【医師監修】ノロウイルスとロタウイルスの症状の違い、予防や治療法は?

【医師監修】ノロウイルスとロタウイルスの症状の違い、予防や治療法は?

冬本番ともなると「小学校でノロウイルスが流行し……」といったニュースを見かけることが多くなりますよね。感染すると下痢や嘔吐などの症状を引き起こすノロウイルスやロタウイルス感染症。どちらも感染性胃腸炎ですが、症状に違いはあるのでしょうか?流行時期やかかる年齢、感染経路などと治療・予防法をまとめました。


この記事の監修ドクター
向洋こどもクリニック 梶梅 輝之先生
川崎医科大学 卒業後、広島市立 舟入病院小児科部長を経て向洋こどもクリニックを開院。子供の病気の診療や予防はもちろんのこと、心身の健全な発達を支援し、ご家族の皆様と子供の成長をともに喜び合えるクリニックにして行きたいと考えています。
http://www.mndcc.jp/index.html

ノロウイルスとロタウイルス感染症の主な違い

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※画像はイメージです

ノロウイルスとロタウイルスはどちらも、下痢と腹痛を主な症状とした感染性胃腸炎の原因となるウイルスです。

感染力がとても強いので、たとえ患者の便などに直接触れなくても、患者の咳・嘔吐物のしぶきなどで容易に感染してしまいます。そのため、学校や保育園などで1人感染者が出るとたちまち感染が広がってしまい、毎年必ずと言っていいほど流行する感染症です。

このように、症状も感染力もよく似たノロウイルスとロタウイルスですが、具体的にはどのような違いがあるのか、幼いお子さんを持つママ・パパは特に気になるところだと思います。感染しやすい時期や感染経路、かかりやすい年齢と症状の違いについて見ていきましょう。

流行時期

・ノロウイルス…冬から春(11~3月頃)に流行する傾向
・ロタウイルス…春(3月~5月頃)に流行する傾向

ノロウイルスによる胃腸炎もロタウイルスによる胃腸炎も年間を通して発生していますが、例年ノロウイルスは11月~3月頃(ピークは12月~1月頃)に、ロタウイルスは3月~5月にかけて流行する傾向にあります[*1, 2]。

ノロウイルスが落ち着いたと思ったら次はロタウイルスの流行シーズンへと移り変わる形となるので、小さいお子さんを持つ家庭では、冬の初めから初夏までは感染性胃腸炎に特に注意する必要があります。

感染経路

・ノロウイルス、ロタウイルスともに主な感染経路は経口感染

ノロウイルスは、
・経口感染:病源体で汚染された食物などを口にすることで感染すること
・接触感染:感染者に直接触れる、または汚染されたドアノブなどを介しての感染
・飛沫感染:感染者が咳やくしゃみをすることで空気中に飛び散った飛沫を吸い込み感染
により感染しますが、ほとんどが経口感染と言われています。

ノロウイルスの場合は、具体的には主に以下のような感染経路があると考えられています[*1, 3]。

・ウイルスがついた手をきちんと洗わずに調理したり、ウイルスが蓄積した牡蠣やあさり、しじみなどの二枚貝を十分に加熱しないで食べたりすることで、食べ物を介して感染※1
・感染者の嘔吐物や便を処理した後に、洗浄が不十分だった手を介して感染。
・感染者の嘔吐や咳による飛沫(ひまつ=しぶき)を吸い込むことで感染。
・処理が不十分な嘔吐物や便が乾燥して舞い上がり、そこに含まれるウイルスを吸い込むことで感染。

特に、貝類や汚染された食品による感染の場合は1人から徐々に感染が広がるのではなく、一気に集団感染してしまうことが多いです。実際に、ウイルスが付着した手で給食を調理したと考えられる集団感染の事例が報告されています。

※1:牡蠣やあさりなどの二枚貝には、感染者の便などに含まれるノロウイルスが、下水を通って海に流れ込み蓄積することがあります。そのため、二枚貝は加熱が不十分なまま食べるとノロウイルスの感染のリスクが高くなると考えてください。

ロタウイルスの感染経路も、経口感染、接触感染、飛沫感染で、ノロウイルスと同じです。ロタウイルスは感染者の便に特に大量に含まれるので、たとえ処理した後に手をしっかり洗ったとしても爪の中などに多くのウイルスが残ってしまう場合があり、その手を介して感染が広がるケースが多いです[*2, 3]。

感染しやすい年齢は?

