【助産師解説】赤ちゃんのうつぶせ寝のリスクとは?寝返りが多いときの対処法

【助産師解説】赤ちゃんのうつぶせ寝のリスクとは?寝返りが多いときの対処法

赤ちゃんを就寝時にうつぶせ寝させることにはどのような危険が潜んでいるのでしょうか? ある程度の時期まで仰向け寝が推奨される理由と、寝返りが多い赤ちゃんの対処法について、助産師が詳しく解説します。


赤ちゃんのうつぶせ寝に潜むリスクとは?

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赤ちゃんがうつぶせ姿勢で眠る「うつぶせ寝」は、リスクがあるとして警鐘が鳴らされています。具体的に、どのような危険があるのでしょうか?

窒息のリスク

乳児期のうつぶせ寝でもっとも警戒すべきなのが、窒息のリスクです。
まだ筋力が弱く自由に首を動かせない赤ちゃんは、たとえ苦しくても自力で顔を動かすことができません。そのため、顔が下を向いた状態でうつぶせに寝てしまうと、窒息してしまう危険性がとても高くなります。ふかふかの布団や枕、クッションなどは、窒息の恐れをさらに高めます。首がすわってある程度筋力がついたとしても、自由に寝返りがうてるようになるまではリスクがつきまといます。身体を自在にあやつれ、自由に寝返りをうてるようになるまではうつぶせ寝は避けるべきでしょう。

乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスク

赤ちゃんのうつぶせ寝は、窒息だけでなく乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスクを高めることもわかっています。
SIDSとは、元気だった赤ちゃんが何の前触れもなく、睡眠中に突然死亡してしまう病気です。日本では年間77名の赤ちゃんがSIDSで亡くなっており(2017年)、乳児期の死亡原因の第4位となっています[*1]。

SIDSのはっきりとした原因は未だにわかっていませんが、発症率を高める要因については研究によりいくつか判明していることもあり、そのうちのひとつに「うつぶせ寝を避ける」があります。うつぶせ寝がSIDSのリスクを高める理由についてはっきりしたことはわかっていませんが、発見されたときにうつぶせに寝ていることが多かったことからリスクファクターのひとつであることが示唆されています。

うつぶせ寝はいつまでNG?赤ちゃんの命を守るための注意点

では、うつぶせ寝はいつまで避ければいいのでしょうか? リスクを避けるために仰向けに寝かせたい最低限の期間と、乳幼児突然死症候群(SIDS)の発症を防ぐために注意したいことについて見ていきましょう。

1歳を過ぎるまではうつぶせ寝を避けるのが望ましい

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乳幼児突然死症候群(SIDS)の発症は生後6ヶ月以内がほとんどで、中でも生後3ヶ月前後がもっとも多いことが統計でわかっています。これは、生後3ヶ月を過ぎるまでは赤ちゃんの身体が外界の厳しい環境に対応できるまでに発達しきっていないことが原因では? と考えられています。生まれたての赤ちゃんは、ママの胎内から外界へと身を置く環境が大きく変えられます。そして、この環境に慣れるよう、身体を少しずつ変化させていきます。生後3ヶ月は成長スピードが増すことで、脳や心臓の働きが一層不安定になる時期といわれます。また、この頃にはママからもらった免疫がかなり少なくなっている時期でもあるので、外界の厳しい環境への抵抗力が弱まっています。このようなときに風邪などをひいてしまうと、SIDSを発症させる確率を高めるのではと考えられています。実際に、SIDSで死亡した子のおよそ6割は、風邪や軽い気管支炎を患っていたようです。

生後7ヶ月前後になると自分で寝返りをうてるようになる子も多く、SIDSの発症がもっとも多いとされる時期も過ぎているので、この頃からならうつぶせ寝もOK? とも思われますが、前述のようにSIDSの原因ははっきりしたことがまだわかっていません。原因が完全に解明されるまではリスクだとわかっているものを避けて予防するしかないので、万が一のことを避けるためにも、SIDS予防の観点から厚生労働省では「1歳までは仰向けで寝かせること」を推奨しています[*1]。現に、生後6ヶ月以内の発症がほとんどというだけで、それ以降の発症が0ではありません。このようなことを考えても、1歳まではできるだけ仰向けで寝かせることが安全でしょう。

うつぶせ寝だけじゃない!窒息やSIDSを予防するための注意点

乳幼児突然死症候群(SIDS)を予防するには、うつぶせ寝以外にも気をつけたいことがあります。どれも、これまでの死亡例から導き出された危険因子なので、赤ちゃんを守るためにも必ず心がけるようにしましょう。

・敷布団は硬めのものを使用し、枕の使用は避ける。
・布団の周りにぬいぐるみやクッションなど、顔をうずめる恐れのあるものは置かない。
・寝るときはあまり厚着をさせない。
・赤ちゃんの近くでタバコを吸わない。

この他、母乳で育てられている赤ちゃんの方が発症リスクが低いとの調査結果もあるため、可能な限り母乳育児を行うことも推奨されています。

自分でうつぶせ寝してしまうときはどうする?

