【医師監修】低出生体重児はどうしてなるの?原因と発達・発育の特徴、育児の注意点とQ&A

【医師監修】低出生体重児はどうしてなるの?原因と発達・発育の特徴、育児の注意点とQ&A

赤ちゃんが元気に生まれてきてくれても、体が小さめだと気になることが多いかもしれませんね。特に低出生体重児の場合は、育て方や今後の成長などに不安を感じることもあると思います。そこで今回は、「低出生体重児」とはどのようなものか、その原因や成長のしかた、育てるうえで気を付けたいことなどについて説明します。


この記事の監修ドクター
梁 尚弘先生
りょうキッズクリニック(埼玉県所沢市)院長。平成10年順天堂大学卒業後、日本大学小児科研修医、沼津市立病院小児科、横須賀市立市民病院小児科、日本大学小児科助教、瀬戸病院小児科医長を経て現在に至る。小児科専門医。

低出生体重児とは?

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小さく生まれた赤ちゃんは、以前は「未熟児」と呼ばれていましたが、今は「低出生体重児」と呼ばれるようになりました。まずは、低出生体重児とはどのような赤ちゃんなのかを知っておきましょう。

低出生体重児と未熟児との違い

「低出生体重児」とは、体重2,500g未満で生まれた赤ちゃんをいいます。以前、WHO(世界保健機関)は2,500g未満で生まれた赤ちゃんのことを「未熟児」と呼んでいました。

でも、出生体重は少なくても体の機能などは未熟でないこともあるため、現在は「低出生体重児」という呼び方に変わったのです。低出生体重児の中でも、特に1,500g未満は「極低出生体重児」、1,000g未満は「超低出生体重児」と呼ばれます[*1]。

赤ちゃんが小さく生まれるには、大きく分けて2つの理由が考えられます。まず、予定日より早く妊娠37週未満の早産で生まれた場合です。早産で生まれた赤ちゃんは「早産児」とも呼ばれ、早く生まれたぶん体も小さいことが多いのです。

また、妊娠37週以降の正期産で産まれたにもかかわらず、小さく生まれることもあります。これは、何らかの原因でママのおなかの中での発育が不十分だったことがおもな原因です。

低出生体重児は増えているの?

日本では1980年代以降、少子化が進んで生まれる赤ちゃんの数は年々減っているのですが、低出生体重児が生まれる割合はこの30年間でほぼ倍増しています。厚生労働省の調査によると、1年間に生まれる赤ちゃんのうち、2,500g未満の低出生体重児は1980年には5.2%だったものが、1990年には6.3%、2009年には9.6%と大きく増加しています[*2]。

つまり、今では赤ちゃんの約10人に1人が低出生体重児なのですね。なお、さきほど早産児では体が小さいことが多いと説明しましたが、早産自体が増えているため、、低出生体重児の割合は今後も増えていくかもしれません。早産の増加には、高齢出産の増加や過度なダイエットをしている女性が多いことなどが影響しているのではないかと考えられています。

修正月齢とは?

低出生体重児の中でも、早産で生まれた赤ちゃんの発育や発達を見ていくときには、「修正月齢」が用いられます。修正月齢とは、実際の出生日からではなく出産予定日から数えた月齢のことです。

予定日より早く生まれた赤ちゃんは、体重にかかわらず体の機能が未熟なことが多いのです。そこで、発育や発達は実際に生まれた日ではなく、予定日からの修正月齢を基準として見ていくことが必要なのですね。

いつまで修正月齢で考えるのかについては明確になっていませんが、だいたい3歳までとすることが多いようです[*1]。

低出生体重児になる主な原因は?

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近年、その割合が増えているという低出生体重児。そもそも低出生体重児にはなぜなるのでしょうか。その要因はママ側と赤ちゃん側、それぞれでいくつか考えられます。

妊娠中の問題

早産児が生まれる要因にはさまざまありますが、まず、妊娠中の問題として妊娠高血圧症候群、常位胎盤早期剥離、子宮頸管無力症、前置胎盤、絨毛膜羊膜炎のような感染、などがあげられます。こうした妊娠中のトラブルがあると、安全なお産のために予定日より早めの出産(つまり早産)になることがあり、赤ちゃんが小さく生まれることが多いのです。

また、妊娠前の体格が「低体重(やせ。BMI18.5未満)」や「ふつう(BMI18.5~25未満)」の女性で、妊娠中の体重増加量が 7kg 未満の場合には、低出生体重児を出産するリスクが高いことが報告されています[*3]。
※BMI:ボディマスインデックス。BMI=体重(kg)÷ 身長(m)の2乗

ほか、妊娠中に喫煙や飲酒をすると、赤ちゃんの発育に影響を及ぼすことはよく知られていますね。特に、喫煙している妊婦さんは、喫煙習慣のない妊婦さんと比べて、低出生体重児が生まれる頻度が約2倍に上ることがわかっています[*4]。

赤ちゃん自身の問題

赤ちゃん自身に原因があって子宮内で順調に発育できず、十分に体重が増えないために低出生体重児になることもあります。

この場合は、赤ちゃん自身の遺伝子または染色体に異常があって、細胞の数が増えず、成長できないというものです。

また、一般的には、双子以上の多胎妊娠だと、赤ちゃんが小さめになることも多くなります。

低出生体重児の育児の注意点とQ&A

ここでは、低出生体重児の赤ちゃんを育てていくうえでの注意点と疑問、それに対するアドバイスをまとめました。

育てるうえで気をつける点は?

