【医師監修】おしゃぶりは新生児から使える? 選び方と効果・デメリット
赤ちゃんのおしゃぶり、使ってみたいけど新生児から使える? そもそもおしゃぶりの効果って? いざ使うとなると、さまざまな疑問がわいてきますね。そこで、新生児期のおしゃぶりの効果や使う際の注意点、選び方を紹介します。
おしゃぶりは新生児から使える? どう選ぶ?
様々ある便利な育児グッズ。親も赤ちゃんにもいいものであれば、是非取り入れたいですよね。では、新生児の赤ちゃんにおしゃぶりを使わせてもいいものでしょうか。
新生児からOK。2歳までにはやめる
おしゃぶりは新生児から使うことができます。ただし、母乳で育てる場合は使い始める時期に注意が必要です(この後の「乳頭混乱が起こるリスク」参照)。
やめる時期については、たいていの赤ちゃんは成長するとおしゃぶりをくわえなくなり、その時点で終わりになります。もし1歳を過ぎても使っていたら、頻度を減らし、2歳までにやめることを目指しましょう。
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赤ちゃんにおしゃぶりは絶対に必要なものではない
赤ちゃんといえばおしゃぶりのイメージがありますが、おしゃぶりは育児の必須アイテムではありません。使わずに成長する子もたくさんいますし、使用にあたっていくつかデメリットもあります。一方で、上手に使えばぐずり対策になる、寝かしつけが楽になるとても助かるアイテムです。おしゃぶりについて正しく知ったうえで上手に活用しましょう。
新生児のおしゃぶりの選び方|ポイント3つ
おしゃぶりは種類がたくさんあって、選ぶのに迷ってしまいますね。その選び方も紹介します。
① 0ヶ月から使用できるもの
まずは商品に記載された月齢を見て、適切なサイズを選ぶようにしましょう。新生児は「0ヶ月~」と記載があるものにして、その後は成長に合わせてサイズを変えていきます。
② お手入れしやすいもの
そして、購入前にお手入れの方法を確認しておきましょう。おしゃぶりの素材は天然ゴムとシリコン製のものが主流です。天然ゴム製は、電子レンジに対応しておらず、薬液消毒ができません。専用の石鹸や熱すぎないお湯で洗う、と記載されている商品もあります。哺乳瓶を電子レンジや消毒液で消毒していて一緒に消毒したい時は、シリコン製を選びましょう。おしゃぶりケースに入れて電子レンジで消毒できる商品もあります。
③ 機能面も参考に
また機能面でも、鼻呼吸や歯並びへの影響どの研究がなされて製品化しているものもあります。こういった機能面は、すべてが有効性を証明されているわけではありません。選ぶ際の参考程度にしておきましょう。
おしゃぶりのメリットとは?
赤ちゃんにとって不可欠というわけではないおしゃぶりですが、使用する上でメリットがあります。まずはその効果を確認してみましょう。
赤ちゃんが落ち着いてお世話の負担が軽くなる
赤ちゃんはおしゃぶりを吸うことで精神的に落ち着くとされています。お腹がすいている、不快なことがあるなどの理由があって泣いているときは別ですが、理由なく泣いているときにくわえさせると、泣きやむことがあります。
さらにおしゃぶりを使うことで、寝かしつけがしやすくなるというメリットも。そのためママ・パパの負担も軽くなり、育児のストレスが減るという効果があります[*1]。
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SIDS予防効果がある可能性
何の予兆や既往歴もなく乳幼児が命を落としてしまう原因不明の病気で、乳児の死亡原因として4番目に多い乳幼児突然死症候群(SIDS)[*2]。おしゃぶりにはSIDSの予防効果があるとアメリカの小児科学会が発表しました。
メカニズムは不明としながらも、乳児の安全な睡眠環境に関する19の勧告の中で、仰向けに寝かせる、母乳育児をするなどと並んで、昼寝と夜間の睡眠の導入時におしゃぶりの使用を検討するよう勧めています[*3]。ただし、日本ではおしゃぶりの使用は少ないものの、SIDSの発生率はアメリカより低くなっています。まだ国内でその相関関係を調べた研究はなく、効果があるといえる段階ではないようです[*4]。
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おしゃぶりのデメリット
おしゃぶりのメリットを知ると、さっそく使いたくなるかと思いますが、一方でデメリットもいくつか指摘されています。使い始める前にデメリットについても知っておきましょう。
乳頭混乱が起こるリスク
乳頭混乱(にゅうとうこんらん)は、赤ちゃんが哺乳瓶やおしゃぶりの吸い方に慣れてしまい、おっぱいから飲むのを嫌がること。アメリカの小児科学会は上記の勧告の中で「母乳育児がしっかりと確立されるまでは、おしゃぶり導入を遅らせるべき」としています[*3]。母乳で育てる場合は、使い始める時期をよく検討しましょう。
