【医師監修】子供が下痢になったら食事はどうする? 脱水予防と与えたい食事について

【医師監修】子供が下痢になったら食事はどうする? 脱水予防と与えたい食事について

小さい子供が急に下痢になったら心配ですよね。でも、子供はウイルスや細菌に感染して下痢になることがよくあります。ここでは下痢の原因や、下痢になった時におすすめの食べ物、脱水症状の予防法などについて紹介します。


下痢ってなぜ起こる?

子供の下痢の原因
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どのくらい柔らかいと下痢?

まずは子供のそのうんちが「下痢なのかどうか」について考えてみましょう。

一般的に下痢とは、「普段よりもうんちの水分が多くなって軟らかくなっていたり、うんちの回数が増えた状態」を指します。

健康な子供の排便回数は、
・1~3歳:週に4~21回、1日に1.4回
・3歳以上:週3~14回、1日に1.0回
程度[*1]と言われていますが、個人差が大きいので普段の様子をよく観察して、いつもはどんなペースで排便しているか、把握しておきましょう。

量については、大人では1日に200ml以上とされていますが、子供の下痢では、1日に体重1kgあたり10ml以上の軟らかいうんちが出るとされています。

なお、子供の下痢では、「水のようなうんち」が一番よく見られます。とくに、ウイルス感染や抗菌薬などが原因の場合、こうした水のようなうんちが出ます。

急な下痢の原因って?

下痢には、腸などのトラブルから起こる慢性的なものもありますが、ここでは急に起こる「急性下痢」の原因についてお話します。

ウイルス感染が引き起こす下痢

小さな頃によく起こるのがこの下痢です。
小さいうちは免疫が未熟なため、消化管の粘膜にウイルスがつきやすく、消化管での殺菌能力も大人に比べて限られています。そのため、小腸がウイルス感染して下痢を起こしやすいのです。ロタウイルス、アデノウイルス、ノロウイルス、エンテロウイルス、サイトメガロウイルスなどが原因となります。

感染経路は、ウイルスのいるうんちに触れた手指から、口へと取り込まれて感染が起こる「経口感染」が中心です。感染してから症状が出るまでの潜伏期間はウイルスによっても異なりますが、1~3日と短めなことが多いようです[*2]。

なお、ロタウイルスやノロウイルスの場合は、空気を通じて感染する「空気感染」や、咳やくしゃみによって飛び出して感染する「飛沫感染」、皮膚や粘膜に直接触れたりタイルなどを共有して感染する「接触感染」も起こります。

細菌が引き起こす下痢

細菌性胃腸炎の症状の1つとして、下痢を起こすこともあります。サルモネラ、カンピロバクターなどの細菌が原因となります。

この場合は、とても重い下痢症状が見られることが多いです。強い腹痛や下血が起こることもあります。

細菌感染が小腸で起こり、細菌が小腸の中で増殖し過ぎると、ビタミンB12が十分に吸収できなくなったり、絨毛組織が破壊されたりして、命に関わることがあります。

その他

食物アレルギーや、抗菌薬によって下痢になることもあります。

症状によってはすぐに受診が必要な場合も

下痢の中には小児科ですぐに診てもらった方がいいものもあります。
次のような症状を目安に、救急または診療時間内に受診しましょう。

時間外でも救急などですぐに受診するべき症状
☑ 半日以上水分が飲めずにいる
☑ ぐったりとしている
☑ 口や舌が乾いていて、涙も出ない
☑ おしっこが出ていない
☑ 血便をした(少し便に混ざった程度の少量血便で機嫌も良く嘔吐も無ければ救急で無くてもよい。多量の血便が出たり機嫌不良や嘔吐を伴っている場合は救急受診)

診療時間内に受診する症状
☑ 下痢が続いている
☑ 少量で全身状態良好でも血便が出ている

赤ちゃんの下痢についてはくわしくは下記の記事も参照してください。

【医師監修】赤ちゃんの下痢 | 危険な下痢の見分け方と注意点

https://woman.mynavi.jp/kosodate/articles/1254

便の状態は、健康のバロメーターのひとつです。とはいえ、赤ちゃんのうんちは月齢が低いほど大人とは違うので、「この状態が赤ちゃんのふつうなの?」と気になったり、「もしかして、下痢では?」と心配になることもあるかもしれませんね。そこで今回は、赤ちゃんの下痢の原因や症状の見分け方、受診の目安などをご紹介します。

下痢になったら「経口補水液」をあげて

子供が下痢になったら経口補水液を
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下痢は脱水に繫がりやすい

下痢になると、水っぽいうんちが大量に出るため、脱水症状を起こしやすくなります。
特に、下痢とともにおう吐もあると、体内の水分が短時間で大量に失われることになってしまいます。

