【医師監修】産後の腹筋の状態は?産後の体操や運動はいつから?

【医師監修】産後の腹筋の状態は?産後の体操や運動はいつから?

産後のママを悩ませる「ぽっこりお腹」。早く引っ込めたいからと、すぐに腹筋運動を始めるのはダメだって、知っていましたか? 安全で確実にお腹を引き締めるために覚えておきたい、始める時期とトレーニング法を紹介します。


産後のぽっこりお腹を何とかして!

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出産したら、お腹は自然に引っ込んでくれると思っていたのに――。
入浴や着替えの際に、どうしても目に入ってしまう「ぽっこりお腹」。何とか引っ込めたいと思うママも多いはず。

では、産後の体に負担をかけず、かつ確実にお腹を引き締めるには、どんなトレーニングが有効なのでしょうか。

お腹が戻らない原因は大きく3つ

妊娠中に大きく膨らんだお腹。出産して赤ちゃんがいなくなったのに、お腹がぽっこりしたままなのは、大きく「脂肪の増加」「大きくなった子宮が戻らない」「腹筋力の低下による内臓下垂」という3つの原因が考えられます。

(1)妊娠中の脂肪の増加

妊娠中にお腹が大きく膨らむのは、子宮で赤ちゃんが育っているからですが、このとき皮下脂肪の量も増えています。

妊娠中に脂肪がつくのは、胎盤から分泌されるhPL(ヒト胎盤性ラクトゲン)というホルモンの影響。成長ホルモンに近く、脂肪を蓄えるはたらきがあります。脂肪は「出産したらすぐに元通り!」というわけにはいかないので、脂肪を減らさない限り、ぽっこりお腹が残ってしまうというわけです。

(2)大きくなった子宮が戻らない

約10ヶ月間かけて広がった子宮は出産後に縮まりますが、出産前の大きさに戻るまでは時間がかかります。

産後1週ごろには握りこぶし大になり、妊娠していない時の大きさに戻るのは産後6週ごろです。とくに出産直後は、赤ちゃんはすでに出てきたはずなのに、まるで妊娠中のようなお腹に驚くお母さんも少なくありません。

(3)腹直筋の影響によるもの

腹筋は、正しい姿勢をとる、内臓を正常な位置に保つなど、重要な役割を担っています。

ところが、妊娠中は子宮が大きく膨らむことで腹筋が引き延ばされます。こうした物理的な作用と、筋肉を緩めるリラキシンやエストロゲンなどのホルモンの作用の結果、腹直筋離開(ふくちょくきんりかい)という状態になり、腹筋は弱く、薄くなります(腹直筋離開については後述)。

腹筋の力が低下すると、お腹にある内臓が本来の位置より下に落ち込んでしまう内臓下垂という状態が生じるため、お腹がぽっこり出たままになってしまうのです。

また、腹直筋自体が妊娠中に長く伸びることで、産後のお腹がたるんだようになります。腹直筋の伸びは1年ほどをかけて元に戻るので、これによるお腹のたるみは自然に治まっていくでしょう。

お腹ぽっこり対策を始める目安は?

お腹の引き締めは、出産の方法や体(子宮)の回復に合わせて始める必要があります。いきなり強度の高い腹筋運動を始めてしまうと体に負担がかかり、思わぬ体調不良やトラブルの原因になりかねないので避けましょう。

「出産直後に腹筋運動」は実はダメ

お腹を引き締めるには腹筋運動を行うが有効ですが、出産直後から始めるのはよくありません。というのも、妊婦さんの多くは妊娠中に腹筋(腹直筋)の間が開いてしまう「腹直筋離開」という状態が起こっているからです。

腹直筋離開 産後 腹筋 ふくちょくきんりかい

腹直筋とはお腹の前側についている筋肉のことで、多くの人がイメージする腹筋にあたります。ボディビルダーの体つきを見るとわかるように、腹筋は一つの固まりではなく、いくつかに分かれています。

