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【医師監修】溶連菌(A群溶血性連鎖球菌)感染症ってどんな病気?とびひや猩紅熱との関係について

【医師監修】溶連菌(A群溶血性連鎖球菌)感染症ってどんな病気?とびひや猩紅熱との関係について

子供のかぜの原因の一つ、溶連菌(A群溶血性連鎖球菌)。かぜだけでなく、猩紅熱(しょうこうねつ)やとびひ、腎臓の病気を引き起こすことも。ただ、細菌感染症ですから抗菌薬の治療が有効です。処方された薬をきちんと使い、しっかり治しましょう。


この記事の監修ドクター
なごみクリニック院長 武井智昭先生
慶応義塾大学医学部卒業後、平塚共済病院小児科医長を経てなごみクリニック院長。日本小児科学会専門医、指導医。臨床研修医指導医。インフェクションコントロールドクター(日本小児感染症学会)。現在、0歳から100歳までの「1世紀」を診療する医師として、家庭医として地域医療に従事しながら、メディア等での執筆・監修を多方面で行っている。

A群溶血性連鎖球菌感染症ってどんな病気?

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溶血性? 連鎖球菌? B群との違いは?

A群溶血性連鎖球菌感染症は、その名前のとおり、A群溶血性連鎖球菌という細菌によって起こる感染症です。では、A群溶血性連鎖球菌とはどんな細菌なのかを、この名称の後ろ寄りの語句から説明していきます

「球菌」とは、丸い球の形をしている細菌のことです。その球菌が連鎖している、つまり鎖のようにつながっているのが「連鎖球菌」です。そして「溶血性」とは、血液中の赤血球を壊す作用があるということを意味し、細菌の細胞壁の性質の違いから「A群」から「G群」に分けられています。

「溶血性連鎖球菌」は「溶連菌(ようれんきん)」と省略して呼ばれることもあります。単に溶連菌と言った場合は、A群溶血性連鎖球菌のことを指します。

A群溶血性連鎖球菌感染症は、子供の間で流行しやすい感染症ですが、大人にも感染することもあります。ただし妊婦さんに感染した場合、産褥熱の原因となることがあります。

なお、B群溶血性連鎖球菌は常在菌(多くの人の体に存在している細菌)の一種で、普段は健康上の問題になりませんが、母子感染などにより赤ちゃんに影響が現れることがあります。

のどの腫れや、猩紅熱、とびひなどを引き起こす

A群溶血性連鎖球菌は、子供ののどのかぜ(急性咽頭・扁桃炎)の原因の一つです。また、発疹が出現する伝染性膿痂疹(とびひ)や猩紅熱(しょうこうねつ)などの原因でもあります。

さらに無治療の場合では合併症として、リウマチ熱や腎臓の病気(急性糸球体腎炎)を起こすことがあります。以下にそれぞれの症状をまとめます。

急性咽頭・扁桃炎

のどの痛み、扁桃腺の腫れ、発熱、頭痛、首のあたり(頸部リンパ節)の腫れと痛みなどの症状が現れます。舌が苺状に赤くなることがあります。

腹痛や吐き気・嘔吐などの消化器症状を伴うこともあり、また女の子では外陰や腟の炎症が起きることもあります。経過が長引くと、扁桃のあたりが化膿したり、中耳炎などの合併症が起きることがあります。

猩紅熱(しょうこうねつ)

咽頭炎(のどの痛み)に伴い、あるいはそれよりも早く、全身の皮膚に細かい赤い発疹が現れます。発疹はかゆみやヒリヒリした感じを伴います。

また、苺舌も見られます。数日たつと落屑(皮膚が破片のようになって剥がれること)が始まり、軽快します。

丹毒(たんどく)

顔や足などの皮膚が赤く腫れて、痛みや熱感を伴います。腫れている部分とそうでない部分の境界がはっきりわかることが丹毒の特徴です。

伝染性膿痂疹(とびひ)

伝染性膿痂疹(のうかしん)が医学的な病名ですが、一般的には「とびひ」と呼ばれています。皮膚に発疹が現れ、それが赤みのある水疱に変わり、時間がたつとかさぶたができます。

初めに発疹が現れた場所から、あたかも「とびひ」するように、離れた場所に同じような発疹が現れることがあります。

蜂巣炎(ほうそうえん)

