【医師監修】「逆子」だと胎動の感じ方は普通と違う?

【医師監修】「逆子」だと胎動の感じ方は普通と違う?

「逆子ですね」健診の際にそう言われて、気になっている人もいるのでは? お腹の中は見えないので、赤ちゃんがいつまで逆子でいるのか気になりますね。赤ちゃんの胎動で逆子かどうかを見分けることはできるのでしょうか。


この記事の監修ドクター
産婦人科医 太田寛先生
アルテミスウィメンズホスピタル産婦人科(東京都東久留米市)勤務。京都大学電気工学科卒業、日本航空羽田整備工場勤務。東京医科歯科大学卒業後、茅ヶ崎徳洲会総合病院、日本赤十字社医療センター、北里大学医学部公衆衛生学助教、瀬戸病院を経て現在に至る。日本産科婦人科学会専門医、日本医師会認定産業医、医学博士、インフェクションコントロールドクターICD)、女性のヘルスケアアドバイザー、航空級無線通信士

普通と違う? 逆子の胎動

逆子とは

妊娠中期までの赤ちゃんはお腹の中でさまざまな体勢をとっています。後期になると一般的には頭を下にしていることが多いですが、中には頭を上にした、いわゆる「逆子」の状態になっていることもあります。逆子は医学用語で「骨盤位(こつばんい)」と呼ばれています。子宮奇形や子宮筋腫、胎盤異常(前置胎盤や低置胎盤)など、なんらかの原因で赤ちゃんが自分で回転するのが妨げられ、逆子になっている場合もありますが、多くは原因不明です。

なお、逆子の中にもいくつか分類があり、もっとも多いのはお尻を一番下にした「殿位(でんい)」です。逆子のうち、約75%[*1]を殿位が占めています。次に多いのが足を一番下にした「足位(そくい)」で約24%[*1]、ほかに膝をついたような体勢の「膝位(しつい)」がありますが、膝位の赤ちゃんは全体の1%程度[*1]といわれています。

逆子の説明図

妊娠後期の妊婦健診ではお腹の赤ちゃんの成長や健康に加え、赤ちゃんの頭の向き(胎位)も確認していますが、それは胎位が出産方法に大きな影響を与えるからです。詳しくは後述します。

逆子と胎動の感じ方に関係はある?

ところで、逆子かどうかを健診以外、たとえば胎動の感じ方などで見分ける方法はあるのでしょうか。

人によって時期は異なりますが、赤ちゃんの胎動を感じられるようになるのは妊娠20週前後以降[*2]からです。妊娠28週ごろまでは赤ちゃんがお腹の中で動き回るため、それに伴い胎動を感じる位置も変化します。その後、妊娠30週ごろになると赤ちゃんの体位が定まり、胎動も一定の位置で感じられるようになることが多いでしょう。

逆子と胎動の感じ方についてはいくつか説があり、「逆子だと胎動が激しい」「胎動を感じる位置が恥骨の上や下腹部など、通常よりも下にある場合は逆子の可能性が高い」「逆子の場合は膀胱をけられやすく、尿意をもよおしやすい」などといわれることがあります。しかしながら胎動の感じ方には個人差があるほか、赤ちゃんの動き方もさまざまです。とくに初めての妊娠では、通常の胎動を感じる位置がどのあたりなのかを判断するのも難しいでしょう。

以上のことから、胎動の感じ方と胎位には明確な関連性がないと考えるのが妥当といえます。

逆子と診断されたら

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36週くらいまでは様子見

逆子であっても、いつの間にか自然に頭が下向き(頭位)になっていることが多いもの。そのため妊娠35週ごろまでは様子を見ながら、自然な胎位変化を待つのが一般的です[*3]。
何らかの原因があって逆子になることはあっても、逆子が原因でママに特別な症状が出ることや合併症が増えることはまずなく、また、逆子でも赤ちゃんはきちんと成長します。逆子であること以外、とくに妊娠の異常を指摘されていない場合、その点においては安心してよいでしょう。

36週を過ぎたら分娩方法決定

妊娠36週[*4]になっても骨盤位が変わらなければ、経腟分娩にするか帝王切開にするか、分娩方法を選択します。

骨盤位のまま経腟分娩を行うことを「骨盤位分娩」と呼びます。骨盤位分娩によるお産では、帝王切開によるお産に比べて、赤ちゃんの体の一部が引っかかってスムーズに出てこられずお産に時間がかかるほか、頭でへその緒を圧迫したり、臍帯脱出(さいたいだっしゅつ)といって赤ちゃんよりも先にへその緒が出てきてしまったりすることで血流が妨げられ、脳性麻痺などの合併症を引き起こすリスクが高まるといわれています。また、お産が始まる前に破水が起こりやすい(前期・早期破水)というリスクもあります。

帝王切開では上記のようなリスクは避けられるため、日本では多くの場合、帝王切開を選択することとなります。不安や心配事がある場合は、経腟分娩と帝王切開のメリットとリスクなどを医師にしっかりと説明してもらいましょう。

逆子の治療方法:外回転術について

逆子を矯正させる方法に「外回転術」があります。外回転術は子宮収縮抑制薬を投与しながら、お腹の外から胎児を回転させる胎位矯正法です。その成功率は60~70%[*4]と報告されています。

外回転術には、胎盤が剥離して母子ともに危険が生じる常位胎盤早期剥離や、胎児心拍数の悪化などを引き起こしたりして、そのまま緊急帝王切開となるリスクもあります。それゆえ「胎盤付着部位は正常位置」「羊水量が正常範囲内」といった条件を満たした妊婦に対してのみ、十分な説明と同意を得た上で行われています。すぐに緊急帝王切開ができる病院でなければ行ってはいけません。

なお、胸膝位やブリッジ法といった、いわゆる「逆子体操」については、その有効性が定かではないことから、近年あまり行われなくなっています。

まとめ

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お腹の赤ちゃんが逆子だと心配になるかもしれませんが、多くが出産前に通常の胎位に戻っています。また、もしも戻らない場合でもリスクを少なくすることは可能です。必要以上に不安がらず、赤ちゃんの状態とメリット、リスクをできるだけ理解してお産に臨みましょう。

(文:山本尚恵/監修:太田寛先生)

※画像はイメージです

参考文献
[*1]メディックメディア「病気がみえる vol.10 産科 第4版」P.281
[*2]メディックメディア「病気がみえる vol.10 産科 第4版」P.8
[*3]メディックメディア「病気がみえる vol.10 産科 第4版」P.283
[*4]メディックメディア「病気がみえる vol.10 産科 第4版」P.284

※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

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