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2021年01月15日 15:20 更新

【医師監修】子供の副鼻腔炎とは? 原因と症状、治療法について

子供や赤ちゃんは少しの刺激で鼻が詰まったり鼻水を出しますね。「よくあること」と思いがちですが、放っておくと副鼻腔炎になる心配があるので注意が必要です。今回は副鼻腔炎の原因や症状、治療法や家庭でのケアなどをご紹介しましょう。

子供の副鼻腔炎はどんな病気?

鼻の両側の、骨に囲まれた空洞が副鼻腔です。ここが炎症を起こし、鼻が詰まったり鼻水が出て、放っておくと長引くのが副鼻腔炎です。

副鼻腔はどこにあるの?

肺に通じる空気の通り道を「気道」といいますが、鼻から気道につながる空間を「鼻腔(びくう)」といいます。この鼻腔に接していて薄い骨で囲まれた空洞が「副鼻腔」で、頬、両目の間、額の下の骨の中に4対あり、それぞれが鼻腔とつながっています。
副鼻腔内の粘膜の表面は線毛におおわれていて、ほこりなどをブロックしています。

副鼻腔についての解剖:前頭洞(ぜんとうどう)、篩骨洞(しこつどう)、蝶形骨洞(ちょうけいこつどう)、上顎洞(じょうがくどう)
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副鼻腔炎はどんな病気?

副鼻腔に入ったウイルスによって感染が起こり、のちに細菌にも感染して炎症を起こす病気が副鼻腔炎です。原因となるウイルスは、ライノウイルス、パラインフルエンザウイルス、インフルエンザウイルスなどで、原因となる細菌はおもに肺炎球菌やインフルエンザ菌などです[*1]。また、アデノイド(肥大した咽頭扁桃)やアレルギー性鼻炎が関係して発症することもあります。

副鼻腔炎には急性と慢性がありますが、急性副鼻腔炎は鼻の粘膜がウイルスや細菌に感染してかかる急性鼻炎に引き続いて起こることが多いため、「急性鼻副鼻腔炎」とも呼ばれています。急性の場合、症状は4週間以内にはおさまりますし、適切な治療をすれば1~2週間で治ることも多いのです。特に子供の副鼻腔炎は、大人に比べて治りやすいといわれています。治療をしているにもかかわらず症状が3ヶ月以上続く場合は、「慢性副鼻腔炎」と診断されます。慢性の副鼻腔炎は以前は「蓄膿症」と呼ばれていて、治療にも時間がかかるのが特徴です。

副鼻腔炎の症状は?

副鼻腔炎になると副鼻腔に膿がたまるため、鼻が詰まってにおいがわかりにくくなったり、黄色や黄緑色のドロッとした粘り気のある鼻汁がたくさん出たりします。鼻汁が喉にまわって、咳や痰が出ることもあります。また、子供の場合は鼻症状のほか、まぶたやその周囲がはれることもあります。

副鼻腔炎が長引くと、どんなリスクがあるの?

副鼻腔炎が長引いて苦しむ子供
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副鼻腔炎がなかなか治らずにいると頭痛が起こることもあります。また、鼻と耳、喉はつながっているため、急性または滲出性の中耳炎や、喉の炎症を起こしたり気管支炎になったりすることがあります。

小さい子の場合は、においがしないために「ごはんがおいしくない」などと言って食事の量が減ってしまい、発育に影響することもあります。小学生以上では、鼻が詰まって頭がボーっとするために集中力が落ち、学習に影響することもあります。

副鼻腔炎の治療法は?

副鼻腔炎と診断されたら、早めに耳鼻咽喉科で適切な治療を受けることが必要です。

副鼻腔炎が疑われたら、何科を受診すればいい?

副鼻腔炎の治療のために医療機関を受診する子供
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副鼻腔炎の診断には鼻の中をよく見る必要があり、診断がついた場合には耳鼻咽喉科でしかできない治療が必要になります。そのため、症状が鼻詰まりや鼻汁といった副鼻腔炎の特徴的なものの場合には、耳鼻咽喉科を受診しましょう。

ただし、発熱や頭痛なども伴っていて判断に迷う場合は、まずは小児科を受診しましょう。

副鼻腔炎の診断方法は?

