【医師監修】妊婦のおならは臭い?悪臭やガスだまりの原因と対処法

【医師監修】妊婦のおならは臭い?悪臭やガスだまりの原因と対処法

妊娠すると、おならがやたらと出たり、おならのにおいがきつくなったりしませんか? 実はこれらは決して珍しいことではなく、多くの妊婦さんがひそかに悩むことなのです。ちょっと相談しにくいおならの悩みについて、詳しく説明します。


この記事の監修ドクター
産婦人科医 太田寛先生
アルテミスウィメンズホスピタル産婦人科(東京都東久留米市)勤務。京都大学電気工学科卒業、日本航空羽田整備工場勤務。東京医科歯科大学卒業後、茅ヶ崎徳洲会総合病院、日本赤十字社医療センター、北里大学医学部公衆衛生学助教、瀬戸病院を経て現在に至る。日本産科婦人科学会専門医、日本医師会認定産業医、医学博士、インフェクションコントロールドクターICD)、女性のヘルスケアアドバイザー、航空級無線通信士

おならはなぜ出る?

おならは健康な人でも出るもので、出ること自体はいたって自然な生理現象です。ただ、おならの回数が増えたり臭くなったりするのは、腸内環境が崩れていることが原因のひとつと考えられます。

「腸内環境」って? 臭いおならは悪玉菌のせい?

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腸の中には約1,000種類の腸内細菌があり、人に良い働きをする善玉菌、人に悪い影響を与える悪玉菌、両菌のうち優勢な方に味方して働く日和見菌に分かれます。腸の環境はこの3つのバランスで変化し、善玉菌の勢力が強ければ「整った良い腸内環境」ということになります。

一方、腸内環境が悪いと、大腸で便が滞る「便秘」などを引き起こすほか、悪玉菌が臭いガス、すなわち「臭いおなら」の原因を発生させます。悪玉菌は、たんぱく質や脂質が多い食事や不規則な生活、ストレスなどのほか、便秘が原因で腸内に増えてきます。

つまり、悪玉菌は便秘を引き起こし、便秘がさらに悪玉菌を増やすという悪循環に陥ってしまうのです。

妊娠中のおなら問題の原因、便秘はなぜ起こる?

妊娠中はちょっと気を抜くと「ブリッ」とおならが出て、思わず赤面。結構におうので、周りの人に申し訳ない気持ちでいっぱいに。でも、おならの話なんて恥ずかしくて人に相談しにくい……。そんなふうにひそかに悩んでいるのは、決してあなただけではありません。妊娠中におならの回数が増えたり、においがきつくなったりするのは決して珍しいことではないのです。

先にもお伝えしたように、おなら問題と便秘は密接な関係があります。妊娠中はとにかく便秘になりやすいため、どうしてもおならも気になりやすいのです。なぜ、妊娠中は便秘になりやすいのでしょうか。

ホルモンの影響

妊娠すると、出産が終わるまでプロゲステロンというホルモンが多く分泌され続けます。このホルモンの働きにより、腸の動き(ぜん動運動)が悪くなります。腸の動きが悪くなれば、便がなかなか腸を通過しないため、便から水分が腸に多く吸収されていき、便が硬くなってしまいます。このせいで便を排せつしにくくなり、便秘を引き起こします。

つわりが原因の場合も

つわりになると、どうしても食べられないものや飲めないものが出てしまうので、偏った食生活になります。すると水分や食物繊維などが不足して、やはり便秘の原因になります。

腸の圧迫もおならの原因

妊娠中期以降は子宮が大きくなり、腸を圧迫します。すると大腸の動きがさらに鈍くなり、便秘になりやすくなります。また、少し動いただけで子宮によって腸が押されて、おならが出やすくなります。

おなら対策はどうすればいい?

おならの回数を抑えたり、においを抑えたりするには便秘対策が欠かせません。どのようにすれば便秘を解消できるのでしょうか。

おならや便意をがまんしない

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おならが出てしまうと恥ずかしと思うあまりに、ついついがまんしてしまいがち。しかし、おならを排泄せずにいると、腸の動きが悪くなって便秘になりやすくなります。近くに誰もいない場所で、遠慮なく腸内のガスを出してしまいましょう。

