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2019年07月30日 20:30 更新

【専門家が回答】子どもが自分で片付けできるようになるには?

kurassoのインスタグラムアカウントで募集したフォロワーの暮らしの悩みに対して専門家が回答! 「子どもが自分で片付けできるようになるには?」というお悩みをライフオーガナイザー®うめださんに回答してもらいました。そのほか、どんどん増えていくおもちゃ……。適正量についても紹介します。

Q.子どもが自分で片付けできるようになるには?

子どもたちが自分で片付けができるようになってほしいです。どのように教えていけばいいでしょうか? また、どんどん増えていくおもちゃの量……。適正量が分からないので増えていく一方です(泣)。

子どもが片付けをしないのは当たり前!

Lazy dummy

こんにちは。ライフオーガナイザー®のうめだあさみです。

私たち大人は成長過程の中で、【片付けることで生じるメリット】と【散らかったことで生じるデメリット】を学んできました。片付けの必要性を知っているママたちが、子どもに「片付けで困ってほしくない」「片付けができるようになってほしい」と思うのは当然の親心だと思います。

ですが、子どもたちはお片付けの必要性も、方法も教えてもらわないと分かりません。理由も方法もわからないのだから、片付けられないのは当たり前だと思いませんか?

子どもが自分で片付けをするようになるための第1歩は、片付けの必要性を学ぶこと。日々の生活の中でお片付けの必要性を伝えてみてくださいね。

具体的な伝え方の例としては、以下の通り。

・「出しっぱなしで戻さないと、次に使いたいときにすぐ使えないから元の場所に戻そうね」

・「大事なモノを置きっぱなしにしていると、なくなってしまうこともあるよ。そうなったら悲しいから、大事にしまっておこうね」

・「おもちゃが床に置きっぱなしだと踏んづけて壊しちゃうかもしれない。踏んだら痛いし、ケガをするかもしれないから、使わない時には片付けようね」

などです。

片付けないことで生じたトラブルに遭遇した時こそ、絶好のチャンス! 困ってしまった自分の経験とママの声掛けを通し、片付けの必要性を学んでいきます。

片付けの方法は実体験で学ぶ

Lazy dummy

片付けの必要性が分かっても、方法が分からないままでは片付けられません。

「これとこれは同じモノ」の種類分けも「ここに戻してね」の場所も、ママが決めた仕組みを全て理解するのは難しいもの。

百聞は一見に如かず。片付けの仕組みを、お子様と一緒に作り上げながら方法を学んでもらいましょう。

片付けの仕組みを作るには【分ける】→【納める】→【続ける(見直す)】の順番でやっていくのがカギ。焦らず、小さな場所から、スモールステップで進めてみてくださいね。

片付けの仕組みづくり①:分ける

増え続けるモノは「好き」で選び取る!

まずは、モノを全部出してみましょう。とはいえ、家中のモノを出してしまうと集中力が続きません。小さな引き出し・ボックスひとつから始めてみてください。

小さな場所でも、意外とたくさんのモノが入っていることに驚きます。モノが見えるようになったら、お子さまと一緒に仲間わけ。ですが突然「分けて」と言われても、分け方が分からなければ進めようがありません。

「好きなモノはどれ?」
「宝物はある?」

まずは、お子さまがワクワクするようなキーワードをもとに【好き】を選び出してもらいましょう。

誰にとっても【捨てる】は恐怖ワード。【捨てる】モノを選ぶことは難しく、面白みもないですが、好きなモノを選ぶのは楽しい作業。楽しみながら、お子さまの「好き」を選んでもらってみてくださいね。

この時、「わからない」という言葉も受け止めてあげましょう。「きらい」というネガティブな言葉は、子どもでも自然と避けるもの。「好き」でもなく「わからない」モノは、すでにお子様が卒業したおもちゃかもしれません。

だからといってすぐに【処分】はNG! 【わからないモノBOX】で一時保管することで、「捨てられちゃう」という不安なく、安心して分ける作業を進めることができます。

【わからないモノ】は何度か見直すうちに、「わからない」から「手放す」に変わっていくことも。定期的に【わからないモノBOX】も見直しをしてみましょう。

「好き」を細かく仲間分け

自分の選んだ「好き」ばかりに囲まれるのは、子どもにとってもうれしい気分。次は「好き」をもう少し細かく仲間分けをしてみましょう。

「よく使うのはどれ?」
「どこで使う?」
「一緒に使うものはある?」

種類で分けるだけでなく、使用頻度や使用場所・使い方などで分けることで、次のステップ【納める】に役立ちます。

ポポちゃんと一緒にあそぶセット

これは我が家での一例。お皿やキッチン用品はおままごとセットに入るかと思いきや、「ポポちゃんのご飯だから一緒に使う!」とのこと。遊び方に合わせ、同じ仲間としてまとめてあります。

【作るモノ】でまとめたブロックセット

積み木・ブロックは、全て【作るモノ】。購入時期も種類も違う、積み木・ブロック各2種、計4種類が同じ仲間です。

片付けの仕組みづくり②:納める

モノの帰る家(定位置)を決める

ブロック、人形、カードゲーム……それぞれの定位置は決まっていますか?

親に「片付けなさい!」といわれても、定位置が決まっていなければとりあえず押し込むだけ。それでは【お片付け】にはなりません。モノを選び取り、仲間分けをしたら。次は、定位置を決めてあげましょう。

どんなに小さなモノでも定位置を。帰る家を決めることでモノも子どもも迷子になりません。

【出しやすい】【戻しやすい】【わかりやすい】

よく使うものは特等席に

腰から胸の高さにポンと置くことができる場所が特等席。一番よく使うモノは、一番いい場所に置くことで散らかりにくくなります。【分ける】で見つけた【よく使うモノ】の定位置は特等席に!

