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2022年12月23日 16:00 更新

おにぎりとおむすびの違いは?呼び方や形の違いを解説

おにぎり、おむすびは日本人のソウルフード。お弁当の定番です。でも、「おにぎり」と「おむすび」ふたつの呼び方があるのは不思議ですね。どうして呼び方が違うのか?語源や地方性などの視点から、謎を徹底解明します。おにぎりとおむすびの違い、あなたは説明できますか?

「おにぎり」も「おむすび」も同じもの

「炊いたお米を手で握り、食べやすい大きさにまとめた食べ物を、なんと呼ぶか?」というクイズが出たとして、「おにぎり」と答える人と「おむすび」と答える人がそれぞれいるでしょう。

クイズの答えとしては、もちろんどちらも正解。両者は本質的には同じものです。同じものなのに、呼び方が複数あるのは、自然なこと。呼び方の違いには、言葉の発達の過程や、文化の違いが関係しています。

「おむすび」は新しい言葉?

おむすびやおにぎりと同じものを指す言葉として、「握り飯(にぎりめし)」もあります。「ご飯を握ったもの」という意味で、状態をそのまま表した言葉です。「握り飯」は、「にぎりいい」という読み方で、奈良時代初期に編纂された「常陸国風土記」に登場します。文書に残されたものとしては、「むすび」という言葉は江戸時代まで登場しません。

「おにぎり」は、「握り飯」から派生した言葉で、「おむすび」は、比較的あとから生まれた新しい言葉だと推測することができます。

語源の違いは諸説あり

おにぎりとおむすびの語源については諸説あります。呼び方の違いは、地方差があるとも言われています。関東方面では「おにぎり」関西方面では「おむすび」が主流という説、九州・沖縄地方では「にぎりめし」と呼ぶという説などがありますが、はっきりとした地域差は見られないというのが現状のようです。

おにぎり

・「握り飯」は古くは「にぎりいい」と読んでいた。手で握ったご飯の形状を表す言葉がそのまま呼び名になった。
・「お」は、女房詞に由来する接頭語で、あとからついた。

おむすび

・古事記に登場する「神産巣日神(かみむすびのかみ)」が穀物の創造に関係する神であったことから、稲に宿ると考えられていた。そのため、米を炊いて作るご飯を握ってまとめたものを「むすび」と呼ぶようになった。
・むすびは「結び」と音が通じる。お米同士がくっついている様子を「むすび」と呼んだ。
・接頭語の「お」は、平安時代の女房詞からついたもの。

おにぎりとおむすびは、日本人の精神性と深く関係している食べ物。いろいろな説があるのは理解できますね。

形の違いは地方差あり

おにぎりとおむすびの形はいろいろ。形にも、地方差が見られるようです。三角型を「おにぎり」丸型を「おむすび」と呼ぶ、という説もあります。

・三角型
主に関東。全国に普及している。山の形が山岳信仰と結びついているという説もあり。

・円盤型
主に東北地方。丸く握ってまんなかをへこませる。焼きおにぎりにしたり、漬物菜でくるんだりするためと言われている。

・俵型
主に関西地方。幕ノ内弁当の定番。細長い味付け海苔が巻きやすい。

・丸型
主に中部・九州地方を中心に全国に普及。不器用さんでも握りやすい形。

みなさんの地域でよく食べられている形はどれでしょうか?現代では、全国展開のコンビニエンスストアが増え、三角型、丸型のおにぎり・おむすびがどこでも手に入ることから、地域色は徐々に薄れてきているかもしれません。

民話のおにぎりとおむすび

おむすびは、民話にも登場します。室町時代に書かれた「御伽草子」のなかの「おむすびころりん」というお話です。

山の畑に出かけたおじいさんが、お弁当のおむすびを食べようとしたところ、おむすびがころころと転がっていってしまい、穴に落ちてしまったことから不思議な体験をします。

「ころころと転がる」という様子を想像すると、おむすびは丸型だったのではないでしょうか。「丸型をおむすびと呼ぶ」説の信ぴょう性が上がりますね。

ほかに、おにぎりが出てくる民話には「さるかに合戦」があります。さると蟹がおにぎりと柿の種を交換するお話です。おにぎり、おむすび、どちらの表現も使われています。

まとめ

おにぎりとおむすびをどう呼び分けるかという問題については、明確な答えはありません。文献を調べたり、自説を話したり、みんなで話題にするのが楽しいテーマです。かつて「おにぎらず」という新種のおにぎりが登場したように、新たな名称が生まれてくるかもしれませんね。

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