また、おならだけでなく、便意をがまんすることも便秘を悪化させます。便意を感じたら時間をおかずにトイレに行きましょう。

便秘や腸内環境改善に効果的な食品を摂る

便秘対策のために、バランスの良い食生活を心がけましょう。特に有効な食品や栄養素は下記の通りです。

食物繊維

食物繊維は、消化・吸収されずに大腸に送られて、水を吸って便の体積を増やします。これが大腸の壁を刺激して、排便をスムーズにする働きがあるのです 。

果物

果物に含まれる果糖は便に水分を引き込み、大腸を刺激します。また、果物に含まれるクエン酸やリンゴ酸にも腸を刺激する働きがあります。

脂肪分

脂肪分を含む食品は、潤滑油の役割を果たすため、便がスムーズに腸内を通過しやすくなります。また、腸もゆるやかに刺激する働きもあります。

発酵食品

ヨーグルトなどの発酵食品をとれば、乳酸菌などの善玉菌がスムーズな排便を促してくれます。

水分をこまめに摂る

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便は大腸内にとどまると、どんどん水分を奪われていきます。ですから、十分な水分をとることが便秘対策として有効です。特におすすめなのが、起き抜けにコップ1杯の水を飲むこと、1日2Lほどの水を小まめに飲むことです。こうすることで寝ている間に失われた水分を補給するだけでなく胃腸を動かす刺激にもなり、また便をやわらかくできます。

適度な運動をする

運動することで血液循環が良くなって大腸の動きが活発になります。妊娠中にできる運動は限られますが、おすすめなのがウォーキングです。無理のない範囲で行うことが大前提ですが、もし医師から運動を禁止されておらず、特に問題がなさそうなら1日30分程度のウォーキングを行ってみるとよいでしょう。ほか、妊婦体操やマタニティヨガには骨盤底筋群を鍛える動きが入っていることもあるので、やはり便秘対策には有効です。

リラックスすることも大切

「生活環境が変わると便秘になる」という人は多いものですが、精神的なストレスも便秘と密接に関わっています。ストレスによって自律神経のバランスが乱れ、腸の動きが悪くなり、便秘になりやすくなるのです。

妊娠中はとにかくストレスがたまりやすいものですが、上手に発散させる方法を探してみてください。なお、「便秘がなかなか解消できない」「おならが出すぎて恥ずかしい」などと悩みすぎるのもストレスのもとです。何事も一人で抱え込まず、プロに相談するのが一番です。心身の不安は遠慮せず、医師に相談しましょう。

そのほかの生活習慣

食事はきちんと3食摂ると、排せつもスムーズになります。夜にはあまり胃腸に負担のかかりすぎない食事にすることも大切です。朝食のあとの15~30分後に必ずトイレに行く習慣をつけ、便意がなくても5分くらいトイレで待つようにしましょう。これを根気よく続ければ規則的な排便のリズムができてきます。

必要なら薬を使いいましょう

生活習慣を整えてもどうしても出ないようであれば、下剤を使いましょう。妊婦健診のついでに産婦人科で相談すれば、妊婦に適切な下剤を処方してもらえます。

まとめ

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おならの話は恥ずかしいので、なかなか人には話しにくいもの。「また臭いおならをしてしまった」「頻繁に出るおならをなんとかできないか」と悩んでしまう妊婦さんも多いものです。しかし、おならの回数が増えたり、においが気になったりすることは、妊娠によって起こりがちなこと。
妊娠中はホルモンバランスの変化やつわりによる食事の偏り、子宮による胃腸の圧迫などによって、どうしても便秘になりやすく、腸内環境もトラブルが起きやすくなります。便秘の予防・解消と腸内環境改善がおならの悩み解決につながるので、妊娠中でもできる対策で乗り切っていきましょう。

(文:今井明子/監修:太田寛先生)

※画像はイメージです

参考文献
内藤裕二「腸内フローラの異常」(日本消化器病学会)健康情報誌 消化器のひろばNo.11
http://jsge.or.jp/citizens/hiroba/backnumbers/hiroba11/hiroba11_03
正岡建洋「おならの原因」(キョーリン製薬)ドクターサロン61巻11月号
https://www.kyorin-pharm.co.jp/prodinfo/useful/doctorsalon/upload_docs/171161-1-05.pdf
「慢性便秘症診療ガイドライン2017」(日本消化器病学会関連研究会 慢性便秘の診断・治療研究会)
「腸内フローラとは」(公益財団法人 長寿科学振興財団)健康長寿ネット
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/kenko-cho/chonai-saikin.html
「生活習慣で乱れた腸内環境を整える方法」(公益財団法人 長寿科学振興財団)健康長寿ネット
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/kenko-cho/chonaikankyo.html
清水純「腸内細菌と健康」(厚生労働省)e-ヘルスネット
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-003.html
「便秘について」(東京学芸大学保健管理センター)
http://www.u-gakugei.ac.jp/~hokekan/d-benpi.html
「便秘」(日本臨床内科医会)わかりやすい病気のはなしシリーズ
http://www.japha.jp/doc/byoki/049.pdf

※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

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