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2021年01月29日 10:50 更新

【医師監修】赤ちゃんの突発性発疹はうつる?  症状や感染経路、治療法

2~3歳になるまでに、ほとんどの子供がかかるといわれている突発性発疹。生まれて初めての発熱が突発性発疹ということも珍しくありません。ウイルスが原因の感染症の一種ですが、子供同士で病気がうつることはあるのでしょうか?

そもそも突発性発疹って?

突発性発疹を起こした赤ちゃんのイメージ画像
Lazy dummy

まずは突発性発疹の概要について知っておきましょう。

突発性発疹ってどんな病気?

突発性発疹はその名の通り、突発的に発疹が起こる病気です。最初の症状は発熱であることが多く、それまで元気にしていた赤ちゃんが突如として高熱になったかと思うと、その状態が3~4日続きます[*1]。

その後、熱は自然に下がり、それと同時期に今度は発疹が現われます。小さくて赤い発疹が体幹からはじまり、全身へと広がった後、3日ほどでこれまた自然に、跡を残さずきれいに消えていきます[*1]。これが突発性発疹の一般的な経過です。

突然の発熱……でも元気な時は突発性発疹の可能性も

突発性発疹は、38~39℃の高熱が出るにもかかわらず、子供は元気で機嫌の良いことが多いのも特徴です[*2]。全般的に経過の良い病気で、最初に症状が現われてから1週間ほどで自然に治ることが多いといわれます[*1]。

感染症ですが、とくにかかりやすい季節や流行しやすい季節もありません。解熱し、発疹が出る頃にはウイルスの排出もなくなるため、熱が下がっていて機嫌が良く、体調に問題がなければ保育園や幼稚園に登園しても問題ないとされています。

うつる病気? 突発性発疹の感染経路をチェック

感染症と聞くと、きょうだいやほかの子にうつらないか、心配になることもあるでしょう。子供同士で突発性発疹がうつることはあるのでしょうか?

突発性発疹の主な原因はヘルペスウイルスへの感染

突発性発疹の主な原因となるのはヒトヘルペスウイルス6型(HHV-6)というウイルスです。HHV-6はヒトの唾液中に主に存在していて、このウイルスに生まれて初めて感染したとき、突発性発疹を発症するといわれています。

原因となるウイルスはHHV-6のほかに、同じヒトヘルペスウイルスでも型の違う7型(HHV-7)など、いくつか存在します。原因となるウイルスが異なると、複数回発症することもあります。

感染経路は経口または飛沫感染

唾液にウイルスが含まれるため、感染経路としては食事などを介して感染する「経口感染」または、咳やくしゃみによる「経気道感染(飛沫感染)」、皮膚や粘膜の直接的な接触、手などを通じた間接的な接触から感染する「接触感染」が考えられます。

ただし、ウイルスそのものの感染力は弱く、ほかの感染症のように保育園などで流行することは通常ないとされています。

突発性発疹は誰からうつる?

主に家庭内で感染すると考えられています。両親やきょうだいの唾液を介して感染することが多いようです。

ときに小規模の局地的な流行が起こることもありますが、子供同士の間での感染は少ないとされています。

突発性発疹の症状の特徴は

赤ちゃん
Lazy dummy

突発性発疹の症状についてまとめました。

発疹はどうやって出てくる? 顔にも?

突発性発疹の場合、発疹が出てくるのは、発症から4日ほどたったころといわれています。
最初の症状である発熱が3~4日続き、おさまってきた頃、胸やお腹などの体幹部を中心に赤く細かい発疹が現れます。

発疹は全身に広がっていき、個人差はありますが、手足や顔にも出るとされています。ただし、かゆみはあまりなく、3日ほど経つとあとを残さず消えていきます[*1]。
また発熱だけ、発疹だけなど、目立った症状が見られない不顕性感染の場合もあるようです。

発症しやすい時期について知りたい

突発性発疹は約90%が1歳以下(生後6ヶ月~1歳)で発症するといわれています[*1]。それは、そのころに母体からもらった抗体(移行抗体)が消え始めることが関係しています。

ほとんどが幼少期に発症し、2~3歳までにはHHV-6/HHV-7への抗体保有率(つまりそれまでに感染したことがある割合)はほぼ100%に達します[*1]。

合併症のリスクは?

