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2023年01月31日 14:22 更新

【医師監修】ミルクの作り方、総おさらい! 準備~調乳~洗浄・消毒のコツ

お産入院中に、「調乳指導」は受けても、実際に育児がスタートしてみると、慣れるまでのミルク作りは意外と大変。赤ちゃんの健康のためにも衛生面で気をつけるポイントがあります。調乳は慣れてきたという人も、一度調乳の基礎をおさらいしてみましょう。

ミルク作りの基礎知識 準備するグッズと手順

哺乳瓶と粉ミルクのイメージ画像
Lazy dummy

ミルクを作るのは、粉ミルクをお湯で溶かすだけ、と思われるかもしれませんが、衛生面で気を付けるポイントがたくさんあります。

ミルクを作る方法と手順

 <準備品と清潔>

準備するものは、哺乳瓶、乳首、乳首と哺乳瓶を連結するリング、粉ミルク、粉ミルクをすくう計量スプーン、お湯(沸騰させる水)です。哺乳瓶、乳首、リングは洗って清潔にしてあるものを準備します。計量スプーンは、粉ミルクについてくるもので十分です。
粉ミルクを作る前に、調乳する場所を清掃・消毒し、手をせっけんを使ってていねいに洗いましょう。

 <使うお湯の温度は必ず70℃以上>

電気ポットでお湯を沸かす
Lazy dummy

調乳するためのお湯を作る道具としては、電気ポット、やかん、鍋のいずれでもいいですが、念のため一度沸騰させ、調乳時の温度は必ず70℃以上を保ちましょう。「赤ちゃんに飲ませやすい温度のお湯で作った方が早いのでは?」と思うかもしれませんが、粉ミルクに混入している可能性のある菌(サカザキ菌)を死滅させるには、70℃以上のお湯で粉ミルクを溶かす必要があるのです。サカザキ菌に感染した場合、敗血症や壊死性腸炎を引き起こし、重い場合だと深刻な後遺症が残る危険があります。面倒かもしれませんが、調乳温度は必ず守りましょう。

 <粉の量は適正に>

粉ミルクを計ります。粉ミルクは、スプーンで必ずすりきりにして、何杯入れたか数え間違えないようにしましょう。粉ミルクと湯の量のバランスは、粉ミルクのパッケージにある数値を守りましょう。薄くしたり、濃くしたりするのはNGです。

 <粉とお湯の入れる順番>

混ぜ方には2つの方法があります。

まず、作るミルクの約半分の量の湯をほ乳瓶に入れてから、ミルクを入れ、ある程度混ぜてから作りたい分量まで湯を足す方法。もうひとつの方法は、はじめにミルクをほ乳瓶に入れ、作りたい分量の目盛まで湯を注ぎ、一気に混ぜる方法です。作る量が100㎖以下など少ないときはこのほうが簡単です。

なお、お湯を作りたい量の目盛まで入れてから粉ミルクを足すと、本来よりも薄くなってしまうので、順番に注意しましょう。

1回のミルクの目安量は、成長とともに変化します。粉ミルクのパッケージに書いてある指示を参考にしてください。

赤ちゃんが飲める温度ってどのくらい?冷ます方法は?

哺乳瓶の温度を肌でチェックする様子
Lazy dummy

調乳したてのミルクは、熱くて赤ちゃんには飲めません。ちょうどいいのは、“人肌”の温度です。人肌の温度とは、だいたい40℃くらい。手首の内側などに少し垂らして確認します。ほんのりあたたかいと感じるくらいが適温です。

ミルクの冷まし方は、水道の流水に哺乳瓶のボトル部分を当てて、軽く振る方法が一般的。水を張ったボウルなどに入れておく方法もありますが、ボトルをゆすって動かしたほうが、早く冷めます。

冷めたらすぐに、授乳します。飲み残しは必ず捨てましょう。時間がたつと菌が繁殖してしまいます。

ミルクを作るときに注意すべき点

哺乳瓶の洗浄
Lazy dummy

調乳するときに、いちばん気をつけなくてはいけないのは、衛生管理です。

ミルクは栄養たっぷりな分、菌が繁殖しやすいもの。もちろん工場で作られるときの衛生管理は厳しくチェックされていますが、それでも完全な無菌状態ではありません。ミルクの缶などパッケージを開封したら、乾燥した涼しい場所に置き、早めに使い切りましょう。個包装の物は、開けたらすぐに使います。

哺乳瓶は使うたびにきれいに洗っておくのが基本。ある程度の月齢までは消毒することが勧められますが、消毒自体よりも、洗剤と流水を使ってすみずみまで洗うことが大切。そして70℃以上の湯で調乳すること、調乳後にはすぐ飲ませることが大切です。

哺乳瓶の消毒の方法は、大きく分けて2つ

哺乳瓶の乾燥
Lazy dummy

消毒の方法は、熱による消毒、または薬液で消毒します。

熱で消毒する方法のうち、特別なグッズがいらないのは煮沸消毒。鍋に入れて、かぶるくらいの水を入れ火にかけます。グラグラ煮立ったら火を止め、瓶をトングや菜箸でとりだして乾燥させます。電子レンジで加熱消毒する便利グッズもあります。やけどに気をつけて使いましょう。

もうひとつは、薬液消毒。次亜塩素酸ナトリウムを薄めて作った溶液に哺乳瓶や付属パーツを浸けて消毒します。消毒液(またはタブレット)は誤飲を防ぐためにも、子供の手が届かない場所に保存しましょう。

いずれにしても、きれいに洗浄してから消毒を行います。哺乳瓶を各パーツに分解し、ミルクのカスが残らないように洗ったうえで行いましょう。また、使用前に取扱説明書や注意書きをよく読んで使ってください。

ミルクの種類もいろいろある!

人工ミルクは、缶に入ったタイプが一般的ですが、目的に合わせてさまざまなタイプがあります。

哺乳瓶からミルクをのむ赤ちゃん
Lazy dummy

計りやすいキューブタイプやスティックタイプ

缶に入ったもの以外でポピュラーなのが、1回分ずつスティック状に個包されたタイプ。外出時に便利です。また、スプーン1杯分がぎゅっと固めてあるキューブタイプもあります。
調乳するときに、うっかり「今、何杯入れたっけ?」ということも起こりにくいので、夜間や慣れないころの調乳にぴったり。ただし、缶入りの粉タイプに比べると、1回あたりの価格が高くなります。お助けグッズとして考えてもいいですね。

調乳不要、液体ミルクも便利!

もうひとつ、液体ミルクという選択肢もあります。欧米では比較的一般的だった液体ミルクが、2019年からは日本でも販売されるようになりました。災害時など、湯を沸かす環境がないときに大変有用であるということから注目が集まり、国内での製品化が進んだという経緯があります。
調乳する手間がないので、育児に慣れないころや、夜泣きが続いて大変と感じるときなどにも使いやすそうです。もちろん、災害時の備えとしてもあると安心です。

疾患用の特殊なミルクも

また、ミルクアレルギーや乳糖不耐症(にゅうとうふたいしょう)の赤ちゃん用のミルクもそれぞれに販売されています。なお、これら疾患別に市販されている特殊なミルクは、必ず医師の指導のもと使用します。

まとめ

赤ちゃんがミルクをのむ様子を見守るパパ・ママ
Lazy dummy

ミルク作りには、道具の洗浄や作る手順など、赤ちゃんが元気に成長するために守るべきルールはたくさんあります。でも、慣れてしまえば難しいことはありません。ポイントをおさえて、楽に・安全に・楽しくミルク作りを続けてください。

(文:関川香織/監修:大越陽一先生)

※画像はイメージです

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※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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