・ノロウイルス…すべての年齢
・ロタウイルス…すべての年齢で感染するが、主に5歳までの乳幼児の発症が多い

ノロウイルスもロタウイルスも、すべての年齢で感染します。なお、ロタウイルスは1回目の感染が重症化しやすく、2回目以降の感染では症状が軽くなります。ほとんどの場合に5歳までに1回目の感染を終えると考えられています [*3]。

どんな症状が出る?

・ノロウイルス…吐き気、嘔吐、下痢、腹痛、軽い発熱
・ロタウイルス…水のような下痢、吐き気、嘔吐、発熱、腹部の不快感

ノロウイルスに感染すると、1~2日の潜伏期間(感染から発症までの期間)を経て、上記のような症状が現れます。通常は1~3日で良くなり、後遺症もありません。また、感染しても発症しなかったり、風邪のような軽い症状で済む場合もあります。

ただし、感染してから1~5週間程度は便にウイルスが排出された報告があるので、症状が治まったからと気を抜かず、感染の拡大に注意する必要があります。

ロタウイルス感染症の潜伏期間は1~4日です。症状は、水のような下痢と嘔吐が2~8日間続きます。嘔吐から始まったり、39℃以上の発熱と腹痛を伴うこともよくあります。また、咳や鼻水の症状が見られることもあるようです。

ノロウイルス、ロタウイルスともに嘔吐や下痢を繰り返すので、脱水症状も起こりやすいです。とくにロタウイルスは重症化すると重い合併症を引き起こす場合もあるので、けいれんや意識の低下などが見られたときには、すぐに医療機関を受診してください。

ノロウイルス・ロタウイルス感染症の治療

ロタウイルスもノロウイルスも残念ながら抗ウイルス薬は存在しないので、対症療法での治療になります。基本的には、脱水症状を予防するための水分・栄養補給が中心です。

回復を遅らせてしまうので、どちらも下痢止めは使用されないことが多いです。脱水症状がひどいときは、病院での点滴が必要なことがあります。

ノロウイルスとロタウイルスの感染予防

もっとも大切なのは感染しないように予防することなので、最後に一般的な予防法と、感染拡大をさせないための注意点についてお伝えします。

どちらも手洗いの徹底が重要

手洗いは、手に付着したウイルスを減らすもっとも効果的な方法です。ノロウイルスとロタウイルスはどちらも人の手を介して感染することが多いので、予防するには日々の手洗いを徹底することがとても大切です。

また、感染してしまった場合や、身近に感染者がいる場合の2次感染を防ぐのにも効果的です。石鹸をしっかり泡立てて、爪の中まで念入りに洗いましょう。ブラシを使用すると、より効果的です。30秒以上かけてしっかり洗ったら、ぬるま湯の流水で十分にすすぎましょう。

食材や調理器具の加熱・消毒も大切

食品からのノロウイルス感染を防ぐために、二枚貝は必ず十分に火を通して食べましょう。ウイルスの活性を失わせるには、中心部が85~90℃で90秒以上の加熱が必要とされています。[*1]

また、調理器具もこまめに消毒するようにしましょう。ノロウイルスとロタウイルスはどちらもアルコール消毒の効果があまり期待できないので、加熱か次亜塩素酸ナトリウム(家庭用の次亜塩素酸ナトリウムを含む塩素系漂白剤でも代用可)による消毒が必要です。

塩素系の漂白剤はドラッグストアやスーパーで手軽に手に購入できます。代表的なものにキッチンハイターがありますね。

感染者が出てしまったら

感染者が出てしまったとき、患者の治療とともに大切になるのが、2次感染者をできるだけ出さないようにすることです。

さきほど紹介した、感染予防の「手洗い」「食材・調理器具の消毒」に加えて、以下の二次感染対策を行いましょう。

オムツ・嘔吐物の処理方法

便や嘔吐物の処理は適切な方法でしっかり行いましょう。処理した後は必ずきちんと手洗いしましょう。飛沫感染を防ぐため、処理する人以外はその場から離れるようにすることも大切です。また、処理中~処理後ある程度は窓を開けてしっかり換気してください。患者が触れたドアノブや便座、嘔吐物などで汚れた服や布団の消毒もしっかり行うと、感染の広がりを最小限に防ぐことができます。

感染者の嘔吐物や便を処理する際は、使い捨てのマスクと手袋、エプロンを着用しましょう。ペーパータオルなどを使って、ウイルスが飛び散らないよう静かに拭き取ります。きれいに拭き取ったら、塩素濃度200ppm程度の次亜塩素酸ナトリウム(台所用塩素系漂白剤で作製できる)で床を浸るように吹き、最後に水拭きします。※2

