【医師監修】赤ちゃんのアトピーってどんなもの? 症状や原因は?

【医師監修】赤ちゃんのアトピーってどんなもの? 症状や原因は?

赤ちゃんの顔や体に赤いブツブツができると、「これってアトピーなの?」とドキドキしてしまいますよね。アトピー性皮膚炎になるのは生後どのくらいからなのでしょうか。赤ちゃんのアトピー性皮膚炎について詳しく説明します。


赤ちゃんのアトピー性皮膚炎はどんなもの?

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まずは赤ちゃんがアトピー性皮膚炎になったときの症状についてみていきましょう。

2歳未満までのアトピー性皮膚炎の症状

2歳未満までのアトピー性皮膚炎は、まず頬や額、頭がカサカサに乾燥して赤みを帯びることで始まります。この赤みは徐々に強まってかゆみのある盛り上がり(丘疹)ができます。この丘疹はかゆいのでかいてしまい、じゅくじゅくしたりかさぶたができたりします。

そのうち耳や口のまわり、頬、顎など顔全体に症状は拡がります。その後、首やわき、ひじや膝の裏などのよくこすれる部分や、胸、おなか、背中、脚などにも赤い斑点や丘疹がでるようになります。

このような経過をたどる症状がだいたい左右似た場所にあり、1歳未満の乳児の場合2ヶ月以上、1歳以上の場合は6ヶ月以上続くようならアトピー性皮膚炎と診断されます[*1]。

アトピー性皮膚炎とまぎらわしい別の病気や症状
赤ちゃんのアトピーは乳児脂漏性湿疹と見分けがつかないことも多いのですが、こちらは生後2ヶ月までの赤ちゃんに多く出るものであり、多すぎる皮脂を適度に洗浄するなどのスキンケアのみで月齢とともに治ります[*2]。

ほか、かぶれやあせもも、アトピー性皮膚炎とよく似ています。いずれにしても、皮膚科などの医療機関を受診して医師に判断してもらいましょう。

赤ちゃんの時は多いが成長とともに減っていく

アトピー性皮膚炎と聞くと、びっくりしてしまいますが、実は赤ちゃんではめずらしい病気ではありません。

1992年~2002年の10年間における、国内での皮膚科医の健診によるアトピー性皮膚炎有症率調査に関する報告では、年齢別の有症率は、乳児で 6~32%、幼児で 5~27%、学童で 5~15%、大学生で 5~9%という結果が出ています[*1]。

つまり、アトピー性皮膚炎は乳幼児・小児期に発症することが多いのですが、成長とともに患者の数は少なくなる傾向があります。

赤ちゃんのアトピー性皮膚炎の原因は?

さて、赤ちゃんのアトピー性皮膚炎がどんなものであるのか紹介しましたが、そうなる原因はあるのでしょうか。

もともとの体質にいろいろな要因がからんで起こる

アトピー性皮膚炎は、赤ちゃんに限らず、もともとの体質(アトピー素因)に加え、皮膚のバリア機能の異常やアレルギーを起こす物質(アレルゲン)の体内への侵入などが関連しあって起こります。

アトピー素因とは、家族に気管支喘息、アレルギー性鼻炎、結膜炎、アトピー性皮膚炎病気を持っている人がいたり、過去にかかったことがあったりする人、またはIgE 抗体を産生しやすい体質などが当てはまります。

さらに、唾液や汗、髪の毛、衣類、洗剤などといった肌に刺激を与えるものに触れたり、 汗をかきすぎたりすると症状が悪化します。汗の成分は肌の保湿などに役立つのですが、汗をかきすぎて皮膚が高温多湿になったり、汗の成分が皮膚に残ったりすると逆に症状を悪化させる要因となります。

アトピー対策を教えて!

アトピー性皮膚炎は、きちんと診断を受けて症状にあった薬を処方されたら、家でのケアが重要になってきます。

医療機関を受診して、アトピー性皮膚炎と診断されたら、医師の指示に従ってケアを行うようにしてください。また、症状を悪化させないために、普段から赤ちゃんの爪はよく切っておき、できればやすりをかけておきましょう。

何科を受診すればいい?

赤ちゃんの皮膚に異変を見つけたら、皮膚科医や小児科医を受診しましょう。湿疹やかきこわしてのかさぶたなどの症状が重い場合は、なるべくアレルギーを専門とする小児科か皮膚科を受診することをおすすめします。

医療機関では、症状の状態(かゆみの有無や湿疹の出方)やそれがどのくらい続いているのかを考慮しながら診断が下されます。

アトピー性皮膚炎だと診断されれば、塗り薬、飲み薬、保湿剤の3つが処方されることが多いです。塗り薬は湿疹の炎症症状を抑え、飲み薬はかゆみやアレルギー反応を体内から抑えることができます。そして保湿剤を塗ることでしっとりとした状態を保てば、皮膚の湿疹やかゆみが出にくくなります。

薬は欠かさず、指示された量をきちんと塗る

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お薬をぬるのに最適な時間帯は皮膚が清潔でしっとりとした状態になる「お風呂あがり」です。体を拭くときはゴシゴシとこすらずに肌を軽くタオルで押さえるようにし、ぬり薬を皮膚になじませていきます。1日2回で処方されている場合は、翌朝着替えるときにももう1回ぬるようにしましょう。

