【助産師解説】母乳を飲まないのはなぜ?哺乳拒否?考えられる原因と対策

【助産師解説】母乳を飲まないのはなぜ?哺乳拒否?考えられる原因と対策

赤ちゃんが急に母乳を飲まなくなった! こんなときに考えられる要因と飲んでもらうための対策について、助産師が詳しく解説します。もしかしてこれが原因かも? というものをチェックしてみてください。


赤ちゃんが母乳を飲まない原因は?

授乳をいやがる赤ちゃん
Lazy dummy

赤ちゃんが急に母乳を飲まなくなるのには、主に3つの要因が考えられます。詳しく見ていきましょう。

哺乳拒否(ナーシングストライキ)の可能性

これまで嫌がることなく飲んでいたのに、あるとき急におっぱいを嫌がるようになったという場合は、哺乳拒否(ナーシングストライキ)の可能性があります。また、機嫌が悪いなどいつもと様子が違ったり、鼻づまりなどの体調不良が見られる場合も哺乳拒否をすることがあります。

これは、もうおっぱいはいらないという卒乳とは違い、赤ちゃんに一時的に見られることがある現象です(1週間ほど続くこともあるが、通常2~4日で治まる[*1])。そして、哺乳拒否をする理由は赤ちゃんによってさまざまなので、その理由を探して対応することが大切です。

母乳の出る勢いが強すぎる可能性

飲み始めてから1分くらいして急にのけぞったり、むせる、おっぱいを離すなどの様子が見られるときは、射乳(しゃにゅう)の勢いが激しい可能性が高いです。

一般的に、授乳後1~2分すると一度に多くの母乳が流れ出る「射乳反射」というものが起こるのですが、この勢いが強すぎると赤ちゃんが飲みにくかったり、苦しくて嫌がる場合があります。授乳中に、むせたり、急にのけ反って嫌がることが多いときは、射乳反射が影響していると考えられるでしょう。

乳頭混乱を起こしている可能性

これは乳児早期に多く見られるものですが、哺乳瓶による授乳をしていた場合は、哺乳瓶の乳首との乳頭混乱を起こしておっぱいを嫌がることがあります。これは、乳房と哺乳瓶では、主に以下の点において違いがあるためです。

・母乳やミルクの出方
・吸啜(きゅうてつ)に必要な力
・感触やにおい

乳房と哺乳瓶では感触やにおいはもちろん、出方も異なります。
哺乳瓶の場合は吸い始めからミルクがすぐに出ますが、乳房の場合は吸い始めておよそ1~2分ほどして射乳反射が起こり、母乳が勢いよく流れ始めます。
また、哺乳瓶は軽く吸うだけで常に一定量のミルクが出てきますが、乳房の方はより強い力で吸わないと母乳が出てこないため、吸啜に必要な力という面でも違いがあります。

混合栄養で直に母乳をあげるほかに哺乳瓶でミルクを飲ませていると、上記のような理由で乳頭混乱を起こし、どちらかを拒否するようになることがあると考えられています。
とはいえ、混合で育てている赤ちゃん全員が乳頭混乱を起こすわけではなく、問題なくどちらからでも飲める子も多くいます。実際のところはなぜ乳頭混乱を起こすのか、はっきりとした理由は未だわかっていません。ただ、母乳の出がいい状態に保たれていると混乱は起きにくく、母乳の出がよくない場合は乳房からの直接授乳を嫌がることが少なくないようなので、2つの違いが一因になり得るとは考えられますね。

赤ちゃんが母乳を飲まないときの原因別の対応

それでは、赤ちゃんが母乳を飲まなくなったとき、また飲んでもらうにはどうすればいいのでしょうか?原因別の対策と飲ませ方の工夫やコツをお伝えします。

哺乳拒否を起こしている可能性があるときは

哺乳拒否(ナーシングストライキ)が見られるときは、まずその理由が何かを確かめましょう。

・体調不良が理由の可能性
体調不良が見られるときは、症状が原因で飲みにくさを感じている可能性があります。まずは赤ちゃんの機嫌や様子がいつもと変わらないかどうか、健康面をチェックします。
たとえば、鼻づまりや中耳炎など耳の痛みがあるときは、小児科を受診し、元となる原因の治療を行います。そのうえで、抱き方などを工夫してみましょう。横抱きよりも縦抱きの方が苦しさ・痛みが緩和されやすいため、より飲みやすいかもしれません。

・ストレスなどが理由の可能性
特に体調不良が見られないときは、ストレスの影響が考えられます。直近の生活に普段と変わったことがなかったか振り返ってみましょう。
たとえば、引っ越しや旅行をした、急に慣れない他の人に預けたなどの環境変化がなかったか、あるいは、「授乳中に急にかまれて大きな声を出してしまった」などのできごとがなかったかなど、いろんな可能性を考えてみます。
何かしらのストレスが要因になっている可能性があるときは、赤ちゃんの心にある不安を取り除いてあげることが大切です。普段よりスキンシップを多くとり、赤ちゃんとゆったり過ごす時間を多く持つようにしてみましょう。肌の触れ合いを楽しみながら自然に哺乳を促すと、スムーズに飲んでくれるかもしれません。横抱きでの授乳を嫌がるときは、縦抱きにして肌の触れ合いを多くしながら授乳してみるのもいいでしょう。決して無理強いはせず、赤ちゃんが自然に飲みたがるまで待ってあげましょう。


