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2021年01月29日 09:56 更新

【医師監修】子供の鼻水がすごい! 主な原因とホームケア

タラタラと流れてくる鼻水、わずらわしくて大人でも嫌になりますね。子供は自分で上手に鼻をかめないので、余計つらそうに見えます。そんなときは、どのように対処してあげるとよいのでしょうか?

鼻水はなぜ出るの?

鼻水がとまらない赤ちゃん
Lazy dummy

最初に、大人の場合も含めて「どうして鼻水が出るの?」という基本的なことをお話しします。

異物を外に出したり、空気を加湿するなどの役割がある

鼻水の原因は、大きく分けると「感染防御」と「アレルギー」の2つあります。

感染防御:感染から体を守る鼻水

このうち前者の感染防御とは、「体にとってよくないものの侵入を防ぐ」仕組みのことです。この仕組みのために、健康なときも鼻の粘膜から鼻水が分泌されていて、その量は1日に何リットルにもなります。冷たい空気や汚れた空気が鼻に入ると、さらに鼻水の量は増えます。分泌された鼻水は、異物を外に流し出したり、鼻の中を加湿してくれます。かぜをひいたときなど、ウイルスが鼻にいる状態でも、やはり鼻水が増えます。

アレルギー:過剰な防衛反応の鼻水

一方、後者のアレルギーは、体にとってあまり害にならないものに対する過剰な防衛反応です。例えば花粉症は花粉に対するアレルギー。花粉はウイルスなどと異なり、それほど悪さをするわけではないのにもかかわらず、それを体外へ排出しようとして鼻水が分泌されてしまいます。

このほかにも、生理的なこととして「鼻の粘膜に対する熱刺激」も鼻水の原因になります。ラーメンを食べる時に鼻水が出るのはそのためです。

子供の鼻水の原因

鼻水が出て鼻栓をしている子供
Lazy dummy

では、子供の鼻水の原因に話を進めましょう。

子供はもともと鼻水が出やすい

大人に比べ、子供は耳管が短いことや鼻毛が生えそろっていないことから細菌やウイルスが鼻に侵入しやすいため、鼻水が出やすくなっています。

病気などによる子供の鼻水

子供の鼻水の主な原因を5つに分けて解説します。

かぜなどの感染症による鼻炎

鼻水は、かぜのかかり始めの症状としてよく現われます。また、いわゆる「鼻かぜ」と呼ばれ、かぜの症状が鼻だけに現れることもあります。子供は鼻の中の構造や機能がまだ十分発達していないため、大人よりもウイルスなどに感染しやすく、それも子供に鼻水が多い理由です。また、感染症がだいたい治った後に、鼻炎の症状だけが長引くことも少なくありません。
なお、感染症では鼻の粘膜がむくむため、鼻水だけでなく鼻づまりも起きやすくなります。

アレルギーなどの鼻炎

乳幼児の鼻水の多くはかぜによるものですが、3歳を過ぎてくると、アレルギー性鼻炎のために鼻水が止まらない子供も増えてきます。近年はアレルギー性鼻炎の子供の増加が報告されています。とは言っても、頻度としてはやはり、かぜを中心とする感染症による鼻炎が中心です。
なお、感染症による急性鼻炎とアレルギーによる鼻炎を併発することもあります。

その他の全身の病気による鼻の症状

かぜやアレルギー以外の全身の病気で鼻水が出る子供の病気として、やはり感染症である麻疹(はしか)や百日咳などに注意が必要です。

鼻の中の異物

子供ならではの意外な原因として、鼻の中の異物によって鼻水が出ていることがあります。急性鼻炎だと思って治療したのになかなかよくならず、改めて詳しい検査をしたら鼻の中にモノが入っていたということも。おもちゃの鉄砲の玉、ティッシュ、ピーナッツなど、いろいろなものが原因になります。異物が原因のときは、鼻から異臭がしたり鼻汁に血が混ざったりすることが多いです。

その他、むし歯や鼻の中の形態異常、薬の誤った使用なども

むし歯が原因で副鼻腔炎などを起こし、鼻水が長引くこともあります。そのほかに、遺伝的な要因や、血管収縮作用のある市販の点鼻薬を使いすぎている場合なども、鼻水や鼻づまりの原因になります。