ランドセルの収納場所

毎日使うランドセルは、腰の高さに置くだけ。箱に入れる手間も、棚に納める手間もありません。

背の高さや持つ力

背伸びをしないと届かない、収納ケースが重くて動かせない……、では片付けるのが面倒に。そして「面倒くさい」は出しっぱなしにつながります。

使いやすい高さ、持ちやすい重さはママとは違うもの。実際にお子さまに確認してもらうようにしましょう。

・背の高さに問題がなくとも、重くて開閉しにくい。
・開閉ができたとしても、中身を見渡すのに背の高さが足りない。

こんなふうに、使えそうで使いにくい場合がある引き出しは要チェックです!

また、モノをめぐる兄弟げんかの解消にも、高さや重さがヒントになります。

・下の子に勝手にいじられたくない大事なモノを持っている上の子。
・そんな上の子の大事なモノが気になって、使ってみたい下の子。

どちらの気持ちも痛いほどわかりますが、それにより生じる兄弟げんかにはうんざりしてしまいますよね(苦笑)。

小学生組の学用品。保育園児の末っ子には触られたくないものばかり。姉たちが軽々と手が届きつつ、三女には届きにくい高さに配置することで、イタズラを予防します。

椅子に乗れば届く高さですが、重い椅子では動かすのも一苦労。三女にとって高さと重さがジャマをして、イタズラができません。

ワンアクションが一番ラク!

子どもが自分で片付けるためには、アクション数を減らすことが成功への近道。中でも【入れるだけ】【置くだけ】のワンアクションは一番カンタン!

同じ収納ケースでも、ふたの有無で片付けのアクション数が変わります。

【ふたありの場合】
「ふたを開ける→モノを入れる→ふたを閉める」の3アクション

【ふたなしの場合】
「モノを入れる」の1アクション

小さなうちは、ふたのないカゴに投げ込むだけでOK!

キレイに入れることも重要ですが、戻せることを優先に考えてみてくださいね。

上着の投げ込みボックス
出典: https://ameblo.jp

保育園児の三女の上着は、投げ込むだけ。アクション数が少ないので床に散らかることはありません。

誰が見ても迷わないラベリング

定位置を決めたとしても、忘れてしまうことだってありますよね。誰が見ても分かるようなラベリングなら忘れてしまっても大丈夫! 迷うことなく戻すことができます。

おもちゃ収納のラベリング
写真ラベルのアップ

おままごと用の食器やカトラリー、お弁当箱の定位置。ラベリングは文字だけではありません。

写真をラベリングにすれば一目瞭然! 文字が読めないお子さまも迷わずに戻すことができます。

片付けの仕組みづくり③:続ける(見直す)

片付けることができたらたくさん褒めて!

「仕組みを作ったらあとは、子どもが自分で片付けられる!」……わけではありません。

日々の暮らしの中では、モノを使って活動します。「使ったモノは元に戻す」ことができるよう、声掛けしたり、一緒に作業しながらお子さまを見守ってあげてください。そして、片付けができたら、たくさん褒めてあげてください!

お子さまは褒められるのが大好き! 得意顔でどんどん片付けができるようになるはずです。

トライ&エラーでバージョンアップ

はじめに作った仕組みが、100点満点ということは少ないもの。使い続けていくうちに、どうしても戻せないモノ、散らかりがちな場所が出てくるかもしれません。ココで「片付けなさい!」ではこれまでと同じ。

うまくいかない理由をお子さまと一緒に考えてみてください。

「箱(入れる場所)が重くて使えない……」
「分け方が分からなくなっちゃった……」

そんな理由が見つかるかもしれません。

収納ケースが使いにくい→「布製など軽いケースに変える」または「キャスターを付ける」
細かく分けるのが難しい→「【分ける】を見直す」または「一カ所にポイポイ投げ込む方式へ変更する」……など。

方法や手段を変え、見直しを繰り返しながら、お子さまと一緒にマイ・ベスト収納を作り上げてみてくださいね。

収納方法の見直し

当初はファイルボックスを縦に並べ、ノート類を立てて収納していた学用品グッズ。「ノートが倒れて見つけにくい!」と子どもたちからの意見を元に、ファイルボックスを横に積み重ねたところ、意外と好評でした。

もともとは、【ノートや本は立てて収納】する方が探しやすいという大人の感覚で作られた仕組み。学校の引き出しの中で積み重なっている教科書を探すことに慣れている子ども達は、こちらの方が使いやすいようです。

まとめ

片付ける理由も方法もわからないお子さまに「片付けなさ~い!」と叱るだけでは、いつまでたっても状況は変わりません。

まず、メリット・デメリットを知ることで片付けの必要性を理解。次に、仕組みを作り上げることで片付けの方法を学び……。そして仕組みを作ったら、後は続ける。

片付けは習慣。新しい習慣はすぐには身に付きません。大人でも3週間ほどかかると言われています。

お子さまの場合はより時間がかかると心得て、焦らず、じっくり、根気強く。お子さまと一緒に取り組んでみてくださいね。

歯みがきをしないと口の中が気持ち悪く感じるように。「使ったら片付け」を習慣づけ、「片付けないとなんかイヤ!」と進んでお片付けをしてくれるようになったらうれしいですね。

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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