腹直筋離開とは、腹筋を左右に隔てている組織(白線)が妊娠中に分泌されるリラキシンやエストロゲンなどのホルモンの影響で伸び、腹筋が左右に広がってしまう状態のこと。出産直後はこの腹直筋離開が改善されていないままなので、その状態でハードな腹筋運動を行うと腹圧が上がって、腹直筋離開の悪化も懸念されます。

また、よくある「寝そべって肩を持ち上げて上体を折り曲げる」といった腹圧をかける動きは、骨盤底筋群に負担をかけることがあります。尿漏れなどのトラブルなどを引き起こす原因にもなるので、出産直後に腹筋運動を始めるのは控えた方が賢明です。

自然分娩(経腟分娩)の場合

入院中から始める「産褥体操(さんじょくたいそう)」が有効です。産褥体操とは、妊娠や分娩で変化した腹筋や骨盤底筋群が元に戻ることを促したり、血液循環の改善などを目的に行うもので、詳細は後ほど紹介します。できる範囲で産褥体操を行っていきましょう。

腹筋運動は産後1ヶ月健診で特に問題なしとされたら始めましょう。最初は軽めの腹筋運動にとどめ、徐々に強度を上げていきます。

帝王切開の場合

腹筋やお腹まわりの腱なども傷つくため、経腟分娩よりも体への負担が大きい帝王切開。
この場合、傷の回復を待ってから運動を始めることになります。一ヶ月健診で特に問題なしとされたら、産後1~2ヶ月後から、負荷が軽い運動から始めるのが一般的です。

ぽっこりお腹に効くトレーニング

産後のママの体調を回復させたり、ゆるんだ筋肉や関節を妊娠前の状態に近づけたりするために行われるのが、産褥体操。最近では「アフター・マタニティ」とも呼ぶようです。

産褥体操そのものは産後の体の回復を促すものであって、腹筋トレーニングが主たる目的ではありません。ですが、まずは産褥体操で軽く体を動かすことから始めるとよいでしょう。

産後に始める「産褥体操」の流れと注意点

今回、こちらで紹介するのは、千葉県松戸市で行われている産褥体操です。医療機関や自治体によってやり方が異なるので、産婦人科医や助産師、地域の保健師などに聞いてみるとよいでしょう。

産後2、3日だと、腹筋の力が低下してお腹に力を入らないというママでも、続けていくことで徐々にお腹に力が入るようになります。腹筋も1ヶ月ぐらいで一般の女性と同じレベルまで戻るようなので、諦めず続けることが大切です。

<産褥体操の流れ>

◆産後から退院まで
腹筋や骨盤底筋群に負担がかからないよう、横になった状態で体を動かす

◆退院後4週目ごろ
入院中の体操を続けるとともに、立った姿勢での運動を加える

◆5~8週目ごろ
育児で疲れやすい部分をストレッチでほぐす。1ヶ月健診の結果が順調であれば、全身の筋肉を動かす体操を加える

<注意点>

・無理せず、自分のペースで行うこと
・医師に運動を止められている人は、医師の指示に従うこと。帝王切開で出産した場合、必ず一ヶ月健診で問題なしとされてから始める
・会陰切開などで痛むところがあれば無理せず、できる体操から始める
・痛みが続くときは医療機関を受診する
・1つの運動につき2~3回、呼吸に合わせて行う
・体調や体力に合わせながら、体操の種類や回数を徐々に増していく

入院中と退院後の「産褥体操」のやり方

松戸市の産褥体操のやり方は次の通りです。

<産褥体操のやり方(同)~入院中~>

◆産後1日目
・腹式呼吸:口から息を吐いてお腹をへこませ、鼻から息を吸ってお腹を膨らませる
・足首体操:両足のつま先を上・下(上=頭の方向)に向け、足首をゆっくり曲げ伸ばしする

