【助産師監修】乳頭亀裂の原因は?正しい治し方とケア、予防方法

【助産師監修】乳頭亀裂の原因は?正しい治し方とケア、予防方法

乳頭がひび割れたり皮がむけたりして、痛みや感染症の危険がある乳頭亀裂。出産の後、授乳の時にまでこんな苦しみがあるなんて知らなかった…という人も多いでしょう。乳頭亀裂の正しいケアや予防法をまとめました。


この記事を解説してくれた先生
坂田 陽子先生
看護師、助産師、国際認定ラクテーションコンサルタント。 葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院のNICU・産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。その後、都内の産婦人科病院で師長を経験。現在は東京で「すみれ出張助産院」を開業している。
HP:https://sumire-josanin.com/

乳首が痛い! それは乳頭亀裂かも

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授乳中、ヒリヒリするような乳首の痛みを感じたことはないですか? それはもしかしたら、乳頭亀裂かもしれません。

乳頭亀裂とは?

乳頭亀裂は乳頭、つまり乳首に痛みを生じる症状のひとつです。

乳頭に感じる痛みの中には、授乳開始直後に生じる一時的なものもあります。そうした一過性の痛みは母乳の分泌量の増加に伴い、数日で感じなくなっていくことが多いものです。しかし、1週間以上たっても痛みが引かず、授乳を苦痛に感じるほどの痛みがある場合、乳頭に傷や亀裂などが生じていることが考えられます[*1]。

乳頭亀裂になってしまう主な原因

乳頭に損傷が起こる原因には、乳頭の皮膚への物理的刺激、乳頭を清浄綿で拭くこと、カンジダ(真菌)や細菌への感染の影響など、さまざまなものがあります。産後の乳頭亀裂は、赤ちゃんの不適切な抱き方や乳首の含ませ方といった物理的刺激が影響して乳頭がダメージを受けるのが主な原因です。

赤ちゃんが生まれてすぐの時期は、ママも赤ちゃんも授乳自体に不慣れだったりするため、乳頭のトラブルが起こりやすい状態にあります。例えば赤ちゃんがうまく吸い付けずに乳頭と一緒に自分の下口唇も吸い込んでいると、乳頭の根元(乳頭基底部)が切れたり、表面に擦りむけたような傷(擦過傷)ができたりすることもあります。

乳頭のトラブルは母乳育児の妨げとなることが多く、それをきっかけに母乳育児をやめてしまうこともあるため、予防や管理は重要です。

乳頭亀裂になった場合の対応やケア方法

もしも乳頭亀裂になってしまったら、どのようなケアを行えばよいのでしょうか。セルフケアを中心に、有効な方法をいくつかご紹介します。

授乳姿勢(ポジショニング)を見直す

産後に起こる乳頭痛の多くは、「授乳姿勢」の影響が大きいといわれます。授乳姿勢が悪いと赤ちゃんがうまく吸い付けず、乳首が傷ついたり、亀裂が入ったりすることがあります。赤ちゃんが乳首に吸い付きやすい角度で抱っこができているか、まずは授乳姿勢を見直してみましょう。

【助産師解説】写真で学ぶ授乳姿勢!パターン別授乳姿勢と4つのポイント

https://woman.mynavi.jp/kosodate/articles/3509

授乳姿勢が正しくないと赤ちゃんがうまく飲めないだけでなく、乳腺炎などのリスクも高くなります。主な6つのポジショニングとNGパターン、正しい姿勢をとれているかを確認できる4つのチェックポイントをお伝えします。

くわえさせ方(ラッチオン)を見直す

授乳姿勢の見直しと同時に、ラッチオンと呼ばれる「おっぱいのくわえさせ方」も見直してみましょう。ラッチオンがうまくいくと、乳頭の痛みが生じにくく、傷や亀裂もできにくくなります。

赤ちゃんがおっぱいを吸おうとするタイミングに合わせてうまく乳首をくわえさせないと、不自然なラッチオンになり、下唇を巻き込んだり、赤ちゃんがおっぱいを吸うときに舌打ちするような音(クリック音)がしたり、授乳が終わった後の乳頭の形状が平らになっていたりすることがあります。こうした状態が見られる場合、ラッチオンがうまくできておらず、授乳中や授乳後に痛みを感じやすくなることが多いでしょう。

最初は誰でもうまくいかないもの。徐々に上手なラッチオンができるよう、いろいろ試してみましょう。

母乳や保湿剤・軟膏で乳頭を保護する

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授乳姿勢やラッチオンを工夫しても乳頭に傷や亀裂ができてしまったときは、乳頭を保護し、悪化を防ぐことが大切です。傷の悪化を防ぐには母乳や保湿剤、軟膏などを塗るのが有効です。

じつは母乳には殺菌や皮膚を保護する作用があります。傷や亀裂のできた乳頭に塗ることで、傷の悪化防止や改善が期待できます。

また、保湿剤には、乾燥を避け傷の悪化を予防する効果が。保湿剤の中でも「ランシノー」「ピュアレーン」などの名前で市販されているラノリン油や馬油などは、低刺激かつ赤ちゃんの口に入っても安全です。

