【医師監修】不正出血ってどんなもの?生理とは違う出血の原因と対処法

【医師監修】不正出血ってどんなもの?生理とは違う出血の原因と対処法

生理(月経)ではないときに出血が起こると、たとえそれが少量だとしても「たいへんな病気なのでは?」と不安になりますよね。ここでは、考えられる不正出血の原因、不正出血を放置しておくことのリスクや出血が起きたらチェックすること、受診の際の注意点を詳しく解説していきます。


この記事の監修ドクター
産婦人科専門医 齊藤英和 先生
梅ヶ丘産婦人科勤務、国立成育医療研究センター臨床研究員、神戸元町夢クリニック顧問、浅田レディースクリニック顧問、近畿大学先端技術総合研究所客員教授、1 more baby 応援団理事、ウイメンズヘルスリテラシー協会理事。山形大学医学部卒業後、同大学、国立成育医療研究センターを経て現職。日本産科婦人科学会産婦人科専門医、日本生殖医学会生殖専門医、医学博士。

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不正出血の原因はさまざま

不正(性器)出血とは、通常の生理(医学では、月経と表記する)時の出血とは異なる性器からの出血のことをいい、大きく、機能性(子宮)出血、妊娠性出血、性器外出血、器質性出血、薬剤性出血、血液や肝臓の病気などによる出血に分類されています。以下に簡単にそれぞれがどんなものかについて紹介します。

妊娠性出血

通常、妊娠すると生理が止まりますが、妊娠したことによって出血することもあり、この場合、妊娠性出血と呼ばれます。着床出血、流産、異所性(子宮外)妊娠、胞状奇胎などがその原因です。着床出血以外は出血量が多くなる場合もあり、注意が必要です。

性器外出血

性器外出血は、痔からの出血、膀胱炎の悪化、尿道にできた腫瘍からの出血など、その名の通り、性器以外からの出血を指します。一見、性器からの出血に見えて、実は性器ではないところから出血している場合です。

器質性出血

器質性出血とは、腟や外陰部の炎症や外傷、子宮筋腫、頸管ポリープ、子宮頸がん、子宮体がんなどから起きる出血のことです。不正出血が長く続く、ダラダラ出血し続ける、鮮血や出血の量が多いなどの症状がよく見られます。

薬剤性出血

薬剤性出血は、経口避妊薬、抗エストロゲン薬、抗凝固薬などの副作用による出血のこと。これらの薬を服用していて出血している場合は、出血の量や時期などを把握のうえ、主治医に相談しましょう。

血液や肝臓の病気による出血

あまり一般的ではありませんが、血液や肝臓の病気により血が止まりにくくなっていることが不正出血の原因である場合もあります。



これらの可能性がない出血であれば、ホルモンバランスの異常や乱れなどによって起こる、「機能性出血」に分類されます。

不正出血のなかでもよくあるのが「機能性出血」

実は、不正出血の約30%[*1]を機能性出血が占めると言われています。機能性出血はホルモンの分泌状態、排卵の有無、年代などにより、さらに下記のように分類されています。

ホルモン分泌様式による分類
破綻出血(血中のホルモンが持続的に存在し続けることによって、子宮内膜が増殖し続け、子宮内膜の一部がはがれることによって起こる出血)、消退出血(血中のホルモンが低下することによって子宮内膜がはがれて起こる出血)

排卵の有無による分類
排卵性出血(卵胞期出血、排卵期出血、黄体期出血)、無排卵出血

年代による分類
思春期出血、性成熟期出血、更年期出血、老年期出血

機能性出血の原因はホルモンバランスの乱れなど

機能性出血はおもに、ホルモンバランスが乱れることで起こります。卵巣からは、エストロゲンとプロゲステロンというホルモン(女性ホルモン)が分泌され、生理を起こすのに大切な役割を果たしていますが、このホルモンが年齢や排卵の有無により乱れることで、生理とは異なる出血を起こすのです。

機能性出血は思春期と更年期に多くみられる症状で、約75%が無排卵で起こっているといわれています。残りの約25%は、排卵はあるもののホルモン変化の影響を受けて起こります[*1]。

排卵のある状態で起こる機能性出血

通常、卵巣は約1ヶ月に1度、排卵を起こします。排卵直前にはエストロゲンの分泌がピークに達し、排卵が終わるとエストロゲンは一時的に低下。このときに少量の不正出血を起こすことがあります。排卵後にプロゲステロン、エストロゲンの分泌がまた増えると出血は止まります。

無排卵の状態で起こる機能性出血

何らかの原因で排卵が起きない場合、プロゲステロンが分泌されなくなります。そうするとエストロゲンの作用で厚くなり続けた子宮内膜が維持できなくなり、不規則に剥がれ落ちて不正出血となります。

ホルモンバランスの乱れはどうして起こる?