◆2日目
・足首回し:つま先で大きな円を描くように足首を回す
・頭起こし:仰向けの状態から頭を少し持ち上げる

◆3、4日目
・腕回しと腹筋:仰向けになり両膝を立てたら、伸びをするように両方の手指を組んで腕を頭側に上げる。腕を頭上から胸にそって下ろしていく。腕をお腹まで下げたら、頭を少し持ち上げてお腹をへこませる
・脚の屈伸運動:両膝を立てたら、膝の高さを変えずにつま先を上げて足を伸ばす
脚の引き締め:足を伸ばした状態で少し上げ、膝のあたりで足を交差させる

◆5、6日目から
・腰上げ:両膝を立てた状態で、腰をゆっくり持ち上げたり下ろしたりする
・脚上げ:両膝を立てたら片膝を伸ばし、足先を天井に向かって持ち上げる

<産褥体操のやり方(同)~退院後~>

◆退院から4週目まで
・腕のストレッチ:正座をしたら少し前屈みになり、指先を膝側に向けた状態で手の甲を床に付ける。手首や腕を伸ばす
・腰回し:足を肩幅ぐらいに開いて立ち、腰を回す。右回りと左回り、両方とも行う

◆5週目から8週目まで
・全身の緊張と脱力:仰向けになり、頭の先からつま先までに力を入れる。腰と床に隙間をなくすようなイメージでお腹をへこませる。息を吐きながら全身の筋肉をゆるめる
・全身の曲げ伸ばし:足を腰幅ぐらいに開き、かかとをつけたまま深くしゃがむ。息を吐きながら腰や背中を伸ばす。不安定な人は何かにつかまって行う
・添い寝体操:横向きに寝たら、下側の膝を少し曲げて体を安定させる。上側の足の上げ下ろしをする。かかとは天井を向ける
・足踏み腹筋:仰向けで両膝を立て、両手を頭のうしろで組む。上体を少し起こして足踏みをする。小さく動かしたり、ゆっくり大きく動かしたりする

自宅でできる簡単腹筋トレーニング

いつから本格的な腹筋トレーニングをしてもいいか、世界的に見ても明確な指針がありません。もともとの体力・筋力も人それぞれですから、辛くなりすぎない範囲で、徐々に負荷を強くしていくようにしましょう。

次の紹介するのはオーソドックスな腹筋トレーニングですが、正しい方法で行うことにより、腹筋を引き締めることができます。

<腹筋トレーニングのやり方>

1.仰向けになって膝を立てる。
2.お腹を覗き込むような感じで、息を吐きながら上半身だけゆっくりと持ち上げる
3.丸めた上半身の背骨を一つ一つ床に付けるように、ゆっくり上半身を下ろす

<腹筋トレーニングのポイント>

・呼吸を止めないこと
・勢いを付けずにゆっくりと上体を起こす
・腹筋を意識する
・体を完全に起こすまで上げなくてもOK

これを10回1セットとして行うところから始め、徐々に回数を増やしていきます。
お腹のあたりに軽い疲労感や、使った感じがあればしっかり腹筋が使えている証拠です。

まとめ

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産後のママが気にする「ぽっこりお腹」。早く元に戻したい気持ちは分かりますが、少なくとも産褥期(産後6~8週)は体の回復を最優先にすること。
腹筋運動を始めるときも、産前とは体の状態が違うので無理は禁物。軽めの運動から始め、徐々に強度を上げていきましょう。焦らずコツコツと続けていくことが大切です。

この記事の監修ドクター
産婦人科医 太田寛先生
アルテミスウィメンズホスピタル産婦人科(東京都東久留米市)勤務。京都大学電気工学科卒業、日本航空羽田整備工場勤務。東京医科歯科大学卒業後、茅ヶ崎徳洲会総合病院、日本赤十字社医療センター、北里大学医学部公衆衛生学助教、瀬戸病院を経て現在に至る。日本産科婦人科学会専門医、日本医師会認定産業医、医学博士、インフェクションコントロールドクターICD)、女性のヘルスケアアドバイザー、航空級無線通信士

(文:山内リカ/監修:太田寛先生)

※画像はイメージです

参考文献
Health Management for female athletes
http://f-athletes.jp/download/pdf/190308_HMFASpecialVer.pdf

※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

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