育児中にママの休憩が必要な理由<あき先生の出産・育児コラム>
妊婦さんや育児中のパパママのお悩みに、ベテラン助産師さんが答える「あき先生の出産・育児コラム」。今回のテーマは『ママの休憩』です。休みなしの育児真っただ中、自分のことは二の次三の次でがんばり続けているママはたくさんいます。24時間365日激務なママにとっての休憩とは?
がんばって当たり前?!
「お母さんは、がんばって当たり前」だと思っていませんか?
育児中には、ママがひとりで過ごす時間が大切です。それはなぜなのか、についてまとめました。
育児を大変だと感じるのはなぜ?
「おむつ交換」「授乳」「寝かしつけ」……という育児のひとつひとつも、細かな心配りとコツが必要です。しかし、ママが「育児が大変」と感じる一番の理由はそれだけではないはずです。
ママが育児を大変と感じる本当の理由は、
「時間の制限がないから」
「ひとりで気を張り続けるから」ではないでしょうか。
パパが育児をするときは、
「 “ママが帰る〇時まで” という時間制限つき」や、「大人複数体制(ママもそばにいる)」という状況が多いと思います。
一方ママは
24時間ずっと……
明日も明後日もその次も……
食事中も、睡眠中も、トイレに行っているときも。
常にわが子の安全を確認し、泣いたらすぐに対応できるようにスタンバっているのが育児です。
※二世帯住居など常に大人複数体制のご家庭や、パパがメインで育児をしているご家庭もありますが、あくまで一般的な核家族の設定で書きます。
仕事で考えてみると、超激務!
「もし赤ちゃんがお仕事相手だったら」と想像してみると、いかに激務かがわかります。
・その人は、つねに何かを訴えている(泣く)
・深夜でも遠慮なく何度も指示(だっこ・授乳)があり、睡眠不足の翌朝も通常勤務が始まる
・快適になるようにお手伝い(おむつ変え)しているのに、ためらいなく業務が追加される(おむつ交換中に、さらに追加ウンチ)
・ときに、笑いながら痛めつけてくることがある(授乳中に乳首をかむ)
・すぐに見えるところにいないと、近所に響くほど大きな声で呼び出され(泣く)、トイレにまで入ってくる(あと追い)
・入浴介助も必要なうえ、入浴中に眠ってしまうこともある
そんなプライバシー皆無の24時間連続勤務が連日続き、一瞬のミスが致命的になるとしたなら……超激務です。
おまけに、育児には給料も出ません。「やって当たり前」と思われます。
パパが帰宅したら安心するのは「万が一、何かあっても、もう一人いる」という心強さがあるから。たとえパパが何もしないとしても、いてくれるだけで安心するママは少なくありません。
連日続く「ひとり体制育児」は、気を張ることの連続なのです。
笑顔で育児するために休憩は必須
そんな日々を繰り返していたら、イライラしたときや、疲れたときにリセットができません。
体調が悪いときには、無視したり、怒鳴りたくなるかもしれません。
育児は「母親ならできて当たり前」ではありません。
基本的に、育児は一人きりでできるものではないのです。
子どものお世話のプロフェッショナルである保育士さんは、常に笑顔で適切な判断をします。それができる理由は、プロだからというだけでなく、「勤務時間が終われば帰れるから」ということもあるのではないでしょうか。
ママのなかには「みんながやっていることだから」と一人で抱え込んでいる方もいらっしゃいます。
しかし、育児の背景は全員が違います。
・パパが育休中のご家庭
・実家がすぐご近所のご家庭
・シッターさんが通っているご家庭 など
また、ママの年齢によっては体力も違います。
もしご家族に預けることができなければ、託児や一時預かりの利用をおすすめします。
託児にかかる費用は、ママのためだけでなく赤ちゃんのため、ママが必要な休憩をとり「質のいい育児」にもつながる必要経費なのですから。
かけがえのない育児をしているママたち。
ときには堂々と子どもを預けて、一人で過ごす時間をつくってみてくださいね。
(文:直井亜紀先生)
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