突発性発疹は、基本的に経過や予後が良好な病気として知られています。しかし合併症のリスクがないわけではありません。

突発性発疹とともに熱性けいれんを起こすことがある

発熱してすぐのころに熱性けいれんを起こすことがありますが、これはあまり心配のないことが多いとされています。

熱性けいれんとは、一般に生後6ヶ月~5歳くらいまでの発熱時に起きるけいれん発作のことで、手足をガクガクさせる発作を生じることが多く、通常は2~3分すると自然におさまります[*3, 4]。

熱性けいれんの発作が起きたら子供の衣服をゆるめ、呼吸が楽になる体勢をとらせましょう。可能であれば発作の続いた時間や発作が起きたときの様子などを記録しておくとよいでしょう。けいれんがおさまったら意識の状態を確認してください。

5分以上けいれんが続いたり、意識が戻らなかったりしたときはただちに受診してください。救急車を呼んでもよいでしょう[*3]。症状が治まり、意識が回復した場合でも、受診するか電話で相談するようにしましょう。

ごくまれに脳炎、脳症も

突発性発疹では、ごくまれに脳炎、脳症などを起こすこともあります。5分以上持続するけいれんがあったり、呼びかけてもぼんやりしている時は、すみやかに医療機関を受診しましょう。

突発性発疹の治療と家庭でのケア

哺乳瓶をしゃぶる赤ちゃん
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突発性発疹の治療や、家庭でできる対応は以下の通りです。

突発性発疹の特効薬はある?

突発性発疹に対する特効薬はありません。突発性発疹らしき発熱があっても、機嫌が悪くなったりぐずったりせず、普段通りミルクや食事が口にできており、排尿・排便できていれば、すぐに受診する必要もありません。

突発性発疹は自然に治ることが大半で、特別な治療は必要ないとされています。ただし熱が続いてつらそうな時などは、症状を和らげる治療を行うこともあります。


なお、突発性発疹だと思っていたけれど、じつはほかの病気だったという可能性もあり得ます。
子供に発熱があったとき病院を受診するかどうか、参考になりそうなポイントを以下にまとめました。

受診の目安は?

すぐに受診

・生後3ヶ月未満で38 ℃以上の熱がある
・ぐったりして顔色が悪い
・呼びかけてもぼんやりしている
・何度も嘔吐する
・水分がとれず、半日以上尿が出ない
・初めてけいれんした

上記に当てはまる場合は、すぐに受診しましょう。夜間であっても救急外来などの受診をおすすめします[*5]。

診療時間内に受診

元気でも熱が3~4日以上続いている場合は、医療機関を受診したほうがよいでしょう[*5]。

夜間の場合は翌日になってから、休日であれば週が明けてからなど、医療機関の診療時間内の受診で構いません。

子供は朝、熱が下がっても、午後から再び発熱することもたびたびあります。そのため、できれば午前中に受診するのがよいでしょう。

判断に迷うときは

ぐったりしているような気がする、ふるえているけど、これって熱性けいれん!? など、急いで受診すべきどうか、判断がつかないときは小児救急電話で相談してみることをおすすめします。

短縮番号「#8000」に電話すると、各都道府県の窓口に自動転送されるようになっており、電話口の小児科医師や看護師から、赤ちゃんや子供の症状に応じた対処の仕方、受診可能な病院などのアドバイスを受けることができます。

子供を持つ親にとって心強い味方となるはずです。ぜひ積極的に利用してください。
なお、窓口につながる時間帯は自治体によって異なります。下記のサイトであらかじめ確認しておきましょう。

自宅では安静にしてこまめに水分補給を

元気そうに見えても、発熱が続くと体の水分が奪われ、脱水症状が起こりやすくなります。すると、本来の病気とは別の体調不良に陥ってしまうことも。熱がある時は、おっぱいやミルク、白湯、お茶、赤ちゃん用のイオン飲料などをこまめに飲ませて、水分補給に努めましょう。

まとめ

突発性発疹を起こすウイルスの感染力はあまり強くないため、子供同士で病気がうつることは基本的にありません。それよりも家庭内で感染する可能性が高い病気です。基本的には心配のない病気ですが、熱性けいれんを起こすことがあることと、ごくまれに重い合併症を引き起こす場合があることも心に留めておきましょう。どんな病気でも、正しい情報を知って、怖がり過ぎずに備えておけるとよいですね。

(文:山本尚恵/監修:大越陽一先生)

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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