病気ではない原因

年齢(思春期)やストレス、過度なダイエット(体重の急激な減少)により、女性ホルモンの分泌をつかさどっている脳の視床下部が影響を受け、ホルモン分泌の乱れが起きます。また、更年期では、卵胞が減少していたり十分に育たなかったりすることで、排卵が起こらず、やはり女性ホルモンの調節がうまく行かなくなります。

病気が原因の場合

「多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)」といって、卵巣の中にたくさんの卵胞が育ってしまい、自然には排卵が起こりにくい、もしくは排卵しないという病気があります。この場合、生理が来なかったり(無月経)、回数が少ない(生理周期が長い)という症状のほか、不正出血が見られることもあります。

また、血液中のプロラクチンという乳汁分泌にかかわるホルモンが過剰に分泌される「高プロラクチン血症」でも、ホルモン分泌の調節がうまくいかず不正出血を起こすことがあります。この場合も、無月経を含む生理不順が起こるほか、乳汁分泌(乳首から汁が出る)が見られます。

なお、軽症な高プロラクチン血症では、排卵はありつつも機能性出血を起こす「黄体機能不全」の場合もあります。黄体とは、排卵したあとの卵胞が卵巣内で変化した器官のことで、ここからエストロゲンとプロゲステロンを分泌し、子宮内膜を着床に適した状態に育てます。黄体機能不全はこれらの分泌が不十分なため、子宮内膜がしっかりと育たず、生理不順とともに不正出血の起こることがあります。

これらはどれも不妊の原因になり得る病気です。

不正出血があったらまずチェックすること

妊娠の可能性があるなら、早めに産婦人科を受診

妊娠の可能性があり、生理予定日ごろから7日以内に起きた少量の出血であれば、着床出血の可能性があります。着床出血は起こる人と起こらない人がいて、全妊婦の8〜25%にみられると言われています[*2]。経産婦に多く見られるとも言われています。

この場合は、子宮内に生存した赤ちゃんが確認できれば、とくに問題ありません。ただ、妊娠すると流産や切迫流産、異所性(子宮外)妊娠、胞状奇胎などが原因となって出血する可能性もあり、これらの場合は注意が必要です。

出血とともに腹痛が起こる切迫流産は、そのままでは流産に至る可能性のある状態のこと。現在進行形で流産が起こっている状態の進行流産では、激しい腹痛に加え切迫流産に比べ出血量も多くなります。

異所性妊娠は、子宮内膜以外の場所に受精卵が着床した状態のことです。卵管妊娠、腹腔妊娠、卵巣妊娠、頸管妊娠の4つに分類されますが、その多くが卵管に着床してしまう卵管妊娠で、全体の95%以上[*3]を占めると言われています。この場合、受精卵が着床、成長する過程で卵管が破裂する恐れがあり、そうなると大量出血による出血性ショックで、命に危険を及ぼすこともあります。

胞状奇胎は、胎盤になるはずの絨毛が異常に増え、ぶどうの房のような水ぶくれの状態になることです。妊娠すると出てくるホルモン(ヒト絨毛性ゴナドトロピン:hCG)は分泌されるため、妊娠検査薬では陽性反応が出ます。強い吐き気を伴うことが多く、およそ90%[*4]に妊娠初期からの不正出血が起きるとも言われています。この病気と診断されたら、早急に手術を行い、その後、経過観察を受けることになります。

いずれにしても妊娠の可能性がある女性は、生理予定日の1週間後ごろ妊娠検査薬を使用し、そこで陽性の反応が出たら、早めに産婦人科を受診するようにしましょう。赤ちゃんが子宮の中で元気にしているか確認するのはもちろん、上記に挙げたような異常があれば早期に発見してもらい、適切な処置を受けることができます。

妊娠の可能性がない場合もできるだけ早めに受診する

最近の体調を振り返ってみる
「ホルモンバランスの乱れはどうして起こる?:病気ではない場合」の項で解説したとおり、女性ホルモンの分泌を司る脳の視床下部はストレスの影響を受けます。最近、無理なダイエットをしたりしていなかったか、強いストレスを受けなかったかなどを振り返ってみましょう。ストレスを上手に解消する自分なりのリラックス法を工夫したり、よく眠れるような工夫をするなど、生活習慣でできそうなことがあれば、できるだけ改善してみましょう。

基礎体温を測ってみる
生理開始から数えて、だいたいいつも同じころに出血するなら、排卵のころに出血する排卵期出血の可能性も。基礎体温表をつけることでだいたいの排卵の時期は推測できます。また、婦人科を受診する際にも基礎体温表は持参したいので、生理があった日とともに記録するようにしましょう。

医療機関を受診する
「ホルモンバランスの乱れはどうして起こる?:病気が原因の場合」の項で紹介したとおり、不正出血を引き起こす病気は不妊症の原因となります。自分では思いもよらぬ病気が隠れていることもあるので、放置せずに婦人科もしくは産婦人科を受診して検査を受けるようにしましょう。医療機関では原因に合わせ治療を行うかどうかや治療法を決めますが、止血薬やホルモン薬で治療が行われる場合もあります。

なお、受診の際は、基礎体温表を必ず持参しましょう。便利なアプリもありますが、医師が、排卵日やホルモンバランス(波形)の状態を診断しやすいのは、紙に記録した基礎体温表。自分用にアプリで管理している人も、少なくとも直近1周期分、ばらつきがあるなら2、3周期分の基礎体温を紙に書き写し、持参するようにしましょう。

まとめ

不正出血の原因として当てはまるものがない、自分ではよくわからないといった場合も、放置は厳禁。出血は体からの何かしらのサインです。不妊の原因になったり、貧血を引き起こして生活に支障を来すことも。軽く考えず、不正出血が続く、毎月のように繰り返しているなど、おかしいと思う症状があれば早めに産婦人科を受診して、自分の体を守りましょう。

(文:早田佳代/監修:齊藤英和先生)

※画像はイメージです

参考文献
[*1]病気が見える vol.9 婦人科・乳腺外科, p30, 31, メディックメディア, 2016.
[*2]NEWエッセンシャル産科学・婦人科学第3版, p327
[*3]公益社団法人 日本産科婦人科学会: 産婦人科研修の必修知識2016-2018, p136, 2016.
[*4]病気が見える vol.9 婦人科・乳腺外科, p194, メディックメディア, 2016.

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

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