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2022年10月08日 15:26 更新

妊娠検査薬で陰性なのに妊娠していた!? 実は珍しくない5つの理由<産婦人科医監修>

妊娠の可能性がある時、まず手に取るのが妊娠検査薬でしょう。その結果で陰性だったら「妊娠していなかった」と考える一般的な考えでしょう。しかし、実は妊娠検査薬で一度陰性が出たのに、その後「陽性」の結果が出ることがあるのです。この記事ではなぜそんなことが起こるのか、考えられる原因について解説します。

妊娠検査薬で陰性から陽性になることはあるの?

Lazy dummy

インターネットのブログやSNSなどでは、「妊娠検査薬で検査をしたら陰性だったのに、何日後かには陽性に変わった!」などという人をときどき見かけます。このように最初は「陰性」だった判定が、後から「陽性」に変わる可能性はあるのでしょうか。

可能性は「あり」

妊娠の初期には、妊娠を維持するために受精卵から「hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)」というホルモンが分泌され、尿中にも出てくるようになります。このhCGを感知して、妊娠しているかどうかを判定するのが妊娠検査薬です。

妊娠検査薬はhCGにだけ反応するように作られていますが、のちほど解説するような原因があると、「最初は陰性」でも「後で陽性」になる可能性は十分あります。

妊娠検査薬の精度に問題?

日本で市販されている妊娠検査薬の精度は非常に高く、多くの製品で妊娠している場合には、99%以上の確率で陽性の反応が出ると言われています。ただし、この高い精度で正しい判定結果を得るには、検査薬の「注意事項を守って正しく使う」という大前提があります。

判定が陰性だと妊娠していない可能性が高いのですが、何らかの原因によっては、妊娠しているのに陰性となることもあるということです。次項では、そうなる可能性がある状況について解説します。

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妊娠検査薬の正しい使い方について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
【医師取材】妊娠検査薬の正しい使い方のコツと判定結果の見方とは?

妊娠検査薬で陰性から陽性になる原因

カレンダーを持つ女性
Lazy dummy

市販の妊娠検査薬の精度はかなり高いので、「陽性」の判定線が出た場合には高確率で妊娠していると考えられます。ただ、ときには妊娠しているのに「陰性」となることもあります。その場合に考えられる原因はおもに以下のようなものです。

(1)最初の検査が早すぎた

妊娠検査薬は、hCGの分泌量が増え、尿中にも一定以上出てくるようになってはじめて、薬剤が反応し正しい判定が出ます。

通常タイプの妊娠検査薬では、尿中hCGの濃度が「50IU/L(尿1L中にhCGが50IU)になると陽性の判定が出るようになっていますが、「検査の時期が早すぎる」とhCGの濃度がまだ50IU/Lに達していないために、妊娠しているのに陰性となってしまうことがあります。

妊娠している場合には、生理開始予定日(妊娠4週)ごろからhCGの分泌量は急激に増加してきます。そのため、一度は陰性でも数日後に再検査をしたときに、陽性となることはあります。

こうした心配があるので、一般的な妊娠検査薬は使用推奨時期を「生理開始予定日の1週間後以降」としています(早期妊娠検査薬では生理開始予定日当日から)。これより早くフライング検査をすると、まだhCGの分泌量が少なすぎて正しい判定が出ないことがあるのです。

また、「生理開始予定日の1週間後以降」に検査したと思っていても、体調やストレスなどで排卵がズレることは十分起こり得るので、それによって妊娠成立が遅れた場合にも同様のことは起こります

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フライング検査について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
【医師監修】妊娠検査薬ってフライングで使ってもOK? 早く使える検査薬と注意点

(2)尿中のホルモン濃度が低かった

妊娠検査薬を使う前に、たくさんの水分を飲んだ場合には尿が薄くなってしまいます。すると、尿中に含まれるhCG濃度も低くなるので、実際には妊娠していても薬剤が反応せずに陰性となったり、判定線が出ても薄くてわかりにくい、といった状態になることもあります。

(3)双子の妊娠が影響していた

一般的な妊娠検査薬のほとんどは、尿中のhCG濃度が50IU/Lより低いと正しい判定が出にくいのですが、「hCGの濃度が高すぎても」検査薬が正しく反応しなくなることがあります。その場合も、実際は妊娠しているのに陰性となることがあります。

妊娠検査薬の説明書をよく読むと、「生理開始予定日を過ぎても生理が来ないのに検査結果が陰性となる例」として、「妊娠によるhCGが非常に多く分泌した場合」「尿中hCGが多くなりすぎた場合」などと記載されています。

妊娠している場合でhCGがかなり多く分泌される原因のひとつに、「双子などの多胎妊娠」があります。
関連記事 ▶︎双子を授かる人の特徴とは?

なお、「胞状奇胎」を起こしているときにもhCGの分泌量は通常の妊娠時に比べて多くなります。

(4)妊娠検査薬が正しく使えていなかった

エコー写真と妊娠検査薬と体温計

妊娠検査薬で正確な判定結果を得るには、何より「正しく使う」ことが第一ですから、まずは事前に説明書をしっかり読みましょう。

採尿しておいた尿を長時間経ってから使うと、正しい判定が出にくくなります。尿は長時間放置しておくと雑菌が繁殖してしまうので、採尿後はできるだけ早く検査をしましょう。

尿にひたす時間(判定が出るまでの時間)が製品によって多少異なったり、「尿をかけた妊娠検査薬は水平にした状態で判定を待つ」といった条件付きの場合もあります。

また、保管方法が不適切だった場合にも、正しい判定が出なくなってしまいます。温度が極端に高かったり低かったりする場所に検査薬を放置しておいたり、外箱や個包装の袋から出したままにしておいたりすると、薬剤が変化・劣化してしまうからです。

いずれにしても、説明書の注意事項は必ず守って使用してくださいね。

(5)妊娠検査薬の使用期限が切れていた

妊娠検査薬は、使用期限が切れていると薬剤が変化したり劣化している可能性があります。そのため、妊娠していても陰性となったり、薄い線が出るなど判断に迷うような結果が出る場合もあります。

一般的な妊娠検査薬の使用期限は、製品の外箱に記載されているか、個包装の場合は袋に記載されているでしょう。市販の妊娠検査薬の多くが、使用期限を「36ヶ月(3年)以内」としているのですが、中には「25ヶ月」「30ヶ月」などの製品もあります。

メーカーや製品ごとに多少の違いがあるので、必ず事前に確認し、使用期限内のものを使いましょう。

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その他、妊娠していた場合に現れる自覚症状などについては以下の記事で解説しています。
▶︎【医師監修】妊娠検査薬で陰性から陽性へ! 体験談や可能性・原因を解説(文:村田弥生/監修:直林奈月先生)

※本記事は上記の記事を一部抜粋したものです
※画像はイメージです

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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