便が付着したオムツ、拭き取った汚物とペーパータオル、処理の際に着用したマスクや手袋などは、すべてゴミ袋に入れ、口をしっかり閉じて捨てましょう。このとき、ゴミ袋の中に塩素濃度1,000ppm程度の次亜塩素酸ナトリウムを破棄したい物がひたひたに浸かる程度まで入れると、感染拡大の予防効果が高まります。

※2:ppm(parts per million:パーツ・パー・ミリオン)とは、液体の微量な濃度を表す単位です。台所用塩素系漂白剤で作製する場合は、200ppmでは5Lの水に対してキャップ1杯弱(20ml。キャップ1杯は約25ml)、1,000ppmでは5Lの水に対してキャップ4杯(約100ml)の漂白剤を混ぜて濃度調整してください[*4]。

衣類やタオルなどの処理方法

嘔吐物などが付着してしまった服やシーツなどの布類は、捨ててしまうのがもっともよい方法ですが、それができない場合は、洗剤を入れた水の中で静かにもみ洗いして大きな汚れを取り除いてから、200ppmの次亜塩素酸ナトリウムにより消毒します。

また、もみ洗いせず、1000ppmの次亜塩素酸ナトリウムに漬け置きして消毒する方法もあります。

布団などの洗濯が難しいものは、日光に当てて乾燥させた後、スチームアイロンや布団乾燥機で加熱すると効果的です。

この他、感染者が触れたドアノブや便座、洗面所などは、濃度200~500ppmの次亜塩素酸ナトリウムを浸した布で拭き取りましょう。食器は200ppmの次亜塩素酸ナトリウムで消毒するか、熱湯で加熱してください。

登園・登校はいつから?

感染した場合の出席停止日数については、どちらも学校保健安全法に基づき、症状が回復してから登園・登校するよう定められています。

ただし、法的に日数が定められているわけではないので、通っている園や学校に確認するようにしましょう。

ロタウイルスは予防接種を受けよう

ロタウイルスには有効な予防ワクチンがあります。日本では2種類のワクチンが承認されており、いずれも接種機関は乳児の間となります(詳しい接種期間と回数については、医療機関にお問合せください)。

ロタウイルスは感染力が強く、どんなにしっかり予防しても完全に感染を防ぐことは難しいですが、予防接種を受けておくことで、発症を予防したり、発症した場合でも症状を軽くする効果があります。

なお、ロタウイルスのワクチン接種は生後2ヶ月~3、4ヶ月までの間に2または3回の接種を終えておくことが推奨されています(ワクチンの種類によって異なる)。かかりつけの小児科に忘れずに相談するようにしましょう。

【医師監修】ロタウイルスの予防接種について。スケジュールや効果、費用など

https://woman.mynavi.jp/kosodate/articles/2146

1ヶ月健診を無事終えると、医師から予防接種について説明を受けることが多いかと思います。その際、「こんなにたくさん受けるの?」とその数の多さに驚くママも少なくないようです。今回はその中でもロタウイルスの予防接種について気になる点をまとめました。

まとめ

ノロウイルスとロタウイルスは、どちらも嘔吐と下痢などを起こすウイルスです。特に流行する時期は手洗いや調理器具の消毒を徹底するなど、感染の予防に努めましょう。

ロタウイルスの予防ワクチンは乳児の期間に接種することが勧奨されているので、忘れないよう確認しておくことをおすすめします。感染者が出てしまった場合は、感染の拡大を防ぐよう、適切に処置・対応することが最も大切です。

参考文献
[*1]『ノロウイルスに関するQ&A』厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/kanren/yobou/040204-1.html
[*2]『ロタウイルスに関するQ&A』厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/Rotavirus/dl/q_a.pdf
[*3]『学校、幼稚園、保育所において予防すべき感染症の解説』日本小児科学会 予防接種・感染対策委員会
  https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/saisin_1101181.pdf
[*4]『ノロウイルスの消毒方法』食品安全委員会
https://www.fsc.go.jp/sonota/dokukesi-norovirus.html

※この記事は 医療校閲・医師の再監修を経た上で、マイナビウーマン子育て編集部が加筆・修正し掲載しました(2020.03.05)

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。
※新型コロナウイルス感染症についての最新情報は、[内閣官房][厚生労働省]妊婦に関する情報[日本小児科学会]幼児に関する情報など公的機関等で発表されている情報をご確認ください。

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