【助産師解説】おっぱいマッサージ(母乳マッサージ)について5つの疑問

【助産師解説】おっぱいマッサージ(母乳マッサージ)について5つの疑問

多くのママたちが悩む「母乳」「おっぱい」のこと。中でもおっぱいマッサージ(母乳マッサージ)については、いろいろな疑問があります。今回は助産師の坂田陽子先生に「マッサージの効果」「妊娠中のマッサージの必要性」「やってはいけないマッサージ」など、おっぱいマッサージ(母乳マッサージ)について解説いただきます。


Lazy dummy

Q おっぱいマッサージって何?

おっぱいマッサージとはよく聞きますが、どんなことを指すのでしょうか?

A 医学的に明確な定義はありません

「おっぱい(乳房)マッサージ」について、医学的な言葉の定義はありません。
多くの場合は、助産師やママ自身が乳房に触れて圧をかけたり、動かしたりすることを指しています[*1]。

Q おっぱいマッサージにはどんな効果がある?

おっぱいマッサージをすることで、どんなメリットが期待できますか?

A 乳輪のむくみなどには有用です

何らかの理由で赤ちゃんが十分に母乳を飲みとれないときは、助産師による効果的な搾乳を行うことが助けになることがあります。その際に、乳輪のむくみや緊満をとるマッサージは有用でしょう。それ以外にも、痛みがなく気持ちよさを感じられるおっぱいマッサージであれば、リラックスさせてオキシトシンの分泌を促すとも考えられます[*1]。
おっぱいへの直接的な働きかけではありませんが、マッサージの際に助産師などとコミュニケーションをとることで癒しを感じるというママもいるようです。

Q 母乳の出をよくするため、おっぱいマッサージは必ずした方がいい?

母乳を多く出すためには、おっぱいマッサージをしなければいけないのでしょうか?

A 必ず必要なわけではないです

「おっぱいマッサージ」と「母乳分泌量」の関係を証明する研究は見当たりません。つまりは、「マッサージによって母乳の分泌が増えるか」については「分からない」というのが現状です[*2]。

海外で行われているおっぱい(乳房)マッサージの中には、リンパの流れを重視して、乳頭から乳房、腋窩(えきか:脇の下)とリンパ管の流れに沿って母親自身がマッサージするものもあります。

しかし、これも「母乳を出すこと」を目的としたものではなく、乳房の緊満(おっぱいのむくみ)や乳腺炎になったときに、組織液やリンパ管のうっ滞を軽減すると乳管の圧迫がとれるので、母乳が流れやすくなるとの考えのもと行われています[*1]。

助産師が行う「おっぱいマッサージ」は、相談して不安の解消につながることもありますが、費用がかかりますし、定期的に受けなければならないというものでもありません。

Q 妊娠中のおっぱい(乳頭・乳輪)マッサージは必要?

妊娠中からおっぱいをマッサージしておいた方が母乳の出がよくなるのでしょうか?

A 不要でしょう

施設や医療従事者によってさまざまな意見がありますが、私は「妊娠中のおっぱいマッサージは不要」と考えています。

「妊娠中におっぱいマッサージをすることで、産んだ後、母乳の出が良くなるか」(産後の母乳分泌について、妊娠中のマッサージの有無が関係するか)について、「差がない」とする研究結果も出ています[*3]※。

妊娠中のおっぱいマッサージについては、まれではあるものの「分娩前の乳腺炎の原因になる」[*4]というリスクや、「産後の乳房緊満を助長する」[*5]リスクも考えられます。

※「乳頭乳輪マッサージ(乳管開通操作)」の有無で、産後の母乳分泌に差が見られず、「乳房マッサージ」の有無も産後に母乳率に差は見られなかったという研究報告

Q おっぱいマッサージで「やってはいけないこと」は?

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おっぱいマッサージの際、「やってはいけないこと」「避けた方がいいこと」はありますか?

A 強引なマッサージはやめましょう

マッサージというと、指圧など力を入れてぐいぐい揉むことを想像する人もいますが、これはいけません。乳頭を強くこすったり、過剰に引っ張ったりして乳頭を「鍛える」ことは必要なく、むしろ皮膚や細かい筋肉にダメージを与える恐れがあります[*5]。乳腺炎の際も同様で、乳腺組織を強くもむと炎症部位に刺激を与え、乳腺炎を悪化させる可能性があります。

また、マッサージの際に痛みを感じることにもリスクがあります。「痛いおっぱいマッサージ」は射乳(母乳が放出されること)を促すオキシトシンの分泌を抑制させるとも考えられており、避けた方がいいでしょう。

まとめ

Lazy dummy

「おっぱいマッサージ」によって、ママがリラックスしたり、気持ちが癒されたりする効果はありますが、母乳分泌を増やすという根拠はありません。母乳量を増やすことを目的とするのであれば、頻回に授乳することが重要です。また、妊娠中におっぱいマッサージをしなかったからと言って産後の母乳量が少なくなるというようなことは、医学的根拠のないことなので、「母乳が出ないのは産前にマッサージをしなかったからだ」などと思わないでくださいね。

この記事を解説してくれた先生
坂田 陽子先生
看護師、助産師、国際認定ラクテーションコンサルタント。 葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院のNICU・産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。その後、都内の産婦人科病院で師長を経験。現在は東京で「すみれ出張助産院」を開業している。
HP:https://sumire-josanin.com/

(文・構成:マイナビウーマン編集部、監修・解説:坂田陽子先生)

※画像はイメージです

参考文献
[*1]NPO法人日本ラクテーションコンサルタント協会「第45回母乳育児支援学習会」
[*2]堀内成子ほか「エビデンスをもとに答える 妊産婦・授乳婦の疑問92」(南江堂)
[*3]山田ほか「乳頭・乳房ケアの必要性について」(日本母乳哺育学会雑誌)vol4 no1 p.9-16 2010
[*4] R.A.Lawrence and R.M.Lawrence, Practical management of the Mother-infant Nursing Couple,in Breastfeeding A GUIDE FOR THE MEDICAL PROFESSION8th.,Philadelphia,Elsevier,2016,p.243
[*5]「赤ちゃんとお母さんに優しい 母乳育児支援ガイド ベーシックコース」(医学書院)p.131-142

※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、助産師の監修を経た上で掲載しました

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