アトピー性皮膚炎のぬり薬は、ぬる場所と量を守ることが大切です。ぬり方は 医師の指導を受けるようにしてください。

お風呂

お風呂でゴシゴシ洗うと症状が悪化します。普通の石鹸を泡立てて、手で優しく洗うようにしてください。石鹸が残らないようにすすぎもしっかり行いましょう。

汗をかいたまま放っておくとかゆみが強くなるので、夏は汗をかいたらすぐにシャワーで汗を流すようにするとよいでしょう。

住環境

よく掃除をしてホコリを取り除き、カビを生やさないようにしましょう。ダニを減らすために、布団はこまめに干すか、布団乾燥機を使うようにしましょう。

干したり乾燥機をかけた後に掃除機で布団を掃除するとより効果的です。ホットカーペットや電気毛布も定期的に使うとダニを減らすのに役立ちます。

赤ちゃんのいる家は、フローリングにやわらかいジョイントマットを敷いている家も多いはずです。ジョイントマットは汚れたらすぐに拭き取れるので一見清潔そうに見えますが、はがしてみると床に結構小さなゴミがたまっているものです。ですから、こまめにジョイントマットをはがして掃除機で床のゴミを吸い取ることをおすすめします。

服装

特に肌着には洗いやすいもの、かぶれにくいもの、吸湿性や通気性のよいものを選びましょう。ゴワゴワと堅い服ではなく肌触りのよい柔らかい服がおすすめです。また、新しい服は一度洗ってから着せれば、かぶれることが防げます。洗濯の際には洗剤が衣服に残らないようにすることも大切です。

よくある疑問Q&A

赤ちゃんのアトピー性皮膚炎について、よくある質問についてお答えします。

Q.ステロイドは怖いイメージがあるので塗りたくないのですが…

A.ステロイドによって症状を早めに落ち着かせることが大切です

ステロイド外用薬には皮膚の炎症を抑える効果があり、アトピー性皮膚炎の薬としては基本となるものです。ステロイド外用薬の強さには5段階あり、症状にあった強さのステロイド外用薬を使い、症状を安定させて維持できれば寛解(治療を続けることで症状のない状態が続くこと)できる可能性があります。

ステロイド外用薬を使用し続けると、皮膚がうすくなったり、赤みがでたり、細い血管が拡張したりするといった副作用はありますが、これは薬の使用をやめるなどすれば軽快します。また、中途半端に使って急にやめると症状が悪化することもありますが、これも徐々に使用を少なくしていくことである程度防ぐことができます。

医師は、ステロイドを使用することによるメリットと副作用のデメリットをよく考えて薬を処方しています。医師の指示に従わず、少なすぎる量を塗っていたり、回数を減らしてしまったりすると期待された効果が出ず、症状がなかなか収まらないので、かゆくてかいてしまい症状は悪化する、といった悪循環に陥ってしまいます。

悪循環に陥ると症状を抑えるためにステロイドの使用量が結局増えてしまうので、必要な時に必要な量・回数をしっかり使用し、早めに症状を抑える事が非常に重要となります。ですから、医師からの「どの薬」を「どの部位」に、「どのくらいの量と回数」で、「症状がどのようになるまで」塗るのかの指示を守って塗ることがとても大切なのです。

症状は変化していきますので、定期的に同じ病院に通い、その都度適切な薬をもらって指示をあおぐようにしましょう。ステロイドと聞いて拒否したり、自己判断でやめたり、病院を次々と変えたりすると、かえって治りにくくなってしまうリスクもあります。

Q.アトピーは治るの?

A.人による。でも、乳幼児のアトピー性皮膚炎は良くなることが多い。

アトピー性皮膚炎の原因は複雑なので、治るか治らないかは人によります。ただ、「赤ちゃんの時は多いが成長とともに減っていく」で紹介したとおり、多くの人は成長につれて治っていきます。

乳幼児のアトピー性皮膚炎の発症・経過については、こんな研究もあります。

2006~2008年度厚生労働科学研究で、横浜市、千葉市、福岡市における乳幼児健診での生後4ヶ月月~3歳の追跡調査をしたところ、生後 4ヶ月健診を受診した乳児のうち16.2%はアトピー性皮膚炎を発症していたのですが、そのうちの70%が1歳6ヶ月で寛解していたということです[*1]。

まとめ

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アトピー性皮膚炎は、アトピー素因と呼ばれる生まれつきの体質に、さまざまな要因が重なって発症します。成長につれて症状がなくなる人は多い傾向にありますが、一部の人は成人になっても症状が続き、この場合、慢性疾患なので長く付き合う病気になります。赤ちゃんにアトピー性皮膚炎の疑いがある場合は、まず医療機関で確認してもらいましょう。そして、診断を受けたら根気よく通院しつつ、家でのケアも行っていくようにしましょう。

この記事の監修ドクター
大越陽一先生
杏林大学医学部卒業、杏林大学医学部小児科学教室任期助教、埼玉県立小児医療センター循環器科医長を経て現在アルテミスウィメンズホスピタル小児科部長。小児科専門医

(文:今井明子/監修:大越陽一先生)

※画像はイメージです

参考文献
[*1]日本皮膚科学会:アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2018
https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/atopic_GL2018.pdf
[*2]内外出版社「小児科医ママの子どもの病気とホームケアBOOK」(森戸やすみ) P.100

※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

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