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ロタウイルスによる嘔吐下痢症が増加中【ママ女医と娘の○○な日常 vol.38】

ロタウイルスによる嘔吐下痢症が増加中【ママ女医と娘の○○な日常 vol.38】

毎年春先になると増えて来るのが乳幼児に怖いロタウイルスによる嘔吐下痢症(感染性胃腸炎)です。どういった特徴があるのか? ワクチンの話と共に簡単に解説します。


記事の著者  
のんびり子育て中のママ女医   HAL先生
内科医。大学病院研修中にうつ病を発症し、数年間療養生活を経て復帰。その後、病気の間支えてくれた医者の夫と結婚し、娘を出産。現在は田舎で夫、3歳の娘と暮らす。自身の出産・育児の日々をもとに、医学的なエビデンスを交えて育児情報・ニュースなどをブログで発信。またTwitterでは、娘との会話や、ほっこりあたたまる育児エピソードも紹介し、注目を集めている。
http://halproject01.blogspot.jp/
https://twitter.com/halproject00

嘔吐下痢症(感染性胃腸炎)は毎年2回山がくる

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嘔吐下痢症(感染性胃腸炎)は、毎年冬になると流行します。しかし、その流行の様子を詳しく見ると、実は2つの山でできている事がわかります。秋から12月にピークを作る1つ目の山と、1~3月頃に増えて夏頃までになだらかに減って行く2つ目の山です。1つ目の山は主にノロウイルスが原因の山ですが、2つ目の山は主にロタウイルスが原因とされています。

国立感染症研究所の今年のデータを見てみると、2018年8週目、9週目(2月末から3月はじめ頃)とロタウイルスが大きく増加してきています。2017年と似た傾向の増え方をしています(去年は5月はじめ頃にピークがきました)。今年もこれから流行がスタートし、しばらく続くと予想されるので注意が必要です。

●国立感染症研究所ホームページ「感染症発生動向調査週報 (IDWR)」
https://www.niid.go.jp/niid/ja/idwr.html

ロタウイルスの胃腸炎の症状・治療・合併症

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ロタウイルスは、主に乳幼児に胃腸炎をひきおこすウイルスです。ロタウイルスは非常に感染力が強いので、日本のように衛生状態がよい国であっても、5歳頃までに1度は感染すると言われています。1度かかったら2度とかからないといったものではないので、何度もかかる事がありますが、かかる度に症状は軽くなっていきます(つまり、大人でも感染して症状が出る事がありますので、お子さんを看病する時には注意が必要です)。

2日前後の潜伏期間があり、水のような下痢、嘔吐、発熱といった症状が出ます(白っぽい下痢が比較的特徴的ですが、出ない事もありますし、他の病気で出る事もあります)。

治療は、ロタウイルスに直接効くような特効薬(抗ウイルス薬)はないので、症状に応じた対症療法を行う事になります。ひどくなると重症の脱水症をきたす事もあり、他にもけいれん、肝機能異常、急性腎不全、脳症、心筋炎などの合併症を引き起こします。これらによって死亡する事もある、決して軽く見てはいけない感染症がロタウイルスによる胃腸炎なのです。

ロタウイルスのワクチン

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ロタウイルスのワクチンは2011年に日本にも導入されました。ロタウイルスのワクチンは、口から飲むタイプの経口生ワクチンです。甘いシロップ状になったものを飲むだけなので痛みがありません。

ロタウイルスワクチンの効果は、「重症化を防ぐ事」です。ロタウイルスワクチンの効果で重症の胃腸炎で入院したり、救急外来を受診する率が90%以上減少するというデータがあります。他にも、ワクチンを接種していない年齢層でもロタウイルスによる入院率が減少したり、ロタウイルスの患者さん自体が減ったりといったデータも出て来ており、集団免疫の効果も期待されています。

重要な副反応として腸重積があげられる事があります。ロタウイルスワクチンによる腸重積のリスクはゼロではありません。しかし、現在日本で接種されているロタウイルスワクチンは腸重積のリスク上昇は小さいです(初めての接種後、10万人あたり1〜2人程度)。それ以上にロタウイルスワクチンによる重症化を防ぐ効果が大きいと考えられますので、リスクとベネフィット(利益)を天秤にかけて考えると、私はロタウイルスワクチン接種をおすすめします。

ワクチン以外のロタウイルスの予防法などは?

