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2022年08月18日 14:55 更新

3歳児のご飯の量の正解は?その子に合った量を見極めるコツと食事作りのヒント【管理栄養士監修】

成長にも個人差が大きい3歳の食事量はどれくらいが適量なのしょうか。摂取カロリーの目安はありますが、大切なのはカロリーを細かく計算することではありません。我が子に合った食事の量かどうかを判断する方法を解説します。また、量以外のポイントや注意点もお伝えするので、3歳児の食事に悩む方はぜひ参考にしてくださいね。

3歳児のご飯の量はどのくらい?

3歳児 ごはん

3歳の食事はどれぐらい何を食べさせたら……という疑問を持つ方も多いと思います。体格や成長の度合いにも個人差がある3歳。どのような食事内容にすればバランスの良い食事作りができるでしょうか。

3歳児に必要なカロリーは?

日本人の食事摂取基準では、1日に摂りたいエネルギー(カロリー)が3歳の男児では1日1300kcal、女児は1250kcalとされています[*1]。しかし、幼児期の食事の適量は個人差が大きくなりやすいです。また、実際の食生活で摂取したカロリーを正確に計算するのはとても困難なため、そこまで数字を意識する必要はありません。1つの目安として頭に置いておくくらいでよいでしょう。外食のメニューに300kcal程度のものがあれば、3歳児の1食分のイメージとして参考にするのもいいですね。

お子さんの運動量や体格によって必要な食事量は大きく変わります。自分の子どもの食事量が足りているかを判断するには、子どもの「成長曲線」(身体発達曲線)が有用です。母子手帳にのっている成長曲線のグラフに身長と体重を書き込んでいきましょう。お子さんが元気であり、成長曲線に沿ってしっかりとカーブを描いていれば、食事量は適量と判断できますよ。

3歳児の1日の食事量の目安

食事をする女の子

次に、「東京都幼児向け食事バランスガイド」を参考に、3歳児の食事のイメージをつかんでみましょう。このガイドでは、3~5歳の幼児が1日に「何を」「どれぐらい」食べるとバランスの良い食事なるのか、幼児の適切な食事内容や量を分かりやすく示してあります[*2]。たとえば次のようなパターンが考えられます。

<3~5歳の1日の食事の一例>
主食:子ども茶碗1杯×3~4杯
主菜:卵(または納豆)1個×3つ
副菜:野菜の小鉢(70g)×3~4杯
牛乳:100ml×2回
果物:みかん1個×1~2回


1食で考えると、子ども用お茶碗1杯、卵1個(50g)、野菜1鉢(70g)といった内容がよいでしょう。補食としてヨーグルトと果物などを摂れるといいですね。

幼児食事バランスガイド
東京都幼児向け食事バランスガイド

主食・主菜・副菜のバランス

主食・主菜・副菜のバランスがとれているかは、とても大切です。栄養バランスの良い食事とは、この主食・主菜・副菜がそれぞれ、しっかり摂れている食事のことをいいます。鉄やカルシウムといった特定の栄養素を個別に追いかけることではありません。

ご飯(主食)とおかず(主菜・副菜)がだいたい1:1~2くらいで、ご飯ばかりが多すぎないようにします。主菜(肉や魚)と副菜(野菜)のバランスは、野菜のほうが多めになるようにしましょう。1:2くらいにしてもいいかもしれませんね。

野菜は生だとカサが多くなりやすいため、適宜、加熱して食べるとよいでしょう。野菜が苦手で食べてくれないという場合には、スムージーのようにしてみたり、果物を代わりに摂ってみたり、トマト缶を使ったメニューを試してみてください。

Lazy dummy

なお、主食とは炭水化物が主な食品を指すので、おやつで食べるパンやおにぎりも主食になります。
食事で主食の量が少なかったときにおやつをパンやおにぎりにすると、バランスがとれますね。

おやつはどのくらい?

