【助産師監修】断乳後のママの体と、赤ちゃんのお世話はどう変わる?

【助産師監修】断乳後のママの体と、赤ちゃんのお世話はどう変わる?

ママの仕事復帰などさまざまな理由で、母乳による授乳を辞める「断乳」を決断しなければいけないときがあります。断乳によってママの体、そして赤ちゃんにはどのような影響が考えられるかを見ていきましょう。


断乳とは?

おっぱいをやめるとき、一般的には「断乳」と「卒乳」という二つの言葉があります。そもそも「断乳」とはどのような行為を指すのでしょうか。「断乳」の基礎知識について見ていきましょう。

卒乳と断乳の違い

何気なく耳にする「断乳」や「卒乳」という言葉ですが、医学的に定義されたものではありません。一般的に「卒乳」は赤ちゃんの母乳を飲まなくなるタイミングをできるだけ自然に待つイメージ。一方の「断乳」はさまざまな都合によって、ママが決めたタイミングでスパッと授乳をやめるようなときに使われる言葉です。

断乳に適した時期はいつ?

断乳に適した時期について明確な基準はありませんが、断乳を進める大前提として、赤ちゃんの栄養が母乳以外からしっかり摂れていることがあります。

ミルクは飲めるか、離乳食の進み具合はどうかなどを考慮して、時期を検討しましょう。

断乳後のおっぱいはどう変化する?

断乳後のおっぱいトラブルが心配なママも多いのではないでしょうか。断乳するとおっぱいがどう変化するのか、トラブルを避ける方法はあるのか、などについてまとめました。

断乳後、ママのおっぱいはどうなる?

断乳はあるタイミングで突然、授乳をやめることになりますが、今まで母乳を作り続けてきたママの体はすぐには適応できません。通常は乳房内に母乳が過剰にたまり、張った感じや痛みが生じます。症状が悪化すれば乳腺炎や乳腺膿瘍(のうよう)といった病気になってしまうリスクもあります。

トラブルを予防するには?

「断乳する日」を決めたら、その数カ月前から授乳回数や1回の授乳量を減らしていきましょう。そうすることで少しずつ作られる母乳の量が抑制されていきます。

ただし個人差はあるので、無理のないスケジュールで気持ちに余裕を持って進めるのがいいでしょう。特に寝不足や疲労、ストレスなどで免疫力が落ちていると、さまざまなトラブルを併発しやすいので注意しましょう。

断乳後のおっぱいのケアは

断乳した直後は胸の張りを感じやすいので、下着で締め付けすぎないようにしましょう。

乳房の中に母乳がたまっていると、乳汁産生抑制因子が働き、母乳の産生を抑制します。もし、張りや痛みがあるときは、乳房にたまるおっぱいを適時、搾乳します。ただし搾乳した分だけ、またおっぱいが作られていくので、乳房が少し楽になるまで搾乳する程度にしておきましょう。

断乳後のおっぱいのケアで困ったことや分からないことがあれば、母乳外来のある産院などに相談するのがおススメです。

断乳後のママの体調管理で注意したいこと

断乳後はおっぱいのトラブル以外でも、注意したいことがあります。ママの体調管理のポイントを見ていきましょう。

体重の増えすぎに注意

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2015年版)」[*1]では、授乳中の女性は、通常1日に必要とするエネルギー量に350kcalをプラスすると示されています。そのため断乳した後は、授乳時にプラスしていたカロリーを減らさなければ体重増加につながりやすいので注意しましょう。

気持ちのコントロールも大事

断乳中~後は気持ちのコントロールが難しいことを頭に入れておき、育児でつらい・大変なときは家族に相談や協力を求めましょう。

生理の再開時期は個人差がある

出産後も母乳の分泌をうながし、排卵を抑制するホルモンが分泌されているため生理が止まった状態が続きます。そのため授乳中は生理が再開するまで時間がかかります。ただし個人差が大きく、授乳をしていても産後2~3ヶ月で生理が再開する人もいます。

【医師監修】産後の生理っていつから?授乳中は来ない?

https://woman.mynavi.jp/kosodate/articles/3538

産後のママの体の変化のひとつが「生理(月経)の再開」です。妊娠を機におよそ40週の間ストップしていた生理は、産後しばらくしてまたスタートします。今回は「産後の生理はいつ再開するの?」「授乳中はずっと生理がこないの?」などの疑問に答えるほか、産後の性生活に関するアドバイスや注意もお伝えします。

断乳後、赤ちゃんのお世話はどう変わる?

