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2021年01月09日 14:20 更新

【医師監修】急性虫垂炎の症状・治療法とは? 子供でも発症するの?

一般的に「盲腸」と呼ばれている急性虫垂炎は、誰もがなる可能性のある病気です。早期発見、早期治療が大切ですので、お子さんが虫垂炎になったときに見逃さないように、その特徴を知っておきましょう。

虫垂炎とは

急性虫垂炎の症状がありお腹を気にする妊婦
Lazy dummy

※画像はイメージです

おなかの右下に痛みがあると、「虫垂炎かも?」と思う人は多いのではないでしょうか。虫垂炎とはどんな病気か整理してみましょう。

虫垂炎ってどんなもの?

消化器官である大腸はおなかの右側の下から始まり、おなかを一回りしています。大腸が始まる端には袋状の盲腸があって、さらにその先端に虫垂突起という細長い部分があります。この虫垂突起で炎症が起きた状態が、虫垂炎という病気です。
はじめは、みぞおち、へそのあたりに痛みを感じ、病状が進むと痛む部分が右下腹に移っていくのが虫垂炎の特徴です。食欲不振や嘔吐もみられます。子供から高齢者まで幅広い年代で発症がみられます。治療が遅れると腹膜炎を起こすなど重症化しますので、注意が必要です。

虫垂炎は子供でも発症する

虫垂炎は小中学生の年齢で多くみられる傾向があります。それより幼い、乳幼児期の発症は少ないのですが、2~3歳での発症例もみられます。
小中学生はどこがどんな風に痛いか説明できますが、乳幼児の場合、痛みを言葉で説明できず、発見や診断が遅れることがあります。

急性虫垂炎の症状

急性虫垂炎の症状とは

典型的な症状としては、みぞおちやへその周辺から痛みが始まり、吐き気や嘔吐が起きます。その後、吐き気は改善することもありますが、痛みが次第に悪化して歩けないくらいとなり、痛みも腹部の右下部分に移動することが多いです。このころには38℃前後の発熱もみられるようになります。医師がおなかの右下部分を押すと強い痛みを訴えます。ただし、このとおりの典型的な経過を示さないこともしばしばです。

子供の急性虫垂炎の特徴

小さな子供は、痛みを正確に伝えることができません。初期段階では、元気がない、機嫌が悪い、ぐずつく、食欲がないなどがサインになります。
症状が進むと、おなかを触るだけで痛がったり、背中を丸めて横向きに寝たり、前屈みの姿勢で歩くようになります。こんな様子がみられるときは、痛みはかなり強く、急いで手術する必要がある状態になっている可能性が高いです。
親は子供に、「どこが痛いの?」と、つい聞いてしまいますが、幼い子供は痛む場所を明確に伝えられません。お子さんの様子をよく観察することが大切です。

急性虫垂炎の分類

急性虫垂炎は重症度によって以下のように分類されています。

カタル性虫垂炎

軽症の虫垂炎で、手術ではなく抗菌薬の点滴投与で治療が可能です。

蜂窩織炎性(ほうかしきえんせい)虫垂炎

症状が進み、膿が虫垂の中に充満した状態です。手術が必要です。

壊疽性(えそせい)虫垂炎

虫垂の壁が壊死し、壁が破れる可能性があります。手術が必要です。

急性虫垂炎の治療

急性虫垂炎の治療は、カタル性虫垂炎の段階で早期に発見された場合を除いて、手術が行われるのが一般的です。また、小児では虫垂壁が薄いために容易に破裂するリスクがあるので、手術が検討されることがあります。

手術での治療

手術方法として、開腹手術と腹腔鏡手術の2種類があります。腹腔鏡手術は、数カ所にあけた穴から内視鏡を入れて、病巣を除去します。開腹手術に比べて体への負担が少なく、入院期間が短くなります。

薬での治療

軽症の場合は、成人では抗菌薬による治療で症状を抑えられる場合があります。昔から、「盲腸を薬で散らす」といわれていた治療法です。薬物治療の場合は再発の可能性があり、また、虫垂炎の手術は簡単で安全なので、手術で虫垂を切除する治療が一般的になっています。

入院した場合の期間

合併症がない状態の手術ならば4~5日程度の入院、腹膜炎などを合併している場合は1週間かそれ以上の入院が必要になります。

まとめ

虫垂炎はすべての年齢層で起こりうる病気ですが、幼い子供の場合、気づかないまま重症化してしまう可能性があります。子供は痛みや不調を明確に訴えることができないということを念頭に、虫垂炎にかぎらず、様々な病気の徴候に早く気づいてあげることが大切です。いつもと違う様子に気づいたら、早めに医師と相談し、指示に従って治療を行いましょう。

※この記事は 医療校閲・医師の再監修を経た上で、マイナビ子育て編集部が加筆・修正し掲載しました(2018.08.27)

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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