【医師監修】むきむき体操(包皮翻転)は必要? 子供のおちんちんトラブルについて

【医師監修】むきむき体操(包皮翻転)は必要? 子供のおちんちんトラブルについて

ママにとって、男の子のおちんちんの扱い方はわかりにくいものです。中でもおちんちんの皮はそのままでいいのか、むいてあげた方がいいかと戸惑うママも多いことでしょう。今回は子どものおちんちんの発達から始め、むきむき体操がどんなものか、おちんちんはむいたほうが良いのかどうかについてお話します。


男の赤ちゃんはみんな包茎

包茎とは、おちんちんの先にある亀頭部が皮(包皮)をかぶっていて、亀頭が表に出てこない状態のことです。

包茎のイメージ画像

おちんちんの構造(断面)のイメージ

包皮は「外から見える皮膚(包皮外板)」と「内側で折り返している部分(包皮内板)」でできています。乳幼児のころは亀頭と内板はくっついていて、皮の先は狭くなっています。

そのため、生まれたばかりの赤ちゃんのおちんちんはみんな皮をかぶっています。この皮がむけるタイミングは子どもによってまちまちです。

成長とともに変わるおちんちん

男の子のおちんちんと皮の状態は、成長とともに変化していきます。子どものころのおちんちんについて知っておきましょう。

赤ちゃん時代のおちんちん

座って笑っている赤ちゃん
Lazy dummy

すでにお話した通り、赤ちゃんのおちんちんは皮をかぶっているのが正常な状態です。新生児はほぼ100%、乳児の約80%は包茎と言われています[*1]。

逆に出生直後の新生児が包茎ではない場合(おちんちんが完全に包皮で覆われていない場合)は、尿道下裂などの先天性のおちんちんの病気の可能性もあるため、医師に相談が必要です。

1歳ごろになると包皮に表皮ができて、くっついていた亀頭と包皮は離れ、だんだん手で皮をむけるようになってくる子もいます。ただし、自然な状態ではまだ皮をかぶっているので、気づかないママも多いはずです。

幼児のおちんちん

幼児は約60%が包茎[*1]とか、皮をむいて亀頭を出せる割合は3~4歳で約半数とも言われています[*2]。

このように赤ちゃんはほぼ全員がおちんちんに皮をかぶっていますが、だんだんとむけるようになっていきます。それでも小学校入学前では、正常に発達していても半分近くの子は皮がむけないものなのです。

小学生以降のおちんちん

小学生になるとさらに少しずつ、おちんちんの皮がむける子が増えていきます。11~15歳では7割の子がおちんちんの皮をむいて亀頭を出せるようになり[*2]、思春期以降、包茎の頻度はさらに低下していきます。

お子さんのおちんちんが皮をかぶっていても、まだ発達の途中なのかもしれません。長い目で見守っていきたいですね。

ちなみに、ここまでで紹介したのは、真性包茎(包皮からまったく亀頭を露出できない状態)からいつごろ包皮がむけるようになるかについてですが、成人になっても日本人のおよそ7割は仮性包茎(手で包皮をずらせばむけるが、通常はむけていない状態)という調査結果があります[*3]。

国によって違うおちんちんの扱い

乳幼児期の真性包茎は珍しいことではなく、むしろ正常ということはすでにお話した通りです。たいていの場合、成長とともに放っておいてもおちんちんの皮はむけるようになっていきます。

それでも国や文化によっては、子どものころに手術で包皮を切除することが一般的なところもあります。

アメリカやイスラム圏の場合

同じ国で暮らしていても、習慣や文化の違いによって、幼児のうちに包茎手術(おちんちんの包皮を切除する手術)を受けるかどうかは異なります。

包茎手術を受けている成人男性は、イギリスは6%、アメリカは75%とされています[*2]。特にユダヤ人やイスラム教徒には、こうした手術をする習慣があります。

アジアの場合

ほとんどのアジア諸国では、幼児のうちに包茎手術を受ける人の割合は20%以下です。その一方で韓国では80%以上の男の子が包茎手術を受けています[*2]。

なお、日本では医療上必要がなければ、子どものうちに包茎手術を行うことはありません。

このように手術で包皮を切除するかどうかは文化や習慣によって大きな影響を受けています。

むきむき体操ってどんなもの?

股間を押さえている子供
Lazy dummy

ところで、ここ数年、日本ではおちんちんのケア方法として「むきむき体操」が注目されています。むきむき体操とはどんなものなのでしょうか?

むきむき体操って何?

「むきむき体操」は、おちんちんの包皮を亀頭からはがすために考え出された方法です。こうした方法を指導することを、専門的には「包皮翻転(ほんてん)指導」とも言います。1994年に、岩室紳也先生が神奈川県の厚木市立病院で指導するようになったのが始まりとされています。

日本では子どもの包茎手術は一般的ではないこともあり、このむきむき体操で包皮をむく方法が注目されるようになりました。

むきむき体操のやり方

むきむき体操は、教えているところによって、多少やり方が違うことも考えられます。
ここでは、最初にむきむき体操を指導したとされる岩室紳也先生による、包皮反転指導のやり方を引用します[*3。以下は原文ママ]。

1.包皮をおちんちんの根元に向かってずらす
  →回数は多いほどいい(コツコツ頑張る)

2.包皮口が出ようとする亀頭部で徐々に広がる
  →出血するほど強くしないように

3.亀頭部を触ると痛い
  →触り続けると次第に痛くなくなる(我慢も大事)

4.亀頭部と包皮の癒着を1ミリずつはがす
  →出血する場合があるが清潔にしていれば心配なし

5.包皮が戻らない時は亀頭部を 30 秒潰す
  →亀頭部が小さくなり戻しやすい(科学的対応力)

6.亀頭部が全部出たら、ゴシゴシ洗う
  →体の他の部分と同じように清潔に(清潔が基本)

7.むけるようになったら友達に伝える
  →おちんちんを共通話題に(仲間づくり)

おちんちんについて考えよう

ここまでで、赤ちゃんのおちんちんの成長過程や国による包茎手術の違い、むきむき体操について紹介してきました。ここでは、むきむき体操を含め、子供の包茎に対して、親は何かすべきなのかについて考えてみましょう。

むきむき体操、やる? やらない?

