一人っ子育児は大変?楽しい?ありがちな悩みと育児のポイント
他に兄弟姉妹がいないぶん、子供に対してじっくり関わることができる「一人っ子」。でも、子供が一人だと、「きょうだいがいないと寂しそう」「二人目は?」といった声を掛けられることも少なくありません。今回、一人っ子の子育てにありがちな悩みや解消のヒントをまとめてみました。
今、一人っ子が増えている
ニュースやインターネットなどで、「最近、一人っ子が増えている」という情報を目にすることがありますが、実際どうなのでしょうか?
一人っ子の割合
2015年の「出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)」(実施機関:国立社会保障・人口問題研究所)によると、結婚持続期間15〜19年を対象とした夫婦のうち、子供が二人いる夫婦は54.0%、子供が一人の割合は18.6%、三人の夫婦は17.9%、四人以上は3.3%でした。一人っ子の家庭の割合は、子供二人の家庭に次いで多くなっています。
この調査は1997年にも実施されていますが、その時のデータを見ると、結婚持続期間15〜19年の夫婦のうち、一人っ子を持つ割合は9.8%。こうしてみると、およそ20年間で、一人っ子の割合は約2倍に増えていることがわかります[*1]。
また、同じ一人っ子でも男の子・女の子どちらが多いのかも気になるところですが、同調査では一人っ子の男女比のデータは収集されておらず、男女比は不明です。男の子・女の子のどちらかの割合が増えているかもわかっていません。
一人っ子はどんな性格になりやすい?
一人っ子というと「わがまま」「甘えん坊」といったイメージを持つ人もいるのではないでしょうか。実際、一人っ子はどのような性格になりやすいのか、男の子・女の子別に見ていきましょう。とはいえ、子供の性格は一人一人異なるもの。必ずしも当てはまるというわけではなく、あくまでも参考として考えてください。
一人っ子の男の子の性格の傾向
家の中では兄弟姉妹とケンカする機会がないため、「競争心」「自己顕示」を出すことなく日々を送ることができます。そのため、マイペースで穏やか。比べられることもでないので自己肯定感も高めであると言われています。勉強や遊びも、兄弟姉妹に邪魔されず集中できるため、何事に対しても、集中力が高く取り組める傾向があるようです。同様に、家で一人で過ごす時間が多いことから、空想する時間も長く、想像力も豊かと言われています。
ただし、兄弟姉妹がいないため、我慢する機会が少なくなりがち。親が許す限り、欲しいものを手に入れて、やりたいことを自由にできるため「わがまま」というイメージが付きやすいのかもしれません。
一般的に男の子は女の子と比べ、甘えん坊と言われていますが、ママの愛情を一人占めできる一人っ子の場合はさらにその傾向が顕著になる可能性もあるでしょう。
一人っ子の女の子の性格の傾向
男の子の一人っ子同様、「競争心」「自己顕示」を示さずのびのびと成長する傾向があります。そのため、「穏やか」「おっとり」と言われることが多いようです。
また、兄弟姉妹間で空気を読んだり、協調して物事を進めたり、我慢する必要もありません。基本的に親は子供のペースに合わせてくれるので、それに慣れてしまっていると、家の外で「マイペース」「協調性がない」「わがまま」と言われることも。
家にいる間は、他の兄弟姉妹に邪魔されることもないので、集中してひとつの事柄に取り組めます。人形遊びやお絵かき、絵本を読む、ねんど、アイロンビーズなどに没頭することもあるでしょう。そのような中で想像力も養われます。
一般的に、同年代でも女の子は男の子と比べて、考え方が大人っぽい傾向にあります。一人っ子の場合、家庭内では自分以外は大人という環境で育つので、さらにその傾向は強くなるかもしれません。母娘と過ごす時間が多いのでおしゃれやメイクに興味を持つのが早かったり、大人びた振る舞いや口調、考え方が目立つ子供もいるようです。
一人っ子ママに多い悩み
兄弟姉妹がいる子供とは違い、一人っ子ならではの悩みを持つママも少なくないはず。どのような悩みを抱えているのでしょうか。
子供の相手が大変
「子供一人だとお世話が楽でうらやましい」なんて言われることもある一人っ子。しかし、兄弟姉妹がいれば、家の中で子供同士で遊んでくれることも多いものですが、一人っ子の場合は「自分ひとりで遊ぶ」「ママ・パパに遊んでもらう」のどちらか。おのずからママが相手をする機会が多くなります。