おもな症状が
・鼻がつまったり、ねばっこくて色のついた鼻汁がたくさん出ている
などに加えて、
・口をあけていることが多い
・ゴホゴホという湿り気のある咳
・発熱など風邪のような症状
・就寝中のいびき

などもみられるときには、副鼻腔炎が疑われます。

耳鼻咽喉科では、副鼻腔炎が疑われると鼻の中や喉を見るほか、X線撮影やCT検査を行ったり、原因となっている細菌の種類を見極める検査をすることもあります。

ただし、小さい子ほど症状を正しく伝えられないことが多いうえ、鼻腔が狭く中が見にくい、副鼻腔が未完成なためにX線写真でもわかりにくい、CT検査の際じっとしていられないなどの理由から正確に診断するのが難しい面があります。

副鼻腔炎はどうやって治療するの?

副鼻腔炎と診断がついたら、耳鼻咽喉科では
・鼻汁を吸引する
・鼻の中に薬を噴霧する
・ネブライザー療法で抗生物質などの薬を副鼻腔に送り込む
などの治療が行われます。

そのほか、慢性の場合に検査で原因となっている細菌が判明したら、少量の抗菌剤を長期間服用すると効果があることがわかっています。 それでも症状が改善しなかったり、鼻の形に異常があるなどで膿が出にくい場合には、年齢や症状に合わせて内視鏡による手術が行われることもあります。

ただ、子供の副鼻腔炎はもともと治りやすく、成長するにつれて自然と治まっていくことが多いので、慢性でも内視鏡手術を行うよりは薬で治療しながら様子を見ることが多いでしょう。

自宅でできることは?

副鼻腔炎になってしまったら、鼻をこまめにかんで処方された薬をきちんと飲むことが大切です。また予防には、風邪をひかないよう気をつけます。

幼児は鼻をかむ練習をしよう

鼻をかむ練習をする子供
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病院で薬が処方された場合は、指示に従って全て飲みきるまで服用することが大切です。症状がよくなってきたからと、勝手な判断で服用をやめてしまうと、原因菌が残ってしまい再発する心配があるからです。

また鼻水はすすらず、こまめにかむことが大切です。鼻をかむときは、片方ずつ静かにかむのがポイントです。 鼻がうまくかめない幼児は、この機会に鼻のかみ方を練習するといいでしょう。

〈鼻をかむ練習のやり方〉
①ティッシュペーパーを細く裂いて短冊を作る
②短冊を口の前に垂らし、口で吹いて動かす
③短冊を鼻の前に垂らし、口を閉じて片方の鼻を指でふさぎ、もう片方の鼻から出した息で短冊を動かす練習をする

以上の練習をしていると、片方ずつ鼻がかめるようになってくるでしょう。

鼻がかめないときは、器具で吸い取って

赤ちゃんなど、自分で鼻がかめない場合には、市販の鼻水吸い器などを使って鼻汁を吸い取ってあげましょう。大人が口で鼻水を直接吸うと、鼻汁の中に含まれているウイルスや細菌に感染感染する恐れがあるので、必ず器具を使って吸い取ってくださいね。

鼻汁を器具をつかって吸い取られている子供
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副鼻腔炎を予防するには…

副鼻腔炎は風邪から引き続いてなることが多いので、鼻水・鼻詰まりなど風邪の症状が見られたら早めに対処することが大切です。風邪が流行するシーズンになったら、まずは風邪の予防を心がけましょう。手洗い・うがいをしっかりするほか、栄養バランスのいい食事をとって、十分眠るようにするといいですね。

まとめ

副鼻腔炎は風邪にかかったあとに発症することがほとんどなので、風邪をひいて鼻水が出ているときはこまめにかみましょう。 副鼻腔炎になってしまった場合、慢性化すると中耳炎や気管支炎などさまざまな病気を併発することがあるので、早めの治療が大切です。副鼻腔炎によくある症状がみられたときには、受診すると安心ですね。

(文:村田弥生/監修:梁尚弘先生)

※画像はイメージです

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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