幼児期のおやつは栄養を補うための食事の一部(補食)だと考えます。3歳のおやつは午後の1回が望ましいでしょう。食事に影響をしない範囲で与えるようにします。牛乳やおにぎり、果物、さつまいもなど栄養価の高いものがおすすめです。

3歳児の食事のポイント

3歳ごろになり乳歯が生えそろうと、咀嚼がしっかりしてくるので、大人と同じものが食べられることも増えてきます。しかし、食材によってはまだまだうまく咀嚼できないことも。子どもに合った食事作りを続けていきましょう。

1.好き嫌いを決めつけない

3歳児の食事で難しいところは、食の好みや噛む力などの個性が出てくるところといえるでしょう。大切なポイントは好き嫌いを決めつけず、同じ食材でも違った料理で試してみることです。

例えば、ほうれん草のお浸しをいやがった場合、「ほうれん草が嫌い」とは限りません。あくまでも「このほうれん草のお浸しは苦手なんだ」と考えましょう。「次はクリーム煮にしてみようか」というような声がけをして、子どもが美味しく食べられる料理を一緒に探すのもいいですね。

2.味付けは薄味

幼児食 チャーハン

薄味はぜひ心がけたいものです。離乳食が終わるとだんだん濃い味になりがちですが、大人であっても減塩は必要になります。濃い味になれてしまうと減塩が難しくなるので、成長してもなるべく薄味にできるといいですね。大人の味付けより少し薄いくらいを目安にしましょう。

3.噛むことを促す

3歳ごろになると20本の乳歯が生えそろう子も多くなるでしょう。噛む力が強くなるので、軟らかいものだけでなく、少し弾力のあるものや生野菜などのシャキシャキとしたもので噛む練習ができるといいでしょう。よく噛むことで唾液がたくさん出ますが、それにより消化が助けられて栄養も吸収されやすくなります。

噛むことは、離乳食のころから発達に応じて練習することで身に付きます。20本の乳歯が生えそろった時点で一度、子どもの食事内容を見直してみましょう。軟らかすぎないか、逆に硬すぎて噛めずに飲み込んでいないかなどを確認してみてください。

4.誤嚥リスクのある食べ物に注意

乳歯が生えそろうことで、いろいろな食材が食べられるようになる時期ですが、まだまだ咀嚼は上手にできません。子どもの食事中はそばで食べる様子を見守るとともに、誤嚥につながりそうな食品は小さく切って与えるなどの配慮をしましょう。特に次のような食べ物には注意が必要です。

●硬い豆やナッツ
5歳以下の子どもは、窒息や肺炎を引き起こす可能性があるため与えないようにしましょう。消費者庁からも注意喚起がされています[*3]。
●ミニトマトやぶどうなど球状のつるつるした食品
丸ごと食べさせると気管に詰まって窒息するリスクがあるため、乳幼児には4等分した状態で与える必要があります[*4]。

5.食事マナーを教えていく

3歳になると言葉や思考能力が発達してくるため、生活習慣や食事のマナーも身につけていきましょう。規則正しい生活は食事にも関係します。決まった時間に起床し、決まった時間に寝るという生活を送ることで自然と食事の時間も決まってくるため、ごはんの時間に合わせてお腹も空くようになります。

食事のマナーとしては、ご飯の時間は座って食べる、姿勢を正して食べる、よく噛んで食べるなどを徐々に教えていくとよいですね。ごはんの時間がいやにならないよう、あまり頑張り過ぎずにゆっくりやっていきましょう。

まとめ

子どもの食事量はどのくらいが正しいのか、具体的な数字などを求めたくなりますが、実際には個人差が大きいものです。大切なのは、子どもが成長曲線に沿って順調に成長しているかを日頃から見てあげること。そのうえで、「東京都幼児バランスガイド」なども参考に、バランスの良い食事を意識しましょう。幼児期には細かいカロリー計算などをするより、さまざまな食材を使った食事作りができているかを考えることが親としては大切です。

(文:茅野陽 先生/監修:川口由美子 先生)

※画像はイメージです

「カロリー」という表記について
本来は「エネルギー」と呼びますが、本記事では一般的になじみのある「カロリー」と表記しています。
  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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