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2021年09月08日 19:52 更新

【医師監修】子宮がチクチク痛むのはなぜ?生理以外でも下腹部が痛む原因

子宮のあたりがチクチク痛んで気になったことはありませんか? 子宮付近が痛む原因としてはいろいろなものが考えられるうえに、体が健康だったとしても痛むことがあります。今回は子宮付近が痛む原因についてお話します。

健康でも子宮付近が痛むことはあるの?

子宮がチクチクして気になっている女性
(イラスト:杉井亜希)

病気の時だけでなく、健康であっても子宮のあたりが痛むことがあります。健康な時にはどんな原因で痛むのでしょうか?

月経痛(生理痛)

まず考えられる子宮の痛みとしては生理痛があります。月経(生理)の直前から最中に子宮付近が痛むケースは少なくありません。

月経とは、妊娠しなかった場合に不要になった子宮内膜がはがれ、排出されること。子宮内膜ははがれると、プロスタグランジンという物質が多く作られます。その作用で子宮の筋肉が収縮したり、血流の低下が起こり、下腹部や腰が痛むことがあるのです。
なお、人によっては 頭痛や胃痛、吐き気、めまい、腸が蠕動する痛み、下痢などが引き起こされることもあります。

生理痛の対処法など、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
▶︎生理痛が起こる仕組みと対策
▶︎出産後に生理痛が重くなったのはなぜ?対処法と注意点

排卵痛

生理の時期以外で子宮付近が痛むこともあります。例えば、排卵によって子宮付近が痛むことがあります。

排卵では、約20mmに膨張した卵胞が破裂して、中にいた卵子が飛び出します。
排卵が起こると卵巣の表側の膜が少しだけ破けます。そのため、軽い腹痛を感じることがあるのです。

排卵痛の時期など、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
▶︎つらい排卵痛の4つの原因と対策

妊娠初期

子宮にチクチクした痛みを感じる数週間以内にセックスをしていたら、妊娠して痛みを感じているのかもしれません。

妊娠初期には、少量だけ出血したり軽い腹痛が起こることがあります。
妊娠中の出血や痛みに不安を感じる人もいるかもしれませんが、お腹の赤ちゃんが元気で経過が順調な場合も妊娠初期には軽い出血や痛みが起こることがあります。

妊娠初期の下腹部痛について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
▶︎妊娠初期の下腹部痛主な原因と対処方法
▶︎妊娠超初期は下腹部痛が起こる?妊娠初期の症状と腹痛の原因
▶︎着床痛って本当にあるの?生理前のチクチクの正体とは

そもそも子宮ってどのあたりにあるの?

子宮のあたり……と言いつつ、子宮がどのあたりにあるのか自信がない人もいるかもしれません。では改めて、痛みを感じているのは本当に子宮かどうか確認してみましょう。

子宮は骨盤の中にあります。大人の女性の場合、子宮のサイズは鶏の卵くらいです。

子宮の解剖図のイメージ

子宮は筋肉でできている「体部」と、下側にあって腟とつながっている管のような「頸部」にわけられます。体部の内側(子宮腔)は子宮内膜でおおわれています。

子宮が痛む病気にはどんなものがあるの?

子宮付近の痛みは、いろいろな病気から引き起こされることもあります。

婦人科系の病気の場合

お腹を押さえる女性のイメージ画像
Lazy dummy

子宮付近に痛みを感じる、主な婦人科系の病気は次の通りです。

卵巣出血(出血性黄体嚢胞)
排卵後の黄体から出血するなどして、お腹の中に血が溜まっている状態です。下腹部の痛みやお腹の張りなどが起こります。


子宮内膜症(卵巣チョコレート嚢胞など)
子宮腔の内側以外で子宮内膜ができる病気です。中でも卵巣にできるものを卵巣チョコレート嚢胞と言います。下腹部の痛みの他、腰痛やセックスの時の痛み、排便の時の痛みなどが起こります。
関連記事▶︎子宮内膜症とは?症状や治療法などを確認

