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2022年10月16日 06:10 更新

5歳の反抗期はどんなもの?つらさを乗り越え親も子も楽になる8つのポイント【心理カウンセラー解説】

「ようやく“魔の2歳“ “魔の3歳“を乗り越えたのに、また反抗期が来た!」「しかも以前よりずっと手に負えない!」とお困りの親御さんもいらっしゃるのではないでしょうか? 反抗期は自立に向かっている証拠と分かってはいても、いちいち反抗されてしまうと大変ですよね。今回は、5歳の反抗期の特徴や対策についてご紹介します。

5歳ってどんな年齢?

5歳は、年長さんクラスに進む年齢です。本当に様々な面で伸びていく時期ですね。本題に入る前に、まずこの時期のお子さんには、どのような変化が起きているのかを、あらためて整理してみましょう。

運動、遊び|かけっこができ、道具を使って遊べるように

体力や得意不得意には個人差がありますが、
・数十分の徒歩
・スキップや片足飛び
・かけっこ
・体操

など、できることが増えていきます。

・ボール遊び
・縄跳び
・ブランコ
・鉄棒

など、いろいろな道具や遊具を使えるようになり、遊びの幅も広がっていくでしょう。

描画や工作をする機会も増え、目的に合わせて小さな道具、文房具などを使うために手指を細かく動かせるようになったり、想像する力も伸びていきます。

言葉、理解力、記憶力|コミュニケーション能力が伸び、理論的な思考も可能に

日々の体験の中でたくさんの物の名前を知り、覚えたり、考えたりする量が増えていきます。言葉を文章にして組み立てるなど、コミュニケーション能力もぐんと伸びます。数や文字の読み書き、時間の概念にも興味を持ち始め、複雑な物語の内容を理解し、「〇〇だから◇◇」というように論理的に考えられるようになります。

生活面|自分で登園の準備ができるように

周囲からの働きかけ方や本人の個性によって、覚えていく内容や順序には個人差がありますが、
・登園の準備や身支度
・簡単な家事を行う
・排便や入浴をする
・睡眠のリズムを守る

といった面で、自分でできる範囲が広がっていくでしょう。

具体的な例としては、
・衣類の着脱ができる
・自分の物は自分で持って運べる
・食器を運んだり並べたりできる
・雑巾やほうきを使って掃除ができる
・一人でトイレを済ませられる
・入浴後に体を拭ける

といったことが目安となります。

自分でやれるようになりたいと意欲を見せ、大人やお友達の真似をしようとすることも増えるでしょう。

社会性|自分の振る舞いを意識し、仲間意識も芽生える

家族以外の大人や、職業について関心を持つことが増えます。例えば
・挨拶すること
・当番活動
・交通ルールを守ること

などを通じて、自由に振る舞える家庭とそれ以外の場所での振る舞い方の違いを身に付けていくでしょう。

集団生活の場では、お友達に興味を持って仲間意識が芽生え、
・順番を待つ
・協力する
・話し合う

といった行動ができるようになります。お互いに自己主張をし始める時期なので、ぶつかることも当然起きてしまいますが、自分を抑え、妥協することを知るためにも貴重な経験ですね。
一方で、
・相手の気持ちを想像して優しくする
・自分とお友達の違いに気付いて刺激を与え合う

といった、複雑な関係性を築けるようにもなります。

5歳の反抗期ってどんなもの?

このように、5歳の頃のお子さんは生活の場も興味もどんどん広がり、毎日、頭も体も心も大忙しの状態です。「自分でやりたい!」「でもできない!」を繰り返しながら自立が進んでいるという点では2歳前後のイヤイヤ期(第一次反抗期)と同じですが、5歳頃はより複雑な現れ方になります。

年長さんから小学校低学年くらいまでのこの時期は、第一反抗期と第二反抗期(思春期)との間にあるという意味で、中間反抗期と呼ばれています。
それでは、その具体的な特徴と対策をお伝えしていきますね。

他の反抗期と何が違うの?

