤ちゃんに下半身の運動障害や排泄機能の障害、脳の形成不全などが引き起こされます。

なお、葉酸は妊娠していない時にも大切な働きがある栄養素です。ビタミンB12とともに赤血球を作ったり、細胞の増殖に必要なDNAの合成などにかかわっています。そのため、不足すると貧血や神経障害、腸機能障害を起こしたり、動脈硬化のリスクを高めたりします。

実は「妊娠前から」の摂取が勧められている

赤ちゃんの「神経管閉鎖障害」を防ぐためには、神経管ができるころに葉酸が妊婦さんの体の中に十分にあることが重要です。ところが、赤ちゃんの神経管が作られるのは妊娠4~5週ごろ、閉じていくのが妊娠6週末ごろと、妊娠のかなり早い段階と言われています[*3]。

妊娠4週は妊娠していなかった場合、生理が来る予定の週のこと。生理周期が元々不安定な人などでは、妊娠4~6週の段階では、妊娠したことにすら気付かなくても不思議ではありません。

ですから、十分な葉酸を摂取した状態で妊娠できるよう、厚生労働省では、妊娠する1ヶ月以上前からの葉酸摂取を推奨しています[*4]。

妊娠初期を過ぎても葉酸は十分に摂取しよう!

葉酸は、実は「妊娠の1ヶ月以上前から」の摂取が勧められていることを紹介しました。でも、その時期や妊娠初期に摂取していなかった人も落ち込まないでください。葉酸の大切さに気づいた時から、ぜひ積極的に摂り始めましょう。

妊娠前、妊娠中に勧められている葉酸の摂り方

妊娠計画中の女性、妊婦さんに対して、現在の日本で推奨されている葉酸の摂取量を紹介します。

妊娠の1ヶ月以上前~妊娠3ヶ月まで

食事から1日240μgに加え、サプリメントなどの栄養補助食品などから1日400μgの葉酸を摂取する。つまり、1日の摂取推奨量は合計640μg。

妊娠中期・後期

食事から1日480μgの葉酸を摂取する。

ちなみに、妊娠していないときの摂取推奨量は、食事から1日に240μgです。

葉酸を摂取する際、基本は食事から摂ることを心がけ、不足する分をサプリメントなどで補うと考えましょう。葉酸が多く含まれる食べ物などについては、下記の記事も参照してください。

【医師監修】葉酸を食べ物から摂る時の注意点、葉酸サプリを選ぶポイント

https://woman.mynavi.jp/kosodate/articles/8126

妊娠を計画中の女性や妊婦さんに欠かせない栄養素「葉酸」はサプリメントからの摂取も推奨されていますが、基本となるのはやはり食事からの摂取。葉酸を食事から摂取する際の注意点や上手な摂取方法などをまとめました。

まとめ

妊娠初期に葉酸を飲まなかったことを心配している妊婦さんに向けて、葉酸とはどんなものか、なぜ妊娠前から妊娠中にかけてはとくに十分に摂ることが勧められているのかを説明しました。妊娠初期に葉酸を意識して摂らなかったからといって、赤ちゃんに必ず異常が現れるということではないので安心してくださいね。でも、妊娠初期を過ぎても葉酸は意識して摂取したほうが良い栄養素であることに変わりありません。遅すぎるということはないので、気づいたタイミングから積極的に摂るようにしましょう。

この記事の監修ドクター
産婦人科医・医学博士 宋美玄先生
大阪大学医学部医学科卒業。丸の内の森レディースクリニックの院長として周産期医療、女性医療に従事する傍ら、テレビ、書籍、雑誌などで情報発信を行う。主な著書に、ベストセラーとなった「女医が教える本当に気持ちいいセックス」がある。一般社団法人ウィメンズヘルスリテラシー協会代表理事

(文:マイナビウーマン子育て編集部/監修:宋美玄先生)

※画像はイメージです

参考文献
[*1]厚生労働省:平成30年国民健康・栄養調査 第1部 栄養素等摂取状況調査の結果
https://www.mhlw.go.jp/content/000615343.pdf
[*2]厚生労働省:日本人の食事摂取基準(2020 年版)
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf
[*3]公益社団法人日本産科婦人科学会:産婦人科診療ガイドライン―産科編2017, CQ105(90p)
http://www.jsog.or.jp/activity/pdf/gl_sanka_2017.pdf
[*4]厚生労働省:「神経管閉鎖障害の発症リスク低減のための妊娠可能な年齢の女性等に対する葉酸の摂取に係る適切な情報提供の推進について」平成12年12月28日報道発表資料
https://www.mhlw.go.jp/www1/houdou/1212/h1228-1_18.html
 

※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。
※新型コロナウイルス感染症についての最新情報は、[内閣官房][厚生労働省]妊婦に関する情報[日本小児科学会]幼児に関する情報など公的機関等で発表されている情報をご確認ください。

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