卵巣のう腫
良性の卵巣腫瘍である卵巣のう腫は、小さいうちは無症状のことも多いですが、大きくなると下腹部痛を感じる場合もあります。また、ある程度の大きさになると卵巣の付け根が捻転(茎捻転:回転して捻じれる)しやすく、この卵巣茎捻転が起きると激しい痛みが起き、緊急の対応が必要となります。
卵巣のう腫は婦人科検診などで見つかることが多いです。

異所性妊娠
子宮内膜以外の場所で受精卵が着床してしまう「異所性妊娠」(俗に言う子宮外妊娠)の場合でも下腹部痛を感じることがあります。この場合、放っておくと破裂などが起きて命の危険もあります。妊娠検査薬で陽性が出た場合や妊娠の可能性がある場合でも、妊娠初期に正常な妊娠であるかの確認を含めて産婦人科を受診ましょう。
関連記事▶︎子宮外妊娠(異所性妊娠)の症状はいつから?原因と妊娠の継続について

子宮頸管炎・子宮内膜炎・子宮筋層炎
細菌などによって起こる子宮内膜の炎症です。下腹部の痛みの他にも発熱、おりものの増加や不正出血などが起こります。

内臓の病気の場合

お腹を押さえる女性のイメージ画像
Lazy dummy

内臓の病気でも子宮付近の下腹部が痛むことがあります。

虫垂炎
虫垂はお腹の右下にある内臓です。最初はおへそのあたりやみぞおちが痛み、だんだんとお腹の右下に痛みが移動していきます。

憩室炎
憩室とは、腸の壁の一部が袋状になって外側に飛び出していること。憩室で炎症が起こるとお腹の痛みが起こります。

尿管結石
尿管に結石ができる病気です。結石の場所によっては下腹部が痛むことがあります。

腸閉塞
腸の内容物の流れが止まってしまったりほとんど流れなくなった状態です。お腹の痛みや吐き気、おう吐、お腹が膨れた感じなどが起こります。おならや便も出なくなります。

感染性腸炎
ノロウイルスやロタウイルスなど、ウイルスなどによって引き起こされる腸炎です。腹痛とともに下痢をくり返したり、おう吐や発熱も起こります。

過敏性腸症候群
お腹の痛みや不快感が起こりますが、排便すると落ち着くことがあります。排便回数が増えたり減ったりする、大便が軟らかくなったり硬くなるといった症状が見られます。

便秘・下痢
排便すると痛みが落ち着く場合は、便秘や下痢が原因となっていることもあります。

膀胱炎
膀胱の中で細菌が増えて、炎症を起こしている状態です。男性よりも尿道が短い女性は、膀胱炎になりやすいので注意が必要です。膀胱炎になると頻尿や残尿感のほか、排尿時に痛むことがあります。

ストレスで痛むこともある

心の問題から子宮に近いお腹の痛みを感じることもあります。

強いストレスで自律神経が乱れると、腹痛になることがあります。
大事な会議の時や緊張する人に会う時など、ストレスのかかるできごとがあり、腹痛を感じたらストレス性の腹痛かもしれません。
心配ごとを解消しないで放っておくと、ますますストレスを感じるようになって腹痛を感じやすくなることもあります。我慢しないで人に相談したり環境を変えていきたいですね。

まとめ

お腹を押さえて横になる女性
Lazy dummy

子宮のチクチクした痛みの原因としては、いろいろなものが考えられます。子宮が痛んでいるように感じていても、そのまわりの腸や内臓に原因があることもあるのです。
排卵や月経、妊娠初期のように問題のない原因もありますが、婦人科系や内臓の病気、ストレスなど、その原因は調べてみないとなかなかわかりません。
痛みが軽くめったに痛まない場合は様子を見てもいいでしょうが、たびたび痛む、だんだんと痛みが強くなってきた、長い間痛んでいるといった時には、ぜひ医療機関で診てもらいましょう。

(文:大崎典子/監修:窪麻由美先生)

※画像はイメージです

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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