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 麻疹(麻しん・はしか)を流行させないために必要なものと集団免疫【ママ女医と娘の○○な日常 vol.40】

麻疹(麻しん・はしか)を流行させないために必要なものと集団免疫【ママ女医と娘の○○な日常 vol.40】

今年の3月頃から沖縄県で麻疹患者さんが増えている事をご存知でしょうか。麻疹は感染力が強く、流行を防ぐのが難しい感染症です。今回はワクチンと集団免疫を解説します。


記事の著者  
のんびり子育て中のママ女医   HAL先生
内科医。大学病院研修中にうつ病を発症し、数年間療養生活を経て復帰。その後、病気の間支えてくれた医者の夫と結婚し、娘を出産。現在は田舎で夫、3歳の娘と暮らす。自身の出産・育児の日々をもとに、医学的なエビデンスを交えて育児情報・ニュースなどをブログで発信。またTwitterでは、娘との会話や、ほっこりあたたまる育児エピソードも紹介し、注目を集めている。
http://halproject01.blogspot.jp/
https://twitter.com/halproject00

2018年春、沖縄からスタートした麻疹の流行

2018年3月下旬に、台湾から沖縄旅行をされた方がいました。実はこの方が麻疹を発症していて、感染させる可能性がある期間中に那覇市を中心に広範囲に行動をしていたそうです。恐らく発熱後で感染力が強い時期の行動だったからではないかと思いますが、5月末現在で合計99人の患者さんが報告されています。また、沖縄県だけではなく(同時期に海外から持ち込まれた事例もあり)、愛知県をはじめ、福岡県、東京都他あちこちで麻疹患者さんが報告されています。

麻疹は
• 感染力が非常に強い(抗体のない人が接触するとほぼ確実に感染する)
• 症状が出る前から感染力を持つ
• 最初の症状は風邪と見分けがつかない
• 潜伏期間が10日〜12日と長いので行動制限が難しい

といった事が原因で、流行を防ぐ事が非常に難しい感染症なのです。

流行を防ぐために一番必要なものは「ワクチン」

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麻疹は空気感染といって、特殊な感染をします。細かいマスクの繊維の隙間も通り抜けてしまうため、マスクで完全に防ぐ事は不可能です。(感染した人が、感染を広げない意味で使用するのは効果があります)

防ぐ方法はただ一つ、それは麻疹の免疫(抗体)を作る事です。麻しん単独ワクチン、麻しん風しん混合ワクチン(MRワクチン)を接種すると、身体の中に麻疹の抗体を作る事ができます。十分な量の抗体があれば、麻疹を発症する事はありません。抗体の量が少ない場合でも、軽い症状で済みます(修飾麻疹と言います)。

集団免疫をご存知ですか

個人の健康を守る意味でもワクチン接種は大切なのですが、実は個人を守るだけではなく、流行を防ぐ効果もあります。

麻疹は非常に感染力が強いのですが、周りの人が免疫を持っていればうつりません。うつる人がいなければ流行しません。簡単な事ですね。これを集団免疫と言います。

数字にすると、約90%程度の人が麻疹の抗体を持っていれば流行しないと考えられています。

麻疹のワクチンは誰に、何回必要?

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麻疹のワクチンについては2回接種でほとんどの人が抗体を持つ事ができます。

まずは抗体を全くもたない子供にワクチンをうつ事が最優先です。定期接種、つまり1歳のMRワクチン1期、小学校入学前のMRワクチン2期を忘れずに行う必要があります。

また、これまでに2回の麻疹ワクチンをうっていない人にも接種の必要があります。現在子育て世代のお母さんお父さんは、定期接種がない、もしくは「1回」しかない世代の方もいます。昭和52年から平成2年生まれまでの世代は、定期接種が1回しかありませんでした。また、それより上の世代の方は定期接種がありませんので、「0回」の可能性も高くなります(この世代は麻疹にすでにかかった事がある方も多いです)。

