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2020年07月02日 17:40 更新

いつも気負わずニュートラルが大事!新卒から営業職 葛山みずほさん #働くママの人生

赤ちゃんとの生活がスタートして慣れたと思ったら、保活・職場復帰、仕事との両立などなど、働くママは心も身体も忙しい毎日。他のママたちはどんな風に1日を過ごしているのか、どんな考え方で育児をしているのか、夫婦間での分担は?など、働くママが知りたい、リアルな日常をインタビュー。

フルタイムで働くママは、仕事と育児にどう向き合っているのでしょうか。今回は、女性のキャリアと社会とつなぐべく、顧客からさまざまな仕事を請け負う企業で営業職・マネージャーを務め、育児にも奮闘中の葛山みずほさんにお話を伺いました。

プロフィール

・お名前:葛山みずほさん(40歳)
・業種:各種アウトソーシング請負・コンサルティング業
・役職:法人事業部 マネージャー

群馬県出身。5歳の女の子のママ。
学生時代は陸上サークルに所属し、競技に、そしてサークル内の盛り上げ役として活躍。
ひとり旅にも熱中し、長期休みはほぼ海外へ。バックパッカーやボランティアキャンプに参加し、在学中はモロッコやトルコなど10ヶ国を回った。
2002~13年、福利厚生アウトソーシングサービス会社で営業職。新規開拓から既存取引先のフォロー営業まで幅広く担い、自治体向け受託案件に関する業務責任者も務めた。親会社の人材派遣企業への出向も経験し、在職中に結婚。
離職後に念願の長女を授かり、2016年、現在の会社へ入った。再び営業職として取引先の獲得などに奔走。現在は法人事業部でマネージャーを担い、後輩社員の指導も行う。

1日のスケジュール

5:30 起床 朝活や好きな雑誌を見るなど、フリータイム
6:30 自分と子供の1日の準備
7:00 子供を起こし、可能な限り家族一緒に食事をとる
7:30 身支度
8:15 自宅を出発。子供を保育園に預けて出社
9:00 会社始業 社内業務(資料作り、案件社内連携)
12:00 客先へ移動しながらランチ
13:00 クライアント訪問(新規案件打ち合わせ)
16:00 クライアント訪問(既存顧客打ち合わせ)
17:00~18:30 保育園近くのカフェでテレワーク
18:30 終業
19:00 保育園お迎え
19:30 帰宅
19:30~20:00 夕食準備
20:00~21:00 子供と夕食、入浴、子供との時間を過ごす
21:00 夫が帰宅 家族の時間
22:00 子供と一緒に就寝

ずっと営業職。でもそれは、自然な流れから

——新卒入社の会社、そして産後に転職した会社でも営業職をされているんですね。

「大学を卒業してすぐ、福利厚生アウトソーシングサービス会社の営業職に就きました。担当は、取引先の新規開拓や既存のお客様のフォローなどです。希望の職種を営業にしぼっていたわけではありません。せっかく働くならやりがいのある仕事がしたい、と思いながら就職活動をしていき、学生時代にアルバイトで営業を経験したのが思いのほか楽しくて……

結果、営業職が適職だったのかなと感じています。働きはじめたころは、日々自分で納得がいくまで仕事をしていて、気づけば夜の11時や12時まで残業、なんてこともありました。その後、業務責任者も務め、やりがいを感じていましたが、不妊治療に取り組むため12年目に離職を決意しました。

出産後に入った現在の会社でも、4年ほど営業職を務めていますが、これも強く希望したというよりは、『いい仕事がしたい』と思いながら自然な流れに身を任せていたら、営業にたどりついた、という感じです」

出産、子育ての経験から生まれたものは、小さくて大きい

——職場のメンバーとの人間関係は、ママになって変わったのでしょうか?

「変わりましたね。社内では、相手の状況に気を配るようになりました。以前は、仕事で大事なときに、家庭の事情で早く切り上げて帰るなんて考えられない、と思っていました。

しかし、私自身も家庭を持って子供を育てるようになってみると、家族、特に子供には、急な発熱をはじめいろいろなことが起こります。そんなときに、大事な家族のそばにいてあげたい、家庭は仕事と同じくらい大切なもの、と考えるようになったのです。仕事に真摯に向き合っていても、家庭を優先すべきときもある。『人の行動には、私が知りえない理由があるかも』と、相手の状況や心情を酌むようになりました」

——お客様とのやりとりについて、変化はありましたか?

「これが、大ありで。小さな変化が、大きな宝物となった、と感じています。
まず、営業先のお客様との話題の幅が広がりました。出産前は、商品を売るための課題解決をふまえ、そこにフォーカスして商談をしていました。それが出産後はお客様と話していて、ふとした瞬間に家庭の話が出るようになったのです。

そして、仕事のチャンスが生まれるのは、そういった雑談の中から出てくることも多くて。子育ての話から、『わが家はこうですよ』なんてご自分のことを話してくださって盛り上がり、そこで『そういえば、こういうことをお願いできる?』とお客様から新しい案件をいただく機会が増えました。これは、商談の中にも、気を許して話せる瞬間があるから、心を開いて話してくださるからこその、ありがたいことだと受け止めています。

また、私が取り扱う案件は、働くママが多い在宅ワーカーのスキルを活用することが多いです。自分たちの商材と、自分の環境がリンクしている点も、商談には有利でした。ワーママであることが私の宝であり、営業スタイルに大きな変化をもたらしました」

