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2022年12月26日 15:12 更新

「漢字が書けない」「主体性がなくなる」パパ・ママたちに、デジタル教育で「不安に感じる点」を聞いてみた

小学生にひとり1台のタブレット・ノートパソコンなどが配布され、高い教育効果が期待されているデジタル教育。多くのメリットがありますが、親世代の受けてきた教育環境とは大きく異なるため、不安に感じる人も多いのではないでしょうか。具体的にどのような点が心配なのか、保護者の声をまとめました。

子どものデジタル教育について、自分たち親世代の教育と比較して、デメリットだと思う点・不安に感じる点はありますか?

子どものデジタル教育について、自分たち親世代の教育と比較して、デメリットだと思う点・不安に感じる点はありますか?

「子どものデジタル教育について、約79%の保護者が何かしらの不安を感じているよう。

そこで、どのような点にデメリットや不安を感じるのか、詳しく聞いてみました。親自身が世の中のデジタル化にメリットだけでなくデメリットも感じているからこそ、心配になってしまうんですよね。

視力低下が心配

●目が悪くならないか心配。画面の見すぎで、頭がぼーっとしている気がする。(女性/29歳/学校・教育関連/専門職)

●目の問題。視力低下、斜視の可能性が心配。(女性/37歳/医療・福祉/専門職)

●画面を見ている時間が長くなるので、視力の低下や姿勢の悪さなどが気になる。(女性/32歳/食品・飲料/販売職・サービス系)

デジタル機器を使用した学習方法が定着すると、視力に影響があるのではないか、と心配する声があります。確かに、スマホやパソコンの画面を長時間見ていると、大人でも目の疲れを感じることがありますよね。

ただ、タブレットを使用するとはいえ、教室で受ける授業のなかでは画面を凝視する時間は限られています。ひとりで集中して学習する家庭学習の時間に気を配る、視力保護のフィルターを装着する、画面の明るさを適切に調整するなど、いくつかの対策を考えてみるとよいでしょう。

実際に文字が書けるか心配

●実際のテストでは紙による筆記テストなので、書く習慣が面倒に思わないか不安 。(女性/39歳/機械・精密機器/生産工程)

●書かないので漢字が書けなくなりますし、字の練習をしないので筆跡が下手くそになります。(男性/43歳/建設・土木/営業職)

●鉛筆の持ち方がわからなくなってる。(女性/37歳/学校・教育関連/専門職)

アナログで文字を書く機会が減り、漢字が思い出せない、読めるけれど書けない、という体験は、大人も日常的に感じていることですね。

書くことが苦手な子どもにとって、デジタル機器を使うことで学習速度についていけるというメリットがあります。しかし、時間制限のあるテスト本番では、わかっていても書くスピードが遅く、答えを書ききれないというデメリットも。表裏一体ということでしょう。

特に低学年のうちは、家庭でときどきノートをチェックして、筆記の様子を見てあげる必要がありそうです。

デジタル教育は現在、過渡期と言える段階。将来的にはテストの方法も変化するかもしれませんね。

実体験不足が心配

●実際に自分で見たり肌で感じたりして学ぶ機会がなくなるので、人生の経験値が少なくなりそう。(男性/28歳/情報・IT/営業職)

●ほとんどがデジタルで解決できること。自分で考えて行動する、失敗の経験が少なくなる。(男性/38歳/小売店/販売職・サービス系)

●現実で体験できることが減っていて、実体験から学ぶことが難しい。(女性/36歳/情報・IT/事務系翻訳)

デジタル教育のメリットは、さまざまな事象を映像で見られること。その代わり、自分が実際にやってみるという実体験が不足するのではないか、という心配があります。理科の実験や調理実習など、手を動かして五感で体験し、失敗することも大切な学びです。

学校現場では、デジタルの活用はあくまで補助的なものと捉えられています。体育の時間に動きをイメージするための映像を見るなど、実体験につながる学習としての活用は有効です。

デジタル教育を導入すると同時に、自然体験や文化芸術体験などの機会を増やしていくことも考えていくべき課題と言えるでしょう。

自主性が失われないか心配

●インターネットで調べればすぐにわかるので、自分で辞書などで調べようとしないところ。(男性/46歳/金融・証券/営業職)

●デジタルな部分に頼りすぎてしまい、本を読まなくなり、活字への興味が減り、読み書き、語彙力が乏しくなること。(女性/33歳/建設・土木/秘書・アシスタント職)

●自ら学ぶ意欲が無いとただボーッと見て終わりになってしまう。(男性/39歳/金属・鉄鋼・化学/技術職)

教育の分野では、「主体的な学び」を意味する「アクティブラーニング」の手法に注目が集まっています。

その点においてデジタル教育は、子どもたちが好奇心を持って自ら学ぶ姿勢を作るためにも有効な手段です。デジタル教育を導入することで、知識を得るための学習を効率化し、節約できた時間をディスカッションやグループワークに使用することができます。

ただし、デジタル機器やソフトは万能ではなく、教育ツールのひとつ。大人の適切な声掛けや誘導とあわせて、子どもたちの学習意欲を刺激する使い方が重要です。

コミュニケーション不足が心配

●テレビやスマホの依存症にならないか、家族のコミュニケーションが減らないか心配です。(女性/35歳/学校・教育関連/事務系専門職)

●まわりと話しながら問題点を共有して考えるなどができなさそう。(女性/32歳/人材派遣・人材紹介/事務系専門職)

●理解できないときにその場で質問できないところ。(女性/28歳/学校・教育関連/講師)

「デジタル教育」という言葉には、「ひとりで黙々とパソコンに向かって講義を受ける」というイメージがありますが、実際はそのような受動的な教育環境ではありません。タブレットを持っているとはいえ、授業中は先生や友だちと話し合ったり、協力したりしながら学びを深めていきます。また、インターネットを介して世界中の人と繋がれるという利点もあります。

コミュニケーション不足が懸念されるのは、タブレットと学習ソフトを与えて放っておかれるような場面。こんなケースを生まないために、デジタルを活用した教育プログラムが研究されています。

まとめ

デジタル教育の内容は、親世代が受けてきた教育からは想像しづらく、不安や心配があるのは当然と言えます。「大丈夫かな?」と感じたら、ぜひ子どもたちに「学校でどんな勉強をしているの?」と聞いてあげてください。具体的な中身を知れば、解消できる不安もありますし、足りないと感じるところは保護者が補ってあげることもできます。授業参観や保護者会で子どもたちの様子をリサーチしつつ、楽しく学べる環境を整えてあげたいですね。

マイナビ子育て調べ
調査日時:2022年9月3日~4日
調査人数:116人(22歳~40代までのパパ・ママ)

(マイナビ子育て編集部)

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