皮膚の表面だけでなく皮下組織まで炎症が及ぶ皮膚感染症です。蜂窩織炎とも呼ばれます。炎症のある部分は赤く腫れて熱感を持ち、また全身の発熱も伴います。

急性糸球体腎炎

A群溶血性連鎖球菌による感染症(咽頭炎や扁桃炎、または「とびひ」などの皮膚感染症)が無治療の場合、この症状に続いて、急性糸球体腎炎という腎臓の病気が起こり、高血圧や蛋白尿・血尿がみられることがあります。腎機能の低下は一時的で、予後は良いことが多いのですが、ときに腎機能障害が残ることもあります。

リウマチ熱

A群溶血性連鎖球菌による咽頭炎などの感染症に続いて起こる合併症です。感染後にA群溶血性連鎖球菌の症状が現れなくても、リウマチ熱が起きることがあります。発熱、関節炎、心膜炎などを起こします。ただし、衛生環境の改善と抗菌薬の治療の進歩のおかげで、日本ではまれな病気になりました。

壊死性筋膜炎(えしせいきんまくえん)

頻度はまれながら、A群溶血性連鎖球菌の感染で起きることがあります。筋膜(筋肉を包んでいる膜)や脂肪組織が壊死する感染症で、高熱や意識障害を伴うこともあり、命にかかわることのある病気です。糖尿病やがん、免疫抑制剤を内服されている成人によくみられます。

劇症型溶血性レンサ球菌感染症

まれではありますが、「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」という非常に危険な病気を引き起こすこともあります。「人食いバクテリア」とも呼ばれ、ごく短時間で多くの組織が破壊されたり内臓の働きが低下して、命にかかわることも少なくありません。

ただし、A群溶血性連鎖球菌の感染により一般的に起こる急性咽頭・扁桃炎の多くが子供の病気である一方で、劇症型溶血性レンサ球菌感染症は30歳以上の、糖尿病や腎疾患などがある成人に多いとされています。

A群溶血性連鎖球菌感染症の感染経路、潜伏期間、発生が多い季節

さまざまな経路で感染する

A群溶血性連鎖球菌にはいくつかの感染経路があります。まず、咽頭炎や扁桃炎などの症状が現れている子供から、鼻汁や唾液の飛沫を介しての感染があります(飛沫感染)。

飛沫感染とは、咳やくしゃみ、会話などによって口から飛ぶ病原体が含まれた水分を吸い込むことで感染する経路です。飛沫が飛ぶ距離より離れていれば(おおむね2メートル)感染する可能性は低くなります。これに似た感染経路として空気感染がありますが、空気感染の場合、同じ空間(部屋や教室など)にいると距離が離れていても感染する可能性があり、A群溶血性連鎖球菌はこれとは異なります。

ほかにA群溶血性連鎖球菌は接触感染もします。接触感染とは、病原体が手などに付着したまま口や鼻に触れることにより感染することです。
膿痂疹(とびひ)の場合も接触感染でうつります。そして、発疹がかさぶたになりそれが落屑(剥がれ落ちること)した後も、かさぶたに感染力が残っています。

このほか、食材を介してA群溶血性連鎖球菌に感染した例も報告されています。

潜伏期間はどのくらい? 流行る季節はいつ?

A群溶血性連鎖球菌に感染してから咽頭炎などの症状が現れるまで、2~5日ほど間があります。膿痂疹(とびひ)では、もう少し長く7~10 日です[*1]。

A群溶血性連鎖球菌感染症による咽頭炎や扁桃炎の流行は、冬と、春から初夏にかけての年2回、ピークがあります。とびひに関しては夏に多発します。

冬の間、子供では高い保菌率

A群溶血性連鎖球菌による咽頭炎は、全国約3,000カ所の小児科医療機関から患者数が報告されることになっている感染症です。その調査によると、例年20~30万人の子供の患者が報告されています。

A群溶血性連鎖球菌による咽頭炎が流行する冬には、子供の15~20%が菌を保菌して(体内に菌を有して)いて[*2]、感染はしていても症状は出ないこと(不顕性感染)が多いと考えられています。

A群溶血性連鎖球菌の場合は、不顕性感染の場合は他人に感染させることは少ないと考えられています。ただし、明らかな咽頭炎が起きているのに自覚症状はない子供もいて、こういった場合は不顕性感染には該当せず、感染力はあると考えられています。

似ている病気、混同しやすい感染症

症状が似ている病気~ウイルスによるかぜなど

咽頭炎や扁桃炎などのいわゆる「のどのかぜ」を引き起こす病原体はたくさんあります。その多くはアデノウイルス、EBウイルスなどといったウイルスですが、細菌であるA群溶血性連鎖球菌の場合とは治療法が異なります。

また、猩紅熱の症状は川崎病(全身の血管に炎症が起こる病気。急な発熱で始まることが多い)と似ています。とびひや蜂巣炎は、黄色ブドウ球菌など他の細菌に感染した時でも起こります。

同じ時期に流行る病気~冬はウイルス感染症に注意!

