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2022年10月04日 07:35 更新

家庭学習でついやってしまいがちな「やりなさい」がダメな理由『親子で楽しむ小学校受験』#4

小学校受験を検討中でどのように対策をすればいいのか知りたい方も、受験対策真っ只中の方も必見!青山家庭教育サービスほしの会代表・高木宏子さんの著書『目指せ! 名門校合格 親子で楽しむ小学校受験』(幻冬舎)より、知っておきたい受験のコツや心構えを抜粋して連載形式でお届けします。

【小学校受験】お教室での学習や家庭学習がうまくいかない理由は?

親が子どもと同じ目線になれるかが重要です

家庭学習を上手に進めるためには、ご両親がお子さんの目線になってともに問題を解き、ともに考えるという姿勢が大切です。大人の目から見れば「当たり前」「簡単」なことばかりであっても、お子さんにとっては「初めて知ること」がたくさんあります。「初めて」知ったときに、「面白い」「楽しい」と思えるにはどうしたらよいか工夫しなければなりません。

例えば、お教室で学習したペーパーに「急須」が出てきたけれど、お子さんが分かっていなかったなら、実際に急須を用意して、お茶を淹れる様子を見せてあげてください。

「お湯がお茶の色になって出てくるんだよ。やってみる?」と声を掛けてみましょう。微妙な手の動きが必要になるので、お子さんはワクワクしながら急須を使うでしょう。

そのあとで、ペーパーの復習をすると、急須そのものの名前だけでなく、使い方や使ったときの気持ちも同時に記憶がよみがえり、お子さんの中に「急須」という言葉が定着するのです。

親が楽しんでいることは、子どもも「面白そう」と思えるものです。普段の生活のなかでも、親子で遊ぶときには、親も楽しんで、とことん一緒に笑い、体を動かしてください。親の楽しむ姿が「楽しさの原点」になっていれば、学習になっても「一緒に学ぶ」楽しさを受け入れることができます。そして、思い切り遊んだ子は、学習への集中力も備わっていきます。

反対に、初めから、上から目線で子どもに「やりなさい」と強制してしまうと、楽しさもやる気もそがれてしまい、逆効果となってしまいます。お子さんの目線に立ってどうしたらお子さんにもっと楽しんでもらえるかを意識するようにしたいものです。

ペーパー学習は「いつ」させるのが効果的?

おすすめは「朝」です。頭が最もクリアで、効率良く学習が進みます。私が関わってきた多くのご家庭も「朝学習」をされていました。時間は30分から1時間が適切でしょう。1時間以上になると、疲れてしまって園での活動に支障が出てしまうかもしれません。

お母さまは大変ですが、この時間はお子さんの横または正面に座り、一緒にペーパーに集中してあげましょう。お弁当や朝食を作りながらでは、スピーディにペーパーをこなしていくのは難しいはずです。朝の学習は「短時間でやりきる」を目標にしましょう。

ペーパーの丸つけは、その場で一緒に行います。理解できていなかったところは、帰宅後の遊びのなかで復習したり、知識が身につくように補っていきます。

このように朝学習をおすすめすると「必ず朝、ペーパーをしなくてはならない」と思われるかもしれませんが、お子さんによっては体調的に、朝の活動に向かない場合もあります。朝が苦手なお子さんの場合には、無理せず夕方などに時間を変えましょう。

また、朝の学習で集中できないお子さんのなかには、明らかに睡眠時間が不足しているケースも見られます。「前の晩、頑張り過ぎて遅くなってしまった」ということはよくあると思います。

ただ、就寝前に無理をさせると次の日に響きますので、あまり遅くならないうちに「頑張ったね」とお子さんを労って、絵本を読むなどして心を落ちつかせてから寝かせてあげてください。

そして少なくとも9時間は睡眠時間を確保してください。お子さんの健全な成長を促すためにも、眠る前には良い感情を与えるようにしたいものです。

ペーパー嫌いになってしまいました。どうしたらよいですか?

ペーパー学習を嫌がってやらなくなってしまうと、叱れば叱るだけ親子関係が悪くなってしまいます。

お教室で正解できなくて恥ずかしかった、難しいから嫌、ほかにやりたいことがあるからやりたくないなど、お子さんなりの理由はあると思いますが、ポイントは「やらされている」という気持ちにさせないことです。

ペーパーに対してアレルギー反応が出ているのであれば、1週間くらいペーパーなしで学習をさせます。例えば、しりとりの問題なら、イラストを切り抜いてテーブルに並べて、「リスで始まって、犬で終わるように並べ替えて」というように、鉛筆を持たせずに、ペーパーと同じ内容の問題をさせるのです。

これだけでもお子さんの気持ちはリフレッシュします。ここでたくさん褒めて「できるってうれしい」という気持ちを味わわせてあげましょう。1週間後に「そろそろペーパーもやってみようか」と誘ってみるとうまくいくケースが多いようです。

(高木宏子『目指せ! 名門校合格 親子で楽しむ小学校受験』(幻冬舎)より一部抜粋/マイナビ子育て編集部)

書籍『目指せ! 名門校合格 親子で楽しむ小学校受験』について

小学校受験を親子で「楽しむ」という新しい視点で書かれた合格メソッド。

小学校受験家庭教師 青山家庭教育サービスほしの会代表・高木宏子さんが小学校受験を成功させるために必要な考え方と具体的なメソッドを解説。
お教室ではフォローしきれない日常生活にスポットが当てられています。
さらに、受験で起こりがちなアクシデントへの対処方法や、親の不安にこたえるアドバイスも掲載。

小学校受験対策の内容を知りたいご両親はもちろん、今の対策に行き詰ったご家庭にも、これから小学校受験を考えている方にもおすすめの一冊です。

【目次】
第1章 子どもに「受験」の意味は分かりません。どうやってやる気を引き出したらいい?
第2章 お教室での学習や、家庭学習がうまくいかない理由はどこにある? ペーパー学習より大切なこと
第3章 「試験ではどこを見られているのか」?を知れば、家庭でやるべきことが見えてくる
第4章 語彙を増やし、表現力と記憶力をアップさせる「言語メソッド10」
第5章 図形のセンスを磨き、生き物の知識を身につける「認知力メソッド10」
第6章 運動、工作、絵画……体や指先を使う試験に備える「巧緻性メソッド10」
第7章 親子で遊ぶ機会を増やして行動観察に強くなる「家族メソッド10」
第8章 試験当日まで、家庭環境次第で子どもは伸びる!メソッドを実践して楽しみながら合格をつかんだ親子たち

高木宏子さんのプロフィール

目指せ! 名門校合格 親子で楽しむ小学校受験
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(2022/9/13 時点)

青山家庭教育サービスほしの会代表。
慶應義塾大学文学部卒業。
学生時代に家庭教師や塾講師として小中高生に勉強を教え、結婚後子育てをしながら大学受験の添削指導を行った経験をもつ。
その後、小学校受験教室の講師となり、大手幼児教室「伸芽会」勤務時代には青山・学習院クラスを担当。
小学校受験に長く携わるなかで、親が必死になるあまり、子どもの心を置き去りにしてしまったり、本来もっている学ぶ力、意欲が十分発揮されていない子どもたちがいることを痛感。
小学校受験のための家庭教師サービスを立ち上げ、学ぶ楽しさを実感してもらい、受験する子どものみならず、父母や弟妹など、家族へのケアにも力を注ぐ受験指導を行っている。
東京、神奈川、埼玉、千葉の有名小学校への合格実績多数。

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