第一次反抗期では、自分で歩けるようになって行動範囲は広がるものの、身体全体や手指を使ってできることはまだ限られています。例えば靴を自分で履きたいなど、挑戦したがることはシンプルな内容がほとんどでしょう。

5歳頃になると、自分で決めたい、やりたいと思うことが増えて、それまではすんなりと言うことを聞けていたのに、声をかけられた時点で不機嫌になることがあります。とにかく自分なりにやりたい、自分の考えで進めたい、という意志が芽生えてくるので、親御さんが良かれと思ってしてあげることに対しても、「余計なこと!」と受け取られてしまうのです。

でも第二次反抗期のように、様々な面で大人に近付くことで、社会全体や権威的な立場の大人に対して反抗するということまではありません。まだ親からの保護やお世話は当然必要としていますし、生意気な態度をしたかと思えば急に甘えてくるので、その都度の対応が難しく感じられるのです。

特徴1 口答え

今までと同じように接していたのに、急に「うるさいな!」「今やろうと思ってたのに、もうやらない!」などと言い返してきて、いうことをきかないことがあるでしょう。「嫌!」「うざい!」など、とにかく否定してきたり、注意したくなるような汚い言葉や乱暴な態度を示したりすることもあります。

特徴2 無視する

気に入らないことがあると、聞こえないふりをすることもあります。行動を指図されたくない、ほらやっぱりできなかったじゃない、など否定されるようなことを言われたくない場合が多いです。

家庭内のちょっとしたルールなど、やらなければ注意されると分かっていてもやらずに反抗することもあるでしょう。すごいね、えらいね、と言われたい気持ちが高まる反面、大人のちょっとした言い方に敏感に反応してしまうのです。

特徴3 年下のきょうだいに意地悪をする

それまでは優しい態度で接していたのに、妹や弟に対して攻撃的になることもあります。自分でやれることが増えて自信が育っていく日々の中、まだ理解していないことの多い、年下のきょうだいの姿を冷静に見始め、戸惑ってしまったり嫌だなと感じたりします。

年下のきょうだいが生まれたときに感じた嫉妬心が再燃していることもあります。お産の間、初めて数日間もママと離れて過ごしたお子さんもいるでしょう。ようやく一緒にいられると思ったらママの腕の中には自分ではない赤ちゃんが……。お子さんによっては、その頃のショックな気持ちを思い出したり、もうその頃には戻れないと理解できるので、きょうだいを見ていて複雑な気持ちになってしまうことがあるのです。
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関連記事:子どもの赤ちゃん返りって何? どうすればいいの?

特徴4 園ではしっかりしている

家庭でこんなに反抗するのだから、園でも同じように振る舞っていたらどうしよう、と心配になるかもしれませんね。でも、そうではないことが多いです。年長さんとしての自負心が育ち、年下のお子さんの面倒を見ることもできるなど、きちんと頑張れていることを先生から聞けて安心することもあるでしょう。

お友達との関係もとても大切にできるようになります。家庭の中だからこそ反抗している、ということも中間反抗期の特徴です。

5歳の反抗期、いつまで続く?

中間反抗期の時期については諸説ありますが、大まかに年長さんから小学校低学年頃までと考えられています。
自分で考えて、自分のやり方でやりたい! いろいろできるようになったことを褒めてもらいたい!といった気持ちを十分に表現できて、満足できればできるほど、スムーズに過ぎていくでしょう。

5歳児の反抗期へのNG対応・おすすめ対応

お子さんの自立への意欲が高まってきたこその反抗期ですが、5歳児といえど知識も知恵もついて、なかなか激しいぶつかり合いになってしまうこともあるでしょう。
お互いにストレスをためすぎることなく過ごすには、どんなことに気を付けるべきなのでしょうか。覚えていていただくと良いポイントをご紹介しますね。