A群溶血性連鎖球菌による咽頭炎や扁桃炎が流行する冬は、インフルエンザなど、多くの感染症が流行しやすい季節でもあります。特に鼻や喉にかぜの症状が現れる同じような病気が流行しますが、A群溶血性連鎖球菌による咽頭炎や扁桃炎かどうかは喉から採取した試料で検査されます。

子供がA群溶血性連鎖球菌に感染したら

原因はウイルスでなく細菌! だから抗菌薬で治療する

咽頭炎や扁桃炎などのいわゆるかぜを起こす病原体の多くはウイルスです。かぜのウイルスに対する薬はあまりなく、通常、対症療法(現れている症状ごとに治療を行う)で対処します。

しかしA群溶血性連鎖球菌感染症の病原体は細菌ですから、抗菌薬を使って治療することができます。とびひなどの皮膚の症状に対しては外用(塗り薬)の抗菌薬も使われます。

なお、急性糸球体腎炎やリウマチ熱などの合併症を予防するために、症状が改善しても一定期間(咽頭炎や扁桃炎ではペニシリン系の抗菌薬の場合は10日間)は抗菌薬の服用を続けます[*3、4]。

【医師監修】溶連菌感染症は自然治癒するの? 知っておきたい4ポイント紹介!

https://woman.mynavi.jp/kosodate/articles/1104

子どもの急な発熱、のどの痛み。こうした症状はさまざまなウイルスや細菌などの感染で起こります。その1つが「溶連菌感染症」。一般にそれほど怖い病気ではありませんが、まれに重い合併症を引き起こすことも。適切な治療で合併症を予防し、流行を防ぐため、小さなお子さんのお母さん、お父さんが知っておきたい特徴を紹介します。

回復まではどのくらいかかる? いつから幼稚園・学校に行ってもOK?

A群溶血性連鎖球菌感染症を原因とするどの感染症を発症したかにより異なりますが、例えば咽頭炎や扁桃炎では、化膿しなければ3~5日で解熱して1週間ほどで治癒します[*5]。猩紅熱の発疹は3~10日で軽快します[*6]。

A群溶血性連鎖球菌は、適切な抗菌薬により治療を開始すると24時間ほどで感染力がなくなります。ですから、治療開始後24~48時間程度経過していて、体調に問題がなければ登園・登校して問題ありません[*1]。

とびひについては、発疹からの浸出液がしみ出ないようにガーゼ等で覆ってあれば通園通学可能です。ただし、プールや水泳は控え、タオルなどは他人と共用しないようにしましょう。

A群溶血性連鎖球菌感染症 予防のためにできること

ワクチンはある? 日常生活でできる予防法は?

A群溶血性連鎖球菌感染症を予防するためのワクチンはまだ開発段階です。

ですから、飛沫や接触で感染する感染症の一般的な予防対策として、手洗い、マスク着用、うがいを行い感染予防するようにしましょう。

まとめ

A群溶血性連鎖球菌感染症の多くは抗菌薬により治療できます。ただし、治療が不十分だと、急性糸球体腎炎やリウマチ熱といった合併症が起きることがあります。それを防ぐため、医療機関で処方された薬は定められた期間、きちんと服用することが大切です。

(文:久保秀実、監修:武井智昭先生)

参考文献
[*1]厚労省「保育所における感染症対策ガイドライン (2018 年改訂版)」
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000201596.pdf
[*2]医学書院「標準微生物学」126p
[*3]国立感染症研究所 IDWR 2012年第20号<注目すべき感染症>A群溶血性レンサ球菌咽頭炎
https://www.niid.go.jp/niid/ja/group-a-streptococcus-m/529-idsc/idwr-topic.html
[*4]東京医学社・日本小児感染症学会編「小児感染症マニュアル2017」6、7p
[*5]医学書院「標準微生物学」127p
[*6]医学書院「標準皮膚科学」416p

※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

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