子供が風邪を引いてしまったら、できるだけ早く元気に戻れるようにしてあげたいですね。ここでは風邪になった時のホームケアや水分補給のやり方、あげたい食べ物、避けた方がいい食べ物についてお話します。

【この記事の監修者】

風邪はどうすれば治るの?

そもそも風邪を早く治すためには、どうすれば良いのでしょうか。

ウイルスによる風邪に「特効薬」はない

風邪の80~90%はウイルスが原因で[* 1]、ライノウイルス、コロナウイルスなどにより起こることが多いと言われています。

風邪になると、鼻の穴から喉ぼとけ(喉頭)までの空気の通り道にこうしたウイルスなどがくっついて炎症を起こし、鼻水や鼻づまり、喉の痛みといった症状を引き起こします。発熱や頭痛、全身の倦怠感などもよく起こります。また、炎症が気管や気管支、肺にまで及ぶと、咳やたんが出ることになります。子供の場合は、下痢を起こすこともよくあります。

抗生物質は風邪に効きません

こうした風邪の症状は、体がウイルスと戦うことで起こります。病気になると薬を飲んで治したくなりますが、残念ながら風邪のウイルスそのものを退治できる薬はありません。「抗生物質(抗菌薬)で風邪が治る」と勘違いしている人も多いのですが、抗生物質は細菌に効く薬で、ウイルスには効きません。

また、ドラッグストアなどで「風邪薬」として売られているものは「風邪の症状を和らげる」薬であって、これもウイルスを殺す薬ではありません。つまり、「これを飲めば風邪がすぐ治るという特効薬はいまのところない」のです。

体力を回復させるホームケアが大切

では、風邪はどうして治るのでしょうか。それは、自身の体に備わった病源体を排除する機能(免疫)が、風邪のウイルスをやっつけてくれるからです。この免疫の仕組は、栄養不足や睡眠不足、ストレス過多などの状態ではうまく働かないことが知られています。

だから、子供が風邪になったら、免疫が本来の機能をしっかりと発揮できるように、ホームケアでサポートしてあげることが大切なのです。

具体的には、水分をしっかりと摂らせ、安心して眠れるようにできるだけ付き添ってあげましょう。体力が落ちないように、しっかり栄養を摂らせることもポイントです。

なお、さきほど「風邪薬」で風邪のウイルスは死なないと解説しましたが、症状を和らげる効果はあります。高熱やのどの痛みなどのつらい症状は薬で和らげて、ウイルスと戦う体を応援してあげましょう。

赤ちゃんやいつもと違う、辛い症状が続く場合は受診して

このように、風邪自体を治す薬はないので、症状が軽いようなら、必ずしも通院は必要ではなく、落ち着ける我が家でゆっくり過ごしても大丈夫です。

ただし、0歳代(特に生後3ケ月未満)の赤ちゃんが風邪を引き、母乳やミルクを飲まなくなったり、顔色が悪かったり、元気がない時には、すぐに小児科を受診しましょう[* 2]。

それ以上の年齢でも元気がなくぐったりしている、水分摂取が出来ないなどの場合は小児科を受診するようにしましょう。

風邪の時の食事って?

子供の体が風邪のウイルスをやっつけられるように、風邪をひいたら安静に過ごし、しっかりと睡眠を取って、水分と栄養のある食事を摂れるように気を付けてあげましょう。

なお、風邪で食欲が落ちて一時的に体重が減っても、風邪が治れば元に戻ります。欲しがらない時は、無理に食べさせないようにしましょう。焦らず、本人の体調に合ったものを用意してあげたいですね。

まずは水分が摂れているか注意して

発熱すると汗をかいて脱水になりやすくなります。まずは水分が摂れているかどうかチェックしましょう。

脱水予防で飲ませるものは「経口補水液」がベストですが、飲めない時には、嘔吐や下痢などの脱水のリスクが高い時を除き、水や麦茶、スポーツドリンクなどでも構いません。

なお、塩分を感じにくいゼリータイプの経口補水液も市販されているので、ドリンクタイプが飲みにくい場合は試してみると良いでしょう。

飲ませる時は、一気飲みをさせるのではなく、少しずつ小まめに与えましょう。

1. 熱がある時の食事

高い熱を出すと、たくさんのエネルギーが消費されます。
そのため、熱がある時にはできるだけエネルギー量が高く、たんぱく質も豊富な食べ物をあげましょう。油っこかったり刺激的なものは避けて、消化のいいものを選んであげたいですね。

具体的には、「たまご雑炊」「ヨーグルト」「リンゴ果汁」「煮込みうどん」などのメニューがおすすめです。

2. 下痢している時の食事

下痢をしてしまったら、特に脱水しないように注意しましょう。
3~4時間かけて、50〜100mL×体重(kg)の量の「経口補水液」をあげておくと安心です [*3]。

最新の医療ガイドラインでは、下痢になってもおもゆなどの特別な食事でなくても良いと言われており、おかゆでも白米でもよいです。

普段の食事が食べられそうならそれを、食欲が落ちていたら食べやすいおかゆやうどん、野菜スープなどをあげるといいですね。

消化しにくい脂っこいものや辛いもの、糖分の多い飲み物は避けましょう。
母乳やミルクも薄めずに、そのまま飲ませてあげましょう。

3. 吐き気がある時の食事

下痢の時と同様に、脱水にならないように経口補水液をまずはあげてください。
与え方は「5ml(ペットボトルのキャップ1杯分くらい)ずつ、5分おきに飲ませる」ことが大切です。量が多いとかえって吐き気をもよおす場合があるので、少しずつ頻繁にあげるようにします。
3~4時間かけて、50〜100mL×体重(kg)の量を目安に、無理強いせずにあげるようにしましょう。

子供が自分から食べたがるようになったら、普段食べなれたものをあげましょう。
食べることで胃腸炎が悪化することはないので、お子さんが食べたいものや、食べられそうなものを用意してあげるといいですね。
たくさん食べられなくても大丈夫です。ゆっくりと食べられるものを摂っていってくださいね。

まとめ

風邪薬は症状を和らげることができますが、風邪ウイルスそのものをやっつけるのは風邪になった子の免疫です。できるだけ安静に過ごし、十分な睡眠を取れるようにしたら、水分や栄養補給に気を付けて、風邪と闘うお子さんを応援してあげたいですね。風邪の時にはお子さんの食欲が落ちて体重が減り、心配になることもあると思います。元気になればまた体重は戻るので、あまり焦らずにゆっくり治していきましょう。

(文:大崎典子/監修:大越陽一先生)

※画像はイメージです

参考文献
[* 1]「呼吸器の病気 A-01かぜ症候群」日本呼吸器学会
[* 2]『マンガでわかる! 子どもの病気・おうちケアはじめてBOOK』佐久医師会教えて!ドクタープロジェクトチーム、KADOKAWA
[* 3]「小児救急看護の最前線『小児急性胃腸炎診療ガイドライン2 017』と経口補水療法の実際」月刊ナーシング Vol.37 No.14 2017.12

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます