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2017年12月28日 11:30 更新

厄介なノロウイルスと予防〜感染性胃腸炎に気をつけて~【ママ女医と娘の○○な日常 vol.24】

毎年冬になると流行する感染性胃腸炎。今年も徐々に増えて来ています。今回は、感染性胃腸炎の原因と予防法について簡単に解説します。

冬に流行る感染性胃腸炎、原因は色々あります

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小さいお子さんがいると、一度は嘔吐下痢で困った経験のあるご家庭も多いのではないでしょうか。
嘔吐下痢症……感染性胃腸炎は、いろいろな病原体が原因となって起こります。冬に多いノロウイルスが有名ですが、乳幼児で流行するロタウイルス、他にも様々な細菌・ウイルス・寄生虫が病原体として知られています。

特にノロウイルスは感染力が強く、消毒も厄介なため、注意が必要です。他の病原体も色々ありますが、ノロウイルスと仮定して予防・消毒をすれば、他の病原体の対策も同時に行うことができます。ですので今回は、ノロウイルスの解説を簡単にしていきます。

●東京都健康安全研究センター ホームページ「ノロウイルスと食中毒」
http://www.tokyo-eiken.go.jp/assets/issue/health/webversion/web25images/norovirusandfoodpoisoning.pdf

●厚生労働省ホームページ「ノロウイルスに関するQ&A」
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/kanren/yobou/040204-1.html

ノロウイルスはこんなに厄介!

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ノロウイルスは感染力が強い

ノロウイルスはとても感染力が強く、10個〜100個の極少ないウイルスが身体に入ることで感染を起こします。牡蠣をはじめとした二枚貝が汚染されていて、それを食べる事で感染する事もありますが、冬期はノロウイルスに感染した人から他の人へとうつっていく事で大流行を起こします。

感染した人の吐物や便には大量のウイルスがいる

ノロウイルスに感染した人が嘔吐すると、その吐物1gの中にはなんと100万個のノロウイルスがいます。ノロウイルスに感染した人の便1gの中には、なななんと! 100万から10億個のノロウイルスがいるのです。身体の外に出るウイルスの量がとんでもない数なのに、たった100個で感染してしまう感染力。これがノロウイルスの厄介なところです。予防や消毒がきちんとできないと、あっという間に流行してしまう事が予想されると思います。

不顕性感染(感染していても症状が無い)でも便の中にはノロウイルスがいる

「でも、周りの人がノロウイルスにかかったのに、自分はうつらなかったな」と思う方も多いと思います。実はノロウイルス、「不顕性感染」と言って、感染していても症状が出ないことがあります。
ところがノロウイルスの厄介なところは、不顕性感染であっても、便の中にはしっかりノロウイルスが出ているところ。そのため、知らないうちに感染し、知らないうちに人にうつしてしまっている、という事態が起こります。

ノロウイルスは消毒が難しい

更にやっかいなのは、ノロウイルスは消毒が難しいのです。熱にもそこそこ強く85℃を1分ほどかけなくては消毒できません。消毒液については、アルコールの消毒は効果が薄いため、塩素(次亜塩素酸ナトリウム)を用いた消毒が必要になります。

ノロウイルスに感染しないために

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従って、ノロウイルスに感染しないためには、「吐物や下痢の処理をする時には、しっかり防御しながら消毒・廃棄する」事が大切です。しかしそれに加えて、「外出先ではどこがノロウイルス汚染されているかわからないため、しっかり予防する」事も必要になってきます。

嘔吐・下痢の時の消毒方法や汚物の廃棄方法

消毒方法については話が長くなりますので、よければ私のブログを読んでもらえたら嬉しいです(イラスト付きでわかりやすく説明しています。消毒以外の項目も徐々に更新していますので、困った時には参考にしてください)

●感染性胃腸炎・ノロウイルス・嘔吐下痢対策総合ブログ HAL@女医
https://halproject-gast.blogspot.jp

予防には「こまめで確実な手洗い」

そして、いかに外出先で予防するか。それは「こまめで確実な手洗い」これがキモになります。
なぜ手洗いか。

いかに感染力が強いノロウイルスと言えども、身体の中に入ることができなければ感染する事はできません。どこから身体の中に入るかというと、一番大きな入り口は「口」です。食中毒も勿論なのですが、食品を介さない場合も「口」です。

さて、口の中にどうやってウイルスが入るでしょうか。それは「手」です。無意識に口や顔に触るものは、手ですね。手以外は意外と触れる事は少ないものです。また、料理はなにで作りますか?「手」ですね。その手が汚染されていたら、その手で作る料理は……汚染されますね。「手洗いなんて、本当に効くの?」と思うかもしれませんが、このように「手」は病原体がくっつきやすく、身体に運びやすい存在なのです。しかし、手洗いをしっかりすれば、ノロウイルスをはじめとした病原体を身体に入れる確率が下がります。

手洗いのコツは、とにかく「手全体をまんべんなく擦る事」と思ってください。手のひら、手の甲だけでは足りません。指の間、特に親指は洗いにくいのできちんともみ洗いしましょう。見落としがちなのは指先と爪、手のひらにこすりつけるようにして洗います。仕上げに手首までしっかり洗えば完璧です。

長く洗う事よりも、2度洗いが有効です。10秒石鹸洗い、15秒すすぎを2回繰り返す事で、手に残るウイルス量は0.0001%にまで減らす事ができると言われています。ぜひお試しください。手を洗うタイミングは、沢山あります。特に汚れやすいトイレを使った後、外から帰った時、料理をする前、二枚貝などの汚染されやすい食材を触った後、食事をする前……流行期は「ちょっとやりすぎかも」くらいの手洗いで丁度いいと思って、「こまめで確実な手洗い」を心がけてみてください。

子供の予防は出来る限り

しかし、難しいのは子供自身の予防です……手洗いも十分にはできず、汚れた手を口にやる事もしばしば。冬場は、プレイルームのおもちゃなども汚染されていると考え、みんなで遊んだ後は必ず手を洗うよう頑張ってみてください。

それでも、集団生活をしている子供はどうしても感染性胃腸炎を起こしやすいです。うちの娘も1歳の時に感染し、大わらわとなりました。(家でのケアなどの話は、また機会がありましたらお話させてください。)

まずは、出来る限りの「こまめで確実な手洗い」という予防、頑張ってみてくださいね。


(HAL)

※記事内の画像はすべてイメージです

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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