子供が下痢を起こしたら、「経口補水液」を与えて脱水症状にならないようにケアしてあげてくださいね。

「経口補水液」とは

「経口補水液」は、塩分などの体に必須のミネラル(電解質)と糖質(ブドウ糖)などのバランスが調整されている飲み物です。

そのため、経口補水液は飲むだけで、静脈に水分や電解質を点滴するのと同じような効果があると証明されています。

ジュースやスポーツ飲料は向かない

通常の食事を始めるタイミング

下痢や嘔吐があって水分補給させたいときに、ジュースやスポーツ飲料を飲ませるのはおすすめできません。

ジュースには塩分がほとんど入っていませんし、スポーツ飲料は糖分が多く塩分が少ないため(塩分と糖分のバランスが大切です)、脱水予防はあまり期待できないからです。

普段から体調を崩した時のために、経口補水液は買い置きしておきたいですね。

飲ませるタイミングと飲ませ方

脱水症状を防ぐためには、「おう吐や下痢になったらできるだけ早く」経口補水液を飲ませてあげることが大切です。

おう吐や下痢になってすぐに脱水になるわけではありませんが、こうした症状が続くとどんどん体内の水分が減っていってしまいます。子供の健康を守るために、おう吐や下痢を起こしたら自宅で経口補水液をあげるようにしたいですね。

「経口補水液」の飲ませ方[*3]

・飲ませる量の目安は、「50~100ml×体重(kg)」
・5ml(ペットボトルのキャップ1杯分くらい)の経口補水液を、5分おきに飲ませる。
 一気に飲ませるのではなく、3~4時間かけて少しずつ飲ませることが大切。
・吐かなければ、少しずつ飲ませるタイミングを早めていく。


ドリンクタイプの経口補水液を嫌がる場合には、塩味を感じにくいゼリータイプの経口補水液を試してみるのもおすすめです。

下痢になったら食事はどうする?

以前はしばらく絶食にしてお粥から少しずつ通常の食事に戻すように指導されていましたが、現在では、下痢になったらまずは脱水を防ぎ、その後、「できるだけ早い時期からいつも通りの食事を摂る」よう、すすめられていますが脂っこいものなどはさけた方が良いでしょう

胃腸炎のときに通常の食事を中止しても、あまりメリットがないとわかってきたからです。下痢になっても無理のない範囲で、いつものご飯をあげてくださいね。

何を食べさせる?

子供が下痢の時の食事は
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経口補水液を飲んだ後に、子供が「ご飯を食べたい」「食べられそう」と言ったり食べられそうな様子を見せたら、食事をあげましょう。
特別な食事は必要ありませんが、次のような点に気をつけるといいですね。

下痢の時の食事のポイント

普段の食事や離乳食がとれるならそのままあげましょう。
食欲が落ちているなら、おかゆや野菜スープ、うどんなどの食べやすいものにするのもいいですね。
なお、おかゆを食べてもご飯を食べても、下痢の治る時期はほとんど変わりません。どちらでもいいので、食べられるものをあげることが大切です。

避けたい食事

脂っこい食事や辛い食べ物、糖分の多い飲み物は念のため避けた方が安心です。

母乳もミルクもそのままあげよう

母乳もミルクも消化がいいので、薄める必要はありません。いつも通りに飲ませてあげましょう。

まとめ

子供の急な下痢は、ウイルスや細菌によって起こっていることがほとんどです。そのほか、アレルギーや抗菌薬などによって下痢になることもあります。
下痢になったら注意したいのが、脱水症状を防ぐこと。経口補水液を少しずつ飲ませて脱水症状を予防しましょう。ドリンクタイプが苦手なら、ゼリータイプも試してみてください。
その後、食べられそうになったら食事をあげましょう。おかゆでなく通常のご飯で問題ありません。無理はしないで、ゆっくり元気を取り戻してあげてくださいね。

この記事の監修ドクター
大越陽一先生
杏林大学医学部卒業、杏林大学医学部小児科学教室任期助教、埼玉県立小児医療センター循環器科医長を経て現在アルテミスウィメンズホスピタル小児科部長。小児科専門医

(文:大崎典子/監修:大越陽一先生)

※画像はイメージです

参考文献
[*1]日本小児栄養消化器肝臓学会・日本小児消化管機能研究会:小児慢性機能性便秘症診療ガイドラインCQ10
[*2]「小児科臨床ピクシス18 下痢・便秘」五十嵐隆/清水修明 中山書店
[*3]「小児救急看護の最前線『小児急性胃腸炎診療ガイドライン2 017』と経口補水療法の実際」月刊ナーシング Vol.37 No.14 2017.12
https://gakken-mesh.jp/info/wp-content/uploads/2017/11/089-091.pdf

※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

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