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2022年09月16日 07:26 更新

子育て世代から対策を! 今日からはじめるフレイル予防「第7回 伊藤園健康フォーラム」が開催されました

日々子育てに奮闘しているママパパは、子育てが終わった将来のことを考える余裕もなかなかないかもしれません。でも何をするにしても、年を重ねても健康でいることが大切です。「今日からはじめるフレイル予防~筋肉の衰えは40代から!?フレイル予防すべき理由と対策」と題して開催された第7回伊藤園健康フォーラムの内容を紹介します。

(画像はイメージです/PhotoAC)

お茶で人生100年時代を豊かに生きる知恵「第7回伊藤園健康フォーラム」開催

株式会社伊藤園では「お茶で人生100年時代を豊かに生きる」をテーマに健康に関する最新情報を届ける健康フォーラムを開催しています。
9月9日、YouTube配信で「第7回 伊藤園健康フォーラム 今日からはじめるフレイル予防」が開催されました。

当日は伊藤園中央研究所所長・衣笠仁氏が主催の挨拶をした後、筑波大学教授・山田実氏による講演「今から備えるフレイル対策 ―100年人生を見据えたミドル・シニア世代からできること―」、医薬基盤・健康・栄養研究所 国立健康・栄養研究所行動生理研究室室長・南里妃名子氏による講演「フレイル予防のための健康な体づくり ―食事からのアプローチ―」がありました。さらに、山田氏、南里氏、衣笠氏によるパネルディスカッションも。その中で視聴者の質疑応答もありました。

ここでは、この健康フォーラムでわかったフレイルとは何か?ミドルエイジから対策が必要な理由予防法と緑茶の効果について説明します。

フレイルって何?

フレイルは、超高齢化社会を迎える日本で健康寿命を伸ばすために、今注目されているキーワード。厚生労働省「日本人の食事摂取基準」も2020年版からフレイル予防も視野に入れて策定されています。とはいえ、子育て世代にとっては馴染みのない言葉ですね。この機会に知っておきましょう。

フレイルとは、加齢によって筋力・活力が低下し要介護の手前まできている状態のこと。健康と要介護の中間に位置することを指す言葉です。

フレイルには「プレフレイル」と呼ばれる前段階もあります。健康な状態から階段を下るようにプレフレイルになり、その状態が悪化してフレイルに。そして要介護へと段階を経て徐々に移行していきます。

要介護状態になると、ここから元の状態に戻ることはできません。ところがフレイルの段階であれば、その前のプレフレイルに、さらにここから前の健康な状態へと、元の状態へ戻すことができます。しかもその鍵は日常生活にあります。 

もう少し詳しくフレイルの種類を見てみましょう。フレイルには身体的フレイル、心理・精神的フレイル、社会的フレイルがあります。

身体的フレイルはいわゆるロコモで、筋力が減り運動機能が低下した状態。心理・精神的フレイルは認知機能の低下やうつなど。社会的フレイルは閉じこもりなどです。

山田先生のお話によると、高齢者のフレイル対策は3輪の車の運転に例えられ、「社会的参加習慣」「良い食習慣」「運動習慣」のどれか一つでも力を入れて車輪を回せば、おのずとほかの車輪を回すことになり、いい循環に入っていくとのことでした。

山田実氏

フレイル対策は30~40代から始めたほうがいい!?

「要介護」と聞くともっと上の世代のことに感じますが、フレイルは子育て世代にとって遠い未来の話ではありません。
加齢が要因となって起こるものですが、南里先生によると、40~50代でもおよそ2割の人がフレイルに該当するという研究結果もあります。

実は働き盛りの40代から筋肉量は急激に減ることがわかっています。これをこのまま放っておくと、筋肉は減る一方に。60代になっていよいよ運動を始めようとしても、すでに減ってしまった筋肉を高齢になってから戻すのは大変なことです。さらにすでに筋力が衰えていることで転倒によるケガのリスクも高まります。フレイル対策としては、40代のうちから運動習慣を持ち、筋肉量を維持しておくことが理想です。

さらに、栄養面から食習慣の改善は30代からはじめても遅くありません。栄養とフレイルの相関関係を調べた調査で、フレイル対策にはたんぱく質の摂取が大切であることがわかっています。ところが日本人はたんぱく質摂取量が不足している人が多い傾向に。特に30~64歳は男女とも高齢者よりも不足がちな傾向にあるそうです。食事のバランスが摂れていない人は、30代から食生活を改善したいところです。

ただし、30〜40代に対策が出来なかったからといって、必ずしも手遅れになるということではありません。フレイルになってしまっても、そこから回復することは可能です。下で紹介する今日からできる対策を、パパ・ママの親世代にも伝えて一緒に取り組みたいですね。

南里妃名子氏

今日からできるフレイル対策

今日からできるフレイル対策として、次のことがあります。できることから少しずつはじめていきましょう。

・運動を習慣にする
加齢によって委縮しやすいのは抗重力筋と呼ばれる、姿勢を保持する筋肉。特に体幹の筋肉が重要なので、体幹を鍛えることを意識した運動をしていきましょう。山田先生のおすすめはスクワットです。運動をまったくしてこなかった人には、ウォーキングがおすすめとのことでした。

・3食しっかり食べる
自分の食事もおろそかにせず、1日3食しっかり食べましょう。1日2回以上は主食・主菜・副菜を組み合わせて。また1日20品目を目標にいろいろな食品を摂りましょう。

・栄養バランスを考えて一品増やす
南里先生によると、フレイル予防に必要なたんぱく質は男性で1日に体重1㎏あたり1.2g、女性で1.4gでした。この数値を目標に、たんぱく質を中心にバランスの摂れた食事を目指しましょう。もしたんぱく質が足りていなければ、今の食事に1品足すところから始めてみて。例えば、朝食がパンとジャムだけの人は、卵料理かヨーグルトを足すとたんぱく質を摂ることができます。さらにサラダを加えると野菜もプラスできます。昼食が麺類の場合は、トッピングで油揚げ、ちくわなどを加えることで食品数を増やせます。また夕食に納豆やしらすを加えるなど、一気に増やそうとせず、まずは一品、できたらもう一品と増やしていき、理想のバランスに近づけていきましょう。

・抗酸化物質を含む食品を摂る
抗酸化物質を含む食品を摂ることもフレイル対策に。抗酸化作用が高い食品の例として、野菜や果物、緑茶があります。これらの食品も積極的に摂りましょう。

・社会的なつながりを持つ
高齢になってから「外出が少ない」「人との交流がない」「家に閉じこもりがち」という状況になると社会的フレイルとなり、ほかのフレイルも巻き込んで要介護に向けて加速していく可能性があります。子育て世代も孤立しがちですが、仕事や子ども相手だけでなく、人とつながれる趣味やボランティア活動にも目を向けてみて。今すぐは取り組めなくても、時間ができたときにやりたいことが見つかるよう、アンテナを張っておきましょう。

株式会社伊藤園 中央研究所 衣笠仁所長

家族でお茶の時間を

抗酸化作用がある身近な食品のなかでも、緑茶は日本人にとって習慣的に飲みやすい飲料です。南里先生の調査・研究によると、習慣的な緑茶の摂取が多い人ほど、飲まない人よりもフレイル該当率が低かったそうです。集まって緑茶を飲みながら話をすることで、人とコミュニ―ケーションをとり、つながりを持つこともできます。

家族みんなのフレイル予防のため、祖父母世帯も交えて、家族でお茶を囲んで団欒のひとときを過ごしたいですね。

「第7回 伊藤園健康フォーラム」の様子はこちらでご覧いただけます

(取材・文=佐藤華奈子)

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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