子供と一緒に遊ぶのも楽しいものですが、仕事や家事で忙しいときは、ママも相手をする余裕がなく大変。家で二人っきりの場合は、お互いに逃げ場がないというデメリットもあります。「育児ノイローゼになりそう!」と潰れてしまう前に、適度な息抜きを取り入れたいものです。
兄弟姉妹とのふれあいがない
兄弟姉妹がいない環境で育つため、家の中では自分の主張を通したり、我慢をする機会が少なくなります。ふれあいがないことで「人付き合いが下手になるのではないか」「自己中心的な人間に育つのではないか」と悩むママも多いようです。
将来が不安
今は親・祖父母は元気でも、子供が成人を迎えるまで健康でいられるか不安に思うママもいるのではないでしょうか。兄弟姉妹がいない分、もしも自分の身に何かあったら子供はどうなるのかと心配になりますね。
一人っ子は可哀想、という世間の目
世の中はまだまだ、「きょうだいはたくさんいる方がいい」「子供1人だけではかわいそう」という風潮が強いようです。子供も親も一人っ子であることに対してマイナスなイメージを持っていないのに、勝手にかわいそうと見られることに、納得がいかない思いを抱えるママも少なくありません。事情により一人っ子であったり、一人っ子の子育てに悩んでいる場合、追い詰められてしまうでしょう。
一人っ子だって楽しい! 育て方のポイント
親の愛情を一身に受けて育つので、自己肯定感も高く、穏やかな性格が多い一人っ子。想像力が豊かなので、ユニークな発想をすることも多く、子育て中、日々面白い発見もありそうです。こうした一人っ子ならではのメリットを生かした育て方のポイントをまとめました。
手を掛け過ぎない
兄弟姉妹がいる家庭と比べ、子供が1人だけだと、親の目が行き届きすぎる傾向があります。そのため「着換えをする」「靴を履く」「ジュースをコップを入れる」などちょっとした子供の行動を見て、あれこれと手出しすることもやりがちです。
まずは、子供の「できた」という気持ちを大切にするために、危険なこと以外は、できるだけ子供の行動を見守りましょう。自分ができることは自分でさせることを繰り返すうちに、自ら考えて行動するようになるケースも多いようです。
多くの子供と触れ合う機会をもつ
家に兄弟姉妹がいないのであれば、家の外で多くの子供と触れ合う機会を作りましょう。さまざまな年代の子供が集う公園で遊ばせるほか、育児サークルや習い事に入るのもおすすめです。ケンカをしたり、うまく遊べなくて泣いてしまうこともあるかもしれませんが、こうした子供同士のやり取りの中で社会性を身につけることができます。
生き物の世話をさせる
家の中では、自分が一番小さく、守られる存在の一人っ子。「守られる・優しくされる」という状態があたり前になっているため、自分より弱いものや年下への配慮が足りなくなるのではと心配するママも多いようです。
その不安を解消するために有効な手段としては、「生き物の世話をさせる」というものがあります。餌の準備、必要があれば散歩、汚物の処理などさせてみましょう。基本的に子供は飽きやすいので、子供が世話をしなくなることもあるかもしれません。そんな時「生き物を育てるのは向いていないのでは?」と、つい親がその代わりをしてしまいがちですが、責任感や命あるのに対する思いやりの気持ちを養う大きな機会になります。生き物を飼うのが難しいのであれば、植木鉢に植えたお花のお世話でもいいでしょう。
一人っ子で可哀想と思わない
世間ではネガティブなイメージが根強い一人っ子ですが、そんな周囲の評価よりも、目を向けるべきなのは「自分の子供」です。一人っ子だからと引け目を感じることなく、子供のいいところに目を向けていきましょう。子供の生き生きとした姿を見ているうちに、「かわいそう」なんて気持ちも飛んでいくはずですよ。
まとめ
偏った見方をされがちな「一人っ子」の子育てはなかなか大変。愛情いっぱいに一生懸命子育てに向き合っていると「甘やかしすぎ」と言われ、干渉度を下げ、見守り重視で子育てしていると「放ったらかしで育児放棄?」なんて言われることも。でも、子供の個性や成長をいちばん分かっているのはママやパパ。自分の育て方に自信を持ち、しっかり子供に向き合うことを大切にしてくださいね。
[*1]国立社会保障・人口問題研究所「第2部 夫婦調査の結果概要:第2章 夫婦の出生力」
http://www.ipss.go.jp/ps-doukou/j/doukou15/report15html/NFS15R_html07.html#h3%202-2-1