いつも気負わず、ニュートラルな気持ちでいること

——仕事と育児とで、日々忙しいですよね。両立はどのようにしていますか。

「再就職するときは、自分がどれだけ働けるのかも未知数で、育児と両立できるのかも不安だったので、まずはパートで週4回、時短勤務で働きはじめました。そして少しずつ、フルタイムにシフトしていったのですが、慣れてもやはり、働きながらの育児は大変です。どうバランスをとるのがいいのか、試行錯誤を繰り返すうちに、私は育児には『絶対に自分がやるべきもの』と、『そうでないもの』があると考えるようになりました。

たとえば、子供の教育方針を決めていくのは前者、家事に分類されるものは後者。後者には、食洗器や洗濯乾燥機、お掃除ロボット、いわゆる『ワーママ三種の神器』を活用しています。この3つは生活に欠かせません。いつも助けてもらっています(笑)」

——難しいと思う部分は? また、両立のコツを教えてください。

「難しいのは、オン・オフの切り替えと、タイミングの見極めです。営業の仕事はお客様に合わせる部分も多く、前職では時間を気にせず、自分の裁量で働きました。でも、今は子供を保育園に迎えに行くというタイムリミットがあります。両立のコツは、とにかく時間を大切にすることですね。限りがあるからこそ、より集中してのぞむ。無理だと思わずに、どうやったらできるのかを考える、というところでしょうか。出産前よりも今のほうが、担っている仕事量は多いですが、以前の何倍も創意工夫をして、乗り切ることができるようになりました」

——なるほど。ちなみに家庭では、育児や家事は夫婦でどう役割分担していますか。

「夫には、洗濯と家の掃除、週1回の子供の迎え、ごみ捨てを担当してもらっています。それから、土日は1日ずつ、夫婦どちらかが子供と過ごす日、と決めています。夫が子供と過ごす日は、私は日中ひとり。大好きなカフェで好きな本を読んだり、友だちと遊びに行ったりと、自由に過ごすんです。こういった役割分担で、リフレッシュできている部分は大きいです。

夫は主体的に育児をする人ですが、それは初めからではありませんでした。経験のない育児は、私はもちろん、夫も戸惑いがたくさんあったと思います。娘が生まれてから、常に育児に取り組もうとする姿勢を見せていましたが、お互いに、今何をすべきか、という部分で歯車はうまく回っていませんでした。

私が里帰り出産から戻って、3人の暮らしがスタートして、疲れが出たころのことです。私はおむつ替え中で、夫がニコニコしながら、『どうしたらいい?』という表情で、私の隣でいわゆる指示待ちのようにたたずんでいる姿に、逆上して『まさか仕事でそうじゃないよね?考えて動いて!』と叫んでしまったことがあったのです。その瞬間、はっとした顔をした夫は、おむつを捨てるためのごみ袋の準備を始めました。それ以降は、私が何をしているかをしっかり見て、私が今してほしいこととその先を考えて、育児に取り組むようになったのです。今となっては、夫には本当に感謝ばかりです。ママ友からも、よくうらやましがられるんですよ」

——日々の暮らしで、心がけていること、大事だと思うことはありますか。

「笑っていること、いつも自然体でいることです。常に片づいた家、しっかりした食事が大事と思っていたけれど、家族の一番の幸せは、そこじゃないんだと。育児や家事をしっかりやっても、私が疲れた顔、不機嫌な顔でいては、家族は幸せではない。ならば、ちょっと苦しいときは、あえて家事をちょっとお休みしちゃって、自然な笑顔でいられるようにしよう、と考えるようになりました。

今思えば、その辺りから、何か問題が起きたときでも、夫婦でしっかり向き合い、落ち着いて話し合って解決できるようになっていったと思います。気持ちがニュートラルであること、とでもいうのでしょうか。これって、全てにおいてとても大事だと思います」

働くということ、ママであるということ

——再就職を考えたのは、どんな理由から?

「不妊治療から待望の妊娠出産を経て、幸せいっぱい、でもいろいろな制限がかかる生活がスタートしました。たとえば授乳中に、ふと目の前のゴミが気になっても、拾いに行くこともままならない。ご飯を作るにも、まずは子供が食べられるものが最優先。子供が生まれたこと自体が大きな喜びでしたから、『大変だけど幸せ』という気持ちで毎日を過ごしていました。

でも、ふとした瞬間に思ったのです。
『私のキャリアは、どうなっていくんだろう。もともと私は、仕事が好きだった』」

——仕事をしたい、という思いが生まれ、膨らんでいったのですね。

「子供はかわいいし、誰よりも愛しています。だけど、社会とつながりたい、自分を出していきたい、という思いが強くなって、子供が1歳を過ぎたころ、就職活動をはじめました。ママとしての生き方にはいろいろな選択肢がある中で、私はどちらかというと『自分がどうありたいか』を優先したかったのだと思います」

——今後の目標を聞かせてください

「仕事の面では、目標はあまりしぼらずに、自分のアンテナを信じて進んでいきたいです。自然体の中から生まれるアイデアを、スピーディーに形にできるようでありたいと思っています。

そして、そのベースには、夫婦仲はよく、家族が円満であることがあると思っています。母としては、子供にとって私が『楽しそうに暮らし、チャレンジ精神にあふれるお母さん』と映っていたらうれしいです。そして、私の姿から、子供が『自分でやりたいことを見つけたい、やってみたいと思ったことはチャレンジしよう』という考えを持ってくれたら、そんな幸せなことはないですね」

(取材・文:内田知子)

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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