いずれにしても、無理やり授乳しようとするとさらに嫌がってしまうので、どうしても飲みたがらないときは搾乳してコップやスプーンで与えるなどして対応しましょう。

母乳の勢いが要因と思われるときは

母乳の勢いがよすぎて赤ちゃんがむせてしまい、うまく飲めない場合は、おっぱいをふくませる前に一度軽く搾乳(さくにゅう)してから授乳を試みましょう。ある程度搾乳しておくと、射乳の勢いをやわらげることができます。

また、授乳の姿勢も工夫してみましょう。ママのお腹に赤ちゃんを乗せて授乳するレイバック(レイドバック)式なら、横抱きより母乳の勢いが弱くなって、よりむせにくくなります。ソファや大き目のクッションなどにもたれて赤ちゃんをお腹に乗せれば、ママにとっても楽な姿勢なのでおすすめです。
ただ、赤ちゃんはうつぶせぎみになるので、一緒に寝てしまったりすると窒息の危険があります。万が一のことがないよう、赤ちゃんが飲み切るまでしっかり見守るようにしましょう。授乳中に赤ちゃんがむせたときは、赤ちゃんの顔色を確認し、縦抱きにしてやさしく背中をなでてあげてください。

【助産師解説】写真で学ぶ授乳姿勢!パターン別授乳姿勢と4つのポイント

https://woman.mynavi.jp/kosodate/articles/3509

授乳姿勢が正しくないと赤ちゃんがうまく飲めないだけでなく、乳腺炎などのリスクも高くなります。主な6つのポジショニングとNGパターン、正しい姿勢をとれているかを確認できる4つのチェックポイントをお伝えします。

乳頭混乱を起こしているときは

赤ちゃんを抱っこするママ
Lazy dummy

乳頭混乱を起こしているときは、赤ちゃんの機嫌がよく、お腹がすきすぎていないときを見計らって授乳を試みましょう。お腹がすきすぎて泣いているときは、授乳は困難です。寝起きなど、まだねぼけているタイミングもいいですね。頃合いを見て、スキンシップでリラックスさせてから授乳すると飲んでもらいやすいでしょう。

また、授乳姿勢も見直してみましょう。
授乳の時間だからと無理やり飲ませようとするのではなく、母子ともにリラックスできる姿勢で、楽な授乳を試みてください。首がすわっていれば、縦抱きでの授乳もおすすめ。横抱きより肌の触れ合いが多くなり、赤ちゃんがリラックスしやすいといわれます。

乳頭混乱はすぐに改善しないこともあるので、タイミングを見て何度もチャレンジしてみる必要があります。赤ちゃんがしっかり飲んでくれるまでは、母乳の出が悪くならないようきちんと搾乳して対策しましょう。また、時間はかかりますがスプーンなどで少しずつ飲ませるようにし、できるだけ哺乳瓶の使用は控えることが望ましいです。おしゃぶりも乳頭混乱を起こす要因のひとつになり得るので、乳房からの直接授乳を嫌がる場合は避けるようにしましょう。

【助産師解説】赤ちゃんの乳頭混乱!予防法は?克服はできる?

https://woman.mynavi.jp/kosodate/articles/3526

乳頭混乱の予防と克服方法について助産師が解説します。赤ちゃんが乳頭混乱で母乳を飲んでくれずに困っている、哺乳瓶を使いたいけど乳頭混乱が心配…というママ必見です!

まとめ

授乳中の赤ちゃん
Lazy dummy

赤ちゃんが乳房からの直接哺乳を嫌がったり、急に母乳を飲まなくなるのはよくあること。体調に気になる様子が見られたら、まずは小児科を受診しましょう。これまでよく飲んでいたのに飲まなくなったり、途中で急にのけ反るというときは、射乳反射の勢いが強すぎるか、赤ちゃんが哺乳拒否を起こしている可能性があります。何が原因かをよく観察し、飲まない理由に合った対策で赤ちゃんの自然な哺乳意欲を促すよう工夫してみましょう。生まれて間もない頃なら、混合栄養で哺乳瓶を使用している場合、哺乳瓶との乳頭混乱を起こすケースがあります。機嫌のいいときや、まだ寝ぼけているような眠たいときを見計らって授乳を試み、乳房からの哺乳に慣れるよう努めてください。

この記事を解説してくれた先生
坂田 陽子先生
看護師、助産師、国際認定ラクテーションコンサルタント。 葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院のNICU・産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。その後、都内の産婦人科病院で師長を経験。現在は東京で「すみれ出張助産院」を開業している。
HP:https://sumire-josanin.com/

(文・構成:マイナビウーマン子育て編集部、監修・解説:坂田陽子先生)

※画像はイメージです

参考文献
[*1]児玉浩子ほか「小児科医と母乳育児推進」(日本小児科学会雑誌)115(8)p.1363-89,2011
https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/saisin_110916.pdf

水野克己「これでナットク母乳育児」(へるす出版)
宋美玄・森戸やすみ「産婦人科医ママと小児科医ママのらくちん授乳BOOK」(内外出版社)

※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、助産師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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