【医師監修】いよいよ出産準備、お産にのぞむ“心の備え”とは?

【医師監修】いよいよ出産準備、お産にのぞむ“心の備え”とは?

待望の出産の時が近づくと、喜びとともに不安もよぎり、すこし複雑な気持ちになるかもしれません。赤ちゃんを迎える物品などの準備と同時に、大切な心の備えについてまとめます。


みんなわくわくと同時に不安も?

出産準備をする妊婦
Lazy dummy

出産を間近にして、松峯先生は「ちゃんと産めるか、育てられるか不安」といった訴えを聞くことが多いと話します。早い人では出産前からマタニティブルーズ(後述)のような情緒不安定を訴える場合もあるとのことです。

松峯先生
「特に初めて出産にのぞむ場合などで、不安な気持ちになる人は少なくないですが、それはとても自然なことだと思います。不安をやわらげる方法をいくつか試してもらい、自信が自然と回復するようにケアします。
よく伝えているのは、私の産科の師匠でもある勤務先の院長の言葉、『妊娠できる体は産める体、産める体は育てられる体』というものです。
すべてのママに自信をもって出産・育児にのぞんでいただきたいと願っています」

不安“快笑”のために試してみるといいこと

松峯先生が出産にのぞむママたちに提案しているという「不安をやわらげる方法」について聞きました。

リラックスの練習

リラックスをする妊婦
Lazy dummy

深呼吸をして体の余計な力を抜き、リラックスしましょう。
出産本番での体の緊張をゆるめる練習にもなるそうです。
コツは、鼻から息を吸い、なるべく長く吐くこと。BGMにヒーリング音楽を流したり、好きな香りの入浴剤を入れた風呂につかりながら行うのもいいでしょう。

松峯先生
「体の緊張やこりをほぐすことは、心のケアにもつながります。普段、忙しい妊婦さんも産休に入ったらまず“リラックスの練習”として隙間時間に腹式呼吸をしてみるといいかもしれません。就寝前にラクな姿勢で目を閉じ、脱力して深呼吸をするのもいいですね。自然な眠気が訪れたら、そのまま休みましょう」

不安の言語化

医師に不安を打ち明ける妊婦
Lazy dummy

身近な人で、出産や育児について理解がある人に不安を素直に話してみましょう。
パートナーだけでなく、主治医や助産師、母親や友人など、信頼できる人に話すうちに気持ちが整理され、落ち着く場合もあります。

松峯先生
「当クリニックのある東京都江東区では保健師さんなどによる面接制度があり、また、私が副センター長を務める産前産後ケアセンターでは、心理カウンセラーが面談を担当することもあります。
心のケアを必要とする妊婦さんは決して少なくないので、多くの自治体や産院などが何らかのケアサービスを設けていると思いますから、親など身近な人に頼れない時も身近な窓口を探してみましょう。1人で不安を抱え込まないことが大切だと覚えておいてください」

バースプランの作成

妊婦によるバースプランの作成
Lazy dummy

自分らしいお産をするために今後の希望を書いておく「バースプラン」。書式は自由でよいので、次のようなことをまとめ、家族や主治医、助産師に共有し、プランを実現する具体策について相談しておきましょう。
松峯先生は妊娠28〜30週ごろに書くことを勧め、34週ごろに提出してもらっているとのこと。自分が伝えたい項目だけでも、書いてみましょう。

バースプラン 項目の例
<入院からお産まで>

陣痛が始まってからお産までの過ごし方
入院に持ち込みたい物
希望する分娩スタイル
パパや家族の立ち会いについて
分娩においてしたいこと、したくないこと

<産後入院>
入院中はどのように過ごしたいか
育児に関する希望
母乳に関する希望
主治医や助産師への希望・相談

<その他>
自身の体のことで心配なこと
家族に関する心配なこと
パパの希望

松峯先生
「ママと赤ちゃんの安全第一なので、お産の経過によってはプラン通りにいかない場合もありますが、ママの希望を周囲が共有していることは大切です。より安心してお産にのぞんでもらえると考えています」

マタニティーブルーズについて知っておく

産後3〜10日にホルモンの急激な低下などが主な原因で起こる心の変化を「マタニティブルーズ」と呼びます[*1]。出産後の女性の30〜50%が経験する[*2]、とても一般的な精神状態で、涙もろくなる、気分が落ち込む、不安感が強いなどの症状がありますが、10日ほどで自然に回復するケースがほとんどなので、特に治療は必要ないとされています。