そのほか、乳頭亀裂が悪化した場合、授乳中でも塗ることのできる軟膏を産婦人科で処方されることもあります。

清潔を保つ

乳頭の傷や亀裂から細菌に感染し、乳腺炎にかかってしまうこともあります。それを防ぐため、毎日1回は温かい石けん水で乳頭を優しくきれいに洗い、清潔を保ちましょう。また、授乳前は必ず手を洗い、爪は短くしておきましょう。

授乳の後にぬるま湯で洗い流すか、ぬるま湯をひたしたメイク用コットンなどで軽く拭ったりするのもよいでしょう。ただし、授乳前の清浄綿での乳頭の清拭は乳頭の保護・保湿する成分まで拭き取ってしまうため、行わないようにしましょう。

乳輪部のマッサージを行う

乳房が張ってくると、乳輪も硬くなり、赤ちゃんが吸い付きにくくなります。乳輪部分まで深く吸着できないと、乳頭に負担がかかり、乳頭亀裂の原因になります。乳房が張って、乳輪は硬くなっているときは、乳輪部をマッサージしてから授乳をしましょう。

赤ちゃんを無理に乳房から離さない

授乳を終えるときに赤ちゃんを無理に乳房から離そうとすると、乳頭亀裂の原因になります。赤ちゃんがまだ吸っているときに乳房から外すときは、清潔にした指を赤ちゃんの口角から口の中へ入れ、圧を抜いてから乳頭から離します。

乳頭ケアの疑問

こんなとき、どうすればよい? 乳頭ケアについての疑問にお答えします。

痛くてつらい! 授乳を休んでもよいですか?

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乳頭に痛みがあると、授乳もつらいものになりがちです。「休んでミルクにしたい…」と思うのも当然かもしれません。

「乳頭亀裂になった場合の対応やケア方法」でご紹介した方法を試し、授乳姿勢などを見直してもまだ痛みが強いという場合は、直接母乳をあげることをいったん休んで、搾乳やミルクに変えるのもひとつの手です。

ただし、乳頭の亀裂などによる痛みを避けるため、授乳時間を制限した比較対照調査では、授乳を休んでも休まなくても、乳頭の傷や亀裂の発生に差がなかったという結果が出ています。そればかりか、授乳時間を制限された母親は、産後6週間までに授乳をやめてしまったそうです。

母乳だけが赤ちゃんの栄養ではありませんが、「できるだけ母乳で育てたい」という気持ちがあったり、母乳を途中でやめることを後悔しそうに感じたりする場合は、授乳姿勢とくわえさせ方の見直しをし、できるだけ授乳を休まず、痛みが強いときは搾乳で対応するといいでしょう。

乳頭亀裂のケアに湿潤療法のパッドを使ってもよい?

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「乳頭亀裂に湿潤療法のパッド(キズパワーパッド、ケアリーヴ、ネクスケアなど)を使ってもよい?」という声をよく聞きます。こうしたパッドは防水かつ薬を使わずに傷を治しますが、授乳時の乳頭亀裂の治療にはあまり適していないかもしれません。

貼ったまま授乳した場合、赤ちゃんが飲み込んだり、赤ちゃんの口の中を傷つけたりしてしまうリスクがあります。傷の保護はパッドに頼らず、母乳や保湿剤や軟膏などでケアをするのがよいでしょう。

授乳と授乳の間に、デリケートな乳頭を保護する被覆材(ハイドロジェルパッド)を使用することもあります。湿潤環境を作ることで、新しい皮膚の形成を助け、ブラジャーや母乳パッドの摩擦から守ることができます。

なお、大きく開いた傷や亀裂には市販の傷用パッドでなく、蝶のような形をした絆創膏を、授乳と授乳の合間に貼って傷を寄せておく方法をとることがあります。かかりつけの産婦人科医に相談してみましょう。

まとめ

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乳頭の傷や亀裂は授乳姿勢やくわえ方が正しくないと起こりやすいもの。裏返せば、誤った授乳法であることを示すサインでもあります。乳頭に痛みを感じたら、授乳姿勢やラッチオンをもう一度見直してみましょう。正しい方法で授乳を行えば、傷はまもなく治っていくはずです。

痛みがひどくて授乳がつらいときは、授乳を一時中断し、搾乳で対処することもあります。医師や助産師に相談しましょう。赤ちゃんのためにも、ママのおっぱいのためにも、できるだけ授乳を中断せずに済むよう、乳頭亀裂ができないように予防し、できてしまったら傷が悪化しないうちに対処や予防に努めましょう。

(文:山本尚恵/監修:坂田陽子先生)

※画像はイメージです

参考文献
[*1]南山堂「母乳育児支援講座」(改訂2版)水野克己、水野紀子 p.233-235

※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

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