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2023年03月14日 09:45 更新

「歯磨きっていつから?」「おしゃぶりは歯並びに影響する?」小児科医に聞いた本当のところ 

生まれたての赤ちゃんは歯ぐきしかないけれど、いつから歯磨きしたらいいのか、何を使えばいいのか迷いますね。そして歯並びが気になったりも。そこで森戸先生に答えてもらいました。

歯が1本でも生えてきたら拭きましょう

乳幼児の診察・健診時に「子供の歯磨きはいつからしたらいいでしょう?」「おしゃぶりを使っていいんでしょうか? 歯並びが心配で」「歯並びがよくないかもと心配なんです」などという相談を受けることがあります。

もちろん、子供の歯を専門とする診療科は「小児歯科」です。でも、子供の歯に関する簡単なことは、健診や診察のついでに小児科医に聞く保護者も多いんですね。そこで今回は、子供の歯に関する質問に一つずつ答えたいと思います。

まず、歯磨きはいつから開始したらいいかというと、歯が一本でも生えたら始めましょう。まずはガーゼで拭ったり、ドラッグストアなどで売っている子供の歯を拭く用のクロスで拭いたりしてもかまいません。

そして離乳食が始まる頃、歯が増えてきたら、歯ブラシを使って歯を磨く習慣をつけましょう。母乳や育児用ミルクに入っている「乳糖」よりも、砂糖などに含まれる「ショ糖」はむし歯リスクが高いのです。むし歯菌(ミュータンス菌)は食べ物の中の糖を使って酸を作り、その酸が歯を溶かしていくのがむし歯です。

少しの時間、口の中が酸性になっても、通常は唾液などでもとに戻ります。ジュースやスポーツ飲料は多くが酸性なのでしょっちゅう飲むと歯が溶けていきます。食事もおやつも一定の時間にとり、だらだら食べることがないようにしてください。

おしゃぶりは将来の歯並びに影響する?

次に、おしゃぶりを使うと歯並びが悪くなるかどうかですが、確かに大きくなっても使い続けていると、永久歯の歯並びに影響することはあるかもしれません。これは指しゃぶりでも同じことですね。

ただし、小さな赤ちゃんの場合は、そこまで気にしなくてもいいのではないでしょうか。通常、赤ちゃんは生後3カ月くらいまでは口が何かに触れると反射的に吸います。これを「吸啜(きゅうてつ)反射」といい、哺乳のために自然と備わっているのです。

こうした原始反射がなくなっても、赤ちゃんは口元にあるものを吸いたがりますが、それは安心感を得るためだと思われます。昔、私がいたNICU(新生児集中治療室)では、赤ちゃんに痛みを伴う処置をした後に、おしゃぶりをくわえさせていました。おしゃぶりをくわえさせたほうが、くわえさせない場合に比べ、心拍数が平常値に戻るまでの時間が短いという研究結果があったからです。

多くの場合、おしゃぶりも指しゃぶりも、いつの間にか自然としなくなることが多いと思います。もしも、なかなかおしゃぶりを手放せない場合は、その背景に不安な気持ちなどがあるかもしれないので、身近にあるだけで安心できるようなアイテム、いわゆる「ライナスの毛布」やぬいぐるみなど、おしゃぶりの代わりになるものを用意するのもいいかもしれませんし、子育て支援センターなどで相談してみてもいいでしょう。

子供の歯は、曲がった向きに生えてきたり、生え始めは間隔が不均等だったりします。まだ乳歯ばかりの幼児期にはスカスカであることも多く、歯が増えるとともに向きや間隔が変化していきます。永久歯が生えてきて隙間が埋まることもありますし、その頃になって初めて歯並びがいいかどうかがわかります。その前から定期的に歯科健診やフッ素塗布などに通って、経過を診てもらうと安心だと思いますよ。

参照)森戸やすみ『小児科医ママの「育児の不安」解決BOOK』(内外出版社)

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