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2023年01月09日 08:03 更新

今シーズンはまだ流行の恐れあり!小児科医がくわしく教える子供のインフルエンザの治療とケア

この冬は新型コロナウイルス感染症とインフルエンザが同時に流行するのではないかと危惧されています。子供はまれに高熱により異常行動をとったり、インフルエンザ脳症になったりすることがあるので油断大敵です。小児科医の森戸先生に詳しく聞きました。

この冬は新型コロナとインフルが流行する⁉︎

(※画像はイメージです/PhotoAC)

毎年12〜2月頃は、インフルエンザが流行するシーズンです。2021-2022シーズンはそれほど流行しませんでしたが、2022-2023シーズンは新型コロナウイルス感染症と同時に流行すると言われているので注意が必要です。

インフルエンザは、その名の通り「インフルエンザウイルス」に飛沫感染または接触感染することにより、1〜3日の潜伏期間を経て発症する感染症です。ほとんどの人は急に悪寒がしたと思ったら、38度以上の高熱が出て発症に気づきます。

子供は普通の風邪だと熱があっても元気なことが多いのですが、インフルエンザの場合は鼻水や咳だけでなく、頭痛、筋肉痛、関節痛、倦怠感などを伴うことも多いので、しんどそうにしたり、ぐったりしたりすることが多いでしょう。

お子さんに上記のような症状があり、インフルエンザにかかったかもしれないと思ったら、小児科クリニックを受診しましょう。周囲の流行状況や症状によってインフルエンザと診断されることもありますが、発熱から12時間が経っている場合は鼻水を拭うだけで結果がわかる迅速診断キットを使って診断することもあります。

インフルエンザには特効薬はなく、多くは1週間程度で自然治癒しますが、つらい症状が多い場合は小児科医に相談してみてください。場合によって、抗インフルエンザ薬、解熱鎮痛薬(アセトアミノフェン)、抗ヒスタミン薬、去痰薬などが処方されると思います。

抗インフルエンザ薬のタミフル、イナビル、リレンザなどは、インフルエンザウイルスの体内での増殖を抑え、発熱期間を1〜2日ほど短くします。ただし、発熱してから48時間以内に投与しないと効果が期待できません。

症状が重い場合は、当番医か救急外来へ

家でのケアは、普通の風邪と同じようにすれば大丈夫です。他の家族にうつらないよう感染対策をしながら、ほどよい室温・湿度の部屋でゆっくり休ませてあげましょう。食事は食べられるものをあげ、水分はしっかり取るようにしてください。

インフルエンザによる発熱の場合、子供が急に走り出す、窓から飛び降りようとするなどの異常行動をとることがあります。以前は抗インフルエンザ薬の副作用だと誤解されていたのですが、現在では服用の有無にかかわらず起こりうるものだとわかっています。発熱してから丸2日間は目を離さないようにしましょう。

また、お子さんが呼びかけに反応しないなど、様子がおかしい場合は「インフルエンザ脳症」かもしれないため、急いで救急にかかってください。非常にまれな病気ですが、5歳未満の乳幼児に多く、死亡率が高い危険な病気だからです。

インフルエンザ脳症は、重い意識障害やけいれんを起こし、脳症以外にも多臓器障害などの併発することがあるため、ただちに入院して抗インフルエンザ薬、ガンマグロブリン、ステロイドなどを点滴で投与することになります。

そしてインフルエンザは感染力が非常に強いので、外出していいのは「発症日を0日として5日間が経ってから」、または「乳幼児は解熱後3日の平熱期間、小学生以上は解熱後2日の平熱期間を終えてから」の長いほうです。必ず守ってください。

小学校や園によっては、医師による治癒証明や出席許可証が必要なこともあります。ただ、これには医学的な根拠がなく、せっかく治ったのに再度受診して何かの感染症にかかったら元も子もありません。みんなでルールを守って、治癒証明や出席許可証が必要なくなるといいですね。

参照)森戸やすみ『小児科医ママの子どもの病気とホームケアBOOK』(内外出版社)

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