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ロタウイルスは感染力が強く、また乳幼児はいろいろなものを口にしますので、なかなか予防は困難です(その意味でもワクチンがおすすめです)。ロタウイルスに感染した下痢の便1g中に、なんと10,000,000,000個のウイルスが存在しますし、発症前から感染力があり、さらに症状が改善してから1ヶ月以上ウイルスが便中に出ているという報告もあります。

しかし、基本的にはこまめな手洗いです。トイレの介助やオムツ替えをした後は周囲にあまり触れないように注意して、念入りに手洗いしましょう。オムツ台は汚染されやすいので、使用する際は少し気をつけるようにしてみてください。自分のトイレ後(症状がなくとも感染していて、手にウイルスが付着する事があります)、食品を扱う前なども注意してみましょう。

嘔吐や下痢の症状がある時は、筆者のサイトの消毒法やゴミ(オムツ)の捨て方を参考にしてみてください。ロタウイルスはアルコールが効くという報告もありますが、確実ではありません。あくまでも補助的に手洗い後や拭き掃除にアルコール消毒をするのはよいと思いますが、オムツなどの下痢や嘔吐で汚れたものは次亜塩素酸ナトリウムを使って消毒しましょう。

●感染性胃腸炎・ノロウイルス・嘔吐下痢対策総合ブログ HAL@女医
https://halproject-gast.blogspot.com

~我が家のロタウイルスの話~

もうすぐ4歳になるうちの娘ですが、これまでにはっきりしたロタウイルスによる胃腸炎はありません。胃腸炎は何度か起こしているのですが、検査でロタウイルスは陰性でした。

というのも、うちの娘、ロタウイルスワクチンを接種しています。2回接種タイプのもの(ロタリックス®)でしたので、生後2ヶ月のワクチンデビューの時に1回目、生後3ヶ月で2回目接種。おそらくこれの効果で、初回感染時の症状がほとんどなかったんじゃないかなと思います。

ちなみに1回15000円程度です。高い! 2回で3万! 高すぎる!

しかし、命には代えられません。ロタウイルスの怖さは医学部の講義や実習でいやというほど叩き込まれたので、重症化がこのお金で防げるなら、と。ロタウイルスの下痢は本当にひどいので、少しでも軽くすむなら安い物です(いや、でもやっぱり安くはないです……)。

ロタウイルスワクチン、高いです。早く定期接種(公費負担)になって欲しいワクチンの一つです。一部自治体で、ロタウイルスワクチンの助成(補助)が行われています。「住んでいる市町村名 ロタウイルスワクチン 助成」で検索してみてください(わからない場合は直接市町村へお問い合わせください)。

これから出産する方、ちょっとこのロタウイルスワクチンの事を覚えておいて、出産祝いなどをワクチン用のお金として確保しておいてもらえたらなと思います。うまれてくる大切な赤ちゃんの命を守るために。

(HAL)

※記事内の画像はすべてイメージです

〈参考サイト・書籍〉

●感染症発生動向調査週報 (IDWR) 国立感染症研究所
https://www.niid.go.jp/niid/ja/idwr.html

●ロタウイルスの概要 国立感染症研究所
https://www.niid.go.jp/niid/ja/iasr-sp/2261-related-articles/related-articles-409/4475-dj4091.html

●ロタウイルスに関するQ&A|厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/Rotavirus/

●ロタウイルスワクチンに関する最近の知見
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000128400.pdf

●ロタウイルス | 消毒・感染制御情報 | MARUISHI 医療関係者情報サイト
http://www.maruishi-pharm.co.jp/med2/disinf-rota-virus.html

●小児急性胃腸炎診療ガイドライン2017年版

●遠藤文夫編. 最新ガイドライン準拠小児科診断・治療指針. 中山書店 2012

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください

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