少なくとも1歳までは仰向けで寝かせることが安心とお伝えしましたが、中には寝返りをうてるようになると自然とうつぶせ寝になってしまう赤ちゃんもいるようです。このような場合は、どのように対策すればいいのでしょうか?

仰向けよりうつぶせの方が好きな赤ちゃんも

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首がすわり自分で寝返りがうてるようになると、うつぶせの体勢を好む子もいます。起きているときにうつぶせにするとご機嫌で遊んでいるという赤ちゃんもいますし、夜、眠っている間に自然とうつぶせ寝になる赤ちゃんもいます。

まず、赤ちゃんが起きているときに、大人が見ている前でうつぶせの体勢にすることは、問題ありません。ただし、赤ちゃんをうつぶせにしたまま目を離したり、そのまま就寝させたりすることは避けましょう。

では、「寝る時は仰向けで寝かしつけたのに、夜中にふと気づいたら赤ちゃんがうつぶせの姿勢で眠っていることが多い」というような、“うつぶせ寝(うつぶせで眠る)の方が好きな赤ちゃん”には、どう対応すればいいのでしょうか?

寝返りをうって、うつぶせ寝になってしまうときは?

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実は、赤ちゃんの中には「仰向けよりうつぶせの方がよく眠れる」という子もいます。うつぶせの方がよく眠れたとしても、1歳までは無理にでも仰向けで寝かせた方がいいのでしょうか。

結論から言うと、自由に寝返りがうてるようになり(仰向け→うつぶせ、うつぶせ→仰向け、両方の寝返りができる状態)、寝ている間に自然とうつぶせ寝になってしまうことに関しては、そこまで神経質になることはありません。

厚生労働省の推奨内容は、「眠り始めるときにあおむけ寝の姿勢にしてあげる」というもので、自然とうつぶせ寝になることまで防いでほしいということではありません[*1]。米国小児科学会の「SIDSとその他の睡眠関連の乳児死亡」に関する勧告でも、「赤ちゃんを仰向け寝で寝せることが安全なのはいつまでかについて、はっきりしたことはわかっていないが、1歳までは仰向け寝が勧められる。ただし、仰向けからうつぶせ、うつぶせから仰向けへの寝返りができるようになったら、寝たい位置のままでOK」[*2]というような内容が書かれています。

ただし、たとえ筋力が付いた頃とは言え、うつぶせ寝での窒息の可能性は0とは言い切れません。寝返りがうてるようになったら万が一に備えて硬い布団を利用し、シーツは常にぴんと張る、枕は使わない、 ぬいぐるみやクッションなど顔をうずめやすいものを近くに置かないなどの注意を心がけましょう。また、パパママなど大人が同じ部屋の中の別の寝具で寝るなど、いつでも様子を見られる環境に置くこともSIDSのリスクを軽減するとされています[*2]。

まとめ

赤ちゃんのうつぶせ寝は、窒息や乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスクを高めることがわかっています。SIDSの発症は生後3ヶ月前後の頃が多いですが、万が一に備えて1歳までは仰向けで寝かせるよう米国小児科学会と厚生労働省で推奨されています。とはいえ、中にはうつぶせ寝の方がよく眠れるという赤ちゃんも。寝返りが上手になり、寝ながら自然とうつぶせになってしまう場合は、無理に仰向けに変える必要はありません。ふかふかの枕やクッション、ぬいぐるみなど、窒息のリスクを高めるものを避け、寝室は大人と同じ部屋の別のベッド・布団に寝るなどを心がけましょう。

この記事の解説助産師
佐藤 裕子先生
日本赤十字社助産師学校卒業後、大学病院の総合周産期母子医療センターで10年勤務。現在は助産院マタニティハウスSATOにて、妊娠から出産、産後のトータルケアを担っています。「日々ママや赤ちゃんに寄り添い、笑顔になってくれるのが何よりのやりがいです 」

(文・構成:マイナビウーマン編集部、監修・解説:佐藤裕子先生)

※画像はイメージです

参考文献
[*1] 厚生労働省「11月は「乳幼児突然死症候群(SIDS)」の対策強化月間です」
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000181942.html
[*2]SIDS and Other Sleep-Related Infant Deaths: Updated 2016 Recommendations for a Safe Infant Sleeping Environment
https://pediatrics.aappublications.org/content/138/5/e20162938

京都大学大学院医学研究科法医学講座「乳幼児突然死症候群(SIDS)」
http://www.fp.med.kyoto-u.ac.jp/study03

※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、助産師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

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