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2022年11月14日 07:16 更新

「子供の身長を伸ばしてあげたい!」親にできることはある? 小児科医がズバリ回答

「子供の背が低いことが心配」「子供を大きく育ててあげたい」などと思う保護者は多いもの。そこで、子供の身長を伸ばす方法があるかどうかについて、小児科医の森戸先生に教えてもらいました。

まずは成長曲線に照らし合わせて

(photoAC)

お子さんの身長が低いのではないか、小さいのではないかと気にされる保護者の方は多いものです。診察室で保護者の方から相談されることもありますし、またインターネットを見ていると「背を伸ばす」ことをほのめかすサプリメントの宣伝を見ることもあり、関心の高さを感じます。

まずは、母子手帳に載っている「成長曲線」を見てみましょう。成長曲線とは、それぞれの月齢・年齢ごとの身長と体重を記録できるグラフで、同じ年かつ同じ性別の子のデータを集めて割り出した身長と体重の標準値の範囲が書き込まれています。

このグラフに、お子さんの身長や体重を記録していけば、目に見えて成長の度合いがわかりますし、通常の範囲内なのかどうかも一目瞭然です。母子手帳のグラフは小さいので、使いづらく感じるなら、厚生労働省のウェブサイトからもダウンロードできるので、ぜひ活用してみてください。

お子さんの身長が成長曲線の標準値の範囲から外れて小さすぎる場合は、地域の保健センターや小児科で相談してみてもいいでしょう。検査や治療が必要な場合は、必要に応じて適切な医療機関などに紹介してもらえると思います。

ただ、ほとんどの場合は心配ありません。身長が伸びる時期には個人差があり、幼い頃に小さいからといって、そのままとは限らないからです。そもそも多くの子供は、小学校高学年から中学にかけてがもっとも身長が伸びる時期ではないでしょうか。心配しすぎないようにしてくださいね。

必要以上の栄養を摂っても効果なし

じつは、大人になった時の身長……つまり「最終到達身長」は両親の身長をもとにして、ある程度は予測できます。

男子=(両親の身長の合計+13)÷2+2

女子=(両親の身長の合計−13)÷2+2


当たり前のことですが、これはおおよその予想で、必ずしもこうなるとは限りません。でも、背の高いご両親のお子さんは小柄になりにくいし、背の低いご両親のお子さんは大柄にはなりにくいということです。

子供の身長を伸ばすためにと、骨の材料となる牛乳などのカルシウムを含む食品、鉄分、ビタミンDを多く含む品を与えたり、日光浴をさせたり、運動をさせたりする保護者もいるそうですが、必要以上の量を与えても成長には繋がらないでしょう。

ただ、もちろん成長のためには不足しないように、カルシウムなどだけではなく、様々な食品をバランスよく摂ることは大切です。

また冒頭に書いた市販の「背を伸ばす」サプリメントに興味津々の保護者の方もいらっしゃるかもしれません。でも、日本小児内分泌学会は、カルシウム、鉄、ビタミンDが不足している子供がそれらの成分を含むサプリメントを服用すれば効果が期待できるものの、それらが充足していればかえって健康を損なう可能性があると指摘しています(※1)。

子供の健康を思うなら、効果が不確かなサプリメントではなく、様々な食品でバランスよく栄養を摂るようにし、本当に心配な場合は小児科医などの専門家に相談しましょう。

※1 日本小児内分泌学会「身長を伸ばす効果がある」と宣伝されているサプリメント等に関する学会の見解(2013年3月29日公表)

参照)森戸やすみ『子育てはだいたいで大丈夫』(内外出版社)

(編集協力:大西まお)

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