むきむき体操をした方がいいかどうかについては、色々な考え方があります。
赤ちゃんの包茎は成長とともに自然にむけていきます。そのため、「むきむき体操は不要」という専門家もいます。その一方で、病気予防や衛生面のためには「むきむき体操をやるべき」という専門家もいるのです。

実際、日本小児泌尿器科学会総会に参加した医師を対象に実施されたアンケート調査で、健康な子供に対し「包皮翻転指導」が必要と考えている医師は48%、不必要と考えているのは48%だったとする報告があります[*4]。また、「日本では、子どもの包茎の対処方法は40年近く混乱し続けている」と指摘している論文もあります[*5]。

つまり、子供の包茎に対しては専門医の間でも「絶対こうしなければならない」というものはいまのところないということです。そして、両親の意向が治療方針の決定の大部分を占めることも多いようです。必要があれば医師に子供の状態を確認してもらいながら、その家庭ごとの考え方で決めていくことになるでしょう。

なお、赤ちゃんの包茎については、「将来結婚できなかったらどうしよう」「恋人や友達にばかにされたらかわいそう」など、ママはどうしても取り越し苦労をしがちかもしれません。また、おちんちんのないママにとって、おちんちんの扱い方では正直ピンとこないことも多いでしょう。

そんなときは、ぜひおちんちんの扱いに慣れているパパに赤ちゃんの包茎についてどんなことを心配しているのかを説明し、ともによく話し合って、我が家ではどうするか夫婦そろって考えていきましょう。

子供の包茎で治療が必要な場合ってあるの?

ちなみに、子供の場合、治療が必要な包茎とはどのようなものなのでしょうか? 子供の包茎を実際に治療する場合、現在最もよく行われている方法は包皮翻転指導で、さきほど紹介したアンケート調査では59%の医師が選択していたと報告しています[*4]。 ここまでで解説してきたとおり、子供の包茎は異常なものではありませんが、以下のような場合には治療を行うことがあるようです。

・おしっこがしづらい場合
バルーニング(排尿時に亀頭と包皮の間に尿が溜まってしまい、おちんちんの先がふくらむこと)はその兆候の一つ。

・亀頭包皮炎を何度も繰り返している場合
包皮をむくのが簡単でなく、亀頭と包皮の間を洗えないと、不衛生となり炎症を起こしやすくなります。亀頭包皮炎では、痛み、腫れ、刺激感、膿が出るなどの症状があります。なお、亀頭包皮炎は2~5歳ごろによく起こります。

・尿路感染症を起こしやすい場合
尿道口から細菌が侵入して尿路をさかのぼると、腎臓に炎症を起こすことがあります。もともと膀胱尿管逆流(膀胱から尿管を経て腎臓に尿が逆流すること)などがある場合、腎臓の炎症も起こしやすくなるので、不衛生な亀頭でそれが助長されるのを防ぐため、包茎治療を積極に行うことがあります。

・かんとん包茎を起こす場合
かんとん包茎とは、包皮口が狭い状態で無理に包皮をむいたとき、狭い包皮口が冠状溝をきつく締めることで包皮がむくみ、元に戻らない状態になることです。この場合、可能であれば指で元に戻しますが、不可能な場合は手術で切開し、戻したあと切開部分を縫い閉じます。

バルーニングのイメージ

バルーニングのイメージ

まとめ

男の赤ちゃんはみんな生まれつき包茎です。成長とともに亀頭と包皮が分離していき、多くは思春期くらいまでには剥けるようになっていきます。

子どものおちんちんの皮を大人の手でむくかどうかは、国や文化によって考え方が違います。近年、赤ちゃんの包皮を亀頭からはがすために考え出された「むきむき体操」が話題になっています。日本でも色々な考えの人がいて、いまだに正解は出ていないため、医師にその子に向いた方法を相談しながら、それぞれの家庭でどうするか考えていきましょう。むきむき体操が気になったら、ママだけで結論を出さないで、パパとも相談して我が家なりのやり方を見つけていきたいですね。

この記事の監修ドクター
大越陽一先生
杏林大学医学部卒業、杏林大学医学部小児科学教室任期助教、埼玉県立小児医療センター循環器科医長を経て現在アルテミスウィメンズホスピタル小児科部長。小児科専門医

(文:大崎典子/監修:大越陽一先生)

※画像はイメージです

参考文献

[*1]順天堂大学医学部小児外科・小児泌尿生殖器外科 陰茎の異常① (包茎・埋没陰茎)

[*2]日本小児泌尿器科学会 小児泌尿器科の主な疾患「包茎」

[*3]「もっと知りたい男子の性(1)男子はおちんちんで育つ」現代性教育研究ジャーナルNo.39

[*4]山崎雄一郎:日本の小児の包茎は治療の対象か? 第10回日本小児泌尿器科学会総会アンケート集計  , 日小泌尿会誌 11, 84, 2002.

[*5]「母たちの包茎戦争―あるいは 1980-2010 年代の小児包茎言説は何を語っていないのか―」澁谷知美, 人文自然科学論集 141: 2017/12/7, 83-130

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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