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依存性がある
たいていの赤ちゃんは言葉を話すようになると自然とおしゃぶりを使わなくなるものですが、おしゃぶりにこだわりを持つ赤ちゃんもいて、やめたいときにやめるのが大変になることがあります。
おしゃぶりは長期間使い続けていると、歯の噛み合わせに影響が出て、2歳半の時点で開咬(不正咬合)になる割合が高くなります[*5]。親にとっても便利で手放しがたいものですが、1歳半を過ぎても使っていたらやめることを意識して、2歳を過ぎるころには卒業するようにしましょう。
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胃腸炎、カンジダにかかることも
あくまでおしゃぶりの洗浄・消毒が不十分な場合ですが、胃腸炎や口腔カンジダ症(鵞口瘡)にかかる可能性があります。口腔カンジダ症は、口の中の常在菌であるカンジダ菌が増えることで起こる病気。口の中に白いミルクかすのようなものがつき、こすっても落ちません。食欲低下や痛みを伴うこともあります。予防のために、おしゃぶりはこまめに交換し、使った後は洗浄して消毒することが必要です。
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新生児期より先の話になりますが、次のような影響も心配されています。
・中耳炎にかかりやすくなる
1歳を過ぎてもおしゃぶりを使っている子供は、中耳炎にかかりやすいといわれています。おしゃぶりを使い続けることで喉や鼻の内部の圧力に影響することが原因とされています。1歳を過ぎても使っていて何度も急性中耳炎になる、滲出性中耳炎が続くようなときはやめるようにしましょう。
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・赤ちゃんの発達を促す機会が少なくなる可能性
赤ちゃんは生後数ヶ月で周囲のものをつかんで、何でも口に入れるようになりますが、これによって形や味などを確認し学んでいます。この時期におしゃぶりを多用していると、手でつかんだものを口に入れることができず、学習の機会が奪われるのではないかともいわれています。また、声を出す機会や親があやす機会が減り、コミュニケーションが減ることも心配されています。
新生児がおしゃぶりを使う時の注意点
では、おしゃぶりを使うにあたって、どんなことに注意すればいいのでしょうか。赤ちゃんの健康にも関わることなので、次の点を確認してよく気をつけるようにしましょう。
鼻水・鼻づまりの時は使わない
鼻水が出ているとき、鼻づまりがあるときは使ってはいけません。また使う場面を「寝かしつけのとき」「お出かけのとき」「家事をするとき」などと限定して、1日中使っていることがないようにしてください。
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洗浄・消毒した上で、壊れてないかを確認
上述の感染症を予防するため、初めて使う前と使った後は洗浄・消毒をしてください。哺乳瓶と同様に、煮沸か消毒液、電子レンジで消毒をします。おしゃぶり専用の消毒グッズもあります。
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また、おしゃぶりも続けて使っていると劣化していきます。欠けた破片が赤ちゃんの口に入ることのないように、割れたりひびが入ったりしていないか使用前に確認しましょう。もし異常が見られたら、新しいものと交換してください。
※洗浄や消毒の方法については、商品ごとの説明書等を確認し従ってください。
余計なものをつけない
おしゃぶりに取りつけられるおもちゃやストラップなどのグッズは、たくさん販売されていてどれもかわいいものです。便利に思われますが、窒息などの危険があるので余計なものをつけないようにしましょう。
たとえば、おしゃぶりにストラップのような紐をつけて首にぶら下げていると、首が絞まるリスクがあります。おしゃぶりにつけるぬいぐるみのようなおもちゃや、おしゃぶりと洋服をつなげることも、窒息につながる可能性があります[*3]。
まとめ
おしゃぶりの使用にはメリットとデメリットがあります。ただデメリットは長期にわたって使用したときに見られることで、トラブルが起こる頻度は低く、多くの赤ちゃんは何の問題もなく使って成長しています。親にとっては育児の負荷が大きい新生児〜低月齢のうちの使用はメリットが大きいといえるでしょう。賛否両論あるのが現状ですが、長期間の使用や一日中使い続けることは避けて適切に使い、うまく活用してくださいね。
(文:佐藤華奈子/監修:梁尚弘先生)
※画像はイメージです
人気のおしゃぶり
※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました
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