NG対応|上から目線、すぐに叱りつける、突き放す

✅ 上から目線で話す
「〇〇しなさい」という命令口調や、「あなたがダメでしょ」といったジャッジメントはできるだけ控えるようにしましょう。

✅ すぐに叱りつける
反抗的な態度の背景には、自立したいという正しい欲求が隠れています。反射的に見せられる態度や言葉が良くないものであっても、そのことを教えようとして強く言い返したり、挑発に乗らないようにしましょう。

✅ 突き放す
どんなに対応に困って、腹が立ったとしても、「もう知らない!」「勝手にしなさい!」と突き放す言葉はNGワードです。まして「そんなことする子はうちの子じゃない」「生まなければ良かった」という、安心感を脅かしてしまうような言葉はトラウマとなり、将来の人格形成に影響してしまいますので絶対に言わないようにしましょう。

おすすめ対応|気持ちを伝えす、大人同士のように接する など

✅ 話をよく聞く
「今日はどんなことあった?」などと話題を振って、お子さんが自分の言葉で話せる機会を普段から作っておくと、そんなことを考えられるようになったんだ、とか、複雑な状況を理解できるようになったんだなぁ、と成長の様子を知ることができますね。そうすると、お子さんがどんな言い方を嫌がるのか予想できるようになります。もし反抗されてしまったときも、まずは、「どうしたかったの?」と落ち着いて確かめ、気持ちに寄り添うようにしましょう。

✅ 親の気持ちを伝える
乱暴な態度や言葉をぶつけられたときは、すぐに叱るのは良くありませんが、そのまま我慢しなければいけないということではありません。少し時間をおいてから、例えば「〇〇と言われて、お母さんは悲しい気持ちになったよ」「パパは〇〇という言葉に傷ついたな」と説明をすることで、ダメだと押さえつけるのでも、言いなりになるのでもない対応になります。

✅ そうであってほしい姿を見せる
論理的に考えるようになる5歳児ですが、まだ言葉で説明されて覚えるよりも、自分が体験したこと、見たことを吸収し真似することの方がたやすいです。例えば人に優しくするといった対人関係で大切なことは特に、教え込むのではなく、お手本を見せるという意識で接するようにしてみましょう。

✅ 大人同士のように接する
「〇〇をお願いできる?」「〇〇してくださいねー」といった丁寧な言葉遣いは他人行儀で、常に敬語を使うのは不自然と感じられるかもしれませんが、この頃から少しずつ増やしていくとお子さんの自尊心を守ることができ、成長を促すことにつながります。「ありがとう」や「ごめんね」も親がきちんと伝えてあげることも大切です。メールや手紙など、間接的な方法でコミュニケーションを行うことも、良い距離感を作るきっかけになるでしょう。

✅ たまには2人で過ごす
年下のきょうだいがいる場合は特におすすめします。乳幼児のお世話をするママ・パパではない姿を見せて、思い出を作ってあげてください。そのときに「〇〇や◇◇ができるようになって、すごいね」「園の先生から聞いたよ」と褒めたり、「時々イライラしちゃうけど、自分でやりたいんだよね」など、成長を見守っているということを伝えると、思春期の嵐を小さくできるほどの効果がありますよ。

まとめ

冒頭でお伝えしたように、5歳は様々な力がぐんぐんと伸びていく時期です。自立へ向かう意欲が強いほど、反抗の度合いも激しく感じられるでしょう。でもそういう段階を迎えることができたのは、それまで親御さんがちゃんと育ててくださったからなのです。
ぶつかり合ってしまう時期はずっとは続きません。たまには趣味に没頭したり、お風呂タイムを楽しんだりと、親御さんご自身が気分転換できる時間も大切にしてくださいね。

(文:うららか相談室 大岡みほ/構成:マイナビ子育て編集部)

※写真はイメージです

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、専門家の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

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