ぜひ母子手帳を確認してみてください。記憶は曖昧です。予防接種歴不明の方は、接種が必要です。

更に、今回の沖縄県では1歳未満の乳児への麻疹ワクチン接種の助成が始まっています。生後6ヶ月〜1歳未満で接種した場合、母親からの移行抗体の影響もあって免疫が十分につかない事もありますので、通常と同じスケジュールでMRワクチン1期2期を追加する必要があります。

1歳未満の赤ちゃんへの麻疹ワクチン接種については、筆者ブログに詳しく解説していますので参考にされてください。

●33歳女医、やっと子供ができた頃
「生後1歳(12か月)未満の麻しんワクチン・MRワクチン接種は可能か(2018年改訂)」
http://halproject01.blogspot.jp/2016/08/mr.html

麻疹は死に至る病である

麻疹は非常に恐ろしい感染症です。

感染力が強い事も勿論恐ろしいのですが、日本のような医療面が整った先進国であっても、1000人に1人は死亡すると考えられています。なぜなら、麻疹には根本的な治療法がないのです。

また、麻疹が一旦治癒したと思っていても、数年後に亜急性硬化性全脳炎(SSPE)になる事があります。SSPEは未だに確実な治療法がない疾患で、徐々に神経症状が進行し、数年から数十年で死に至ります。
それまで元気いっぱいだった小学生くらいの子供が、このSSPEを発症し、徐々に死に至る……その恐ろしさは、誰でも想像がつくかと思います。非常に恐ろしく、悲しい疾患だと私は思います。

「はしかのようなもの」という慣用句があります。若気の至り、誰もが若いうち一度は侵される熱病のようなもの……もう今の若い世代の人には使われていないと思います。いや、今後使われるような言葉ではなくなってほしいと思います。

麻疹は、かつでは誰もが一度は若いうちに侵されるしかない疾患でした。「はしかのようなもの」と言う人は、はしかを乗り越えた人なのでしょう。しかし、その後ろには数多くの犠牲者がいたのです。

麻疹は2回のワクチンで、あなた自身や大切な人を守る事ができます

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幸いにして、沖縄県や各地での啓蒙やワクチン接種が功を奏したのか、徐々に麻疹報告者数が減って、おそらくこのまま今回の流行は終息に向かうのではないかと思います。しかし、いつまた麻疹が持ち込まれるかわかりません。

2016年にも日本全国で麻疹が流行しました。最初は恐らく、ただ一人の感染者です。今回も同様です。

必要なのは、感染者を責めることではありません。持ち込まれた時に、どうやって流行を小規模に抑えるか、これにつきます。そのために、一人一人でできる事があるのです。まずはお子さんの定期接種を確認する事、それからご自身や家族、大切な人の予防接種歴を確認する事。小さな事ですが、一人一人の努力が流行を防ぎます。

MRワクチンの数にも限りがあります。流行が収まったその時こそ、MRワクチンの数に余裕がある時にこそ、「今後に向けた麻疹対策」としてワクチン接種の必要があります。

まだしばらくはワクチンが品薄の状況が続くと思います。徐々に生産が追いつきますので、予約をしている方は是非そのままにしておいてください。

「今流行していないなら、MRワクチンうたなくてもいいかな……」

ではなく、

「よし、今のうちにワクチン接種しとこう!」

と行動してくださる方が一人でもいる事を期待しています。(行政も、もっとワクチンの助成を頑張ってほしい!)

みんなで防ぎましょう、みんなで守りましょう。

筆者ブログでも、麻疹の情報をいろいろと提供しています。参考にしてください。

●麻疹情報|33歳女医、やっと子供ができた頃
https://halproject01.blogspot.jp/p/blog-page_29.html?max-results=10

(HAL)

※記事内の画像はすべてイメージです

〈参考サイトなど〉

はしか発生状況/沖縄県
http://www.pref.okinawa.jp/site/hoken/chiikihoken/kekkaku/mashin.html

2011~2012年の感染症トピックス(1) 麻疹・風疹ワクチン/国立感染症研究所
https://www.niid.go.jp/niid/images/idsc/kikikanri/H24/20121017-04.pdf

亜急性硬化性全脳炎(SSPE)
http://prion.umin.jp/sspe/gaiyo.html

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください

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