【医師監修】母乳はアレルギーの要因になる?授乳中の食事について

【医師監修】母乳はアレルギーの要因になる?授乳中の食事について

母乳が原因で赤ちゃんがアレルギーを起こすことはあるのでしょうか? 母乳と乳児の食物アレルギーとの関係について解説します。食物アレルギーが疑われるときの対応についてもお伝えしているので、ぜひチェックしてみてください。


この記事の監修ドクター
梁 尚弘先生
りょうキッズクリニック(埼玉県所沢市)院長。平成10年順天堂大学卒業後、日本大学小児科研修医、沼津市立病院小児科、横須賀市立市民病院小児科、日本大学小児科助教、瀬戸病院小児科医長を経て現在に至る。小児科専門医。

赤ちゃんのアレルギーと母乳の関係

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授乳中は母乳の質と赤ちゃんの健康を考え、たばこやアルコール、薬はもちろん、食べるものにも神経質になりますよね。ママが食べたもので、母乳を飲んだ赤ちゃんに影響が出ることはあるのでしょうか?母乳と乳児アレルギーの関係について見ていきましょう。

母乳で赤ちゃんが食物アレルギーになることはある?

ごくわずかではありますが、母乳中にはママが食べたもの(成分)が含まれます。ママが食べた卵や小麦のたんぱくは、食べた後2~6時間後から4日後まで母乳中に検出されたというの報告があります[*1]。実際、母乳を介してアレルゲン(アレルギーの原因となる物質)を赤ちゃんが摂取することで、アレルギー症状を起こすことがありますが、多くの場合は母乳を飲んでもアレルギーの症状を起こさないか、軽くすみます。

アレルギー予防のため、妊娠中・授乳中に食事制限を行うことは推奨されていません。食物除去はママや赤ちゃんの栄養障害を起こす可能性がある[*2]ので、自己判断で行うことはやめましょう。

授乳中に食物アレルギーが疑われるときは?

赤ちゃんにアレルギーのような症状が見られたからといって、すぐに食物アレルギーと断定できません。アレルギーの要因は多岐にわたり、食物以外にほこりや洗剤など、生活環境の影響を受けている可能性も高いためです。そのため、アレルギーの原因がどこにあるのかは、詳しい検査をしないとわかりません。

赤ちゃんに湿疹や皮膚の赤み、かゆみなど、アレルギーが疑われる症状が出ても自己判断で授乳を中止することはせず、まずは小児科やアレルギー科を受診しましょう。

アレルギーの要因は詳しく調べないと判別できないことが少なくありません。赤ちゃんの症状にもよりますが、まずは外用薬での治療や正しいスキンケア(清潔と保湿)を行い、それでも改善しないときは、医師の指導のもと食物除去試験と食物負荷試験を行うことがあります[*3]。

食物除去試験とは、アレルゲンとして疑わしい食べ物をママが一定期間(1〜2週間)完全に食べないようにし、これで赤ちゃんの症状が改善するかどうかを観察する検査です。一方の食物負荷試験は、食物除去試験に続き、ママがアレルギーの要因と思われる食べ物を食べた上で母乳を与え、赤ちゃんに症状が出てくるかどうかを観察する検査です。この結果を受け、食物アレルギーの診断を行います。

赤ちゃんが食物アレルギーと診断されたら?

検査によって、赤ちゃんの症状が母乳に含まれる特定の食べ物によるアレルギーであることがわかったときは、その後どのように対応すればいいのでしょうか?

母乳栄養や混合栄養(母乳と人工乳)の赤ちゃんが、食物アレルギーと診断された場合、ママの食事からのアレルギーの原因となる食べ物を除去する場合があります。ただし、ママがその食べ物を食べた後に授乳したからといって、赤ちゃんが重いアレルギー症状を起こすことは少なく、加工品程度であればママが食べても問題ないことがほとんどです。

また、ママが行う食物除去は「必要最小限」で、医師の判断次第では短期間で除去解除になることも少なくありません。

知っておこう!母乳とアレルギーに関する2つの誤解

ここからは、よく耳にするアレルギーに関する2つの誤解についてお伝えします。

今後のアレルギー予防に特定の食物を除去した方がいい?

本文 今後のアレルギー発症予防として、赤ちゃんが食物アレルギーでもないのに授乳中に特定の食べ物を除去する人がいるようですが、これはまったく意味がありません。食物除去によるアレルギーの予防効果は否定されており、これは「食物アレルギー診療ガイドライン」にも明記されています[*2]。むしろ健康を害する危険性があるので、むやみな食事制限は行わないようにしましょう。

母乳にはアレルギー予防効果がある?

以前、母乳はアレルギー疾患の予防に優れているという研究結果が報告されましたが、これには十分なエビデンスがないことが示されました。「食物アレルギー診療ガイドライン」には、「アレルギー疾患予防という点で完全母乳栄養が優れているという十分なエビデンスはない」との内容が記載されており、2019年からは「赤ちゃんの授乳と離乳食に関する国の指針」にも盛り込まれるようになりました。

さまざまな理由により母乳とミルクの混合育児やミルク育児を選択する場合もありますが、アレルギーの面では、母乳かミルクかの栄養方法によって影響が出るわけではありません。

食物アレルギー診療ガイドライン2016 第4章 予知と予防

◆妊娠中や授乳中の母親の食物除去
「食物アレルギーの発症予防のために妊娠中や授乳中の母親の食物除去を行うことを推奨しない。食物除去は母体と児に対して有害な栄養障害を来す恐れがある」

◆(完全)母乳栄養
「母乳には多くの有益性があるものの、アレルギー疾患予防という点で完全母乳栄養が優れているという十分なエビデンスはない」

まとめ

本文 母乳には、ママが食べた食物抗原が含まれるので、母乳を飲むことによって、アレルギー症状が悪化することがありますが稀です。アレルギーの要因は多岐にわたるため、湿疹などアレルギーが疑われる症状が見られても、自己判断ですぐに授乳を中止することはやめ、必ず病院を受診し、医師にアドバイスをもらいましょう。スキンケアや外用薬などで改善を試み、それでもダメなときは専門機関で食物アレルギーに関する検査を受け、適切な治療方法をとることがあります。また、アレルギー症状が出ていないのに予防のためにママが食事制限するのには、医学的な根拠がなく、推奨されていません。栄養バランスを悪くするため、自己判断で行わないでください。

(文:マイナビウーマン子育て編集部、監修:梁尚弘先生)

※画像はイメージです

参考元
[*1]水野克己ほか「母乳育児支援講座」(南山堂)p.60
[*2]日本小児アレルギー学会「食物アレルギー診療ガイドライン2016」
https://www.jspaci.jp/allergy_2016/chap04.html
[*3]食物アレルギー研究会「AMED研究班による 食物アレルギーの診療の手引き2017」p.11
https://www.foodallergy.jp/wp-content/themes/foodallergy/pdf/manual2017.pdf

※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。
※新型コロナウイルス感染症についての最新情報は、[内閣官房][厚生労働省]妊婦に関する情報[日本小児科学会]幼児に関する情報など公的機関等で発表されている情報をご確認ください。

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