ママの都合で決まる断乳のため、状況の変化に戸惑う赤ちゃんも多いはずです。断乳後の赤ちゃんのお世話がどう変わるのか、見ていきましょう。

赤ちゃんの栄養状態をチェックしてから断乳を

離乳食をまだ始めていない時期に断乳するのであれば、哺乳瓶やフィーディングカップでミルクを必要量、飲めるかどうかがポイントです。中には母乳で飲むことに慣れていて、哺乳瓶を嫌がる赤ちゃんもいます。断乳前には赤ちゃんの様子を見ながら、無理なく哺乳瓶の使用も進めていきましょう。

離乳食を始めている赤ちゃんの場合は、離乳食で必要な栄養、エネルギーを摂れているかどうか、体重の増え具合などから確認しましょう。授乳以外で水分が取れることも大事なポイントです。

寝かしつけで苦労することも?

授乳しながら眠ることが習慣化していると、急に断乳をすることが難しいと言われています。無理に引き離そうとすると余計に執着する赤ちゃんもいるので、様子を見ながら進めていくことになります。夜になれば疲れて眠るよう、生活リズムを整えて日中の活動量を増やし、絵本の読み聞かせや背中をトントンするなど別の方法で眠りに就けるようトライしてみましょう。

赤ちゃんの心の変化にも注意

おっぱいが心の栄養になっている赤ちゃんも多いものです。そのため断乳後、夜泣きをしたり、ちょっと離れるだけで泣いたり、不安定な様子が見られることもよくあります。言葉の分からない赤ちゃんが状況を理解するのは難しく、おっぱいと離れることを受け入れるまでには時間がかかって当たり前です。スムーズに断乳を進めたいママにとっては、泣き声を聞くとイライラしてしまいがちですが、一生懸命に頑張ろうとしている赤ちゃんの気持ちも思いやってあげられる余裕を。

また激しく抵抗する様子が見られるときは、無理に断乳しない方が良い場合もあります。断乳後の様子には個人差も大きいので、周囲の様子やメディアの情報にふりまわされず、わが子の様子を第一に見守っていきたいものですね。

まとめ

仕事復帰などさまざまな事情で断乳を決意したら、断乳後にどのような変化があるのかをまずよく考えておきましょう。授乳を急にやめると、おっぱいにトラブルが起きやすくなります。母乳外来など相談できる場所を確保し、分からないことがあれば専門家に相談しながら断乳の準備を進めていきたいものです。また赤ちゃんが断乳によって、他の手段でしっかり栄養とエネルギーが摂れているかの確認も必須になります。
実際に断乳したあとはママの体の変化もさることながら、赤ちゃんにとってもしばらくは試練の日々。気持ちが不安定になる赤ちゃんも多いことから、しっかり赤ちゃんの不安を受け止め、寄り添ってあげられるようにしましょう。

この記事を解説してくれた先生
坂田 陽子先生
看護師、助産師、国際認定ラクテーションコンサルタント。 葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院のNICU・産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。その後、都内の産婦人科病院で師長を経験。現在は東京で「すみれ出張助産院」を開業している。
HP:https://sumire-josanin.com/

(文:剣崎友里恵、監修・解説:坂田陽子先生)

※画像はイメージです

参考文献
[*1]厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2015年版)概要」

日本助産師会「母乳育児~写真でみる助産師のための母乳育児成功のための10カ条の実践」

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、助産師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

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