松峯先生
「この時期に情緒が不安定になったら、パソコン、テレビから離れて『心と体を休めて』あげましょう」

なお、マタニティーブルーズのように産後の精神不調が出るものに「産後うつ症」があり、症状が2週間以上続きます。マタニティーブルーズとは異なり、治療が必要な病気だということも併せて知っておいてください。

もう1人の「子育て当事者」としてパパの心の備え

子育て当事者のパパによる子供のお世話
Lazy dummy

大きなお腹で生活する大変さ、陣痛の痛みなど、出産までのことは男性に伝えてもなかなか理解してもらえないものかもしれません。しかし、赤ちゃんが生まれてからの育児についてはパパも当事者となるので、事前準備が必要です。

松峯先生
「出産前に自治体や産院が開催している『育児教室』などに両親で参加してみましょう。沐浴やおむつの替えなど、具体的な育児の練習を通じてモチベーションが上がり、心の備えにもなります」

入院中にパパに沐浴などのハウツーを教えてくれる産院もあるので、パパが自力でできることが増える機会を逃さず、ぜひトライしてみましょう。

子育て当事者のパパによる家事のお手伝い
Lazy dummy
松峯先生
「育児で大変な最中に『何か手伝うことある?』といってくれるパパは多いです。優しい気遣いですが、実はこれは脇役のセリフ。パパは脇役ではなく、ママと2人でW主役なのです。『僕がやります!』と自分が中心になって育児に取り組む姿勢があるとますます好感度アップ◎。
育児でなくても、家事でもOK。産後ママの心の平穏のためにも、パパができることは多いほうがいいでしょう⁉︎ 家事・育児をママだけが担っているご家庭が少なくないですが、育児は夫婦で乗り切るもの。ママだけのワンオペならないように、パパにもがんばってもらいましょう。」

産後ケアについて準備する

出産前の漠然とした不安が、出産後により具体的になることもあります。そんな時にSOSが出せる場所をあらかじめ準備しておくと安心かもしれません。
松峯先生は「早く仕事復帰して、仕事も頑張りたい」と思うママこそ、育児や家事を1人で抱え込まず、上手にサポートを利用する備えを考えてほしいと話します。

松峯先生
「基本的には『教科書通りの育児はない』と思って、やれることを無理ない範囲でやれば十分です。しかし不安になるのも自然なことで、その時の備えとして特に『1ヶ月健診後、育児の悩みや疑問を相談できる場所』を確保しておくといいでしょう。
インターネット上にたくさん情報があっても、自分の状況に合う情報を見つけるのは難しいですし、その通りに実行できているか、かえって不安になることもあるものです。
お母さんや身近な先輩ママでもよいですが、自治体と産院が連携して行われる産後ケア事業では、助産師などプロに見てもらえ、教えてもらえます。母乳やセックス、次の妊娠などの悩みについても話しやすいかもしれません。不安になったら、誰かに相談し『大丈夫!』と太鼓判を押してもらえたら安心ですね」

産後ケア事業には訪問型やデイサービス型、ショートステイ型などがあります。住まいのある自治体の産後ケアサービスについて、まず調べてみましょう。また、近隣の利用しやすそうな民間サービスも出産前にチェックをしておくと安心です。

松峯先生
「体を十分に休めることが大切な産褥期(産後6~8週までの時期)でも、ママは家ではゆっくり休みづらく、つい働きすぎてしまいがち。利用できるサポートは十分に利用し、たまには思い切って休みましょう。ママが心身ともに余裕をもつことが、赤ちゃんのいる生活を軌道に乗せるためにいちばん大切なことです。
産後のあり方は変わってきています。海外では、両親などが出産祝いに産後ケアをプレゼントする風習がある国もあります。日本にもそうした習慣が根づくことを願っています」

まとめ

微笑む妊婦
Lazy dummy

出産を控えた時期の心の備えとしてできることがたくさんあります。自然に起こる不安を1人で抱えたままにはせず、利用できるサポートを上手に活用しましょう。ママだけでなく、パパ事前準備を十分にして、赤ちゃん誕生の喜びの日を迎えてください。

この記事の監修ドクター
松峯美貴先生
医学博士、東峯婦人クリニック副院長、東峯ラウンジクリニック副所長、産前産後ケアセンター東峯サライ副所長(いずれも東京都江東区)妊娠・出産など女性ならではのライフイベントを素敵にこなしながら、社会の一員として悠々と活躍する女性のお手伝いをします! どんな悩みも気軽に聞ける、身近な外来をめざしています。
http://www.toho-clinic.or.jp/

(文・構成:下平貴子、監修:松峯美貴先生)

※画像はイメージです

参考文献
[*1] 日産婦学監修 Babyプラス p91
[*2] 日本産婦人科医会「マタニティブルーズについて教えてください」

※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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