ひどい鼻水による心配な影響

鼻水が止まらないと、鼻を何度もかむために鼻のまわりのお肌が荒れたり痛くなったりしますね。子供の場合、影響はそれだけにとどまりません。

呼吸ができなくなったり、おっぱいを飲めなくなることがある

鼻水の影響で呼吸ができなくなり、おっぱいを飲めなくなっている赤ちゃん
Lazy dummy

子供は鼻の中が狭くて気管支も大人より細いうえに、呼吸運動もまだ未熟です。そのため鼻水を排出する力が弱く、気道がつまりやすくなります。
乳児の場合、低月齢だと特に鼻呼吸がメインなので、哺乳に影響が出ることがあります。

鼻の奥や目の奥などに合併症が及ぶことも

鼻水の原因が細菌感染でありそれを繰り返す場合、炎症反応なども加わって、鼻の奥の粘膜が厚く変化してしまうことがあります。また、鼻副鼻腔炎の合併症で、目の奥や頭のほうに膿瘍(膿み)が広がることもあります。

垂れてくる鼻水の正しい対応

ここからは、子供のつらい鼻水の対症法を解説していきます。

ひどいときはまず受診して

子供の鼻水がひどいときは、悪化してしまう前に小児科や耳鼻科で診てもらいましょう。
鼻水に対しては、出てきた鼻水をふき取るだけでなく、鼻の奥から吸い取る方法があります。医療機関でも行えますが、家庭でもできますので、後ほど紹介するホームケアを試してみましょう。

鼻水の治療は?

症状が鼻に限られている場合は鼻の粘膜の炎症を抑える治療が行われ、熱や咳など他の症状があるときは全身性の病気によるものと考えられ、その治療も進めます。例えば、細菌による感染症なら抗生剤を使いますし、アレルギーに対しては抗ヒスタミン薬といった薬が使われます。ウイルス性の感染症の場合、インフルエンザを除いてウイルスを排除する薬は少なく、症状にあわせた治療が行われます。

子供が鼻水でつらそうなときのホームケア5つ

子供が鼻水でつらそうにしているときに、ご家庭でできる対処方法を紹介します。

1. 自分で鼻をかめないうちは鼻吸い器で

鼻水が溜まったままだと咳き込んだり、よく眠れなくなったり、食事量が減ったり、鼻水をすすることで耳鼻科の病気を起こしやすくなることがあります。鼻がかめるようになるのはだいたい2~3歳なので、それまでは鼻吸い器で吸い取ってあげてください。
吸引を食後や哺乳後に行うと、嘔吐を誘発することがあるため、食前・哺乳前に行います。吸引は少々苦痛を伴うもので、嫌がる子供も多いものです。鼻の粘膜などを傷つけないよう力加減を調整し、終わったらがんばったことをほめてあげてください。

2. 鼻かみの練習方法

鼻をティッシュでかむ練習をしている子供
Lazy dummy

2~3歳になったら、鼻のかみかたを教えてみましょう。

息を吸ってから片方の鼻の穴を横から抑えて、口とあわせて完全に閉じ、鼻から息を吐くという順番です。ティッシュを鼻の前にかざして、それを鼻息で動かせれば、鼻をかめていると確認できます。
個人差があるので最初はできなくても、やさしく教えてください。

3. 「鼻くそ」の正しい取り方

鼻くそは無理して取らないことです。見つけるとつい取りたくなりますが、鼻をかんだりしたときに自然に取れます。気になるなら入浴後などの湿っているときに、綿棒を使って鼻の穴の入口だけ拭ってあげましょう。

4. 鼻周りのスキンケアも忘れずに

鼻水が垂れたり、鼻を頻繁にかんだりしているときは、鼻のまわりの肌荒れのケアも必要です。ワセリンや保湿クリームを塗ってあげてください。

5. 息苦しそうにしている時の対処法

鼻水や鼻づまりのために寝苦しそうにしていたら、鼻の付け根のあたりを温めてあげると鼻の通りがよくなります。寝る前に入浴させるのもよいでしょう。
室内は適度に加湿・加温してください。もし、鼻水や鼻づまりのために食べ物を食べづらそうなら、一口ずつ時間をかけて食べさせてください。

まとめ

鼻づまりが解消した子供
Lazy dummy

大人と違って子供では鼻水ひとつが、大きな負担になっていることが少なくありません。子供はそのつらさを口にしないことが多いので、大人が気づいてあげましょう。鼻水は気温変化などの刺激で生理的に出ることもありますが、かぜなどの感染症によるものが多く、その場合きちんとした対処が必要です。鼻水以外の症状があるときや、鼻水が長引く場合には、医師に診てもらってください。

(文:久保秀実/監修:梁尚弘先生)

※画像はイメージです

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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