赤ちゃんが低出生体重児で生まれても、退院許可が出たということは家庭で育てるのに十分体の機能などが成長したということです。退院後の室温やおふろの入れ方、授乳といった日々のお世話の仕方や注意点については、入院中に指導があるはずなので、心配しすぎずに、それに従って育てていきましょう。また、不安や疑問に思う点は対処方法を確認しておきましょう。

生まれたときの体重や体の状態にもよりますが、体重はしばらく母子健康手帳の乳児身体発育曲線のグラフの下の方だったり、ラインからはずれたりする状態が続くことが多いので、特に発育が気になるかもしれません。

早く大きくなってほしい、と願うのが親心ですが、母乳が出ているのに無理に高栄養のミルクに変えたり、一度にたくさん飲ませようとしたりするのはやめましょう。その子の状態に合った授乳の仕方を入院中に確認しておき、早く体重を増やそうと焦らないことがポイントです。

低体重で生まれると、ずっと小さいままなの?

低出生体重児でも、退院時の体重が修正週数(生まれた時の在胎週数+出生から退院までの週数)相当であれば、退院後の発育に大きな影響を与える病気がない限り、発育は3歳ごろまでに標準に追いついていくことが多いといわれています。

一方、ママのお腹の中にいた期間を在胎期間と言いますが、在胎期間別の標準値よりも小柄で生まれた赤ちゃんの多くは、6~12ヶ月ごろには発育が追い付くとされています。ただ、こうした赤ちゃんの約10%は2歳を過ぎても身長が追い付かないことがあると言われています。

3歳以上になっても、、身長が基準よりだいぶ低い場合は、生まれたときやそのときの状況によっては薬を使って治療することもあります。心配なときはかかりつけの小児科医に相談するようにしましょう。

低出生体重児は、発達も遅れるの?

赤ちゃんの発達ペースは、出生時の体重に関係なく個人差がとても大きいものです。ただ、極低出生体重児や超低出生体重児など、出生体重が少ない赤ちゃんほど発達が遅めになる傾向はあります。

低出生体重児の場合は、発達も修正月齢または修正年齢で見ていきますが、在胎期間が短く早く生まれた子ほど標準に追いつくまでに時間がかかります。逆に、早産ではあっても在胎34~36週で生まれた子の場合は、1歳ごろまでに追いつくことが多いようです。

予防接種はどうしたらいいの?

低出生体重児の発育や発達は修正月齢を基準にして見ていきますが、予防接種に関しては
実際に生まれた日からの月齢(「暦月齢」と言います)を基準にして受けていくのが原則です。

接種スケジュールもワクチンの量も一般的なもので大丈夫ですし、同時接種をするのも問題ありません。

低出生体重児は体が小さいぶん、ママからもらう免疫の量も少なめなので、病気にかかると重症化する心配があります。そこで、受けられる時期が来たら予防接種を早めに受けて、病気を防ぐことが大切なのですね。

なお、在胎35週以下で生まれた早産の赤ちゃんに特別な予防接種もあります。一年の中でもとくに秋ごろから流行するRSウイルスに対する抗体の注射です。早産だとお腹の中で抗体をママから十分もらうことができず、RSウイルス感染症を発症した場合、重症化しやすいので、これを防ぐために早産児では接種します。

この予防接種が必要かどうかの判断は体重ではなく、早産かどうか、心臓や肺の疾患があるかで決まります。また在胎週数と生まれてからの週数などによっても注射するかどうかは異なります。在胎35週以下で生まれた赤ちゃんの場合は、接種が必要かどうかや接種時期について、かかりつけ小児科医に一度確認しておきましょう。

低出生体重児のママへのサポートはあるの?

医療機関によっては、退院後に電話で様子を聞いてくれるところもあるようです。また、多くの自治体では、産後のママのもとに保健師さんが訪問指導に来る制度があるので、気になることがあるときはその際に相談することもできます。

支援が必要な場合は、保健師さんに利用できるサービスや施設などを教えてもらうこともできるでしょう。地域で行われている未熟児教室や療育相談、小さく生まれた赤ちゃんとその家族のグループや多胎児の場合は多胎の親同士の交流会などの情報がないか、積極的に聞いてみましょう

まとめ

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赤ちゃんが小さく生まれると、「私のせい?」と罪悪感を感じるママは多いかもしれません。でも、低出生体重児が生まれる要因の多くはママの努力でどうにかできるものではありません。原因がはっきりしないことも多々あります。 小さく生まれた赤ちゃんは、育てるうえで心配も多く、周囲の言葉で傷つくこともあるかもしれませんが、くれぐれも自分を責めないでくださいね。

発育・発達はほかの子より多少遅めになるかもしれませんが、どうか焦らずに赤ちゃんの成長を見守ってあげてください。不安や気がかりは一人で抱え込まずパートナーと共有したうえで、医師などの専門家と連携を取りながら、地域のサービスなどもうまく利用して育児ができると安心ですね。

(文:村田弥生/監修:梁尚弘先生)

参考文献
[*1]厚生労働省:低出生体重児 保健指導マニュアル, 2012.
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kodomo/kodomo_kosodate/boshi-hoken/dl/kenkou-0314c.pdf
[*2]厚生労働省:人口動態統計
[*3]厚生労働省:「妊娠期の至適体重増加チャート」について
https://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/02/dl/h0201-3a4.pdf
[*4]厚生労働省:Q 妊娠中の健康への悪影響について
https://www.mhlw.go.jp/topics/tobacco/qa/detail2.html

※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。
※新型コロナウイルス感染症についての最新情報は、[内閣官房][厚生労働省]妊婦に関する情報[日本小児科学会]幼児に関する情報など公的機関等で発表されている情報をご確認ください。

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